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日本ヒュームのニュース
*14:31JST 日本ヒューム Research Memo(1):コンクリートテクノロジーに関する技術開発を推進
■要約
日本ヒューム<5262>は総合コンクリートメーカーである。日本におけるヒューム管の歴史とともに始まり、日本に合ったヒューム管の標準仕様を生み出し全国普及につなげた。その後事業領域を拡大し、コンクリートパイル(杭)、下水道管路の耐震化工法や管渠(かんきょ)更生工事工法の開発、コンクリート二次製品の設計・製造・施工といった全方位のワンストップサービスを提供している。また、建設市場の人手不足を補うプレキャスト(成形済)コンクリート(以下、プレキャスト製品)、社会インフラの老朽化に対応する製品・施工方法の開発、ICTを活用した取り組み(i-Construction)等の技術開発も推進し、コンクリートテクノロジーで豊かな社会の実現に貢献している。
1. 2023年3月期第3四半期の業績概要
2023年3月期第3四半期の連結業績は、売上高で前年同期比6.6%増の23,008百万円、営業利益で同24.8%減の741百万円、経常利益で同8.9%減の1,669百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同10.3%減の1,359百万円となった。公共投資に関しては2024年度以降の防衛費増額等を控え若干低調に推移したものの、民間の設備投資に関しては持ち直しの動きが見られた。また、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が薄れ社会経済活動が再開し企業の投資意欲の回復も見られた。都市防災関連の高付加価値製品に対する引き合いも引き続き好調で、売上の拡大に寄与した。利益面は、受注競争の激化、原燃材料価格の高騰などの影響を受け、減益となった。原燃材料価格の高騰については販売価格改定の取り組みなどを着実に進めている状況だ。2023年3月期第4四半期から2024年3月期以降おいて収益性の向上が期待される。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績は、売上高32,000百万円(前期比8.5%増)、営業利益1,600百万円(同10.3%増)、経常利益2,500百万円(同1.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,800万円(同15.7%減)を見込んでおり、期初に発表した予想からの変更はない。原燃材料価格がもう一段値上がる可能性はあるものの売価への転嫁を継続的にしており、期末に向けてその効果が業績に寄与することが想定されている。基礎事業に関しては、民間の設備投資が回復するなど、好調な事業環境の継続を見込んでいる。こうしたニーズをしっかりと業績に取り込んでいくほか、新たに摩擦杭の取り扱いも開始し、業績拡大につなげる。下水道事業に関しては、引き続き防災関連など高付加価値製品に対するニーズが好調に推移することが予想される。高付加価値製品の販売によって、売上高の拡大及び利益率の上昇を目指す。下水道関連事業に関しては、利益率の高い製品に対する発注が第4四半期に増加することが見込まれる。
3. 技術開発戦略
地球温暖化、脱炭素社会、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)など、社会・経済環境は大きく変化してきている。同社は、これらの社会課題を解決すべく、これまで培ってきたプレキャスト製品の技術開発に取り組んでいる。同社においては「技術開発の推進により企業価値向上を目指す」という考えが浸透していることから、基礎研究の成果は、応用研究・開発を経て技術として成長し、生産そして営業・販売とつながっていく。2021年に開発しラインナップを拡充した「合成鋼管」が業績に寄与し始めるなど既にその効果は表れている。同社は2024年3月期(2023年度)を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「21-23計画」を進めている。このなかで、成長に向けた戦略の1つとして技術開発の強化を挙げている。具体的には1) 「環境問題、社会問題を踏まえた製品開発、技術開発の強化を図る(研究開発投資の強化)」、2) 「デジタル化に対応する設計技術のプラットフォームの構築、サービスの向上に取り組む」、3) 「生産の更なる効率化、デジタル化による品質管理の合理化を推進するため、生産技術、施工技術開発の強化を図る(設備投資の強化)」である。こうした戦略のもと、都市型浸水対策に向けた縦型貯留槽「ウェルマン貯留槽(R)」の発表、デジタル化・施工管理の生産性向上のため、ICT施工管理システム「Pile-ViMSys(R)(パイルヴィムシス)」を開発・導入するなど、技術開発は順調に実績を積み重ねてきている。2023年3月期第3四半期においても、既存製品の付加価値向上、環境対応技術の基礎研究の推進など、同社の技術開発は着実に進行した。これらの技術開発の成果が、今後の業績拡大に寄与することが期待される。
■Key Points
・2023年3月期第3四半期は、需要旺盛で増収も原材料価格の上昇等が響き減益
・2023年3月期下期に向けて基礎事業と下水道関連事業が堅調に推移する見通し
・防災・減災、社会インフラ老朽化対策、再生可能エネルギーや脱炭素への取り組みなど社会の変化に対応した取り組みを加速。中長期的に持続可能な成長に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<SI>
日本ヒューム<5262>は総合コンクリートメーカーである。日本におけるヒューム管の歴史とともに始まり、日本に合ったヒューム管の標準仕様を生み出し全国普及につなげた。その後事業領域を拡大し、コンクリートパイル(杭)、下水道管路の耐震化工法や管渠(かんきょ)更生工事工法の開発、コンクリート二次製品の設計・製造・施工といった全方位のワンストップサービスを提供している。また、建設市場の人手不足を補うプレキャスト(成形済)コンクリート(以下、プレキャスト製品)、社会インフラの老朽化に対応する製品・施工方法の開発、ICTを活用した取り組み(i-Construction)等の技術開発も推進し、コンクリートテクノロジーで豊かな社会の実現に貢献している。
1. 2023年3月期第3四半期の業績概要
2023年3月期第3四半期の連結業績は、売上高で前年同期比6.6%増の23,008百万円、営業利益で同24.8%減の741百万円、経常利益で同8.9%減の1,669百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同10.3%減の1,359百万円となった。公共投資に関しては2024年度以降の防衛費増額等を控え若干低調に推移したものの、民間の設備投資に関しては持ち直しの動きが見られた。また、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響が薄れ社会経済活動が再開し企業の投資意欲の回復も見られた。都市防災関連の高付加価値製品に対する引き合いも引き続き好調で、売上の拡大に寄与した。利益面は、受注競争の激化、原燃材料価格の高騰などの影響を受け、減益となった。原燃材料価格の高騰については販売価格改定の取り組みなどを着実に進めている状況だ。2023年3月期第4四半期から2024年3月期以降おいて収益性の向上が期待される。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績は、売上高32,000百万円(前期比8.5%増)、営業利益1,600百万円(同10.3%増)、経常利益2,500百万円(同1.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,800万円(同15.7%減)を見込んでおり、期初に発表した予想からの変更はない。原燃材料価格がもう一段値上がる可能性はあるものの売価への転嫁を継続的にしており、期末に向けてその効果が業績に寄与することが想定されている。基礎事業に関しては、民間の設備投資が回復するなど、好調な事業環境の継続を見込んでいる。こうしたニーズをしっかりと業績に取り込んでいくほか、新たに摩擦杭の取り扱いも開始し、業績拡大につなげる。下水道事業に関しては、引き続き防災関連など高付加価値製品に対するニーズが好調に推移することが予想される。高付加価値製品の販売によって、売上高の拡大及び利益率の上昇を目指す。下水道関連事業に関しては、利益率の高い製品に対する発注が第4四半期に増加することが見込まれる。
3. 技術開発戦略
地球温暖化、脱炭素社会、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)など、社会・経済環境は大きく変化してきている。同社は、これらの社会課題を解決すべく、これまで培ってきたプレキャスト製品の技術開発に取り組んでいる。同社においては「技術開発の推進により企業価値向上を目指す」という考えが浸透していることから、基礎研究の成果は、応用研究・開発を経て技術として成長し、生産そして営業・販売とつながっていく。2021年に開発しラインナップを拡充した「合成鋼管」が業績に寄与し始めるなど既にその効果は表れている。同社は2024年3月期(2023年度)を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「21-23計画」を進めている。このなかで、成長に向けた戦略の1つとして技術開発の強化を挙げている。具体的には1) 「環境問題、社会問題を踏まえた製品開発、技術開発の強化を図る(研究開発投資の強化)」、2) 「デジタル化に対応する設計技術のプラットフォームの構築、サービスの向上に取り組む」、3) 「生産の更なる効率化、デジタル化による品質管理の合理化を推進するため、生産技術、施工技術開発の強化を図る(設備投資の強化)」である。こうした戦略のもと、都市型浸水対策に向けた縦型貯留槽「ウェルマン貯留槽(R)」の発表、デジタル化・施工管理の生産性向上のため、ICT施工管理システム「Pile-ViMSys(R)(パイルヴィムシス)」を開発・導入するなど、技術開発は順調に実績を積み重ねてきている。2023年3月期第3四半期においても、既存製品の付加価値向上、環境対応技術の基礎研究の推進など、同社の技術開発は着実に進行した。これらの技術開発の成果が、今後の業績拡大に寄与することが期待される。
■Key Points
・2023年3月期第3四半期は、需要旺盛で増収も原材料価格の上昇等が響き減益
・2023年3月期下期に向けて基礎事業と下水道関連事業が堅調に推移する見通し
・防災・減災、社会インフラ老朽化対策、再生可能エネルギーや脱炭素への取り組みなど社会の変化に対応した取り組みを加速。中長期的に持続可能な成長に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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