ヒトコムＨＤ Research Memo（5）：オムニチャネル営業支援プラットフォームの強化を推進

■ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス<4433>の事業概要

同社グループは、ヒューマン営業支援プラットフォームでアウトソーシング事業と人材派遣事業を行い、EC支援プラットフォームではブランド専門のECサイト運営を支援するEC・TC支援事業と、衣料品の企画から販売までの一連の業務を担うホールセール事業を展開している。

ヒューマン営業支援プラットフォームでは「ヒト力（りょく）」を基盤としたクライアントの事業支援を行う。「ヒト力」とは、「組織運用力」「エリア対応力」「人材育成力」「成果追求力」を指す。

アウトソーシング事業と人材派遣事業において、全国48ヶ所の拠点で、15,000人の高い専門性を持つ人材（「エリア対応力」）が、販売員、インサイドセールス、営業代行、インバウンド・外国人対応、スポーツイベント・MICE運営等の業務を行っている。特にアウトソーシング事業では、成果追求型のビジネスモデルを採用し、同社スタッフの販売実績や接客対応を持って企業の業績向上を目的に業務を遂行している（「成果追求力」）。アウトソーシング事業では「業務運営事務局」をクライアントごとに設置し、販売戦略の企画立案、マーケティング、販売体制の構築、人員採用、教育・研修、接客販売、販売管理、スタッフ管理、顧客ニーズのフィードバック等の業務を担っている（「組織運営力」）。また接客対応向上のため、「仮想店舗」を設置し、販売や営業の現場のロールプレイングを通して教育・研修を行う制度を実施している（「人材育成力」）。人材派遣事業でも対象となる業務・顧客層はアウトソーシング事業と重なることが多いため、アウトソーシング事業で培った販売ノウハウや教育・研修制度を活用し、成果追求型の営業支援を行っている。

EC支援プラットフォームは、Eコマースサイト運営受託、テレビショッピング販売支援業務のEC・TC支援事業とホールセール事業から成り、主に「IT」でクライアントの事業支援を行う。ブランドの専門サイトを対象とし、ブランドの独自性を保ちながらクライアントのECサイトの運営を行っており、ビービーエフが開発したEC支援プラットフォームを用いることで、クライアントの初期費用を抑えながら、ローコストオペレーションを叶える。そして多くの専門サイト運営により蓄積された運営ノウハウで圧倒的な売る力を実現している。また、ECサイトの企画・デザインを行うだけでなく、商品の販売、決済、物流の流れを一貫して受託するフルフィルメントサービス（フルアウトソーシング）を提供している。ホールセール事業については、衣料品の企画提案からPRに至るまでアパレル製造の全プロセスを一括して受託するとともに、契約ライセンスを活用した商品提案などを行っている。EC支援プラットフォームも、ヒューマン営業支援プラットフォームと同様に成果追求型のビジネスモデルを採用している。

同社グループの中期成長を支える戦略として、同社はコーポレート・ベンチャー・キャピタル（CVC）を組成して、オムニチャネル営業支援プラットフォームの強化を図っている。CVCによって先進的なテクノジーを有するベンチャー企業と資本業務提携し、同社グループの「ヒト力」とベンチャー企業の「ITソリューション」を掛け合わせ、事業拡大を目指す。資本業務提携対象としては、AI・チャットボット、アドテクノロジー、AIスピーカー、IoT・デジタルマーケティング事業、VR等の事業者が挙げられる。

1. ヒューマン営業支援プラットフォーム
ヒューマン営業支援プラットフォームは、ヒト・コミュニケーションズと関連子会社である(株)WSS、ティーシーエイ、ジャパンリムジンサービス、ジャッツ、トライアングル、SALES ROBOTICSの7社で事業を行っている。2015年6月に設立された、訪日外国人に向けた観光専門のラグジュアリーリムジンサービスを行うジャパンリムジンサービス以外は、すべて買収企業である。

（執筆：フィスコ客員アナリスト　瀬川　健）

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