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窪田製薬ホールディングスのニュース
*16:11JST 窪田製薬HD Research Memo(1):「Kubota Glass」は中国市場も視野に入れ、販売活動に注力
■要約
窪田製薬ホールディングス<4596>は「世界から失明を撲滅する」をビジョンに掲げ、革新的な医療デバイス及び眼疾患治療薬の開発を進めている。主な開発パイプラインは、近視の進行を抑制または改善する効果が期待されるウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」と加齢黄斑変性等の網膜疾患患者向け在宅・遠隔眼科医療モニタリングデバイス「PBOS(Patient Based Ophthalmology Suite)」、スターガルト病を適応症とした治療薬候補品「エミクススタト塩酸塩」の3品となる。
1. ウェアラブル近視デバイスの動向
近視の大半は、眼軸長※が伸び網膜にピントが合わなくなることによって視力が低下する軸性近視と言われている。「クボタメガネテクノロジー」はAR(Argument Reality:拡張現実)技術によって、Myopic defocus(近視性デフォーカス)という周辺網膜より手前にピントを合わせた画像をマイクロLEDとミラーレンズを使って投影することで、伸びた眼軸長を短縮する技術となる。装用時間も1日1~2時間と短く、効率的に近視の進行を抑制できる技術として、近視を研究する医師らの間で高い評価を受けている。2022年8月から同技術を用いた「Kubota Glass」を野外活動を再現するAR機器として日本で販売開始した(販売価格は税込77万円)。海外からも想定以上に問い合わせが入っているほか、購入者も約4割が30~50代の成人で占めており、ビジネスマンが購入するケースも多い。今後はアライアンス戦略も推進しながらAR機器として販売拡大に取り組んでいく。2023年8月には中国系の大手旅行代理店と販売代理店契約を結んだほか、中国福建省三明市と基本合意書を締結し中国での販売も視野に入り始めた。また、新たな用途としてエンターテイメント分野でのビジネス検証にも着手している。臨床試験によるエビデンスの積み上げも並行して進めており、2023年9月には中国医薬大学新竹附設医院(台湾)と共同研究契約も締結した。将来的には医療機器として販売承認を取得しさらなる成長を目指す。世界の近視用レンズ市場は近視人口の増加に伴い、2021年の244億米ドルから2025年には273億米ドルに達すると予想されており、潜在的な市場規模は大きく、今後の動向が注目される。
※角膜から網膜までの長さ。成人の場合、平均約24mmで、1~2mmでも長くなると、ピントが網膜より手前で合ってしまうため、遠くが見えにくくなる(=近視)。
2. そのほか主要パイプラインの動向
「PBOS」については、2023年1月より米国のジョスリン糖尿病センターにて糖尿病網膜症患者を対象とした臨床試験を開始したほか、同年8月にはシンガポール国立大学病院との共同研究契約を締結し、PBOSの実用性を評価すると発表した。これらの試験結果をもとに新たなパートナー候補企業との交渉を進め、米国での共同開発や商業化の可能性を模索する方針だ。一方、遺伝性網膜疾患であるスターガルト病を適応症として進められてきた「エミクススタト塩酸塩」については、2022年8月に第3相臨床試験結果で主要評価項目について有意差が得られなかったことを発表したが、その後のデータ解析により初期症状段階の被験者群では黄斑委縮の進行度合いが有意差を持って抑制されたことが確認されている。現在は共同開発契約の締結に向け候補先企業との交渉を行っており、2023年内に同社が予定しているFDAとの協議の内容次第で、共同開発契約を締結し再度、臨床試験を進める可能性が出ている。
3. 業績動向
2023年12月期第2四半期累計(2023年1月-6月)の連結業績は、事業収益で17百万円(前年同期比17百万円増)、営業損失で747百万円(同425百万円縮小)となった。事業収益は「Kubota Glass」の販売収入を計上したことによる。費用面では、エミクススタト塩酸塩やウェアラブル近視デバイスの開発費用など研究開発費が前年同期比460百万円減少し、営業損失の縮小要因となった。2023年12月期の連結業績見通しは、「Kubota Glass」の販売動向が見通しにくいことや、開発費用も状況によって変動する可能性があることから、現時点で合理的な算定が困難と判断し非開示とした。なお、2023年12月期第2四半期末の手元資金は3,414百万円で、約2年分の事業活動資金を確保しているものの、まだ開発ステージの段階にあることから、資金調達については新株予約権を発行するなどして株式市場から調達している。
■Key Points
・「Kubota Glass」は提携戦略を推進しながら、販売拡大を目指す
・「PBOS」は米国とシンガポールで医師主導臨床試験を開始、新たなパートナー候補企業と交渉を進める
・エミクススタト塩酸塩はスターガルト病で再度臨床試験を進めるべく2023年内にもFDAと協議を行う予定
・2023年12月期は研究開発費が減少する一方で、「Kubota Glass」の販売拡大に向けた費用を投下する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
窪田製薬ホールディングス<4596>は「世界から失明を撲滅する」をビジョンに掲げ、革新的な医療デバイス及び眼疾患治療薬の開発を進めている。主な開発パイプラインは、近視の進行を抑制または改善する効果が期待されるウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」と加齢黄斑変性等の網膜疾患患者向け在宅・遠隔眼科医療モニタリングデバイス「PBOS(Patient Based Ophthalmology Suite)」、スターガルト病を適応症とした治療薬候補品「エミクススタト塩酸塩」の3品となる。
1. ウェアラブル近視デバイスの動向
近視の大半は、眼軸長※が伸び網膜にピントが合わなくなることによって視力が低下する軸性近視と言われている。「クボタメガネテクノロジー」はAR(Argument Reality:拡張現実)技術によって、Myopic defocus(近視性デフォーカス)という周辺網膜より手前にピントを合わせた画像をマイクロLEDとミラーレンズを使って投影することで、伸びた眼軸長を短縮する技術となる。装用時間も1日1~2時間と短く、効率的に近視の進行を抑制できる技術として、近視を研究する医師らの間で高い評価を受けている。2022年8月から同技術を用いた「Kubota Glass」を野外活動を再現するAR機器として日本で販売開始した(販売価格は税込77万円)。海外からも想定以上に問い合わせが入っているほか、購入者も約4割が30~50代の成人で占めており、ビジネスマンが購入するケースも多い。今後はアライアンス戦略も推進しながらAR機器として販売拡大に取り組んでいく。2023年8月には中国系の大手旅行代理店と販売代理店契約を結んだほか、中国福建省三明市と基本合意書を締結し中国での販売も視野に入り始めた。また、新たな用途としてエンターテイメント分野でのビジネス検証にも着手している。臨床試験によるエビデンスの積み上げも並行して進めており、2023年9月には中国医薬大学新竹附設医院(台湾)と共同研究契約も締結した。将来的には医療機器として販売承認を取得しさらなる成長を目指す。世界の近視用レンズ市場は近視人口の増加に伴い、2021年の244億米ドルから2025年には273億米ドルに達すると予想されており、潜在的な市場規模は大きく、今後の動向が注目される。
※角膜から網膜までの長さ。成人の場合、平均約24mmで、1~2mmでも長くなると、ピントが網膜より手前で合ってしまうため、遠くが見えにくくなる(=近視)。
2. そのほか主要パイプラインの動向
「PBOS」については、2023年1月より米国のジョスリン糖尿病センターにて糖尿病網膜症患者を対象とした臨床試験を開始したほか、同年8月にはシンガポール国立大学病院との共同研究契約を締結し、PBOSの実用性を評価すると発表した。これらの試験結果をもとに新たなパートナー候補企業との交渉を進め、米国での共同開発や商業化の可能性を模索する方針だ。一方、遺伝性網膜疾患であるスターガルト病を適応症として進められてきた「エミクススタト塩酸塩」については、2022年8月に第3相臨床試験結果で主要評価項目について有意差が得られなかったことを発表したが、その後のデータ解析により初期症状段階の被験者群では黄斑委縮の進行度合いが有意差を持って抑制されたことが確認されている。現在は共同開発契約の締結に向け候補先企業との交渉を行っており、2023年内に同社が予定しているFDAとの協議の内容次第で、共同開発契約を締結し再度、臨床試験を進める可能性が出ている。
3. 業績動向
2023年12月期第2四半期累計(2023年1月-6月)の連結業績は、事業収益で17百万円(前年同期比17百万円増)、営業損失で747百万円(同425百万円縮小)となった。事業収益は「Kubota Glass」の販売収入を計上したことによる。費用面では、エミクススタト塩酸塩やウェアラブル近視デバイスの開発費用など研究開発費が前年同期比460百万円減少し、営業損失の縮小要因となった。2023年12月期の連結業績見通しは、「Kubota Glass」の販売動向が見通しにくいことや、開発費用も状況によって変動する可能性があることから、現時点で合理的な算定が困難と判断し非開示とした。なお、2023年12月期第2四半期末の手元資金は3,414百万円で、約2年分の事業活動資金を確保しているものの、まだ開発ステージの段階にあることから、資金調達については新株予約権を発行するなどして株式市場から調達している。
■Key Points
・「Kubota Glass」は提携戦略を推進しながら、販売拡大を目指す
・「PBOS」は米国とシンガポールで医師主導臨床試験を開始、新たなパートナー候補企業と交渉を進める
・エミクススタト塩酸塩はスターガルト病で再度臨床試験を進めるべく2023年内にもFDAと協議を行う予定
・2023年12月期は研究開発費が減少する一方で、「Kubota Glass」の販売拡大に向けた費用を投下する方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
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