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Sansanのニュース
■スパークス・グループ<8739>の会社概要
1. 会社概要
同社グループは、「世界で最も信頼、尊敬されるインベストメント・カンパニーになる」というビジョンのもと、現 代表取締役社長である阿部修平(あべしゅうへい)氏によって1988年に設立された、独立系アクティブ運用会社のパイオニアである。著名な投資家であるジョージ・ソロス氏の教えを受けた阿部氏の投資手法は、ユニークかつ戦略的なものであり、今ではファンド業界では当たり前となっている「ロング・ショート戦略」を日本に初めて導入した。社名の「スパークス」は阿部氏がジョージ・ソロス氏に自身の投資戦略を説明した際、同氏が「君の投資戦略からはスパークを感じる」と言ったことに由来している。
(1) 「ARTSの精神」
同社グループは独立系運用会社としての使命感も強く、投資家のためになるファンドの創設、投資信託の開発を志向している。この原点として「ARTSの精神」を掲げており、「ARTSの精神」を実行することが同社グループの価値を作り出すと考えている。
(2) 投資哲学
特徴的かつ競争優位となっているのが「マクロはミクロの集積である」という投資哲学だ。阿部氏はこの概念を非常に重視しており、全社に浸透させている。ここでいう「マクロ」とは「正確に予測することが難しい大きな潮流」のことであり、一例を挙げると「日本経済が今後どうなっていくのか」「どのような業界が成長するか」などがある。他方で「ミクロ」とは、「各企業が行っている日々の事業活動」「経営者の資質・方針」といった「予測しやすいこと」「理解できること」を意味する。つまり、企業が行っている活動や経営者の資質を徹底的に調査し、それを積み重ねていくことによって、「マクロ(大きな潮流)」が見えてくるという考え方が「マクロはミクロの集積である」という言葉に集約されている。この考えに基づき、投資現場では「日経平均株価が今後どうなるか」や「目的企業の株価がどう推移するか」といった議論は一切行われず、ファンドマネージャーが自ら設定した仮説に基づき個別企業を訪問し、経営者と対話することを重視している。
また、投資対象企業選定の前段階として「投資仮説」を立てていることも大きな特徴である。「投資仮説」とは「ESG重視が叫ばれるなか、脱炭素企業に対する社会的なニーズが高まる」などが該当する。「投資仮説」に基づき徹底した企業調査を行うことで仮説の是非を検証し、割安かつ健全な成長力を持った企業を見つけ出すことが可能となる。
「マクロはミクロの集積である」という投資哲学は、同社が競争優位に立つために今後ますます重要になってくると弊社では見ている。なぜなら、金融市場にAI(人工知能)が浸透し、運用をAIに任せる流れが加速しているためだ。AIによる運用は、過去の株価の変動に関する膨大なデータをAIに学習させ、統計的に将来の株価を予想するものである。しかし、企業活動や経営者の資質・考えは、実際に現場に出向いてみなければ理解、体感できないものである。企業の業績の行方を決めるのは企業活動の集積や経営者の資質などであり、過去のデータから統計的手法で予測できるものではないとする同社の考えに、弊社は同調する。
このように、徹底的な個別企業調査を行い、投資対象を選定することで、ハイリスク・ハイリターンが原則の金融市場において「安定性」と「高収益」を両立することができる類まれな投資運用会社となり、業界をリードし続けている。なお、資本金は8,587百万円(2021年3月期末時点)、グループ従業員数は180名(同)である。
2. 事業内容
同社グループは、日本株式に投資・運用する「日本株式」、韓国及びその他のアジア地域の株式に投資・運用する「OneAsia」、再生可能エネルギー発電所などに投資・運用する「実物資産」、ベンチャー企業投資を目的としたファンドを組成・運用する「プライベート・エクイティ」の4本柱を成長実現のための注力分野と設定し、投資信託委託業務・投資一任業務・投資助言業務・証券業務を行っている。
(1) 日本株式及びOneAsia
スパークス・アセット・マネジメント(株)が「日本株式」、SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.及びSPARX Asia Investment Advisors Limitedが「OneAsia」分野の運用を担当している。日本株式ロング・ショート投資戦略、日本株式長期厳選投資戦略、日本株式中小型投資戦略、日本株式マーケット・ニュートラル投資戦略、日本株式サステナブル投資戦略などの戦略に基づき、株式への投資・運用を行っている。「日本株式」及び「OneAsia」を合わせた2021年9月末時点の運用資産残高は、前期末比7.2%増の1兆2,478億円に拡大している。
(2) 実物資産
実物資産のうち太陽光発電所などの再生可能エネルギー発電所の開発・管理・運営はスパークス・グリーンエナジー&テクノロジー(株)が担っている。発電所施設の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資・運用(グリーンフィールド投資)はスパークス・アセット・マネジメント(株)が担っている。さらに、運転開始後の発電所施設に投資・運用(ブラウンフィールド投資)するファンドはスパークス・アセット・トラスト&マネジメント(株)が担っている。主な投資実績は、太陽光発電所、風力発電所、バイオマス発電所などである。投資対象に対する知見が不足している場合は、経験豊富なパートナーと組んで投資を行うことで質の高い実物資産に投資し、高い収益を上げることを可能にしている。また、相対的に安定した収益が見込めるオルタナティブ商品に投資するため、他分野のリスクを平準化し、4本柱全体での運用資産残高の安定成長に寄与していると言える。2021年9月末時点の運用資産残高は2,411億円で、投資案件31件(約582MW)のうち売電開始案件は26件(約449MW)であった。投資した案件が順調に収益を上げ始めていることが伺える。また、運用期間が最長20年と長く、その間実質的に解約がないため、安定的な収益が見込まれる。
(3) プライベート・エクイティ
スパークス・アセット・マネジメント(株)、スパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメント(株)及びスパークス・イノベーション・フォー・フューチャー(株)が、「知能化技術」「ロボティクス」「水素エネルギー」「電動化」「新素材」「カーボンニュートラル」「宇宙」などの切り口から国内外のベンチャー企業への投資・運用を行っている。ベンチャー企業への投資が実るまでには長期の時間を要するものの、Sansan<4443>(2019年6月上場)、メドレー<4480>(2019年12月上場)、フリー<4478>(2019年12月上場)などのベンチャー企業に投資を行い、新規株式公開(IPO)までたどり着いている。
また、大手企業と共同でファンドを組成していることも特徴だ。一例を挙げると、2021年10月より運用を開始した「未来創生3号ファンド」では、トヨタ自動車<7203>や(株)三井住友銀行が出資者として名を連ねている。徹底した個別企業調査と優れた仮説構築能力によって大手企業からの出資が実現していると、弊社では評価している。なぜなら、「ミクロ」を知り尽くしているからこそ、投資家自身も気付いていない魅力的な分野に関するファンドを組成できるだけでなく、仮説は適切で説得力があるため、投資家から資金を集めることができるのである。さらに運用期間は10年であり、その間実質的に解約がないため、実物資産と同様に安定的な収益が見込まれる。
「プライベート・エクイティ」は同社グループが強みを発揮できる分野であり、伸ばしていきたいと考えている分野でもある。「顧客が気付いていない新たな投資領域を創造する」ことで成長を築き上げてきた同社グループにとって、「プライベート・エクイティ」は本質を体現している分野の1つであると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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1. 会社概要
同社グループは、「世界で最も信頼、尊敬されるインベストメント・カンパニーになる」というビジョンのもと、現 代表取締役社長である阿部修平(あべしゅうへい)氏によって1988年に設立された、独立系アクティブ運用会社のパイオニアである。著名な投資家であるジョージ・ソロス氏の教えを受けた阿部氏の投資手法は、ユニークかつ戦略的なものであり、今ではファンド業界では当たり前となっている「ロング・ショート戦略」を日本に初めて導入した。社名の「スパークス」は阿部氏がジョージ・ソロス氏に自身の投資戦略を説明した際、同氏が「君の投資戦略からはスパークを感じる」と言ったことに由来している。
(1) 「ARTSの精神」
同社グループは独立系運用会社としての使命感も強く、投資家のためになるファンドの創設、投資信託の開発を志向している。この原点として「ARTSの精神」を掲げており、「ARTSの精神」を実行することが同社グループの価値を作り出すと考えている。
(2) 投資哲学
特徴的かつ競争優位となっているのが「マクロはミクロの集積である」という投資哲学だ。阿部氏はこの概念を非常に重視しており、全社に浸透させている。ここでいう「マクロ」とは「正確に予測することが難しい大きな潮流」のことであり、一例を挙げると「日本経済が今後どうなっていくのか」「どのような業界が成長するか」などがある。他方で「ミクロ」とは、「各企業が行っている日々の事業活動」「経営者の資質・方針」といった「予測しやすいこと」「理解できること」を意味する。つまり、企業が行っている活動や経営者の資質を徹底的に調査し、それを積み重ねていくことによって、「マクロ(大きな潮流)」が見えてくるという考え方が「マクロはミクロの集積である」という言葉に集約されている。この考えに基づき、投資現場では「日経平均株価が今後どうなるか」や「目的企業の株価がどう推移するか」といった議論は一切行われず、ファンドマネージャーが自ら設定した仮説に基づき個別企業を訪問し、経営者と対話することを重視している。
また、投資対象企業選定の前段階として「投資仮説」を立てていることも大きな特徴である。「投資仮説」とは「ESG重視が叫ばれるなか、脱炭素企業に対する社会的なニーズが高まる」などが該当する。「投資仮説」に基づき徹底した企業調査を行うことで仮説の是非を検証し、割安かつ健全な成長力を持った企業を見つけ出すことが可能となる。
「マクロはミクロの集積である」という投資哲学は、同社が競争優位に立つために今後ますます重要になってくると弊社では見ている。なぜなら、金融市場にAI(人工知能)が浸透し、運用をAIに任せる流れが加速しているためだ。AIによる運用は、過去の株価の変動に関する膨大なデータをAIに学習させ、統計的に将来の株価を予想するものである。しかし、企業活動や経営者の資質・考えは、実際に現場に出向いてみなければ理解、体感できないものである。企業の業績の行方を決めるのは企業活動の集積や経営者の資質などであり、過去のデータから統計的手法で予測できるものではないとする同社の考えに、弊社は同調する。
このように、徹底的な個別企業調査を行い、投資対象を選定することで、ハイリスク・ハイリターンが原則の金融市場において「安定性」と「高収益」を両立することができる類まれな投資運用会社となり、業界をリードし続けている。なお、資本金は8,587百万円(2021年3月期末時点)、グループ従業員数は180名(同)である。
2. 事業内容
同社グループは、日本株式に投資・運用する「日本株式」、韓国及びその他のアジア地域の株式に投資・運用する「OneAsia」、再生可能エネルギー発電所などに投資・運用する「実物資産」、ベンチャー企業投資を目的としたファンドを組成・運用する「プライベート・エクイティ」の4本柱を成長実現のための注力分野と設定し、投資信託委託業務・投資一任業務・投資助言業務・証券業務を行っている。
(1) 日本株式及びOneAsia
スパークス・アセット・マネジメント(株)が「日本株式」、SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.及びSPARX Asia Investment Advisors Limitedが「OneAsia」分野の運用を担当している。日本株式ロング・ショート投資戦略、日本株式長期厳選投資戦略、日本株式中小型投資戦略、日本株式マーケット・ニュートラル投資戦略、日本株式サステナブル投資戦略などの戦略に基づき、株式への投資・運用を行っている。「日本株式」及び「OneAsia」を合わせた2021年9月末時点の運用資産残高は、前期末比7.2%増の1兆2,478億円に拡大している。
(2) 実物資産
実物資産のうち太陽光発電所などの再生可能エネルギー発電所の開発・管理・運営はスパークス・グリーンエナジー&テクノロジー(株)が担っている。発電所施設の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資・運用(グリーンフィールド投資)はスパークス・アセット・マネジメント(株)が担っている。さらに、運転開始後の発電所施設に投資・運用(ブラウンフィールド投資)するファンドはスパークス・アセット・トラスト&マネジメント(株)が担っている。主な投資実績は、太陽光発電所、風力発電所、バイオマス発電所などである。投資対象に対する知見が不足している場合は、経験豊富なパートナーと組んで投資を行うことで質の高い実物資産に投資し、高い収益を上げることを可能にしている。また、相対的に安定した収益が見込めるオルタナティブ商品に投資するため、他分野のリスクを平準化し、4本柱全体での運用資産残高の安定成長に寄与していると言える。2021年9月末時点の運用資産残高は2,411億円で、投資案件31件(約582MW)のうち売電開始案件は26件(約449MW)であった。投資した案件が順調に収益を上げ始めていることが伺える。また、運用期間が最長20年と長く、その間実質的に解約がないため、安定的な収益が見込まれる。
(3) プライベート・エクイティ
スパークス・アセット・マネジメント(株)、スパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメント(株)及びスパークス・イノベーション・フォー・フューチャー(株)が、「知能化技術」「ロボティクス」「水素エネルギー」「電動化」「新素材」「カーボンニュートラル」「宇宙」などの切り口から国内外のベンチャー企業への投資・運用を行っている。ベンチャー企業への投資が実るまでには長期の時間を要するものの、Sansan<4443>(2019年6月上場)、メドレー<4480>(2019年12月上場)、フリー<4478>(2019年12月上場)などのベンチャー企業に投資を行い、新規株式公開(IPO)までたどり着いている。
また、大手企業と共同でファンドを組成していることも特徴だ。一例を挙げると、2021年10月より運用を開始した「未来創生3号ファンド」では、トヨタ自動車<7203>や(株)三井住友銀行が出資者として名を連ねている。徹底した個別企業調査と優れた仮説構築能力によって大手企業からの出資が実現していると、弊社では評価している。なぜなら、「ミクロ」を知り尽くしているからこそ、投資家自身も気付いていない魅力的な分野に関するファンドを組成できるだけでなく、仮説は適切で説得力があるため、投資家から資金を集めることができるのである。さらに運用期間は10年であり、その間実質的に解約がないため、実物資産と同様に安定的な収益が見込まれる。
「プライベート・エクイティ」は同社グループが強みを発揮できる分野であり、伸ばしていきたいと考えている分野でもある。「顧客が気付いていない新たな投資領域を創造する」ことで成長を築き上げてきた同社グループにとって、「プライベート・エクイティ」は本質を体現している分野の1つであると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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