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アンジェスのニュース
■要約
アンジェス<4563>は、1999年に設立された大阪大学発の創薬ベンチャー。遺伝子医薬に特化した開発を進めており、将来的に「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目標にしている。新薬候補品を開発し、販売パートナーとの販売権許諾契約によって得られる契約一時金や、開発の進捗状況などによって得られるマイルストーン収益、上市後の製品売上高にかかるロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルとなる。
1. 新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発状況について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するDNAワクチンの開発状況について、同社は8月21日に大阪市立大学医学部附属病院での第1/2相臨床試験で低用量(15例)及び高用量(15例)の接種が完了したことを発表した。また、投与間隔及び投与回数を確認するための第1/2相臨床試験を、大阪大学医学部附属病院で9月上旬より開始するとしている。2施設での臨床試験の安全性及び有効性についての初期的な試験結果を2020年第4四半期に発表する予定であることを明らかにした。既に、経過観察中の非臨床試験においては安全性に問題なく、抗体産生の有無並びに中和抗体活性についても米国のワクチン開発企業とそん色のないデータが得られていることを確認している。今後のスケジュールはPMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)と協議して決めていくことになるが、第2/3相臨床試験を早期に数百人規模で開始し、2021年春の実用化を目指している。ワクチンの製造はタカラバイオ<4974>が担当するほか、AGC Biologics、Cytiva、シオノギファーマ(株)、Kaneka Eurogentecが製造体制に参画することを発表しており、2021年春頃には100万人分の生産体制になることが見込まれる。なお、同プロジェクトは国立研究法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」に採択され、研究開発費20億円(研究開発期間:2020年5月〜2021年3月)の支援を受け開発を進めていくほか、厚生労働省が公募した「令和2年度ワクチン生産体制等緊急整備事業」にも同年8月に採択され、約93億円の交付金(事業期間:2020年8月〜2022年3月)を受けて、大規模生産体制の構築を図っていくことになっている。
2. その他開発パイプラインの動向
HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」は、国内で慢性動脈閉塞症患者向けに「潰瘍の改善」を効能として条件及び期限付き販売承認を得て2019年9月より販売を開始しており、市販後調査の結果を見て本承認の取得を目指している※。また、慢性動脈閉塞症の「安静時疼痛の改善」を確認する第3相臨床試験(予定症例数40例)を同年10月より開始しているほか、米国でも2020年2月より下肢切断リスクの低い慢性動脈閉塞症患者を対象に、「潰瘍の改善」と「血流の改善」を主要評価項目とする第2b相臨床試験(予定症例数約60例)を開始している。そのほか、米国で実施している椎間板性腰痛症を適応症としたNF-κBデコイオリゴの第1b相臨床試験や、オーストラリアで実施している高血圧DNAワクチンの第1/2a相臨床試験はそれぞれ患者への投与が完了し、いずれも2020年第4四半期頃に観察期間に基づく安全性と有効性に関する臨床試験結果をトップラインデータとして発表する予定で、結果次第でライセンス交渉を検討するとしている。
※「標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善」を効能として、厚生労働省から条件及び期限付製造販売承認を2019年3月に取得し、同年9月より提携先である田辺三菱製薬(株)を通じて販売を開始した。
3. 業績動向
2020年12月期第2四半期累計(2020年1月〜6月)の売上高は前年同期比90.2%減の16百万円、営業損失は1,766百万円(前年同期は1,709百万円の損失)となった。前年同期に売上計上していたムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム®」の販売が2019年12月期の第2四半期で終了したことで170百万円の減収要因となっている。「コラテジェン®」については16百万円の売上を計上している。費用面では、研究開発費が前年同期比で25百万円減少し、販管費は前年同期比で横ばい水準であった。通期業績見通しについては、新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発を進めていることもあり、現時点で合理的な数値の算出が困難なことから非開示としている。なお、2020年12月期第2四半期末の現金及び預金は約135億円となっており、当面の事業活動を進めていく上での資金は確保されているものと判断される。
■Key Points
・2020年12月期は新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発及び2021年春の実用化を最重要課題として取り組んでいく方針
・遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指し、アライアンス戦略による新規事業への展開も視野に入れる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
アンジェス<4563>は、1999年に設立された大阪大学発の創薬ベンチャー。遺伝子医薬に特化した開発を進めており、将来的に「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目標にしている。新薬候補品を開発し、販売パートナーとの販売権許諾契約によって得られる契約一時金や、開発の進捗状況などによって得られるマイルストーン収益、上市後の製品売上高にかかるロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルとなる。
1. 新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発状況について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するDNAワクチンの開発状況について、同社は8月21日に大阪市立大学医学部附属病院での第1/2相臨床試験で低用量(15例)及び高用量(15例)の接種が完了したことを発表した。また、投与間隔及び投与回数を確認するための第1/2相臨床試験を、大阪大学医学部附属病院で9月上旬より開始するとしている。2施設での臨床試験の安全性及び有効性についての初期的な試験結果を2020年第4四半期に発表する予定であることを明らかにした。既に、経過観察中の非臨床試験においては安全性に問題なく、抗体産生の有無並びに中和抗体活性についても米国のワクチン開発企業とそん色のないデータが得られていることを確認している。今後のスケジュールはPMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)と協議して決めていくことになるが、第2/3相臨床試験を早期に数百人規模で開始し、2021年春の実用化を目指している。ワクチンの製造はタカラバイオ<4974>が担当するほか、AGC Biologics、Cytiva、シオノギファーマ(株)、Kaneka Eurogentecが製造体制に参画することを発表しており、2021年春頃には100万人分の生産体制になることが見込まれる。なお、同プロジェクトは国立研究法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」に採択され、研究開発費20億円(研究開発期間:2020年5月〜2021年3月)の支援を受け開発を進めていくほか、厚生労働省が公募した「令和2年度ワクチン生産体制等緊急整備事業」にも同年8月に採択され、約93億円の交付金(事業期間:2020年8月〜2022年3月)を受けて、大規模生産体制の構築を図っていくことになっている。
2. その他開発パイプラインの動向
HGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」は、国内で慢性動脈閉塞症患者向けに「潰瘍の改善」を効能として条件及び期限付き販売承認を得て2019年9月より販売を開始しており、市販後調査の結果を見て本承認の取得を目指している※。また、慢性動脈閉塞症の「安静時疼痛の改善」を確認する第3相臨床試験(予定症例数40例)を同年10月より開始しているほか、米国でも2020年2月より下肢切断リスクの低い慢性動脈閉塞症患者を対象に、「潰瘍の改善」と「血流の改善」を主要評価項目とする第2b相臨床試験(予定症例数約60例)を開始している。そのほか、米国で実施している椎間板性腰痛症を適応症としたNF-κBデコイオリゴの第1b相臨床試験や、オーストラリアで実施している高血圧DNAワクチンの第1/2a相臨床試験はそれぞれ患者への投与が完了し、いずれも2020年第4四半期頃に観察期間に基づく安全性と有効性に関する臨床試験結果をトップラインデータとして発表する予定で、結果次第でライセンス交渉を検討するとしている。
※「標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善」を効能として、厚生労働省から条件及び期限付製造販売承認を2019年3月に取得し、同年9月より提携先である田辺三菱製薬(株)を通じて販売を開始した。
3. 業績動向
2020年12月期第2四半期累計(2020年1月〜6月)の売上高は前年同期比90.2%減の16百万円、営業損失は1,766百万円(前年同期は1,709百万円の損失)となった。前年同期に売上計上していたムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム®」の販売が2019年12月期の第2四半期で終了したことで170百万円の減収要因となっている。「コラテジェン®」については16百万円の売上を計上している。費用面では、研究開発費が前年同期比で25百万円減少し、販管費は前年同期比で横ばい水準であった。通期業績見通しについては、新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発を進めていることもあり、現時点で合理的な数値の算出が困難なことから非開示としている。なお、2020年12月期第2四半期末の現金及び預金は約135億円となっており、当面の事業活動を進めていく上での資金は確保されているものと判断される。
■Key Points
・2020年12月期は新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発及び2021年春の実用化を最重要課題として取り組んでいく方針
・遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指し、アライアンス戦略による新規事業への展開も視野に入れる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
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