フロイント産業のニュース
~医薬品製剤用の機械で世界の先端を走り、高採算の医薬品添加剤も拡大~
【ポイント】
・2021年2月期は中期3ヵ年計画の初年度であるが、コロナ禍にもかかわらず、2つの重要な戦略を遂行した。1つは、11月にイタリアのCos.Mec(コスメック)社を買収した。当社と重複しない製剤機械を有し、当社とは別の途上国市場に強いので、今後のグローバル展開に日米欧の三極の製造拠点をベースに立ち向かえよう。コスメックの事業は、2年後には利益貢献が見込めよう。
・もう1つは、12月に、上海に合弁で技術開発研究所を設置する契約を締結した。中国の医薬品市場は政府の政策もあり、品質の向上に取り組んでいる。有力代理店と組んで、製剤機械と医薬品添加剤のラボを立ち上げる。浜松、アイオワ、ミラノに続く有望市場での拠点となる。中国向け輸出は既に拡大をみせているので、今後への期待は大きい。
・製剤機械の受注は好転している。しかし、米国、欧州、ブラジル、インドなど、コロナショックによる世界の景況悪化がどのように影響してくるか。まだ予断は許されないが、今2021年2月期の会社計画は利益面でほぼ達成できよう。
・過去2年は、国内の製剤機械の減少を、海外でカバーするという展開が十分でなかった。もう一つの主力分野である医薬品添加剤は、今期はやや調整傾向がみられたが、基本的に順調に伸びている。独自の添加剤ノンパレルが成長しており、信越化学工業と共同開発したSmartEXも拡大が見込める。輸出面では、中国向けが期待できる方向にある。
・市場環境をみると、当社にとっての医薬用製剤機械、健康食品用製剤機械、産業用機械などに開拓余地はかなりある。リチウムイオン電池市場は車用に高い成長が期待できる。同時に固体電池の技術革新も進む。それらに向けて、ユーザーニーズを先取りした満足度の向上、画期的な新製品、グローバルな市場開拓などを進めている。
・今回の中期計画では、2023年2月期に売上高201億円、営業利益14.6億円を目指す。過去最高の業績は、2017年2月期の売上高211億円、営業利益20億円であったから、そこには及ばないが、まずは足元を固めていく方針である。今回のM&Aや合弁事業によって、中計達成の確度は高まっている。今後の受注動向に注目したい。
目 次
1.特色 医薬品用製剤機械の独自開発で発展
2.強み 日本では圧倒的No.1、世界でも3強の1社
3.中期経営計画 M&Aや合弁の展開で海外市場の拡大に取り組む
4.当面の業績 2021年2月期は受注が好転し増益に転換
5.企業評価 新規分野の立ち上げに期待
企業レーティング | B |
---|---|
株価 (2021年19日) |
782円 |
時価総額 | 143億円 (18.4百万株) |
PBR | 1.00倍 |
ROE | 5.4% |
PER | 18.7倍 |
配当利回り | 2.6% |
総資産 | 119453百万円 |
純資産 | 13069百万円 |
自己資本比率 | 67.2% |
BPS | 780.5円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2012.2 | 15236 | 1065 | 1123 | 608 | 35.3 | 7.5 |
2013.2 | 16396 | 1470 | 1618 | 765 | 44.4 | 10.0 |
2014.2 | 17616 | 1286 | 1341 | 787 | 45.7 | 12.5 |
2015.2 | 17424 | 1150 | 1249 | 695 | 40.4 | 15.0 |
2016.2 | 19027 | 1346 | 1394 | 961 | 55.7 | 12.5 |
2017.2 | 21164 | 2041 | 2097 | 1064 | 61.7 | 20.0 |
2018.2 | 19801 | 1971 | 1994 | 1477 | 85.7 | 20.0 |
2019.2 | 18408 | 1223 | 1326 | 843 | 50.2 | 20.0 |
2020.2 | 16772 | 558 | 582 | 381 | 22.8 | 20.0 |
2021.2(予) | 17400 | 1000 | 1000 | 700 | 41.8 | 20.0 |
2022.2(予) | 19500 | 1200 | 1200 | 840 | 50.2 | 20.0 |
(2020.11ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは直近予想ベース。2009年6月に1:2、2016年2月に1:2の株式分割を実施。EPS、配当は修正ベース。2015.2期の配当は50周年記念配2.5円(修正ベース)、2017.2期の配当は上場20周年記念配5.0円を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/furoinntosanngyou202101.pdf
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