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IBJ Research Memo(2):婚活サービス企業から総合ライフデザイン企業へ

配信元:フィスコ
投稿:2018/04/06 15:32
■事業概要

1. 事業内容
IBJ<6071>は、婚活に関連する様々なサービスをオンライン(ネット)とオフライン(リアル)の両面から提供する日本最大規模の婚活サービス企業である。2016年6月にウェディング事業を展開する(株)ウインドアンドサン、同年12月に旅行事業を展開するかもめの全株式を取得し連結子会社としたほか、2017年3月には保険事業への進出を目的にソニー生命保険(株)と合弁で(株)IBJライフデザインサポートを設立(出資比率70%、非連結)するなど、婚活周辺領域にも事業展開を進め、婚活サービス企業から総合ライフデザイン企業へと進化している。

事業セグメントとしては婚活事業とライフデザイン事業の2つのセグメントで開示している。婚活事業にはサービスの内容によって、コーポレート事業、コミュニティ事業、イベント事業、ラウンジ事業の4つに区分されている。また、ライフデザイン事業は2016年に子会社化したウインドアンドサンのウェディング関連事業、かもめの旅行事業、IBJライフデザインサポートの保険事業が含まれる。2017年12月期の売上高構成比で見ると、婚活事業が全体の61.8%を占め(イベント事業24.5%、ラウンジ事業18.4%、コーポレート事業12.5%、コミュニティ事業6.4%)、ライフデザイン事業が38.2%(旅行事業35.0%、ウェディング事業3.2%)となっている。一方、セグメント利益ではほぼ100%近くを婚活事業で占めており、ライフデザイン事業に関してはのれん償却前ベースで若干の利益を計上するにとどまっている。各事業の内容は以下のとおり。

(1) 婚活事業
a) コーポレート事業
コーポレート事業は、主に同社が設立した国内最大級の結婚相談所ネットワーク「日本結婚相談所連盟」に加盟する結婚相談所向けのサービスとなる。加盟店は「IBJシステム」と呼ばれるお見合い管理システムを導入することによって、同連盟に登録されている1,600社超の結婚相談所、約5.9人に上る日本最大級の会員データベースを共有することが可能となり、お見合いのセッティング機会が増大するなどのメリットを享受している。また、同連盟では業界活性化・健全化のための定例会(勉強会)の開催やガイドラインの設定、あるいは加盟店同士のコミュニケーションツールとなるIBJ新聞(季刊)の発行、集客支援サポートなど加盟店が成長していくうえで必要となる様々なサポートサービスも行っている。

同連盟の売上高は加盟店からの開業加盟金150万円と、システム利用料月額約2万円からなり、同事業売上高の大半を占めている。法人向けには開業の際の事業計画策定から研修までを同社スタッフがサポートするパッケージプラン(300万円~)も提供している。コーポレート事業の売上高の大半はこれら加盟金やシステム利用料で占められ、そのほかにも運営サイトでの広告販売収入なども含まれる。

b) コミュニティ事業
コミュニティ事業では、婚活サイト「ブライダルネット」の運営を行っている。月額有料会員数は2017年12月末で1.44万人となっている。同事業の売上高は、主に「ブライダルネット」の有料会員から得られる月額利用料3,000円となる。婚活サイト市場は参入企業も多く、ここ数年会員の獲得競争が激化しており、同社の会員数も2017年は初めて前年比で減少に転じた。同社は「恋愛と婚活をまじめに考える婚活サイト」として差別化を図っており、会員をサポートする『婚シェルジュ』についても2018年2月より専任担当制を導入し、会員数の回復を目指している。

婚活サイトの競合としては、スマホアプリの婚活サイトで国内最大級の(株)エウレカが運営する「Pairs(ペアーズ)」(日本と台湾で合計700万人以上が利用)のほか、ネットマーケティング<6175>が運営する「Omiai(お見合い)」(2017年末会員数269万人)、(株)リクルートマーケティングパートナーズが運営する「ゼクシィ縁結び」(会員数約30万人)などがある。

c) イベント事業
イベント事業には、婚活パーティーサイト「PARTY☆PARTY」の運営・イベント事業と、合コンセッティングサイト「Rush」の運営事業が含まれる。売上高は主に1人当たりイベント参加平均費用4,000円×イベント動員数からなり、売上高の約8割は「PARTY☆PARTY」で占められている。

「PARTY☆PARTY」で企画した婚活パーティーや各種イベントは、主に自社直営のイベントスペースをパーティー会場として利用することで低コスト運営を実現している。会員からのイベント参加料(前払い)が主な収入源となっており、首都圏、京阪神、名古屋に加えて、ここ2~3年で東北や甲信越、北陸、中国、九州などの地方都市にも出店し、婚活パーティーを企画・開催している。なお、地方都市では主に現地パートナー企業とFC契約を結び、共同開催形式をとっている。現在、月当たりの参加者数は5万人規模にまで成長している。

一方、「Rush」は登録会員数が40万人超と国内最大級の合コンセッティングサイトとなっている。会員は日時や場所、人数、年齢など各種条件検索により、希望する合コンにサイト上から参加申し込みするシステムとなる。同社では合コンのセッティングのほか、飲食店の選定・予約・代金精算代行サービスも一括して提供している。合コン参加者からは飲食代金込みの参加料金を前受金で徴収し、また、契約する飲食店からも送客手数料などを別途収受している。

d) ラウンジ事業
ラウンジ事業では、直営の結婚相談所の運営を行っている。店舗数は2017年12月末時点で、首都圏と大阪、神戸、名古屋、福岡に合計12店舗出店しており、ラウンジ会員数は約5,000人となっている。徹底した成婚主義にこだわっているのが特徴で、成婚率は業界最高水準の約55%※を実現している(業界の平均水準は10~30%)。出店場所は主要都市及びターミナル立地に特化しており、2018年2月に大阪・なんば店、3月に東京・上野店を新規出店している。

※2016年4月~9月実績。成婚率=成婚退会者数÷全退会者数


「IBJメンバーズ」成婚率の高さの背景には、「IBJシステム」による約5.9万人の豊富な会員データベースの活用に加えて、優秀なカウンセラーによる少人数専任制(1カウンセラー当たり担当会員数は約60名と他社比較で約3割の水準)を敷いていること、成婚報酬主義を採用していることなどが挙げられる。また、同社の新規会員は「PARTY☆PARTY」など自社グループ内サービスからの入会者が過半を占めるため、会員獲得のためのマーケティングコストも競合他社と比較して低く抑えることができ、そのコスト分を優秀なカウンセラーの維持・獲得費用に振り向け、高品質なサービスを提供していることが、成婚率の高さにつながっていると考えられる。なお、同事業は会員からの入会金や会費(年換算約18~24万円)のほか、成婚した場合の成婚料として1人当たり20万円を受領している。

(2) ライフデザイン事業
a) ウェディング事業
子会社のウインドアンドサンで、主にウェディング関連の情報専門誌(7種類、年間約77万部発行)の製作販売のほか、結婚準備無料相談サロン(サービス名「ウェディングnavi」)を5店舗、ウェディング関連の情報サイト5サイトを運営し、結婚式場やドレス、ジュエリー販売店への送客サービスを行っている。

b) 旅行事業
子会社のかもめでは、主に海外ツアーの旅行企画販売業を行っている。特徴は、大手があまり参入しないニッチな旅行先(中南米や北欧などの秘境スポット)のツアー商品を多く取りそろえていることにあり、世界56都市をカバーしているほか、子会社化以降は国内ツアーの取扱いも開始している。主要ターゲット顧客は20〜40代の独身女性で、同社の顧客層と重なる部分も多い。成婚カップルの新婚旅行のみならず、婚活会員に向けて休暇旅行や婚活旅行などを企画・提案していくことで、旅行ニーズに隠れている出会いニーズを掘り起こしていく。また、シニア世代に向けた交流旅行なども今後、企画・提供していくことを検討している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ
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