キャリアリンクのニュース
【QAあり】キャリアリンク、継続的成長の土台作る中計を立案 27年3月期の売上高600億円を目指し、積極投資と戦略的施策を展開
2024年3月期 通期業績ハイライト
成澤素明氏:キャリアリンク株式会社代表取締役社長の成澤です。2024年3月期の決算概要をご報告します。よろしくお願いします。
2024年3月期の通期業績ハイライトです。市場環境の変化への対応に伴い、継続性と収益性を重視した営業方針にシフトしました。
2024年3月期の連結売上高は437億9,100万円となりました。主力のBPO関連事業では、マイナンバー交付施策案件や給付金支給関連案件のほか、首都圏、京阪神、東北、九州地方を中心に未取引地方自治体への取引開拓と、地方自治体BPO業務の領域拡大について積極的に取り組んできました。
しかし、マイナンバー交付関連の施策案件などで、発注規模が想定を下回ったことや、BPO関連事業の市場環境変化に伴う受注金額の低廉化等から、期初に想定していた受注高を達成できず、全体では減収となりました。
一方で、製造系人材サービス事業は、個人消費回復を背景に食品加工部門が引き続き好調に推移しました。
利益面では、減収の影響に加えて、情報システム関連の高い専門性を持つ人材を積極的に採用したことなどから、営業利益は32億7,900万円となりました。
売上高は437億9,100万円、前年同期比83.4パーセントです。営業利益は32億7,900万円、前年同期比43.1パーセントです。経常利益は32億8,000万円、前年同期比42.9パーセントです。親会社株主に帰属する当期純利益は22億100万円、前年同期比38.5パーセントです。
2024年3月期 通期業績ハイライト
セグメント別の実績をご報告します。事務系人材サービス事業は、売上高が366億8,200万円、前年同期比78.4パーセントです。セグメント利益は29億8,000万円、前年同期比40.4パーセントです。
製造系人材サービス事業は、売上高が68億1,800万円、前年同期比124.4パーセントです。セグメント利益は2億5,400万円、前年同期比126パーセントです。
その他事業は、売上高が2億9,000万円、前年同期比98.6パーセントです。セグメント利益は4,400万円、前年同期比163パーセントです。
事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業についてご説明します。
BPO関連事業部門です。引き続き、地方自治体からのマイナンバー交付施策案件や給付金支給関連案件をはじめ、大手BPO事業者からの大型案件を受注しました。取引地方自治体数の拡大と、市民課業務や総務関連などの地方自治体BPO業務の領域拡大について、積極的に取り組みました。
一方で、前期に受注した大型案件の規模縮小や終了、入札方式の変更に伴う失注や、受注金額の低廉化が影響しました。
CRM関連事業部門です。首都圏と関西圏において、既存取引先から大型コールセンター派遣業務を受注したほか、首都圏を含めた各地方支店においても金融関連の案件等の受注が堅調に推移しました。一方、前期に受注した大手BPO事業者からの受注案件の規模縮小や業務終了が影響しました。
一般事務事業部門です。地方自治体からの新規マイナンバー関連案件及び地方支店における大手BPO事業者などからの受注が堅調に推移しました。一方、前期に受注した地方自治体向けのスポット案件や、金融機関向け既存派遣案件の規模縮小などが影響しました。
各数値については、スライドのグラフのとおりです。
事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業のKPIについてご説明します。中核人材の在籍数とBPO案件数の推移のグラフをスライドに記載しています。
BPO請負案件の競争力強化のため、業務運用や情報システム分野などで高い専門性を持つ人材を採用したことなどにより、中核人材の在籍数は2024年3月期期末時点で365名、2024年3月期通期平均で367名となりました。
BPO案件数は、2024年3月期通期の実績は181件です。2024年3月期における協業先・JV等取引先数は、前期36社とほぼ同じ37社となりました。2025年3月期の計画値は、中核人材在籍数370名、BPO案件数226件です。
事務系人材サービス事業
取引先地方自治体のリピート率とスポット売上比率です。
取引先地方自治体のリピート取引割合は、2023年3月期から2024年3月期にかけて、約93パーセントと高水準で推移しました。
スポット売上比率は、2024年3月期は、市場におけるスポット案件が例年と比べて少なくなっており、また、入札方式の変更など、市場環境の変化に対応するため継続性を重視した営業方針としたことにより、結果として前期27パーセントから大きく良化し、約10パーセントと低水準で推移しました。
製造系人材サービス事業及びその他
製造系人材サービス事業、その他事業についてご説明します。製造系人材サービス事業は増収増益でした。食品加工部門は、食肉、水産、菓子に加えて、総菜などの業種を中心に受注量が好調に推移しました。製造加工部門は、住宅設備製造、機械製造などの業種で受注が増加しました。
利益面では、今後の基盤強化を図るため、積極的な人材採用を行った一方で、経費の効率的運用に注力した結果、増益となりました。
その他の自動車管理事業の内容は、スライドに記載のとおりです。
2024年3月期 損益状況
2024年3月期の損益状況の一覧表をスライドに記載しています。
2024年3月期 財務状況
財務状況についてご報告します。流動資産は194億1,100万円、前期末比8億6,800万円の減少です。固定資産は17億9,800万円、前期末比2億6,800万円の増加です。資産合計は212億900万円、前期末比5億9,900万円の減少です。
流動負債は58億6,500万円、前期末比15億8,900万円の減少です。固定負債は8億6,800万円、前期末比4,000万円の増加です。負債合計は67億3,400万円、前期末比15億4,800万円の減少です。
純資産合計は144億7,500万円、前期末比9億4,900万円の増加です。負債純資産合計は212億900万円、前期末比5億9,900万円の減少でした。
主な増減要因は、スライド右側に記載のとおりです。
2024年3月期 CF状況
キャッシュフローです。営業活動によるキャッシュフローは67億6,500万円、投資活動によるキャッシュフローはマイナス6億1,400万円、フリー・キャッシュフローは61億5,100万円です。
財務活動によるキャッシュフローはマイナス13億2,000万円でした。その結果、現金及び現金同等物の増減額は48億3,000万円となりました。現金及び現金同等物の期首残高は50億9,700万円だったため、現金及び現金同等物の期末残高は99億2,800万円となりました。
主な増減要因は、スライド右側に記載のとおりです。
2025年3月期 通期業績予想
2025年3月期の通期業績予想についてご説明します。2025年3月期は、引き続き、官公庁、民間企業双方ともに、新規取引先開拓と業務領域の拡大を推進します。
併せて、引き続き、取引先の満足度向上、業務改善・品質向上による競争力強化を図るべく、BPO業務に習熟した人材を投入して、業務運営のブラッシュアップを推進し、受注量の拡大と高難易度業務に対応可能かつ汎用性・機動性を併せ持つBPO業務運用体制の構築を目指していきます。
利益面では、スタッフ登録者募集費の増加や中途採用による社員の増強、DX化を推進するシステム開発等の増加などが見込まれますが、業務改善及び業務効率化の効果もあり、増益の計画です。
今ご説明した内容を踏まえた2025年3月期の予想数値です。
売上高は480億円、前年同期比9.6パーセント増です。営業利益は34億9,500万円、前年同期比6.6パーセント増です。経常利益は34億9,000万円、前年同期比6.4パーセント増です。親会社株主に帰属する当期純利益は23億8,900万円、前年同期比8.5パーセント増の計画です。
セグメント別の売上高です。事務系人材サービス事業は391億5,400万円、前年同期比6.7パーセント増、製造系人材サービス事業は85億6,000万円、前年同期比25.5パーセント増、その他事業は2億8,600万円、前年同期比1.4パーセント減を計画しています。
2025年3月期の営業戦略と業績予想
事務系人材サービス事業の営業戦略は4点です。1点目は、継続性と収益性を重視した営業活動を展開します。2点目は、官公庁、民間企業双方ともに、新規取引先開拓と業務領域の拡大を推進します。
3点目は、未取引の地方自治体取引開拓、既存取引先の地方自治体でのシェア拡大、BPO事業者等からの受注量拡大を図ります。4点目は、中途採用で増強してきた中核人材を受注推進及び請負業務運用へ重点配置して、業務改善や運用品質向上のための体制整備を継続し、顧客満足度の向上を図ります。
製造系人材サービス事業については、食品加工部門における各取引先からの受注及び製造加工部門の住宅設備製造、機械製造を中心に受注が増加基調であるものの、その他の業種も含めて、新規取引先の開拓を積極的に推進します。
セグメント別売上高の推移は、スライドに記載のとおりです。
2025年3月期業績予想の前提に係る補足説明
2025年3月期業績予想の前提に係る補足説明です。
1点目は、通期業績予想値に対する上期業績予想値の割合は、スライドのグラフに記載のとおりです。地方自治体などからのBPO受注案件の稼働期間が、下期のほうが上期よりも長くなることから、特に利益面において、下期にウェイトを置いた計画としています。
もう1点は、業績予想における第1四半期の計画値についてですが、前期となる2024年3月期第1四半期において、前々期となる2023年3月期に受注した大型高収益案件が期を超えて稼働していたことなどから、2024年3月期第1四半期は特に利益が拡大し、従来とは異なる状況でした。
それと比べると、当期となる2025年3月期の通期業績予想について、第1四半期の業績予想は開示してはいないものの、第1四半期の前年同期比は減収減益を前提として作成した通期業績予想であるということを、補足としてご説明します。
中期経営計画の更新
中期経営計画についてご説明します。BPO関連事業の市場環境変化に伴い、継続性と収益性を重視した営業方針を反映します。2024年3月期は、業務プロセスの見直しと一層の効率化を図り、並行して取引地方自治体数の拡大と受注可能な業務領域の拡大を図るべく、積極的に営業活動を展開してきました。
収益性も重視する営業方針を継続することから、2025年3月期及び2026年3月期の売上高及び利益計画について、2023年11月2日に公表した中期経営計画を再度見直し、下方修正することとし、その修正率は15パーセント程度となります。
中期経営計画
継続的成長の土台を作る期間として、2027年3月期までの中期経営計画を立案しました。スライドの表をご覧ください。2024年3月期の実績ならびに2025年3月期の予想数値については、先ほどお伝えした内容を記載しています。
2026年3月期においては、売上高は526億4,800万円、前期比9.7パーセント増、営業利益は39億2,800万円、前期比12.4パーセント増、経常利益は39億2,300万円、前期比12.4パーセント増、親会社株主に帰属する当期純利益は26億4,100万円、前期比10.5パーセント増を計画しています。
2027年3月期においては、売上高は605億4,300万円、前期比15パーセント増、営業利益は50億1,300万円、前期比27.6パーセント増、経常利益は50億800万円、前期比27.7パーセント増、親会社株主に帰属する当期純利益は33億8,300万円、前期比28.1パーセント増を計画しています。
2025年3月期、2026年3月期は、2024年3月期下期に取り組んだ取引地方自治体数の拡大と業務領域の拡大、民間企業へのBPO取り組み強化を進めていきます。
加えて、クライアントのニーズやクライアントの業種にきめ細かく対応できることをコンセプトとする新規ビジネスモデルの開発、AI等の導入によるDX化の推進などによるビジネスプロセスの再構築に取り組み、クライアント満足度の向上、業務改善・品質向上のための体制強化を図ります。
この結果、2025年3月期、2026年3月期については、多種多様な「トライ&エラー」が想定されることから、売上高増加率は10パーセント弱、営業利益率も7.5パーセント前後で推移する計画となりますが、2027年3月期は2期にわたる「トライ&エラー」の成果により、売上高増加率は15パーセント、営業利益率は8.3パーセントへの回復を計画しています。
中期経営計画
中期経営計画の補足のご説明です。2024年3月期から2027年3月期を最終年度とした4年間の年平均成長率については、売上高はプラス11パーセント、営業利益はプラス15パーセントを目指します。
中期経営計画
セグメント別売上高の計画です。4年間の売上高の年平均成長率は、事務系人材サービス事業はプラス10パーセント、製造系人材サービス事業はプラス21パーセントを目指していきます。
成長戦略
成長戦略です。長期継続的案件の蓄積で収益体質を強化し、2027年3月期に売上高600億円を目指します。ポイントは3点あります。
1点目に、2025年3月期、2026年3月期は、人材・設備両面にわたり積極的な投資を行いつつ、戦略的施策として、地方自治体数の取引数拡大、業務領域拡大、事務系・製造系両人材サービス事業における民間BPOの推進、新規ビジネスモデルの開発、DX化等による業務プロセスの改革とサービス提供レベルの向上などを実施します。
これにより、2027年3月期以降の着実な持続的成長の基盤を構築します。
2点目に、2024年3月期後半に実施した人材リソース、BPO運用ナレッジの「再展開」の次の段階として、人材のスキル、経験、知見をさらに蓄積・向上すべく、向こう2年間はBPO業務に関する「リスキリング」を積極的に実施します。これにより、人材の「多能化」と「高度化」を図ります。
3点目に、中期経営計画期間において「再展開+α」の取り組みを推進し、中長期でのさらなる高みを目指します。
成長戦略
中期的な成長戦略のもと、2025年3月期は5点の重点取り組みテーマを実行していきます。
1点目に、取引地方自治体地域の拡大に伴い、営業活動そのものを広域化し、エリア展開していきます。2点目に、窓口業務、総務関連業務などに積極的に取り組んでいきます。3点目に、民間BPOへの取り組みを強化します。
4点目に、継続性と収益性を意識した営業活動を展開します。5点目に、業務改善、運用品質向上のための体制強化、顧客満足度向上を引き続き図っていきます。
成長戦略
KPIについてです。重要指標の1つである取引先地方自治体数は、2027年3月期までの目標値を230地方自治体に引き上げます。地方自治体でのBPOの広域展開と複数案件獲得を推進し、取引領域を拡大していきます。
また、多極分散を想定した品質管理の強化、中核人材の採用と育成、サービス体制の構築を推進していきます。
成長戦略
取引地方自治体数の拡大を図るとともに、公共BPOの業務領域の拡大を目指します。官公庁・自治体関連の主な案件をスライドに記載しています。このような多種多様な領域に対し、取り組みをきちんと拡大させていきたいと考えています。
株主還元
株主還元についてご説明します。安定配当の基本方針のもと、2025年3月期の期末配当は1株120円を予定しています。
当社配当は、成長を持続させるための事業展開と経営基盤強化のために必要な内部留保を確保しつつ、経営成績ならびに経営全般を総合的に判断し、適正で安定した配当を継続的に実施していくことを基本方針としています。
2025年3月期末の配当予想は120円、配当性向予想は59.6パーセントです。本日ご説明した中期経営計画においては、ベースラインの利益確保が見込まれるため、中期経営計画期間においても120円を維持する予定です。
株主還元(株主優待)
株主優待の内容は、スライドに記載のとおりです。ぜひご覧ください。
ご説明は以上です。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答(要旨)①
Q:北海道や熊本などをはじめとしたIT半導体工場等への派遣動向を教えてください。
A:製造系は当社子会社のキャリアリンクファクトリー(株)が担っております。キャリアリンクファクトリー(株)は外国籍労働者の方の比率が高く、ご質問いただいた半導体工場などにつきましては、現在は日本人を中心として募集されていると聞いております。
ただし、当社グループも熊本に拠点を設けておりますので、今後、日本人の募集が進まない際には、外国籍労働者の方への需要が高まることが期待されると考えております。その際には、積極的に行動したいと考えています。
質疑応答(要旨)②
Q:2024年3月期の営業利益率が落ち込んだ理由を教えてください。
A:主な要因は2点です。
1点目は、2023年3月期にはBPO大型高収益案件を複数受注していたことから、売上総利益率は27.4パーセントとなり、2022年3月期の売上総利益率21.9パーセントと比較しても高い利益率でした。
これに対して、2024年3月期は、2023年3月期に受注したBPO大型高収益案件が終了したことに加え、BPOの一部案件において、一般競争入札による受注者選定などにより、受注価格の低廉化等の現象があり、売上総利益幅が低下して売上総利益率は20.8パーセントとなりました。
2点目は、2024年3月期は、登録者募集費などを中心に販売費及び一般管理費の効率的運用や節減に努めたものの、一方で、BPO業務においてDX化推進の一環としての汎用システム開発及び営業開発などの分野においてプロ人材の採用推進等を実施したことなどから、営業利益率が前期比マイナス7.0パーセントの7.5パーセントとなりました。
質疑応答(要旨)③
Q:前回業績修正の要因となった市場環境変化はその後も続いているのでしょうか。
A:その傾向は続いており、今後も暫くは続くものと考えています。
中期経営計画に関しては、2024年3月期に起きた市場環境変化が旧に復さないことを前提として作成しております。2024年3月期においては「ラインナップの充実」と「業務効率化」等を推進してまいりましたが、2025年3月期から2026年3月期にかけては「更なる品質維持向上」や「DX化の推進」等、長期を見据えた競争力の向上に取り組み、市場環境変化に対しての免疫力を一層高めた体制構築を図ってまいります。
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