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品川リフラ Research Memo(9):長期ビジョン「ビジョン2030」及び第6次中期経営計画を発表(1)

配信元:フィスコ
投稿:2024/07/08 14:09
*14:09JST 品川リフラ Research Memo(9):長期ビジョン「ビジョン2030」及び第6次中期経営計画を発表(1) ■中長期の成長戦略

2024年5月に長期ビジョン「ビジョン2030」及び第6次中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を公表した。品川リフラクトリーズ<5351>は2025年に創業150年を迎えるが、第6次中期経営計画はその先の未来に向けた第一歩として、「ビジョン2030」からバックキャスティングの手法により策定している。2026年3月期には企業理念を再構築する予定である。

1.「ビジョン2030」の概要
「ビジョン2030」は事業成長と社会課題解決を表裏一体として追求する、すなわち両立させることを基本方針としている。グローバル展開を強化し、セクター戦略を深化させ成長分野へ進出することで事業成長を図る。同時に、気候変動への対応や人的資本戦略の実行を進め社会課題解決を目指す。キャッチフレーズは「日本だけ、耐火物だけ、鉄鋼だけではない、品川グループへ」としている。グローバル展開の強化により、現地で製造し、現地で販売する「世界の耐火物メーカー」として、世界トップグループとしてのプレゼンスを確保する。グローバル展開を支える国内拠点の整備と技術開発力も強化する。各セクターにおいては、セクター戦略を深化させることで成長分野への進出、事業ポートフォリオの拡大を図り、ROICを重要指標として資本効率を重視した事業投資、設備投資を展開する。社会課題解決としては、取引先に脱炭素化に貢献する熱ソリューションを提供するなど気候変動への対応を進める。また、「人材獲得」「人材定着」「人材・組織開発」を軸に人的資本戦略の実行を進め、経営基盤を確立する。

2031年3月期の具体的な目標としては、財務目標とサステナビリティ目標を設定した。財務目標は、売上高2,400億円(2024年3月期1,441億円)、ROS(営業利益ベース)12%(同9.6%)、ROIC10%(同9.1%)、海外売上高比率50%(同29.8%)とし、持続的な成長を推進する。サステナビリティ目標は、気候変動対応関連においては、2023年3月期のCO2排出量139千トンを50%削減、グリーン原料の使用比率20%(2024年3月期10%)をKPIとする。人的資本戦略関連においては、経営戦略に即した人材・組織開発、ダイバーシティ&インクルージョンの確立、働きやすい職場環境の創造を目標とする。

目標に向けた財務・資本戦略として、2025年3月期からの7ヶ年累計で1,280億円の積極的な設備投資と事業投資を実施する。資金は売上高・利益の拡大により7ヶ年累計で1,500億円のキャッシュ・フローを創出するほか、440億円を外部調達するが、有利子負債/EBITDA倍率は1.9倍と健全性は維持する戦略である。さらに配当性向40%を目標とした株主還元の充実を図る。

2. 第6次中期経営計画の概要
一般的に、中期3ヶ年計画では「ありたい姿」の実現のため、現在の延長線上で未来を予測する「フォアキャスティング」の手法が用いられる。一方、SDGsやカーボンニュートラル実現などの長期計画では、過去の原因分析よりも「実現したい未来」のため目的の達成に焦点を当てる「バックキャスティング」のアプローチが採られる。同社は、サステナビリティへの取り組みを深化させるため、2030年に向けた長期ビジョンを策定し、それを踏まえた第6次中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を立てるバックキャスティングの手法を用いた。

第6次中期経営計画は、「ビジョン2030」実現に向けたマイルストーンとして、持続的成長に必要不可欠な組織能力の強化を図り、財務目標達成とサステナブルな企業に向けたステップを踏む。主要取引先の高炉休止などの影響が一定の業績低下要因となるが、海外ビジネスをはじめとした事業拡大とコストダウンなどの取り組みによりカバーし、売上・利益ともに拡大する計画だ。2027年3月期の財務目標として、売上高は2024年3月期比24.8%増の1,800億円、ROS(営業利益ベース)11%、ROIC10%、海外売上高比率45%を掲げる。同社によれば、2027年3月期の売上高には、現時点で検討中のM&A・JAのうち、本中期経営計画期間中に実現する可能性の高い案件は含んでいるという。一方、サステナビリティ目標については、「ビジョン2030」で設定した目標について中期経営計画期間中に諸施策の検討を行う考えで、マイルストーンとしての2027年3月期の目標は現時点では設定していない。

財務目標の達成に向けては、ROIC経営を徹底し、既存事業における経営資源の配分見直し、3ヶ年累計410億円の積極的な成長投資(206億円の設備投資204億円の事業投資)を進め、資本コスト(同社のコストは6.5%)を上回る効果を発現する計画である。投資効率を重視した経営で“稼ぐ力”を創出・強化することでセクター戦略の深化を図り、企業価値の最大化を目指す。3ヶ年累計で500億円のキャッシュ・フローを創出するほか、200億円の外部調達を行い、この資金を再投資と株主への還元140億円や増加運転資金に充てる計画だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)

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配信元: フィスコ
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