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森下仁丹のニュース
■会社概要
1. 会社沿革
アンジェス<4563>は1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、HGF遺伝子(肝細胞増殖因子)の投与による血管新生作用の研究成果を事業化することを目的に設立された。
HGF遺伝子治療用製品では2001年に第一製薬(株)(現第一三共<4568>)と独占的販売権許諾契約を結んだが、その後提携関係を解消し、代わりに田辺三菱製薬と2012年に米国市場、2015年に国内市場で末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結し、上市に向けた開発を進めてきた。2019年3月に国内で条件及び期限付製造販売承認を取得、同年9月から販売を開始したほか、米国にて2020年2月より第2b相臨床試験を開始している。
もう1つの主力開発品である核酸医薬品のNF-κBデコイオリゴは、アトピー性皮膚炎(顔面で中等症以上の患者が対象)治療薬として開発を進め、2005年にアルフレッサファーマ(株)と共同開発契約を締結したが、開発方針転換により2008年に共同開発契約を終了。2010年に塩野義製薬<4507>と独占販売権許諾契約を締結した。2016年7月の臨床試験の結果で、主要評価項目においてプラセボ群に対する統計的有意差が得られなかったため、今後の開発方針を検証しているところである。また、自社で椎間板性腰痛症を対象とした第1b相臨床試験を2018年2月より米国で開始している。さらに、第3のパイプラインとしてDNAワクチンの開発に取り組んでおり、2018年4月より高血圧症を対象とした第1/2a相臨床試験をオーストラリアで開始している。
このほか、導入品として希少疾病であるムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム®」の国内販売権を、米BioMarin Parmaceutical(以下、バイオマリン)から2006年に取得し、2008年より販売を行ってきたが2019年3月にバイオマリンの日本法人に販売権を承継したことに伴い、2019年12月期第2四半期で販売を終了している。また、2013年に韓国バイオリーダースから導入したCIN治療ワクチンは、2016年12月に森下仁丹<4524>と独占的開発・製造・販売権の再許諾契約を締結し、開発の主体が森下仁丹に移っている※。
※森下仁丹は2019年4月に、開発販売実施権の一部をプロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌等)利用医薬品の開発で実績を持つ創薬ベンチャーのGLOVACC(株)に再許諾している。また、日本大学医学部において子宮頸がんを対象とした医師主導治験準備の最終段階に入っている。
直近では2018年7月にカナダのVasomuneと急性呼吸不全治療薬に関する共同開発契約を締結したほか、マイクロバイオーム事業の可能性を探索するためにイスラエルのMyBioticsに出資している。また、2019年3月には最先端のゲノム編集技術の開発を行う米Emendoにも出資し、遺伝子疾患を対象とした治療用製品の共同開発を進めていく方針となっている。
連結子会社は米国に1社あるが規模は小さく連結業績に与える影響は軽微となっている。
2. 事業の特徴とビジネスモデル
同社の事業の特徴は、遺伝子の働きを活用した医薬品である遺伝子治療用製品、核酸医薬、そしてDNAワクチンを遺伝子医薬として定義し、その研究開発に特化していることにある。開発の対象疾患は、社会的な使命であるとともに確実な需要が存在する「難治性疾患」や「有効な治療法がない疾患」としている。また、自社開発品以外にもこうした事業方針と合致する開発候補品を海外のベンチャーや大学などの研究機関から導入し、開発パイプラインの強化とリスク分散を図っている。
同社のビジネスモデルの主軸は、研究開発に特化し(原薬の製造は外部の専門機関に委託)、開発品についての共同開発や独占製造販売権契約を大手製薬企業と締結することで、契約一時金や開発の進捗状況に応じたマイルストーン収入を獲得し、また、上市後の製品売上高に対して一定料率で発生するロイヤリティ収入を獲得するモデルとなる。
臨床試験の規模や期間は対象疾患等によって異なるが、第1相から第3相試験までおよそ3~7年程度かかると言われている。臨床試験の結果が良ければ規制当局に製造販売の承認申請を行い、おおむね1~2年の審査期間を経て問題がなければ承認・上市といった流れとなる。現在は開発ステージのため収益も損失が続いているが、開発品が上市され、一定規模の売上に成長すれば利益化も視野に入ってくる。特に主要開発パイプラインであるHGF遺伝子治療用製品については、自社主導で開発と先行投資を行ってきたためロイヤリティ料率も一般的な水準より高く設定されており、販売が拡大すれば収益へのインパクトも大きくなることが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 会社沿革
アンジェス<4563>は1999年に設立された大阪大学発のバイオベンチャーで、HGF遺伝子(肝細胞増殖因子)の投与による血管新生作用の研究成果を事業化することを目的に設立された。
HGF遺伝子治療用製品では2001年に第一製薬(株)(現第一三共<4568>)と独占的販売権許諾契約を結んだが、その後提携関係を解消し、代わりに田辺三菱製薬と2012年に米国市場、2015年に国内市場で末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を締結し、上市に向けた開発を進めてきた。2019年3月に国内で条件及び期限付製造販売承認を取得、同年9月から販売を開始したほか、米国にて2020年2月より第2b相臨床試験を開始している。
もう1つの主力開発品である核酸医薬品のNF-κBデコイオリゴは、アトピー性皮膚炎(顔面で中等症以上の患者が対象)治療薬として開発を進め、2005年にアルフレッサファーマ(株)と共同開発契約を締結したが、開発方針転換により2008年に共同開発契約を終了。2010年に塩野義製薬<4507>と独占販売権許諾契約を締結した。2016年7月の臨床試験の結果で、主要評価項目においてプラセボ群に対する統計的有意差が得られなかったため、今後の開発方針を検証しているところである。また、自社で椎間板性腰痛症を対象とした第1b相臨床試験を2018年2月より米国で開始している。さらに、第3のパイプラインとしてDNAワクチンの開発に取り組んでおり、2018年4月より高血圧症を対象とした第1/2a相臨床試験をオーストラリアで開始している。
このほか、導入品として希少疾病であるムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム®」の国内販売権を、米BioMarin Parmaceutical(以下、バイオマリン)から2006年に取得し、2008年より販売を行ってきたが2019年3月にバイオマリンの日本法人に販売権を承継したことに伴い、2019年12月期第2四半期で販売を終了している。また、2013年に韓国バイオリーダースから導入したCIN治療ワクチンは、2016年12月に森下仁丹<4524>と独占的開発・製造・販売権の再許諾契約を締結し、開発の主体が森下仁丹に移っている※。
※森下仁丹は2019年4月に、開発販売実施権の一部をプロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌等)利用医薬品の開発で実績を持つ創薬ベンチャーのGLOVACC(株)に再許諾している。また、日本大学医学部において子宮頸がんを対象とした医師主導治験準備の最終段階に入っている。
直近では2018年7月にカナダのVasomuneと急性呼吸不全治療薬に関する共同開発契約を締結したほか、マイクロバイオーム事業の可能性を探索するためにイスラエルのMyBioticsに出資している。また、2019年3月には最先端のゲノム編集技術の開発を行う米Emendoにも出資し、遺伝子疾患を対象とした治療用製品の共同開発を進めていく方針となっている。
連結子会社は米国に1社あるが規模は小さく連結業績に与える影響は軽微となっている。
2. 事業の特徴とビジネスモデル
同社の事業の特徴は、遺伝子の働きを活用した医薬品である遺伝子治療用製品、核酸医薬、そしてDNAワクチンを遺伝子医薬として定義し、その研究開発に特化していることにある。開発の対象疾患は、社会的な使命であるとともに確実な需要が存在する「難治性疾患」や「有効な治療法がない疾患」としている。また、自社開発品以外にもこうした事業方針と合致する開発候補品を海外のベンチャーや大学などの研究機関から導入し、開発パイプラインの強化とリスク分散を図っている。
同社のビジネスモデルの主軸は、研究開発に特化し(原薬の製造は外部の専門機関に委託)、開発品についての共同開発や独占製造販売権契約を大手製薬企業と締結することで、契約一時金や開発の進捗状況に応じたマイルストーン収入を獲得し、また、上市後の製品売上高に対して一定料率で発生するロイヤリティ収入を獲得するモデルとなる。
臨床試験の規模や期間は対象疾患等によって異なるが、第1相から第3相試験までおよそ3~7年程度かかると言われている。臨床試験の結果が良ければ規制当局に製造販売の承認申請を行い、おおむね1~2年の審査期間を経て問題がなければ承認・上市といった流れとなる。現在は開発ステージのため収益も損失が続いているが、開発品が上市され、一定規模の売上に成長すれば利益化も視野に入ってくる。特に主要開発パイプラインであるHGF遺伝子治療用製品については、自社主導で開発と先行投資を行ってきたためロイヤリティ料率も一般的な水準より高く設定されており、販売が拡大すれば収益へのインパクトも大きくなることが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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