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中山製鋼所のニュース
―株価3ケタ台は変身株の宝庫、本格離陸を始めた収益高変化銘柄をロックオン―
東京株式市場は目先上昇一服ムードが漂うものの、個別材料株の物色人気は衰える気配がない。日経平均株価など主要株価指数と連動性の高い大型株は、全体相場がもみ合い局面に入れば、それに合わせて上値の重さが意識されやすくなる。しかし、全体の風向きを気にすることなく我が道を行く材料株にとっては、むしろ本領を発揮しやすい環境にあるといえる。大型株の上げが一巡しても、今度は中小型株優位の地合いへと舞台が回る。個人投資家にとっては紛れもなくチャンスが訪れている。
●まずは1000円大台乗せが目標ライン
企業の決算発表期間を通過したことで、超短期筋の「決算プレー」に席巻された相場からは解放され、今は中小型株でも内容の良い銘柄を改めて選別するタームに入っている。そして中小型の足の軽い銘柄でも、とりわけ株価が3ケタ台に位置する銘柄群は変身株の宝庫といってよく要注目となる。まずは4ケタ大台乗せ、つまり1000円以上の水準に株価を浮揚させるという明確でわかりやすい目標がある。その際に投資家サイドとしては値ごろ感だけに惑わされず、発表された決算の内容を見極めて、水準訂正余地の高い銘柄に照準を合わせることが肝要となる。
全般論として、今回の四半期決算では概して想定以上に健闘した企業が多いという見方が広がっている。22年4-9月期は23年3月期の折り返し地点であるが、3月期決算企業で通期見通しを上方修正した企業は全体のおよそ3割に上る。これは下方修正した企業のほぼ倍であり、総じて事前に想定していた以上に良好な結果であったといってもよい。
●出世株は3ケタ台の業績高変化銘柄の中に
一方、現在の東京株式市場では株価が3ケタ台に位置する、いわゆる1000円未満の銘柄はプライム・スタンダード・グロース3市場合計で1500社あまり。3市場に上場する企業の総数は約3800社であるから、全体のおよそ4割を占めることになる。これは意外に多いという印象を受ける投資家が多いのではないか。そのなか、3月期決算企業に絞ると約900社となるが、このなかで23年3月期に営業増益を見込んでいる会社は380社前後にとどまっている。
3ケタ台の銘柄に限れば、現時点で通期減益を見込んでいる企業の方がかなり多いということになる。円安を追い風にできる輸出ハイテク株などは4ケタ台もしくは1万円を超えるような値がさ株が多いが、3ケタ台は相対的に少なく、そうした事情が反映されている部分があるかもしれない。それだけに増益予想企業のなかでも変化率の大きい銘柄は希少であり、投資対象としても有力候補に挙がる。
●抜群の好業績と材料性を併せ持つ6銘柄
これに材料性やテーマ買いの流れ、割安さ、更に来期以降の成長余力といった項目を重ね合わせ、銘柄を絞り込んでいく。今回のトップ特集では3月期決算企業だけでなく、12月期決算企業や、本決算発表を終えて次期予想を発表した9月期決算企業も含め、業績好変化をみせる3ケタ銘柄にスポットを当てた。収益変化率だけでなく、短期的な株価への影響が大きい需給関係や株価ポジション(テクニカル的要素)も考慮して、ここから上値余地が大きいと思われる有望株を6銘柄厳選した。
【タムラは次世代パワー半導体の台風の目に】
タムラ製作所 <6768> [東証P]はトランスやリアクターのほか、はんだ材料、導電・絶縁材料などの電子化学材料の大手で高い競争力を有する。海外売上高が6割を超える一方、海外生産比率はそれを更に上回る7割強に達している。同社の技術を切り出して設立されたベンチャー企業ノベルクリスタルテクノロジーは、次世代パワー半導体として有力視されるβ型酸化ガリウムパワー半導体の研究開発で業界を先駆しており、100ミリウエハーの世界初の量産に成功するなど注目度が高い。足もとの業績も会社側の当初計画を大きく超過する勢いで伸びている。産業機械や家電製品向けデバイス需要が旺盛なほか、自動車向け電子化学材料が好調で収益を押し上げており、23年3月期営業利益は従来予想の30億円から45億円(前期比2.9倍)と期初見通しの1.5倍に大幅増額した。株価は75日移動平均線をサポートラインとする下値切り上げ波動を形成中だが、日足一目均衡表の雲抜けを果たしており、上昇加速局面が近そうだ。8月26日につけた年初来高値790円奪回は単なる通過点に過ぎない。
【中山鋼は高成長・超割安で4ケタ大台視野】
中山製鋼所 <5408> [東証P]は鋼板やコイル、棒鋼など鉄鋼業界の老舗で、高度な製鉄技術に加え鉄スクラップを活用した自社電炉製造技術に定評がある。同社の独自製品であるNFG(微細粒熱延鋼板)はスーパーメタルとして注目度が高く、結晶粒度を微細にすることにより同一強度で軽量化が図れる。世界的に進む電気自動車(EV)シフトのなかで、今後中期的に同商品の活躍余地が広がりそうだ。業績は円安によるコスト上昇をものともせず、絶好調に推移。22年3月期の大幅増収増益に続き、23年3月期も販価改善に伴う鋼材スプレッド拡大をバネに成長トレンドをまい進、営業利益は前期比77%増の128億円を予想している。更に24年3月期についても2ケタ増益基調をキープし、市場では140億~150億円程度を見込む声が強い。株価は8月にマドを開け大陽線を形成、そこを基点に一貫した下値切り上げトレンドを形成しているが、PER4倍前後、PBRも0.4倍台と依然超割安圏にある。更に配当性向30%以上を目指す方針を明示、時価予想配当利回りは6.5%前後と際立って高い。株価は4ケタ大台を地相場とする展開が期待できる。
【ツナグGHDはインバウンドで新局面へ】
ツナググループ・ホールディングス <6551> [東証S]は小売業や飲食業のアルバイトやパートを中心とした採用代行事業を主力に展開する。新型コロナウイルスの水際対策の大幅緩和で、訪日外国人客数も急増傾向にあり、10月は49万8600人と9月の約2.4倍に急増した。つれてインバウンド 消費需要も増幅されるほか、飲食業を営む企業は外食需要喚起策「Go Toイート」などの政策支援も期待される状況にある。飲食店の人手不足が一段と浮き彫りとなるなか、アルバイトなどの人材確保に向けたニーズも急速に高まっており、同社株はその有力関連株に位置付けられる。22年9月期は営業損益が2億1500万円の黒字(前の期は1億500万円の損失)と赤字から脱却したが、23年9月期は前期比54%増の3億3000万円予想と大幅な伸びを見込む。これはコロナ禍以前の水準を回復するだけでなく、17年9月期の営業利益3億200万円も上回り、過去最高利益更新となるだけにインパクト大。株価は20年1-2月の850円どころが当面の目標となる。
【オーナンバは民生用ハーネス首位で超割安】
オーナンバ <5816> [東証S]は電子機器などに使われる民生用ワイヤーハーネスで業界トップの実力を有し、車載用や産業機器向けでも高水準の需要を捉えている。太陽光発電や蓄電池分野など環境関連システム製品への展開にも注力し、収益成長のスピードがここにきて一気に加速している。グローバルでの生産・供給体制を強化してサプライチェーンリスクへの対応も進んでいる。22年12月期は期中増額修正を経て営業利益は15億5000万円(前期比40%増)を予想しているが、第3四半期(1-9月)時点で15億3800万円を達成しており、一段の上振れが視野に入る。今期予想一株利益は115円弱を見込み、時価換算PERは5倍台と割安さが際立つ。更に一株純資産は前期実績ベースで1462円あり、PBRに引き直して0.4倍に届かない低い水準。株価の修正高余地は極めて大きい。株価は8月1日にマドを開けて上放れ、その後も上下動を繰り返しながらも着実に下値を切り上げてきた。押し目買い有効で、昨年6月につけた高値825円奪回が当面の上値目標に。
【飯野海は膨大な含み+超低PER・高配当魅力】
飯野海運 <9119> [東証P]は大型原油タンカーやケミカル船、ばら積み船、ガス船などを運航する。石油や石炭に代わるクリーンエネルギーとしてLNG需要が拡大しているが、同社はLNG船で中長期契約を高水準に確保している。また、海運会社ながら収益の主力を担うのは飯野ビルの賃貸など不動産事業で、含み益の大きさが同社の最大のポイントとなっている。そのなか、21年6月に竣工した日比谷フォートタワーは日比谷・霞が関・虎ノ門・新橋の中心に建てられた抜群の好立地で注目度が高い。地下2階、地上27階でフロアが約720坪(基準階)という広さで、災害時の停電電力供給などセキュリティー面も充実させている。23年3月期業績は期中2度にわたる増額修正を経て、トップラインは前期比3割を超える伸びが見込まれ、営業利益は同95%増の147億円予想と大変貌する見通し。PER4倍台で、6%を超える配当利回りは株価の強烈な水準訂正余地を示唆する。07年には2000円の高値をつけているが、この当時の売上高レベルを既に前期時点で上回っている。
【カナミックNは医療・介護DXの急先鋒】
カナミックネットワーク <3939> [東証P]は医師会・介護サービス事業者及び自治体に特化したクラウドサービスを手掛け、医療・看護・介護分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)化の流れを背景に高成長路線を走る。健康寿命延伸サービスなどに重点を置いて顧客ニーズを捉え、新たな需要開拓に余念がない。強固なデータセンターと盤石のセキュリティー体制を売り物に、クラウドの強みで漸次サービス機能の追加なども行われている。顧客側はパソコンさえあれば最新の機能を随時使えるのが最大の魅力だ。同社の業績はここ数年来トップラインの伸びが加速しており、22年9月期は前の期比20%増収を達成したが、23年9月期は前期比44%増収の36億円を見込んでいる。また、営業利益は同19.5%増の11億5000万円を予想する。株価は11月9日にマドを開けて買われた後、足もと利益確定売りに押され気味だが、業績変化率の高さと超高齢社会を見据えたビジネスモデルの成長性を考慮して、ここは強気対処して報われよう。中期4ケタ大台を目指す動きに。
株探ニュース
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