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TDCソフト Research Memo(6):2022年3月期第2四半期は増収増益で各事業分野は堅調に推移(2)

配信元:フィスコ
投稿:2021/12/21 15:06
■TDCソフト<4687>の業績動向

4. 主要施策の状況
同社グループは「次世代型システムインテグレーター」を目指し、市場の潜在ニーズを捉え、デジタル技術の新たな潮流に対応した次世代型のシステムインテグレーション(SI)事業へと進化することをビジョンに掲げ、2019年4月から2022年3月における中期経営計画「Shift to the Smart SI」を推進している。

主要戦略としては「高付加価値SIサービスの追求」と「SIモデル変革の推進」を掲げている。「高付加価値SIサービスの追求」においては、重点分野の事業の拡大、高収益化を推進するうえで、アジャイル関連事業とセキュリティ関連事業を重点戦略分野としている。また、「SIモデル変革の推進」においては2020年2月にM&Aを行った、SAPシステムのコンサルティング及びシステム開発に強みを持つ八木ビジネスコンサルタントによるソリューション事業の強化、米国Scaled Agile, Inc.やセキュアで高速大容量通信のプライベートLTEサービスを提供するclosip(旧LTE-X)とのアライアンスを推進させ、差別化を図っている。そのほか、顧客のビジネスのイノベーション支援等を通じた営業活動を推進するビジネスイノベーション本部や、顧客のDX推進に向けて先端技術を駆使し、スピーディーかつ効率的な課題解決をアカウント事業部門と連携し、実現するデジタルテクノロジー本部を創設。技術者の確保・育成や研究開発投資、顧客への提案活動等を強化している。

2022年3月期第2四半期における次世代型システムインテグレーターに向けた取り組みとしては、次世代型SI事業は順調に拡大しており、売上高に占める構成比は16.2%と前年同期(11.2%)から61.6%増加し、会社計画比19.1%増の成長。また、次世代型SI事業の拡大に伴い、連結売上総利益率は前年同期比0.7%増の21.1%となった。

加えて、重点戦略分野であるアジャイル関連事業においては米国Scaled Agile, Inc.とのゴールドパートナー契約によるアライアンスの強化に基づき、SAFe®を用いた企業の迅速な経営判断、システム開発に資するコンサルティングサービス、教育サービスの提供を行っている。さらに、リックソフトと業務提携契約を締結し、SAFe®を導入したビジネス変革に向けたベストプラクティスなサービス開発を推進。顧客のDX化需要の拡大によってアジャイル関連事業は着実に成長しており、アジャイル関連事業の売上高については、2020年3月期第2四半期が518百万円、2021年3月期第2四半期が568百万円であったが、2022年3月期第2四半期においては776百万円に増額した。アジャイル開発分野においては、アジャイル開発サービスの拡大に向け、デファクトスタンダードであるScrum認定技術者の拡大等に取り組んでおり、Scrum認定技術者、アジャイル開発PJ経験者、SAFe®認定コンサルタントは順調に増加。2019年3月期に50名、2020年3月期の102名から2021年3月期においては194名と大幅に増員している。2022年3月期第2四半期においては新型コロナウイルス感染症の影響から新卒採用を53名に抑制したものの、認定技術者の増員によって、高度な技術が必要とされるプロジェクトの需要を取り込むことができると見られることから、今後は採用を再開させ、高付加価値化を一段と加速させる方向に向かうと弊社では考えている。

もう1つの重点戦略分野であるセキュリティ関連事業においては、新サービスの追加などの高付加価値化に向けた取り組みを強化した。2020年8月には社会的なリモートワークソリューションなどWithコロナの需要を取り込む新サービスとして、「LTE over IP®」※技術を活用したセキュアアクセスを実現するサービス「Tegata」の提供を開始。利用者は、ソフトSIMを端末にインストールして接続を行うため、紛失リスクがなく、パスワードレスでネットワークへ接続を行うことができる。また、クラウド型サービスのため、急な増減にも対応が可能となる。TegataはVPN以上のセキュリティを確保し、VPNで必要となる専用装置が不要なクラウド型アクセスサービスであり、リモートワークユーザーの増大などに柔軟に対応できる。今後もTegataの提供機能を拡充し、システムインテグレーション事業をコアに2022年度末の累計販売10万ライセンスを見込む。

※「LTE over IP®」とは、closip(旧LTE-X)が開発に成功した技術であり、プライベートLTEの構築に際し、ライセンスバンド(無線局免許を必要とする周波数帯)の取得の必要がなく、通常のインターネット(IPネットワーク)上でプライベートLTEの構築が可能な技術のこと。


また、各企業のパブリッククラウドの活用が進むなかで、クラウド設定のミスや理解不十分な構築によるセキュリティホールの存在など、攻撃者の格好の的になりやすい状況において、各企業が抱えるクラウドに対するセキュリティの不安を診断により可視化することで、安心・安全な運用を支援するクラウドサービス(Amazon Web Services:AWS)を開始。診断基準には、世界的なベストプラクティスがまとまったCISベンチマーク※を利用し、自動的に診断を行うツールを開発、可視化、診断レポートを提供する。

※CISベンチマークを利用し、クラウド上の各種サービス(AWS Identity and Access Management(IAM)、Amazon EC2、AWS CloudTrail…etc)の設定について、OK(成功)、WARN(警告)、FAIL(失敗)の三段階で評価。全体の評価をまとめたレポートを提供することで可視化し、日次、週次など任意の間隔で診断(定期実行)する。


さらに、資本・業務提携を結んだclosip(旧LTE-X)のほか、運輸会社と連携し、ローカル5Gに繋がる要素技術の獲得を目的としたPoC(Proof of Concept:本格的にプロジェクトを開始する前に検証すること)案件を実施している。ローカル5Gの本格普及に先駆けてサービス開発を継続し、実証を積み重ねることにより、将来的に需要が見込まれると考えられるローカル5G向けサービスにおいて、先行者メリットを獲得することになると弊社では考えている。

また、「SIモデル変革の推進」においては、オープンイノベーション活動を通じたSI事業の高付加価値化や、新サービスに向けた取り組みを進めている。米国Scaled Agile, Inc.とのパートナーシップによるアジャイル関連事業、closip(旧LTE-X)とのセキュリティ事業、八木ビジネスコンサルタントとのソリューション事業など、グループシナジーの創出に向けた取り組みを推進。インターネット総合研究所ともサイバーセキュリティ分野においてアライアンス契約を締結しており、顧客企業のビジネスリスクを低減させるための、新たなサービスの提供の動向についても注目したい。

なお、同社は2021年2月に、経済産業省が認定する「DX認定」を受けた、情報サービス産業界初の企業となった。DX認定制度とは、2020年5月15日に施行された「情報処理の促進に関する法律」に基づく認定制度である。国が策定した「情報処理システムの運用及び管理に関する指針」を踏まえ、優良な取り組みを行う事業者を申請に基づいて認定する。ビジョンの策定や戦略・体制の整備などをすでに行い、DX推進の準備が整っている事業者の「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する準備ができている状態(DX Readyの状態)」を経済産業省が認定する。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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配信元: フィスコ
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