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ストライクのニュース
―キーワードは事業承継とデジタル化、関連株に再脚光の時―
9月16日に菅義偉内閣が発足しておよそ1ヵ月が経とうとしている。この間、菅政権で打ち出された政策や方針に関連して、デジタルトランスフォーメーション(DX)や電子政府、脱ハンコ、携帯電話料金の引き下げ、オンライン診療、地銀再編などさまざまなテーマが関心を集めたが、これらに比べて、まだ注目度が低いのが中小企業に関連した銘柄だ。
菅首相は官房長官時代の9月5日、日本経済新聞のインタビューで、中小企業基本法を見直し、中小企業の統合・再編を促進すると表明しており、同分野への関心は高い。既に、梶山弘志経済産業相に中小企業の再編を促す仕組みづくりを指示したとも伝わっており、今後、同法の見直しが話題に上ることも増えそうだ。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、中小企業のオーナーは先行き不安から後継者問題を前倒しで検討する可能性も強い。改めて中小企業の再編や支援に関する銘柄に注目したい。
●経営者の高齢化で事業承継が問題に
日本には約360万の事業者があるが、うち99.7%を中小企業が占めている。その経営者の年齢の分布をみると、最も多い年齢は1995年に47歳だったが、2018年には69歳となっており、経営者年齢の高齢化が進んでいる。経済産業省によると25年時点で、平均引退年齢である70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となる見通しで、約半数の127万人は後継者未定という。
後継者不在から中小企業が廃業した場合、従業員の雇用が失われたり、取り引きの断絶によりサプライチェーンに支障が生じたりすることで、地域経済へ悪影響を及ぼす可能性がある。これを回避するためには、後継者のいない中小企業が安心してM&Aなどを活用できるようにする必要がある。
中小企業庁は、後継者不在の中小企業が、M&Aを通じて第三者への事業の引き継ぎを進めるため、15年に「事業引継ぎガイドライン」を策定。また、今年3月にはM&Aの更なる促進のためにこれを全面改訂した「中小M&Aガイドライン」を策定した。同庁では、18年に年間約4800件だったM&A成約件数を、29年頃には年間6万件に引き上げる目標を掲げており、支援策の拡充などを整備する方針だ。
●事業承継M&A関連に注目
こうした中小企業の事業承継 に伴うM&A でメリットを受けるのは、中堅中小企業のM&Aを仲介する企業だろう。
ストライク <6196> の20年8月期単独業績は、成約組数が前の期比28.8%増の134組に増加したことなどが牽引し、営業利益29億8100万円(前の期比58.0%増)となった。21年9月期(13ヵ月決算)は191組の成約を目指しており、中長期的なM&A市場の拡大に対応するため本社移転を計画していることから利益率は一時的に低下する見通しだが、営業利益は30億8100万円を見込む。
日本M&Aセンター <2127> の第1四半期(4-6月)連結決算は、緊急事態宣言に伴い営業活動に制限を受けたが、成約件数232件と前年同期並みを確保。特に中型・大型案件の成約に成功したことで、営業利益は48億8700万円(前年同期比25.4%増)となった。21年3月期通期業績予想は未定としているが、旺盛なM&A需要への対応を図るため人員の増強などを行っており、中長期的な成長が期待できる。
M&Aキャピタルパートナーズ <6080> は9月30日に業績予想の下方修正を発表しており、20年9月期連結業績は営業利益が50億7300万円(前の期比13.4%減)となったもよう。大型案件の成約が進まなかったほか、新型コロナウイルス感染症の影響で、一部の案件で想定スケジュールからの遅延が発生したという。ただ、7~9月は四半期過去最高の48件の成約となったようで、21年9月期は回復が期待できる。
●中小企業のデジタル化支援で生産性向上へ
また、菅首相は安倍前政権で、最低賃金引き上げの議論を主導し、先の自民党総裁選の政策集にも「最低賃金の全国的な引き上げを行う」と明記している。最低賃金引き上げのためには、中小企業の生産性を向上させる必要があり、そのために求められているのが、中小企業のIT化だが、そこで注目されるのが、IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)だ。
同事業は、中小企業・小規模事業者などが、自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウェア、サービスなど)を導入する際、経費の一部を補助することで、業務効率化や売り上げアップのサポートを行うというもの。通常枠に加えて、新型コロナウイルス感染症が事業環境に与えた影響への対策や拡大防止に取り組む事業者によるIT導入を優先的に支援する特別枠も設けられており、サプライチェーン毀損への対応や非対面型ビジネスモデルへの転換、テレワーク環境の整備などに対する支援も行われる。サービス提供企業にとっては、認定されることで導入の障壁が下がることになり、商機の拡大が期待できる。
●IT導入補助金認定ツール提供企業に注目
IT導入補助金の認定ツールを提供している企業のなかでも、注目はナレッジスイート <3999> [東証M]だ。統合ビジネスアプリケーション「Knowledge Suite」や、オンライン商談ツール「VCRM」がIT導入補助金2020の補助金対象のITツールに認定されている。中小企業のDX化のニーズの高まりなどでクラウドサービスの受注が順調に積み上がり、第3四半期累計(19年10月-20年6月)連結営業利益は9600万円(前年同期比12.4%増)と2ケタ増益の好決算だった。
また、ライトアップ <6580> [東証M]は、オンラインレッスン予約システム「WTE(ワールドトークエンジン)」がIT導入補助金2020の補助金対象のITツールに認定されている。足もとは助成金・補助金自動診断システム「Jシステム」のOEM提供が堅調に進み、そこからのコンサルティング受注が増加しており、第1四半期(4-6月)単独営業利益は2600万円(前年同期2800万円の赤字)と黒字化するなど堅調だ。
このほか、インフォネット <4444> [東証M]のクラウド型統合顧客管理システム「infoCRM」や音声入力AIレポーティングシステム「Repotti」、ランサーズ <4484> [東証M]の法人向け社外人材活用・一元管理ソリューション「Lancers Enterprise」、MS&Consulting <6555> の従業員満足度調査「tenpoketチームアンケート」、関通 <9326> [東証M]の倉庫管理システム「クラウドトーマス」などが補助金対象ITツールに認定されており注目したい。
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