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ドラフト、空間デザインの需要が引き続き堅調 通期業績予想の変更はなし

投稿:2022/09/01 09:00

CONTENTS

荒浪昌彦氏:本日はお忙しいところご参加いただきまして、ありがとうございます。株式会社ドラフト取締役の荒浪です。本日は当社の第2四半期の決算についてご説明いたします。

資料に沿って大きく4項目に分けてご説明します。1つ目は会社概要と事業動向についてです。ご存知の方もいらっしゃると思うのですが、あらためて簡単にご説明します。2つ目は2022年12月期第2四半期の業績、3つ目は業績の見通し、4つ目は株主還元についてです。本日は2つ目の業績と3つ目の見通しを中心にご説明します。

COMPANY INFORMATION

はじめに、当社の会社概要を簡単にご説明します。当社は「ALL HAPPY BY DESIGN」を理念に、デザインの力で世界にハッピーな循環を作り出し、社会に貢献することを目指しています。証券取引所の業種分類では建設業に分類されているのですが、デザインを基軸にして、いろいろな領域で事業を行っています。

COMPANY INFORMATION

具体的には、インテリア、建築、プロダクト、ブランディングといったいろいろな領域において、デザインを基軸に活動を行っています。各社の持つ事業や社会の課題をデザインの力で解決したいと考えています。

ミカン下北

今期の事例を2つご紹介します。スライドの写真は「ミカン下北」という、京王線・下北沢駅の高架下にオープンした施設です。こちらの案件は今期の売上にはなっていませんが、企画・デザイン・設計を担当しました。数年前に受注して、今年3月に「ミカン下北」としてオープンしました。

ミカン下北

このように下北沢に新しいコミュニティの場を作りました。行かれたことのある方もいるかもしれませんが、非常に活況を呈しており、京王電鉄さまからも「他のところで同じようなことができないか」というご提案をいただいています。

DAFT about DRAFT

もう1つは、この8月にグランドオープンする「DAFT about DRAFT」です。我々が作るオリジナルコンテンツのフラッグシップショップとして表参道にオープンします。こちらは当社の代表である山下がデザインした家具や、海外の優れた家具などを一堂に集めて、ショールーム兼ショップとして表参道に設けたものです。

DAFT about DRAFT

こちらの目的は大きく2つあります。1つは、クライアントのみなさまに実際に家具を見ていただき、当社のプロジェクトに使わせていただくことです。

こちらに展示している家具はオフィスや自宅で使われるものですが、実物を見て、それを組み合わせるとどのような空間になるのかをイメージしてもらうことが非常に重要だと思っていますので、そのための場として設けました。

もう1つの目的としては、表参道という非常によいロケーションに立地していますので、一般の方にも一部を見ていただける施設となっています。当社の経営課題として、業界内ではある程度の知名度があるものの、一般の知名度が非常に低いことが挙げられます。

そのため、一般の方々との接点を設けることで、当社のブランディングを強化していこうという目的もあります。こちらは8月末にグランドオープンし、いよいよ本格的な展開を開始します。

2Q業績ハイライト 計画比

第2四半期の業績についてご説明します。スライドに示している表の中央の列が第2四半期の業績となります。売上高は31億300万円、営業利益は1億円の損失、経常利益は1億1,300万円の損失となりました。

表の左側は当初発表していた業績予想です。業績予想では第2四半期の売上高を45億円としていましたので、計画に比べると31パーセント減という結果となっています。利益については、営業利益で黒字を見込んでいたものがマイナスという結果になっています。

このような結果になった理由ですが、我々の事業である空間デザインの需要自体については引き続き堅調で、引き合い額は計画を上回っています。一方で、我々の仕事は受注型ですので、納期や引き渡しの時期はクライアントの都合によるところがあります。我々が獲得してきた仕事のうち、1月から6月を完了時期とするプロジェクトが前期比でも計画比でも少なくなったことにより、このような売上高となりました。

ただし、先ほどお話ししたとおり、需要自体は堅調です。6月末時点でのプロジェクトストック、つまり今年度に売上計上予定の見込み受注残高は、前期に比べて10パーセントほど増加しています。したがって、全体としては順調なのですが、第1四半期と第2四半期に、売上が立つ案件が取りきれなかった実態があるものと考えています。

2Q業績ハイライト 前期比

前期との比較についてです。売上高は前期比12.6パーセント減となっています。営業利益、経常利益についても、やはり大幅なマイナスという状況です。前期と比べると、特に利益について差が大きくなっています。

昨年は新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言などによって活動が大幅に制限されたため、計画よりもかなり高い水準の利益が出ていました。そのため、今期と比較すると、余計に悪化したように見えています。

2Q業績ハイライト 規模別売上高と平均受注額

売上高の中身について見ていきます。スライド左側のグラフには規模別の売上高を示しています。左端が昨年の第2四半期、右側が今年の第2四半期になります。

一番濃い色で示しているのが1億円以上の大型案件ですが、この部分が減少しています。また、5,000万円から1億円規模の案件も減少しており、それ以下の小規模の案件が多かったというのが、今年の第2四半期の特徴です。

スライド右側のグラフは、上位30件のプロジェクトの平均受注額を示しています。こちらも昨年の1億100万円から今年は7,900万円に減少しています。件数自体が大きく減ったわけではないのですが、やはり1件1件の規模が小さくなったことで、今回の売上は昨年に比べて大きく減少しています。

2Q業績ハイライト 直接利益率の推移

利益率についてです。スライドには当社の管理会計上の直接利益率を示しています。右側の折れ線グラフが推移になりますが、利益率については大きく低下したということもなく、当社が想定する水準で順調に進捗しています。

そのため、当社の事業構造が大きく悪化しているといったものではなく、順調に進んではいるのですが、今期は売上になる案件を獲得しきれなかったというのが損益の原因となっています。

2Q業績ハイライト 領域別売上高の前期比

領域別売上高です。左端がオフィスの売上高です。最大のボリュームゾーンであるオフィスの領域は、去年に比べて増加しました。商業施設は少し増えているのですが、もともとの分母が小さいため、パーセンテージでは大きく増えたようなかたちになっています。

右端が都市計画・環境設計・その他で、大型案件が多い領域になります。例えば、ビル1棟をリデザインするといった仕事ですが、昨年に比べて大きく減少したという状況です。先ほど、案件の規模が少し小さくなっているとお話ししましたが、こちらの領域が影響していると考えています。

2022年12月期 業績見通し

通期の業績見通しについてご説明します。決算短信にも記載していますが、通期の業績見通しについては修正を行っていません。

先ほどお話ししたとおり、引き合いは引き続き順調です。このままいけば、通期の業績予想の数字についても、達成できないこともないと考えています。

積極的に業績予想を修正する理由がないため、現時点では通期売上高は100億円、営業利益は9億6,000万円、経常利益は9億5,000万円という予想をそのまま据え置きました。

ただし、6月末のプロジェクトストックは去年に比べて10パーセントほど増加していますが、現時点でのプロジェクトストックが、10月から12月に非常に偏っています。このため、期ズレのリスクが高まっていると考えており、これが懸念点の1つです。

期ズレのリスクについては、コロナ禍の影響で近年少し高くなってきていると思っています。オフィスですと、例えば「4月から新入社員が入ってくるので、3月中になんとかしてほしい」というように、もともと期日がきっちり固まる傾向がありました。

しかし、コロナ禍になりリモートワーク等も大分広がってきて、必ずしも「いつまでにオフィスを作らなくてはいけない」ということは、だんだん弱くなってきていると感じています。去年の年末も同様ですが、クライアントの要請で「12月でなくてもいい、1月でもいい」という話が出やすく、案件が期ズレしてしまうリスクが高まる環境になってきています。

10月から12月は当社の第4四半期にあたります。期末の最後の四半期になりますので、あまり案件が溜まると期ズレの影響が大きくなるため、懸念点の1つと考えています。

また、利益面については、東京地区のオフィスについて集約、移転を検討しています。現在、東京地区は人数が順調に増えてきていることもあり、5ヶ所に分散しています。当社はデザインの会社ですので、社員が直接会ってコミュニケーションの中から新しいものを生み出していくことが非常に重要なのですが、それがなかなか行いにくい状況になってきています。

今後も人数は増加していく予定であるということも踏まえ、集約しようと検討していますが、それが今期になるのか、それとも来期の頭になるのか、現時点では明確に決まっていません。

今期になった場合はある程度の費用が発生するため、利益の修正が発生する可能性がありますが、来期ですと、それを行わなくても済むという可能性もあります。

よって、業績予想については売上から利益まで、現時点では修正していないという状況です。ただ、先ほどお伝えした懸念点やオフィスの話などがありますので、修正の必要がありましたら適宜開示を行う方針です。

株主還元

株主還元策についてご説明します。通期業績予想の修正をしていませんので、株主還元策についても期初に発表したものから変更していません。当初の予定どおり、1株あたりの配当金期末の予定は5.0円、それとは別に株主優待を計画しています。

質疑応答:コロナ禍の影響について

機関投資家のみなさまとお話ししている中で、出てきているご質問について、あらかじめ私のほうからお答えします。

1つは、「コロナ禍の影響はどうでしょうか?」というご質問をよくいただきます。これには2つの要因があります。現在、オフィスを縮小する動きが非常に大きくなっています。世の中の流れとしてそのような傾向がある中で、当社はオフィスの領域がボリュームゾーンのため、その事業への影響はどうかという視点のご質問です。

もう1つは、コロナ禍やウクライナの影響もありますが、「原材料価格が高騰しているという点から、当社の事業にどういった影響があるのか?」という、この2つの点でご質問いただくことが多いため、先にお答えします。

まず、働き方が変わりオフィスを縮小する動きは確かにありますが、縮小しているオフィスというのは従来型のオフィスであると考えています。従来型のオフィスとは、社員が一定の時間に全員集まり、一斉に仕事を始め、一斉に終わるという働き方のオフィスです。こちらは限られたスペースにどれだけ机を並べるかといったことがテーマになっており、オフィスはコストであるという発想に基づいたものになります。

一方で、当社が作ってきたオフィスは、その会社で働くワーカーがいかに気持ちよく働けるか、ひいては効率性を高められるかに力点を置いたオフィスです。空間は比較的広くゆったりと使い、コミュニケーションを重視するようなオフィスを作ってきました。

今求められているオフィスは、従来型のオフィスからそのような新しいかたちのオフィスへ移ってきていると思っていますので、当社にとっては追い風だと考えています。そのような需要をいかに取ってこられるかが当社のテーマになります。

もう1つの原材料価格の高騰の話については、今のところ我々が行っている内部空間のデザインおよびデザインビルドには、あまり影響は出ていません。ただし、現在当社が主体となって進めている、横浜の臨港パークを運用するプロジェクトの中で、当社の山下が設計したビルを建てるという計画については、原材料、特に鉄の価格高騰の影響を受けていますが、今期の損益には直接影響はしないと考えています。

繰り返しになりますが、原材料価格の高騰等について、今のところ当社の中心事業への直接の影響はありません。しかし、今後どのような影響が出てくるかということは、常に注視しなければいけないと考えています。

質疑応答:プロジェクトストックの今期計上とオフィス移転について

ご質問について、いただいた順にお答えします。1つ目に、「プロジェクトストックが第4四半期に偏っているとのことですが、今期末に売上計上できない可能性が高いということでしょうか?」というご質問です。

2つ目に「新オフィスはどちらに移転されますか? 表参道オフィスは売却されますか? ショールームを兼ねて一定の資金投入をするということですが、投資額はかなりの額になる見通しでしょうか?」というご質問です。まずはこの2点についてお答えします。

1つ目のプロジェクトストックの偏りについて、現時点では売上計上できない可能性が高いとは感じていませんが、そのようなリスクが通常に比べると高くなる可能性があると考えています。また、第4四半期にプロジェクトストックが固まりすぎると、今後獲得する案件で「第4四半期にやりたい」とクライアントがおっしゃっても、我々のほうで受けられない可能性が高まるというリスクもあるため、第4四半期に偏るのはあまり好ましくないと考えています。

2点目の新オフィスの移転についてご説明します。場所については、今お伝えすることができません。また、現在のビルは借りているものですので、売却するのではなく、貸主にお返しするかたちになります。

「ショールームを兼ねて一定の資金投入をするということですが、投資額は非常に大きくなる見通しですか?」という点については、ご指摘のとおりです。当社のオフィスは、ただのワークスペースではなく、クライアントの方に実際のデザインを見ていただくショールームを兼ねていますので、現在我々が考えている最先端のデザインで作ろうと思っています。このため、資金投下は一定の規模になると考えています。

具体的な投資額についても、今はお伝えすることができません。ただし、資産として計上される部分がかなり多いため、損益への影響はあまり多くはないと考えています。しかし、キャッシュについては一定の規模の額を使うことになると思います。

想定される移転費用についても、詳細がはっきりした際に開示等でお知らせします。移転が今期か来期かによって大きく変わってくる部分になるため、現時点であまりはっきりしたことをお伝えできず申し訳ありませんが、現在はこのような状況です。

質疑応答:大型の受注例について

「大手不動産会社やテナントからの大型受注例を教えてください」というご質問をいただいています。

こちらについては通期のお話になりますが、一般企業、いわゆるテナントさまから受注しているオフィスの案件では、クライアントの許可を得ていないため、お名前は控えますが、一番大きい事例で6億円ほどの受注が見込まれています。

大手不動産会社からの案件については、去年はビル1棟をリニューアルするといった案件をいくつか受注していたのですが、今年は若干減っています。こちらについても、今明確に発表できるものがなくご説明できない状況ですが、これまでのところ、今年に関して不動産会社経由の大型の案件は減少しているというのが正直な印象です。

去年と今年の下半期の状況を比べると、5,000万円以上の案件は増えているのですが、1億円以上の案件に絞ると、現時点では数が減りそうな状況です。大型受注案件の事例については、クライアントの了解が取れたところで、あらためてご紹介したいと思います。

質疑応答:プロジェクトのズレによるP/Lへの影響について

「過去の事例では、プロジェクトのズレによって、P/Lにどのような影響がありましたか?」というご質問です。

去年12月の事例でお伝えすると、数億円規模のオフィスの移転の計画がありましたが、クライアントの事情で延期となり、去年12月に売上計上できなかった事例があります。ただの期ズレでしたら今年の売上になっていたのですが、クライアントの都合で、社員をオフィスに集める予定がしばらくの間なくなったということで、最終的には案件自体がなくなり、その時点で仕事をした分だけお金をいただき終了しました。

これは緊急事態宣言が発令されるなど、コロナ禍の影響が一番大きかった時期の案件です。現在は比較的落ち着いてきていると思いますが、今後このような事例が出てこないとも限りません。昔に比べると、このような事例が発生しやすい環境になってきているのではないかと考えています。

質疑応答:販管費と週休3日選択制の導入について

販管費についてもよくご質問をいただきますので、一部補足します。

前期と比較すると、上半期の販管費が増加していますが、原因としては人員数の増加が挙げられます。また、広告宣伝費も大きく増加しています。

具体的には、横浜マリノスのスポンサー費用について、去年は7月から発生していたものが今年は1月から発生していますので、その分広告宣伝費が増加しているという状況です。下半期はどうなるかというところでは、先ほどお伝えした「DAFT about DRAFT」が完全にオープンするため、こちらに関するコストや広告宣伝費等が上乗せされると考えています。

また、IRではなくPRで発表していますが、当社では週休3日を選択できる制度を導入しました。通常の会社では週休3日にすると給料が下がるというパターンが多いのですが、当社の場合は人材戦略の一環と考えており、週休3日でも給料が下がらず、逆に週休2日の社員については実質的に給料が上がるという制度設計をしています。したがって、去年に比べて人件費は増加する予定です。

いずれも、もともとの計画の範囲内ですので、オフィスの移転以外は今のところ計画どおりに進捗しています。そのため、全体としては去年に比べて販管費は増加する予定ですが、計画に比べて著しく増加するというわけではありません。

荒浪氏からのご挨拶

ご質問がなくなったようですので、本日はここまでとさせていただきます。追加でご質問等がございましたら、当社のIRチームにご質問いただければ対応いたします。本日はお時間をいただきまして、ありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス
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