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品川リフラクトリーズのニュース
■品川リフラクトリーズ<5351>の今後の見通し
2022年3月期通期予想は、上方修正された。新しい予想は売上高が前期比11.0%増の109,000百万円、営業利益が同30.8%増の9,500百万円、経常利益が同22.0%増の10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同206.5%増の6,500百万円となる。前期にも「収益認識に関する会計基準」等を適用したと仮定して、前期比増減率を算定してある。期首予想比では、売上高、営業利益、経常利益が各1,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が700百万円増額された。前期に営業外収益に計上された助成金収入(517百万円)と特別損失の減損損失(3,384百万円)が、今期は発生しないことを前提としている。
前期の下期が予想以上の強い回復となり、決算発表前に通期予想を上方修正した。今期の期初予想では、今上期も強い回復傾向が続きコロナ禍で落ち込んだ前年同期の水準から大きなリバウンドを見込んだ。今下期は、前下期が回復した水準にあったので前年同期比では減益の予想であった。経常利益の前年同期比増減率予想は、上期+56.4%、下期-17.1%、通期+9.8%であった。上期の業績が期初予想を上回ったことから、今回予想では上期(実績)+77.0%、下期-10.7%、通期+22.0%に修正された。通期の経常利益は、期初予想に比べて1,000百万円の増額修正だが、上期668百万円、下期332百万円の上乗せとなる。
2022年3月期の予想売上高の上期下期比率は、48.1%:51.9%と上期の進捗率が若干低い。前述したように「収益認識に関する会計基準」による影響が大きく、それを修正すれば過年度と大きな差はない。経常利益では、下期の予想を増額したものの、53.7%:46.3%と上期のウェートが高くなる。過去の上期下期比率との比較や足元の状況からすると、下期は幾分控えめな予想と言える。
当下期の収益に影響を及ぼすポジティブな要因は、堅調な見通しの粗鋼生産にある。自動車業界が半導体不足による一時的な減産を余儀なくされているものの、鉄鋼需要は概ね堅調に推移することが見込まれている。同社は、2021年度の国内粗鋼生産量を約9,500万トンから1億トン未満と予想している。今下期の生産量は、前年同期比で+1.9%~+12.9%、今上期比では-3.8%~+6.5%のレンジとなる。高炉3社の2022年3月期の単独粗鋼生産計画による上期(実績):下期、通期の前年同期比増減率は、日本製鉄が+38.2%:+6.0%、+20.3%、JFEスチールが+24.9%:+9.6%、+16.4%、神戸製鋼所(高砂製作所の電炉の生産数量を含む)が+35.1%:+0.6%、+15.3%となる。下期計画の今上期実績比は、日本製鉄が-3.8%、JFEスチールが+8.7%、神戸製鋼所が横這いの予想となる。
ネガティブ要因は、原材料価格の上昇である。今上期終盤から主要原材料となる中国産マグネシアの価格が上昇し始めた。同社は、中国国内で採掘され、電気炉で生産される電融マグネシアを輸入している。2021年10月に中国における電力不足が報じられた。電力不足は、材料価格の上昇と調達難をもたらすおそれがある。中国の電源構成の7割弱を石炭火力が占めており、中国産石炭の価格高騰と供給不足が電力不足の原因となる。中国政府による炭鉱における安全基準や環境対策の強化、汚職摘発により、石炭の供給量が伸び悩み需給を逼迫させた。中国政府は電力・石炭不足の対応策として、国家石炭備蓄の放出や石炭生産を促進する緩和策を打ち出した。金融当局は、電力会社や石炭企業向けの融資拡大を金融機関に要請した。また、電力会社には一定の電力料金の値上げを容認した。
2018年3月期に、原材料価格の高騰による販売価格への価格転嫁が追いつかず一時的な減益要因となった。通常、価格転嫁には、6ヶ月のタイムラグが生じる。前回の原材料価格の高騰の際に、同社は調達先を欧州などに拡大した。このような対応ができない中小の耐火物メーカーに対して競争優位性を築き、シェアを拡大した。今回も原材料の価格高騰と供給不足が長引くようであれば、同様の展開が見込まれる。
為替の円安は、原材料を輸入する同社にとってマイナス要因となる。1ドル当たり1円の変動により、営業利益が60百万円増減する。今下期の社内想定レートは、1ドル当たり110円で設定されている。
今下期は、上期に比べグループ企業の貢献が減少すると予想される。イソライト工業は、今下期の営業利益予想を前回予想比122百万円増の1,322百万円としたが、前年同期比でほぼ倍増した上期の水準(1,678百万円)には及ばない。中国子会社は、上期に納期のずれ込みなどもあり計画以上の業績を上げたが、下期はそのような特殊要因を想定していない。
事業別では、主力の耐火物及び関連製品事業は、本体が下期の業績を牽引する。製鉄所構内工事は、メンテナンス工事が好調で、上期に10億円の増収をもたらした。下期もメンテナンス工事は高水準になると見られる。エンジニアリング事業は、上期にあった大型建設工事が下期にはなくなる。上期に大幅な減収減益を記録した不動産事業は、最大の要因となった商業施設の賃貸契約の終了が2021年4月であったため、下期は6ヶ月分の影響を受ける。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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2022年3月期通期予想は、上方修正された。新しい予想は売上高が前期比11.0%増の109,000百万円、営業利益が同30.8%増の9,500百万円、経常利益が同22.0%増の10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同206.5%増の6,500百万円となる。前期にも「収益認識に関する会計基準」等を適用したと仮定して、前期比増減率を算定してある。期首予想比では、売上高、営業利益、経常利益が各1,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が700百万円増額された。前期に営業外収益に計上された助成金収入(517百万円)と特別損失の減損損失(3,384百万円)が、今期は発生しないことを前提としている。
前期の下期が予想以上の強い回復となり、決算発表前に通期予想を上方修正した。今期の期初予想では、今上期も強い回復傾向が続きコロナ禍で落ち込んだ前年同期の水準から大きなリバウンドを見込んだ。今下期は、前下期が回復した水準にあったので前年同期比では減益の予想であった。経常利益の前年同期比増減率予想は、上期+56.4%、下期-17.1%、通期+9.8%であった。上期の業績が期初予想を上回ったことから、今回予想では上期(実績)+77.0%、下期-10.7%、通期+22.0%に修正された。通期の経常利益は、期初予想に比べて1,000百万円の増額修正だが、上期668百万円、下期332百万円の上乗せとなる。
2022年3月期の予想売上高の上期下期比率は、48.1%:51.9%と上期の進捗率が若干低い。前述したように「収益認識に関する会計基準」による影響が大きく、それを修正すれば過年度と大きな差はない。経常利益では、下期の予想を増額したものの、53.7%:46.3%と上期のウェートが高くなる。過去の上期下期比率との比較や足元の状況からすると、下期は幾分控えめな予想と言える。
当下期の収益に影響を及ぼすポジティブな要因は、堅調な見通しの粗鋼生産にある。自動車業界が半導体不足による一時的な減産を余儀なくされているものの、鉄鋼需要は概ね堅調に推移することが見込まれている。同社は、2021年度の国内粗鋼生産量を約9,500万トンから1億トン未満と予想している。今下期の生産量は、前年同期比で+1.9%~+12.9%、今上期比では-3.8%~+6.5%のレンジとなる。高炉3社の2022年3月期の単独粗鋼生産計画による上期(実績):下期、通期の前年同期比増減率は、日本製鉄が+38.2%:+6.0%、+20.3%、JFEスチールが+24.9%:+9.6%、+16.4%、神戸製鋼所(高砂製作所の電炉の生産数量を含む)が+35.1%:+0.6%、+15.3%となる。下期計画の今上期実績比は、日本製鉄が-3.8%、JFEスチールが+8.7%、神戸製鋼所が横這いの予想となる。
ネガティブ要因は、原材料価格の上昇である。今上期終盤から主要原材料となる中国産マグネシアの価格が上昇し始めた。同社は、中国国内で採掘され、電気炉で生産される電融マグネシアを輸入している。2021年10月に中国における電力不足が報じられた。電力不足は、材料価格の上昇と調達難をもたらすおそれがある。中国の電源構成の7割弱を石炭火力が占めており、中国産石炭の価格高騰と供給不足が電力不足の原因となる。中国政府による炭鉱における安全基準や環境対策の強化、汚職摘発により、石炭の供給量が伸び悩み需給を逼迫させた。中国政府は電力・石炭不足の対応策として、国家石炭備蓄の放出や石炭生産を促進する緩和策を打ち出した。金融当局は、電力会社や石炭企業向けの融資拡大を金融機関に要請した。また、電力会社には一定の電力料金の値上げを容認した。
2018年3月期に、原材料価格の高騰による販売価格への価格転嫁が追いつかず一時的な減益要因となった。通常、価格転嫁には、6ヶ月のタイムラグが生じる。前回の原材料価格の高騰の際に、同社は調達先を欧州などに拡大した。このような対応ができない中小の耐火物メーカーに対して競争優位性を築き、シェアを拡大した。今回も原材料の価格高騰と供給不足が長引くようであれば、同様の展開が見込まれる。
為替の円安は、原材料を輸入する同社にとってマイナス要因となる。1ドル当たり1円の変動により、営業利益が60百万円増減する。今下期の社内想定レートは、1ドル当たり110円で設定されている。
今下期は、上期に比べグループ企業の貢献が減少すると予想される。イソライト工業は、今下期の営業利益予想を前回予想比122百万円増の1,322百万円としたが、前年同期比でほぼ倍増した上期の水準(1,678百万円)には及ばない。中国子会社は、上期に納期のずれ込みなどもあり計画以上の業績を上げたが、下期はそのような特殊要因を想定していない。
事業別では、主力の耐火物及び関連製品事業は、本体が下期の業績を牽引する。製鉄所構内工事は、メンテナンス工事が好調で、上期に10億円の増収をもたらした。下期もメンテナンス工事は高水準になると見られる。エンジニアリング事業は、上期にあった大型建設工事が下期にはなくなる。上期に大幅な減収減益を記録した不動産事業は、最大の要因となった商業施設の賃貸契約の終了が2021年4月であったため、下期は6ヶ月分の影響を受ける。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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