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*15:35JST オンコリス Research Memo(5):テロメライシンは2023年10月に国内臨床試験結果を発表予定(2)
■オンコリスバイオファーマ<4588>の開発パイプラインの動向
(3) 開発状況
テロメライシンは現在、国内と米国にてプロジェクトが進んでいる。国内では前述のとおり食道がんを対象とした放射線併用による第2相臨床試験が完了し、2023年10月にトップラインデータを発表、2024年の販売承認申請を目指している。一方、米国では胃がんの2nd-Line治療に対する医師主導治験を新たに実施し、製薬企業との共同開発体制の構築に合意している。
a) 食道がん(放射線併用第2相臨床試験、日本)
食道がんを対象とした放射線併用療法による第2相臨床試験は、外科手術による切除や根治的化学放射線療法(放射線と抗がん剤を用いた治療法)が不適な患者(ステージ2または3)を対象に、ヒストリカルデータ(日本食道学会による放射線単独療法)との比較により有効性と安全性を確認する。なお、2022年12月にすべての組入れが完了した。主要評価項目である有効性については、内視鏡検査で撮影した腫瘍部分の画像を専門医師が観察して判断する。トップラインデータについては2023年10月に発表できる見通しだ。また、副次評価項目として生存率についても調べるため、最終的なデータは同年冬頃に得られるが、生存率が問題になることはないと見られ、トップラインデータが良好な結果であれば、2025年の上市に向けて大きく前進する。
テロメライシンと放射線の併用療法では過去の臨床試験の結果から、放射線単独療法と比較して高い治療効果が得られていることが確認できた。具体的にはステージ2または3の患者に対する局所奏効率で見ると、放射線単独療法では30%未満であったが、テロメライシンとの併用療法では55%まで上昇した※。放射線をがん細胞に照射することでテロメライシンのがん細胞への感染力が向上するとともに、放射線で切断されたがん細胞の遺伝子修復をテロメライシンが阻害することが要因と考えられる。このため、第2相臨床試験においても好結果が得られるものと期待される。
※ ヒストリカルデータ(日本食道学会による放射線単独療法)では、局所の完全寛解率は27%。
b) 胃がん・胃食道接合部がん(免疫チェックポイント阻害剤との併用療法、米国)
米コーネル大学等で進めていた胃がん・胃食道接合部がん患者(ステージ4)を対象とした免疫チェックポイント阻害剤※との併用療法による医師主導の第2相臨床試験は、2022年までに16例の組入れを実施し、うち3例で長期生存が確認され、有効性を示すボーダーライン(免疫チェックポイント阻害剤単剤で約15%)を超える結果を得たことにより、組入れを完了した。
※ ペムブロリズマブ(開発:米メルク、商品名:キイトルーダ)
現在、胃がんでは免疫チェックポイント阻害剤と化学療法による併用療法が標準治療法となっているため、標準治療で効果が得られない患者を対象とした2nd-Line治療としての承認取得を目指す(2nd-Line治療を受ける患者は全体の70%程度)。免疫チェックポイント阻害剤を販売する米国製薬企業を含む共同開発体制の構築にコーネル大学と合意しており、今後医師主導治験契約が締結される見込みだ。その後のスケジュールとしては、コーネル大学で米国製薬企業の協力を得た医師主導の第2相臨床試験(予定症例数は30~40例)を2024年から開始し、途中で中間解析を行い良好な結果が得られた場合には、企業治験に切り替えて開発を進めることが予想される。その際にライセンス契約も締結される可能性がある。また、併せてオーファンドラッグ指定の申請準備も進める。順調に開発が進めば、2026年頃に第3相臨床試験に移行するものと予想される。第2相臨床試験の開発費用については、共同開発先と折半で負担することになりそうだ。
c) 食道がん(化学放射線療法との併用療法、米国)
同社は2020年6月に米国の主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーとの間で、食道がん患者を対象とした医師主導の第1相臨床試験を実施する契約を締結した。臨床試験の内容は、標準治療法であるCRT療法を行いながらテロメライシンを隔週に3回投与し、安全性の確認と3ヶ月後の腫瘍の縮小効果を確認するというものだ。完全奏効率が標準治療法(CRT療法で約50%程度)を上回れば、企業治験で開発を進める可能性が出てくる。また、3年後のがん再発率が既存療法より低ければ、食道がんにおいて外科手術以外の標準治療法候補となる可能性もある。
2021年12月から米国の6施設で臨床試験が開始され、第一段階の6例の組入れが完了し安全性で問題となるような副作用は報告されていない。有効性についての報告はなかったが、第2段階として9例の組入れを実施する予定である。食道がんではオーファンドラッグ指定を受けているため同指定の下で同治験が実施されており、補助金の支給や臨床試験費用の税額控除の優遇を受けることができる。
同社は今回の臨床試験の結果について、国内で今後進める予定の適応拡大(CRTとの併用療法)のための臨床試験データとして援用することを考えている。データを援用することで後期第2相/3相臨床試験から開始でき、開発期間の短縮につながる可能性があるためだ。ただ、適応拡大のための臨床試験は予定症例数が多くなることが想定され、開発資金を分担する共同開発パートナーが必要となるため、今後国内で販売パートナー契約を結ぶ企業の意向次第となる。いずれにしても、米国での第1相臨床試験における有効性データの結果が注目される。
d) 口腔がん(熊本大学との共同研究)
2022年11月に同社は熊本大学と共同で「治療抵抗性口腔がんに対する放射線併用療法によるテロメライシンの有効性」に関する研究成果について発表した。概要は、テロメライシンと放射線併用療法により放射線耐性口腔がん細胞の放射線抵抗性を解除できることが明らかとなり、また、動物モデルにおいて放射線療法単独との比較で優れた治療効果が確認されたという内容である。同研究によって今後、難治性口腔がんを対象としたテロメライシンと放射線併用療法による臨床開発が進むものと期待される。当面は熊本大学にて医師主導の臨床研究を継続し、エビデンスを積み上げていくことになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
(3) 開発状況
テロメライシンは現在、国内と米国にてプロジェクトが進んでいる。国内では前述のとおり食道がんを対象とした放射線併用による第2相臨床試験が完了し、2023年10月にトップラインデータを発表、2024年の販売承認申請を目指している。一方、米国では胃がんの2nd-Line治療に対する医師主導治験を新たに実施し、製薬企業との共同開発体制の構築に合意している。
a) 食道がん(放射線併用第2相臨床試験、日本)
食道がんを対象とした放射線併用療法による第2相臨床試験は、外科手術による切除や根治的化学放射線療法(放射線と抗がん剤を用いた治療法)が不適な患者(ステージ2または3)を対象に、ヒストリカルデータ(日本食道学会による放射線単独療法)との比較により有効性と安全性を確認する。なお、2022年12月にすべての組入れが完了した。主要評価項目である有効性については、内視鏡検査で撮影した腫瘍部分の画像を専門医師が観察して判断する。トップラインデータについては2023年10月に発表できる見通しだ。また、副次評価項目として生存率についても調べるため、最終的なデータは同年冬頃に得られるが、生存率が問題になることはないと見られ、トップラインデータが良好な結果であれば、2025年の上市に向けて大きく前進する。
テロメライシンと放射線の併用療法では過去の臨床試験の結果から、放射線単独療法と比較して高い治療効果が得られていることが確認できた。具体的にはステージ2または3の患者に対する局所奏効率で見ると、放射線単独療法では30%未満であったが、テロメライシンとの併用療法では55%まで上昇した※。放射線をがん細胞に照射することでテロメライシンのがん細胞への感染力が向上するとともに、放射線で切断されたがん細胞の遺伝子修復をテロメライシンが阻害することが要因と考えられる。このため、第2相臨床試験においても好結果が得られるものと期待される。
※ ヒストリカルデータ(日本食道学会による放射線単独療法)では、局所の完全寛解率は27%。
b) 胃がん・胃食道接合部がん(免疫チェックポイント阻害剤との併用療法、米国)
米コーネル大学等で進めていた胃がん・胃食道接合部がん患者(ステージ4)を対象とした免疫チェックポイント阻害剤※との併用療法による医師主導の第2相臨床試験は、2022年までに16例の組入れを実施し、うち3例で長期生存が確認され、有効性を示すボーダーライン(免疫チェックポイント阻害剤単剤で約15%)を超える結果を得たことにより、組入れを完了した。
※ ペムブロリズマブ(開発:米メルク
現在、胃がんでは免疫チェックポイント阻害剤と化学療法による併用療法が標準治療法となっているため、標準治療で効果が得られない患者を対象とした2nd-Line治療としての承認取得を目指す(2nd-Line治療を受ける患者は全体の70%程度)。免疫チェックポイント阻害剤を販売する米国製薬企業を含む共同開発体制の構築にコーネル大学と合意しており、今後医師主導治験契約が締結される見込みだ。その後のスケジュールとしては、コーネル大学で米国製薬企業の協力を得た医師主導の第2相臨床試験(予定症例数は30~40例)を2024年から開始し、途中で中間解析を行い良好な結果が得られた場合には、企業治験に切り替えて開発を進めることが予想される。その際にライセンス契約も締結される可能性がある。また、併せてオーファンドラッグ指定の申請準備も進める。順調に開発が進めば、2026年頃に第3相臨床試験に移行するものと予想される。第2相臨床試験の開発費用については、共同開発先と折半で負担することになりそうだ。
c) 食道がん(化学放射線療法との併用療法、米国)
同社は2020年6月に米国の主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーとの間で、食道がん患者を対象とした医師主導の第1相臨床試験を実施する契約を締結した。臨床試験の内容は、標準治療法であるCRT療法を行いながらテロメライシンを隔週に3回投与し、安全性の確認と3ヶ月後の腫瘍の縮小効果を確認するというものだ。完全奏効率が標準治療法(CRT療法で約50%程度)を上回れば、企業治験で開発を進める可能性が出てくる。また、3年後のがん再発率が既存療法より低ければ、食道がんにおいて外科手術以外の標準治療法候補となる可能性もある。
2021年12月から米国の6施設で臨床試験が開始され、第一段階の6例の組入れが完了し安全性で問題となるような副作用は報告されていない。有効性についての報告はなかったが、第2段階として9例の組入れを実施する予定である。食道がんではオーファンドラッグ指定を受けているため同指定の下で同治験が実施されており、補助金の支給や臨床試験費用の税額控除の優遇を受けることができる。
同社は今回の臨床試験の結果について、国内で今後進める予定の適応拡大(CRTとの併用療法)のための臨床試験データとして援用することを考えている。データを援用することで後期第2相/3相臨床試験から開始でき、開発期間の短縮につながる可能性があるためだ。ただ、適応拡大のための臨床試験は予定症例数が多くなることが想定され、開発資金を分担する共同開発パートナーが必要となるため、今後国内で販売パートナー契約を結ぶ企業の意向次第となる。いずれにしても、米国での第1相臨床試験における有効性データの結果が注目される。
d) 口腔がん(熊本大学との共同研究)
2022年11月に同社は熊本大学と共同で「治療抵抗性口腔がんに対する放射線併用療法によるテロメライシンの有効性」に関する研究成果について発表した。概要は、テロメライシンと放射線併用療法により放射線耐性口腔がん細胞の放射線抵抗性を解除できることが明らかとなり、また、動物モデルにおいて放射線療法単独との比較で優れた治療効果が確認されたという内容である。同研究によって今後、難治性口腔がんを対象としたテロメライシンと放射線併用療法による臨床開発が進むものと期待される。当面は熊本大学にて医師主導の臨床研究を継続し、エビデンスを積み上げていくことになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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