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―昨年登場のエニーカラーに続く人気化に期待、ベンチャー動向など要マーク―
Vチューバー(バーチャルユーチューバー)事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバー <5253> [東証G]が、3月27日付で東証グロース市場に新規上場する。Vチューバー関連のIPOとしては昨年6月上場のANYCOLOR <5032> [東証G]に続き2社目だ。エニーカラー上場時と同様に大きな話題を呼んでおり、初値やその後の値動きが注目されそうだ。メタバースなどバーチャル空間上でのビジネスに熱い視線が向かうなか、Vチューバーもその範疇にあるテーマとして一段と活躍期待が高まっている。
●Vチューバーの活躍の場多様化、関連銘柄に物色も
Vチューバーとは、動画共有サイト「ユーチューブ」で動画を配信するユーチューバーのうち、主にCG(コンピューターグラフィックス)で作成したキャラクターを用いる人のことを指す。2016年に活動を始めた「キズナアイ」が先駆けとされ、以降その数は年々増加。Vチューバー関連サイトを運営するユーザーローカル <3984> [東証P]によると、18年初めの1000人程度から数年で2万人にまで膨らんでいる(同社サイト「ユーザーローカルVTuberランキング」、22年11月時点)。企業や自治体からのプロモーション起用をはじめ、テレビ出演や歌手活動などVチューバーの活躍の場は多様化しており、グッズ販売やイベントといった関連市場の裾野も急速に広がりをみせている。
こうした状況を背景に、ここ株式市場ではVチューバー関連株に物色が向かう場面がみられるようになってきた。エニーカラー上場時には同社に出資実績があるアドウェイズ <2489> [東証P]やKLab <3656> [東証P]のほか、関連サービスを手掛ける銘柄群が脚光を浴びた経緯がある。今回、カバーの上場が明らかになった際には、グループ会社などを通じて同社に出資するグリー <3632> [東証P]やIMAGICA GROUP <6879> [東証P]、gumi <3903> [東証P]に光が当たった。
Vチューバーを巡る話題は今後も折に触れ盛り上がりをみせるとみられ、マーケットでも関心を集める可能性が高い。いま一度、関連銘柄に目を向けておきたい。
●まずはグループ・プロジェクト運営企業に注目
エニーカラーやカバーと同じく、Vチューバーグループやプロジェクトを運営する企業にまず注目したい。ソニーグループ <6758> [東証P]は傘下のソニー・ミュージックエンタテインメントで、バーチャルタレント育成&マネジメントプロジェクト「VEE(ヴィー)」を運営。エイベックス <7860> [東証P]はバーチャル・エイベックスを21年に設立し、Vチューバーのプロデュースや関連イベントの企画制作などを手掛けている。
グリーはバーチャルライブ配信アプリや メタバース事業を展開する子会社REALITY(リアリティ)で、バーチャルタレントのプロデュースを行っている。アドウェイズは、Vチューバーグループ「774 inc.(ナナシインク)」の運営会社を傘下に持つ。
●ベンチャーへの出資動向も要マーク
Vチューバー業界は比較的新しい市場ということもあり、Vチューバー運営企業には未上場のベンチャーも多い。そうしたベンチャーを押さえておくとともに、それら企業に出資する銘柄群の動向も要マークとなる。
Brave group(ブレイブグループ、東京都港区)は「ぶいすぽっ!」などのVチューバープロジェクトやバーチャルアーティスト向け音楽事務所の運営のほか、メタバースやeスポーツ事業など幅広くビジネスを展開している。直近では、1月にゲオホールディングス <2681> [東証P]傘下のviviONとの間で業務提携することを明らかにした。ブレイブにはgumiやアカツキ <3932> [東証P]、クレディセゾン <8253> [東証P]がグループ会社などを通じてそれぞれ出資している。また、みずほFG傘下のファンドや大阪ガス <9532> [東証P]、セプテーニ・ホールディングス <4293> [東証S]などが同社に出資した実績を持つ。
オンライン上のエンターテインメントスペース「SPWN(スポーン)」やVチューバーのプロデュースを手掛けるバルス(東京都中央区)にはGMOインターネットグループ <9449> [東証P]のGMOベンチャーパートナーズ、MS&ADグループの三井住友海上キャピタル、Vチューバー事務所「Re:AcT(リアクト)」を運営するmikai(東京都千代田区)にはgumiなどが出資している。
●日テレHDやカドカワ、モイなども
Vチューバー関連に位置づけられる銘柄はまだ数多くある。 ライブ配信サービス「ツイキャス」を運営するモイ <5031> [東証G]は、2月25日からVチューバープロジェクト「ツイキャス100V(ボルト)」のオーディションを開催している。ゲームソフト受託開発のユークス <4334> [東証S]はVチューバーの配信などに対応したバーチャルライブ制作を手掛け、1月にはホロライブ所属Vチューバーのライブ制作に参加したことを明らかにしている。
このほか、日本テレビホールディングス <9404> [東証P]子会社のClaN Entertainment(クラン・エンターテインメント)は、Vチューバーを軸としたエンタメ事業を展開。また、KADOKAWA <9468> [東証P]グループのカスタムキャストはVチューバー配信サービス、エヌリンクス <6578> [東証S]はVチューバー制作サービス「クリエイトVT」をそれぞれ提供している。
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