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有沢製作所のニュース
―権利付き最終日まで残り3週間、3%超の期末配当利回りが狙える好業績株をリストアップ―
3月期決算企業の期末がいよいよ近づいてきた。決算が集中する3月はインカムゲインへの関心が1年で最も高まる時期だ。21年3月期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営環境が悪化するなか、配当総額の大幅な減少が見込まれる。一方、足もとでは業績回復を背景に配当予想を増額する企業が製造業を中心に目立つほか、通期業績予想を下方修正しても株主還元を重視して配当を据え置くケースが多くなっている。企業収益の改善で減配リスクへの警戒は和らいでおり、月末に向けて配当取りを狙う買いも増えてきそうだ。そこで今回は期末一括配当を実施している企業に照準を合わせ、配当利回りが高く、かつ業績面で安心感のある投資妙味の高い銘柄を探ってみたい。
●業績回復で配当増額の動きが活発化
20年4-12月期決算発表シーズンでは、通期業績見通しを上方修正する企業が相次ぎ、配当予想を増額修正する企業も多くみられた。決算ピーク期間にあたる1月22日から2月18日までに配当予想を見直した企業を調べたところ、増額修正した企業は219社と前年同時期を大きく上回った。一方、減額修正した企業は18社にとどまった。これまでは先行き不透明感から株主還元に慎重な姿勢をみせていたが、業績回復基調が鮮明になるとともに、配当を増やす方向へ舵を切った格好だ。こうした動きは本決算が発表される5月上旬まで続くとみられる。
今回はこれから高水準の配当金を狙える期末一括配当を実施している企業にスポットを当てた。日本の上場企業は中間配当と期末配当の年2回実施するのが一般的で、期末に全額取得できる期末一括配当は希少ともいえる存在である。以下では、3月期末に3%を超える配当を獲得でき、業績成長を背景にキャピタルゲインも見込める6銘柄を紹介していく。なお、3月期末配当を獲得するには、権利付き最終日の29日に株式を保有していることが必須条件となる。
※配当利回りは3月8日終値ベースで算出。
【トーメンデバイス <2737> 】 配当利回り3.97%
トーメンデバイスは韓国サムスングループ製品に特化した半導体商社。4-12月期業績はデータセンターやパソコン向けメモリーなどの引き合いが強く、売上高は過去最高水準にあるものの、メモリー市況の下落で営業利益は前年比マイナスだった。ただ、中国市場の回復が想定より早く、またメモリー市況が底入れしてきたことを反映する形で、21年3月期通期の営業利益予想を従来の29億円から41億円(前期比9.4%減)へ引き上げ、期末一括配当も前回予想の120円から160円(前期は150円)に大幅増額修正した。増配は6期連続となるほか、今期から株主優待制度を拡充するなど、株主還元に前向きな姿勢をみせる。一方、指標面では予想PER8倍台と半導体商社のなかで出遅れ感が強く、見直し余地は大きそうだ。
【昭和真空 <6384> [JQ]】 配当利回り3.59%
昭和真空はスマートフォン、自動車、デジタルカメラ、医療機器などに組み込まれる電子部品を製造するうえで必要不可欠な薄膜装置メーカー。真空技術に強みを持ち、水晶デバイス用途では世界シェア首位を誇るグローバルニッチトップ企業だ。21年3月期の期末一括配当は60円(前期と同額)を計画し、利回りは3.59%と高水準にある。4-12月期の業績は光学装置や水晶デバイス装置の手持ち案件の納品を進め、売上高88億9500万円(前年同期比17.1%増)、最終利益8億2800万円(同42.0%増)と2ケタ増収増益を達成した。最終利益は通期計画(8億4900万円)にほぼ到達しており、業績上振れは濃厚とみられる。足もとの設備投資需要はコロナ禍で力強さに欠けるものの、デジタル化の進展を背景に次世代電子部品への取り組みが加速するなか、中長期の成長期待は強い。
【東洋建設 <1890> 】 配当利回り3.40%
海洋土木大手の東洋建設は、4-12月期決算発表前の1月27日に、21年3月期通期の営業利益を従来予想の81億円から109億円へ上方修正すると発表。前回の減益予想から一転して3期ぶりに過去最高益を更新する見通しとなった。国内土木工事における一部の大型案件で採算が向上したことなどを業績上振れの理由に挙げている。併せて、期末一括配当も前回予想の12円から20円に大きく引き上げた。株価は全体相場が波乱展開のなかでも一貫して上値指向を続ける異彩の強さをみせている。同社は洋上風力発電の低コスト・環境負荷低減を実現する技術実証を進めるほか、石炭灰やバイオマス灰を使って二酸化炭素(CO2)を固定化、資源化する技術開発に共同で着手するなど、“脱炭素”関連の切り口でも注目を集める。
【綜研化学 <4972> [JQ]】 配当利回り3.37%
綜研化学は粘着剤大手で、テレビやパソコンなど液晶パネルのフィルム貼り付け用途で高いシェアを有する。21年3月期の業績は2度にわたる上方修正を経て、最終利益は前期比46.8%増の24億円と13期ぶり最高益に復活する計画だ。中国市場を中心に液晶ディスプレー関連向け粘着剤関連製品や加工製品の販売が想定以上に伸びる見通しで、売上高も過去最高を見込む。好調な業績を踏まえ、期末一括配当を従来計画の55円から75円へ大幅に積み増す方針を示した。これを受け発表翌営業日の2月8日はストップ高と急騰し、18年4月以来2年10ヵ月ぶりの高値をつけた。その後は調整含みにあるが、予想PER7倍台、PBR0.7倍と指標面で割安感が強いうえ、配当利回りも3%を超えており、水準訂正に期待したいところだ。
【有沢製作所 <5208> 】 配当利回り3.36%
有沢製作所は昨年10月に、28~32円(前期は30円)を予定していた21年3月期の期末一括配当を34円実施する方針に見直した。子会社と持ち分法適用関連会社の収益が改善したことによる業績上振れが配当増額の背景だ。同時に発表した中期経営計画では、独自技術による差異化製品の開発などに注力し、25年3月期に売上高631億円(21年3月期計画は458億円)、営業利益51億円(同26億円)の目標を掲げる。昨年12月にはトヨタ自動車 <7203> の燃料電池自動車「新型MIRAI」に薄膜塗工技術が採用されたことを明らかにした。燃料電池用セパレーターの基幹材料である超薄膜潤滑剤付き特殊チタン箔の供給を始めており、次世代モビリティー分野での商機拡大が期待される。
【蛇の目ミシン工業 <6445> 】 配当利回り3.06%
蛇の目ミシン工業は今年10月に創業100周年を迎える老舗ミシンメーカー。ミシンで培った先進技術を応用し、産業用ロボットやサーボプレスなどの製造も手掛ける。主力の家庭用ミシンは、コロナ禍の巣ごもり需要を追い風に販売台数が大きく伸びており、四半期業績は前年実績を大幅に上回る好調な推移が続く。4-12月期決算発表時には今期2度目の上方修正に踏み切り、営業利益48億円と04年3月期に記録した最高益を実に17期ぶりに塗り替える見通しとなった。配当は昨年11月に従来計画の15円から25円へ増額したが、配当性向は13%台にとどまり、余力はまだあるとみられる。投資指標は予想PER4.4倍、PBR0.5倍と超割安水準にあり、評価不足とみていいだろう。
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