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【QAあり】プロパティデータバンク、「@プロパティ」で不動産の情報を一元管理 業務管理システムとして業界シェアNo.1

投稿:2023/12/08 11:00

会社概要

武野貞久氏(以下、武野):こんばんは、プロパティデータバンク代表取締役社長の武野です。今日はお忙しいところ、ご視聴いただきありがとうございます。当社のサービス等を含めて、みなさまにご紹介したいと思います。よろしくお願いします。

まずは、会社概要です。私どもプロパティデータバンクは、清水建設の社内ベンチャーの第1号として2000年に設立した会社です。「不動産に関するパブリッククラウドの会社を作ろう」と、創業時から23年間、ずっとこれだけを貫いてきました。

About us

武野:一言でどのような会社かといえば、「不動産DXプラットフォーム」です。不動産運営に関わる、あらゆる情報・業務をデジタル化することを標榜し運営しています。

坂本:ありがとうございます。質問を入れながら、お話をうかがっていきたいと思います。清水建設の社内ベンチャーからの創業とご説明いただきました。不動産運営に関わるすべての情報をデジタル化するということで、この20数年の沿革を簡単に教えていただけたらと思います。

武野:設立時の2000年は、ちょうどアメリカでREITが出始めた頃です。不動産業も、これまでのように紙と勘に頼るのではなく、会計・経営という観点で管理していかなくてはならないと感じました。

また、不動産は場所が点在し、世界中にあります。これをどのように管理するかを調べていたのが、ちょうどインターネットが出始めた時期です。インターネットを使えば、あらゆる場所・地点の情報を集約でき、うまく管理できるのではという考えを進めていました。

2000年当時は「ピーポロポロ」と音のするアナログ回線で、インターネットをつないでも画面がなかなか変わらない時代です。我々はその頃から始めており、その後に速いADSL回線になっても、一貫してインターネットを使った不動産をしています。

プロパティデータバンクグループ

武野:昨年はグループ会社も作り、プロパティデータバンクグループとしては現在3社となります。

スライド左側のプロパティデータバンクは、創業時から行っている、不動産に関する台帳・業務・バック業務・フロント業務など、すべてを包含した機能を提供しています。隣のプロパティデータテクノスとは、不動産は紙の文化ですが、それをデジタル化するために作った会社です。

右側のプロパティデータサイエンスは、昨今話題の生成AI等を使う第1弾として、店舗の売上予測をしています。ある場所に出店すると月間の売上がいくらになるというような、予測サービスを展開しています。

この3つの柱で、グループ展開しています。

ビジネスモデル

武野:当社のビジネスモデルです。図で示しているように、私どもはユーザーから利用料や業務委託料をいただき、プロパティデータバンクグループでサービスを提供しています。開発はすべて外注先にお願いしています。

坂本:御社のビジネスの対象となる顧客は、何社くらいでしょうか? 可能でしたら、導入社数も教えてください。

武野:みなさま、おおよそのイメージがつくと思いますが、日本には不動産神話、土地神話があり、多くの企業は不動産を持っています。そのような意味では、対象企業は数千社以上です。

坂本:開業しているところは、すべて対象ということですね?

武野:おっしゃるとおりで、対象企業は多くあります。数字的にわかりやすいところでいうと、J-REITではシェアが6割弱くらい、私募REITで5割弱くらいです。

一般事業者の大手でプライム市場の会社の場合、不動産で3パーセントくらいのシェアと言われています。したがって、今後も拡張できる分野だと感じています。

坂本:開発は基本的に外注ということですが、設立当初からでしょうか? また、外注する理由を教えてください。

武野:創業当時、ファブレスという言葉が流行っていました。我々はファブレス経営しようということで、まずは自分たちで持つものと持たないものを明確にしました。

我々の立ち位置は、基本的にお客さまの価値、資産の価値を上げていくものです。単純に物を管理するのではなく、業務プロセスや物の考え方など、どちらかというと上流工程の部分を変えたり作ったりすることにより、価値を上げていくという考えです。

そのような意味で、物を作る部分はその道のプロにしっかりお願いするという考えで、完全に分離しています。2008年にはポーター賞を受賞しました。ユニクロの柳井社長も、同じ時に受賞されており、今の話のように選択と集中を突き詰めたことが評価されて、受賞に至ったと聞いています。

売上について

武野:売上については、おかげさまで6年連続で増収増益となり、昨年度は過去最高益を達成できました。営業利益率は28.6パーセントと、小さな会社ですが高収益・高利益です。

財務の健全性 / 資本効率 / 株主還元

武野:財務の健全性や資本効率等を、スライドに示しました。創業から23年間、脇目も振らず邁進したことが、数字にもしっかりと出ています。

事業領域

武野:先ほどのご質問にも少し重複する、事業領域についてご説明します。スライドは国交省の資料をもとに作成しました。ご覧のように、日本の不動産資産規模は約2,600兆円あります。

我々のビジネスは法人と公的不動産向けですので、およそ半分の約1,320兆円がターゲットとなります。先ほどのJ-REITは最も小さいパイで24兆円です。その外側にある膨大な資産に対しても、我々のサービスが提供可能です。

事業領域

武野:一般的に不動産はBtoCのイメージが強いのですが、我々の事業領域はBtoBとクラウドを主な事業領域として進めています。

坂本:BtoBが主力というところで、顧客層の広がりについてはいかがでしょうか? 先ほどのご説明で、REITもおよそ半分がシェアがあるとうかがいましたが、現在フォーカスしているのは、REITと事業会社のどちらでしょうか?

武野:REITは基本的に、どんどん増えていくものではありません。一方、事業会社の不動産部は、賃貸などの収益物件を扱うところもあれば、事業に供するような事業用の不動産を持っているところもあるため、現在、我々はそこにフォーカスし進めています。昨今の売上比率として、REITは2割強ですので、事業会社からの売上が8割くらいとなります。

坂本:不動産部をお持ちの事業会社には、どのようなニーズがあるのでしょうか? 例えば、自社管理するところはかなり少なくて、大企業ほど他の会社に管理してもらっていると思います。おそらくこの後、システムのご説明があると思いますが、そのような会社が逆に管理に利用しているのかも含め、ニーズを教えていただけますか?

武野:繰り返しになりますが、日本の不動産はかつて「持っていれば価値が上がる」という土地神話、不動産神話がありました。そのような意味で、一般事業会社はどこかに管理を委託する、または自分たちで管財として所有していればよかったわけです。しかし、これからはそういうわけにはいかず、基本的に攻めていかなくてはいけません。

建物は放っておくと価値が下がるため、手入れなどが必要です。おそらく事業会社の方たちもようやく気づいて、「どのように価値を上げていくのか」「価値がない不動産は売却する必要がある」という潮流が起きています。そのような波は特に大企業から来ており、我々はそのような大企業から順番に参入しています。

競合

武野:競合についてご説明します。我々は不動産サービスの中でも、少し立ち位置が変わっています。図の横軸をERP(統合基幹業務システム)と不動産管理、縦軸をターゲット企業の大きさとしました。我々の事業領域は、今までは企業規模の大きな会社をターゲットにした不動産管理にありましたが、最近は少しずつERPの領域にシフトし続けています。

坂本:ERPは、不動産を中心とした基幹統合システムという形になるのですか? 会計まですべて管理という形でしょうか?

武野:我々のサービスを通して、例えば基幹ERP大手の「S」などにつながるようになります。

このような大規模なERPを入れている会社は、不動産は資産のひとつという捉え方しかしていません。その価値が上がっていっているのか、下がっていっているのか、今後どうなるかは見ておらず、その時点の価値でしか見ていません。

したがって、我々がリアルタイムに不動産の状況などを把握し、直接ERPにつないでいくということが、最近は非常に多いです。

坂本:先ほど頭文字が出た「S」などは、かなりカスタマイズできる基幹システムですので、不動産に特化した機能を付けるようなかたちで、システムを提供されるということですね?

武野:おっしゃるとおりです。

坂本:どのような会社が競合でしょうか? 

武野:当社のようなサービスを展開しているところは、意外とあるようでないです。先ほどの「S」も海外の会社ですので、不動産モジュールをかなりお持ちですが、最近はその乗せ換えで弊社のものに変わることが非常に多いです。

坂本:「S」はやはりグローバルすぎて日本に合わないということで、ライバルとしてはそのような基幹システムではなく、カスタマイズを担う会社でしょうか? 上場企業から小さい会社まであると思いますが、それらが競合となりますか? 

武野:我々の売上規模では、ERPにがっつりとつなぐお客さまが多いのですが、中身が不動産管理であるのは変わりません。したがって、「不動産は持っておけばそれでよい」と単純に思われるか、「管理をしっかりしよう」と思われるか、お客さまの意識次第だと思っています。わかりやすくいえば、数棟しか持っていないビルのオーナーでも、我々の主軸である数千棟持っているお客さまでも、ある意味では変わらないのです。

坂本:「しっかり見える化をしたい」かどうかということですね?

武野:そのとおりです。中には銀座に1棟、2棟を所有するオーナーからも、「すべて委託しているため、よく見えない」とのお問い合わせをいただいています。

坂本:確かにそうですね。私も生命保険会社にいた時は、信託銀行に委託していました。報告は年に1回、半期に1回くらいで、内容も「テナントが入りました」というような、個人経営の大家のようなことを生命保険でしてよいのだろうかと思っていた時代もありました。そのようなものも見える化できるということですね?

武野:はい。見える化し決裁につなげていくことができます。

坂本:非常によくわかりました。前提の説明があると、この後のご説明でみなさまのイメージが湧くと思います。

事業内容

武野:事業内容です。「不動産・施設管理のための不動産クラウドサービス」ということで、社内の各部門や、外部委託業者などさまざまな方が、同一のプラットフォームを使えることが当社のサービスの特徴です。

@propertyの機能

武野:こちらのスライドは「@プロパティ」の機能を表したものです。中心にあるERPにいろいろな情報をつなぐほか、ERPで管理する必要はなくとも非常に価値の高い重要な情報も含めて、「@プロパティ」で管理する仕組みです。

図のようなかたちで、我々のサービスに特化しています。後ほど見返していただければと思います。

@propertyの仕組み

武野:「@プロパティ」の仕組みについてご説明します。スライド左に小さく掲載しているように、特許をとっています。社内だけでなく社外の方も関与し、1つのサービスで1つのデータを作っていく過程では、個人情報をはじめとして、セキュリティ上見せられないものがあります。担当以外が触れてはいけない経理情報もあります。

さまざまなセキュリティを考える必要がありますが、会社を作った時に、この特許を清水建設と共同でとっています。したがって、基本的にこの考え方をまねるシステムはなく、それが我々の優位性です。

また、対象不動産がスライド下部に並んでいますが、あらゆる種類の物件を管理し、いろいろな業務をすべて「@プロパティ」の中でこなせて、最終的にはすべての経営データがトップに集まるという仕組みになっています。

坂本:御社のシステムを導入すると、すべての機能が使えるのですか?

武野:最終的に、トップのところに経営データがすべて集まってくる仕組みになっています。

坂本:貴社のシステムを導入すると、全て使用できるようになるのかなど、お話できる範囲で課金体系等について教えていただければと思います。

武野:基本的に、1棟を管理するのに何種類の機能を使うかにより料金設定を行います。料金体系は大きく分けて4つほどあり、大きなセグメントの機能で1棟あたりいくらというイメージですので、1棟の方にとっては非常に安価です。

坂本:なるほど。銀座のビル1棟、2棟のオーナーであれば安価で、大企業や不動産会社の場合は課金が増えるということでしょうか?

武野:おっしゃるとおりです。

坂本:また、個人投資家によく聞かれる質問だと思いますが、シェアが非常に高いため、どのような営業をされているのか気になります。

武野:営業は、口コミが多いです。

坂本:インバウンド的なイメージですか?

武野:おっしゃるとおりです。生命保険会社や損害保険会社、鉄道事業会社は、「○○会」のような会合があるため、そこに入ると横展開が行われます。

坂本:財閥系企業によくありますね。

武野:さらに、グループ会社にも展開すると、またその会社がグループ会社の方々に横展開します。

坂本:なるほど、子会社も同様ですね。

武野:おっしゃるとおりです。

基本的な営業スタイルは、コンサルティング営業です。みなさまの業務がどう変わるか、どう変えていくと価値がより出るかということを営業でお話させていただいていくかたちで、世の中で言うコンサルティングより特殊かとは思います。

坂本:営業の方は、何割ぐらいいらっしゃるのでしょうか?

武野:営業は、だいたい2割弱です。

坂本:では、けっこうシステムの方もいらっしゃるのでしょうか? システム面は外注しているとお聞きしましたが、メンテナンス等も必要かと思います。

武野:システム担当も2割ぐらいです。

坂本:ありがとうございます。イメージがわきました。

@propertyの充実した機能一覧

武野:不動産や資産管理のあらゆる業務を網羅しているため、機能は非常に多岐にわたっています。図で表してしまうと、どこのサービスも同じように見えるのですが、当社の特徴はすべてつながっていることです。スライドの左上から右下まで、すべてのデータがクラウド基盤でつながっていて、どこからでもデータを取り寄せできるような仕組みになっています。

坂本:クラウドの話は非常に興味がありますが、そちらの説明は後ほどおうかがいします。多岐にわたるサービスを展開できる企業は少ないため、同業他社についてのお答えは難しいでしょうか?

武野:おっしゃるとおりです。

坂本:それぞれの機能に対する競合はありますでしょうか?

武野:そうですね、スライドの真ん中の部分にはあります。それぞれ良いソフトですが、単独となるため、当社はすべてつながっていることが特徴です。はじめからつながっている状態であるため、すべて使用することも可能ですし、「この中の1個の箱だけ使いたい」ということもできるため、かなり汎用性も高いです。

@property シェア

武野:業界誌『月間プロパティ・マネジメント』の調査で、2022年よりシェアが上がり、2023年は42.1パーセントとなりました。PM会社向けのシェアとなっており、トップはやはり「Excel」です。

坂本:この結果は意外でした。

武野:「Excel」は、システムではないのではないかと私は思いますが、未だに「Excel」で管理している大企業は意外と多く、そこから着実にシェアが伸びています。

坂本:では、「Excel」で作ったシステムを貴社のシステムに切り替えるというニーズはやはりあるのでしょうか?

武野:あります。「Excel」で管理して、会計システムに手打ちしている企業が多いですが、弊社のシステムに切り替えれば、自動的に会計システムにつながります。そのため、「Excel」をなくすだけではなく、統制をとったかたちで導入できるところが売りの1つです。

坂本:利益率が非常に高いのは、シェアが高いため、安定した収益になり、ある程度の利幅がとれるような価格で提供できることも理由の1つかと思っています。このあたりの仕組みについて教えてください。

武野:弊社のシステムは、パブリッククラウドを目指して作成したため、本当のワンシステムです。

そのため、すべてのお客さまが1つのデータベース、1つのアプリケーションに入っている仕組みです。ただ、データセンター自体は3拠点にありますが、どこかの拠点が止まってもメンテナンスができるよう、リアルタイムで同期をとる仕組みもとっています。

通常はデータセンターが止まると困るため、コストをかけて24時間体制での管理を考えますが、3拠点リアルタイム同期で、自動切り替えもしているため、基本的には余分な管理はしないようにしています。

プライベートクラウドで100社あった場合には、100個のシステムをメンテナンスしなければいけませんが、弊社システムのメンテナンスは1個のみです。開発する人たちも1個だけを見ればよいため、基本的には1つに集中することで利益率も高くなります。

坂本:外注が功を奏したのではとも思っています。自社の場合、あれもこれもと手を出してしまい複雑になっているケースも他社では見受けられます。しかし、外注の場合には、コストを考えてから委託しますよね?

武野:おっしゃるとおりです。

坂本:そうすると、きちんとグランドデザインがあった上で発注されるのではないかと思いました。外注の良さというものは、あるのでしょうか?

武野:人が多くいると、その人に仕事がついてきてしまいます。そのため、本当に必要かどうかという判断がどうしても鈍くなってしまいます。おっしゃるとおり、外注していると、「本当にこれは必要か?」「リターンはどうか?」というところを突き詰めていけるため、無駄な投資もしなくて済むと思います。

@property 解約率

武野:解約率です。BtoBであるため、toCと違い、出たり入ったりということは少ないです。基本的には、年間で数社あるかないかという状況です。

坂本:かなり低いですね。業務の中にシステムが組み込まれているため、長いお付き合いになるようなイメージでしょうか?

武野:そうですね。単一機能だけであれば入れ替えは簡単なのですが、不動産全般になると、ある部門が「ちょっと使いにくいね」と言っても、ほかの部門は「いや困るよね」と言って、なかなか変えることができないという状況があると思います。そのため、1回導入すると、解約はほとんどありません。解約される方は、お試しの方が多数です。

坂本:また、事業売却してしまった方とかもいらっしゃるのでしょうか?

武野:おっしゃるとおりです。

@propertyの優位性

武野:一貫したパブリッククラウドとしての特徴としてスライド右側に記載しています。パブリックでワンシステムということで、システムやサービスのバージョンアップを頻繁に行っています。お客さまの要望や法改正を起点としたものや、おこがましいのですが、弊社が理想と思う未来の姿を含めて、創業以来バージョンアップを行っています。

坂本:スライド左側に「創業来一貫したパブリッククラウド型サービス」と記載されています。創業は2000年ぐらいでしたよね?

武野:おっしゃるとおりです。

坂本:2000年に、クラウドはあったのでしょうか?

武野:2000年というと、Salesforceが日本に進出してきた頃で、クラウドはほとんどありませんでした。弊社が最初にクラウドを構築しようとベンダーに聞いたら、「そもそもクラウドシステムの構築の仕方がわからない」、「サーバーをどうすればよいかわからない」と言われてしまい、そのあたりは弊社で考え、手探りで作成しました。

坂本:グランドデザインは自社だったのでしょうか?

武野:ほぼ自社です。

坂本:すごいですね。今でも技術が大変必要で、資格を持っていると生活に困らないようなレベルだと思います。

そうすると、最初のクラウドで売り出した時はオンプレミスが基本だったと思いますが、お客さまが戸惑われることもあったのでしょうか?

武野:おっしゃるとおりです。創業から5年ぐらいは、オンプレミスが基本だったため、自社用に完全にオーダーメイドで作りたいというお客さまが多かったです。

坂本:特に大企業ほどそうですね。

武野:そうですね。そのため、弊社の最初の活動は「オンプレミスは間違いですよ」という声掛けでした。今で言うSDGsですね。

坂本:サーバーは、クリーンルームでずっと冷房をかけているわけですからね。

@propertyの優位性

武野:3拠点リアルタイム同期の堅牢なシステム構成による、データ消失のリスク軽減が特徴です。お客さまの4割以上が金融庁や監督官庁であるため、みなさまセンシティブに気にされるところです。

プロパティデータバンクグループ中計達成時の姿

武野:事業戦略についてご説明します。グループ戦略として「不動産 WHOLE LIFE」をうたっています。

日本は不動産の寿命が短く、40年か50年で壊してしまいますが、海外であれば100年が当たり前になってきています。オーナーがどんどん変わっても、建物は生き続けるため、建物を主役にすることで「その建物はどれだけの価値を生んでいるのか? 生んでいたのか?」ということをデータとして持ち、次のオーナーに引き継いでいくことを「不動産 WHOLE LIFE」と言います。

坂本:なるほど。

武野:それを突き詰めたサービスにしていこうというのが達成の姿です。

坂本:建物にデータが紐づいていて、売却する時にデータも一緒に渡すようなかたちなのでしょうか?

武野:おっしゃるとおりです

坂本:非常に面白いですね。

武野:現在は、スライドの図の上側ですが、中計達成時には下側の鑑定・評価支援や、流通で次のオーナーにデータを持っていくようなことを考えています。これがWHOLE LIFEです。

2024年3月期 事業戦略

武野:事業戦略です。こちらは目新しいものはなく、「@プロパティ」の部分をどんどん伸ばしていこうというところです。その中で、サービスを拡張する必要があるため、今年度も新規サービスを発表する計画をしています。

去年設立したプロパティデータテクノスとプロパティデータサイエンスは、事業をしっかりと伸ばすため、決めたものを着実に進める事業戦略を考えています。

2024年3月期 第2四半期 進捗

武野:第2四半期の進捗は、ほぼ予定どおりとなっています。「@プロパティ」は伸びており、プロパティデータバンクは3年分のストックがたまっています。お客さまが単独で使う部分も含め、かなりの部分が今ストックでたまっていて、順番に消化していきます。そのような意味で言うと、ここは安定的な部分かと思います。

坂本:基本的に外注で作られるかたちですね。

武野:おっしゃるとおりです。カスタマイズはほぼ外注です。

坂本:そのため、人材不足で対応できないということも基本的にないということですね。

武野:ありません。

坂本:なるほど、計算しやすくてよいですね。

2024年3月期 第2四半期 進捗

武野:こちらのスライドは先ほどのお話と重複するため割愛します。

DXプラットフォーム

武野:大きな投資として取り組んでいるDXプラットフォームのイメージ図です。会社数もサービスも増加したため、根幹部分であるサービスプラットフォームの刷新に取りかかっています。

プロパティデータバンクグループロードマップ

武野:ロードマップです。スライドのとおりいろいろなことを行っています。最近では電子帳簿保存法についてテレビで流れていますが、このあたりの対応も今月リリースします。電子帳簿保存法に対応し、電子契約もできるようになります。今後、DXの部分にも取り組み、あまりみなさまが取り組まないようなところも扱って、いろいろなものを発表していきます。

プロパティデータバンクグループの成長ロードマップ

武野:成長ロードマップです。グロースでは伸びが緩やかと言われるかもしれませんが、2027年3月期で75億円を目指しており、冒険せずに、着実に伸ばしていこうと考えています。

坂本:既存事業が伸びるのはすごく大事なことだと思います。新領域はどんなイメージでしょうか?

武野:新領域は、1つは商業向けです。今までは、ビルを所有しているオーナー向けのサービスだったのですが、逆にそこに出店している店舗オーナー側のサービスを展開しようとしています。また、昨今はやりの生成AI関連にもいろいろとチャレンジしています。弊社のデータベースには、20年前からトレースできるデータが入っています。

坂本:蓄積されているのですよね。

武野:おっしゃるとおりです。単純な断面データではなく、すべての動きが可視化されているようなデータです。そのため、AIを利用すると面白いデータが出てくると考えており、ここを伸ばしていこうと思っています。

店舗開発支援クラウド@commerce

武野:店舗開発支援クラウド「@コマース」という商業向けサービスを展開しています。これも、一部機能だけであれば、いろいろなサービスが世の中にあります。しかし弊社では、出店情報を集約して、その中でどこの物件でどれだけ売上が上がるのかをAIを使用して予測しています。さらに、「@プロパティ」の一番得意な機能に加え、店舗運営におけるお金の支払いや契約をすべてワンストップでできるサービスです。第1弾は今期リリースされるため、ここが目玉のサービス1つになります。

店舗開発支援クラウド@commerce

武野:スライドのようにPDCAサイクルを回すような仕組みです。

電帳保対応ストレージサービス「@knowledge 」

武野:電子帳簿保存法に対応するためのいろいろなサービスがあると思いますが、我々も取り組んでいます。

電帳保対応ストレージサービス「@knowledge 」

武野:結局のところ電子管理のため、既存の紙のデータを、先ほど紹介したプロパティデータテクノスですべてデジタル化して管理するという仕組みです。

データサイエンス分野への進出

武野:先日、11月27日に生成AI関係を扱っていて、どちらかというと画像系のAIを用いた事業を行っているフューチャースタンダードという会社と業務提携を行ったとプレス発表を行いました。

坂本:基本合意をして間もないため、全体構想が定まっていない可能性がありますが、どのようなことができるようになりそうですか?

武野:思いのほかいろいろなところに活用可能です。一番わかりやすいところで言うと、彼らは画像処理が得意なため、よくありますがレシートを読み込んでいます。

坂本:OCRがらみですか?

武野:おっしゃるとおりです。ただそこはどこでもできそうかなと思っているため、我々が一番狙っているのは、先ほどお伝えした大量に溜まったデータを活用した価値提供です。

おもしろい例として、例えば賃貸に空室が出たとします。その空室に対して、いくらの賃料で募集したら良いかなどです。もともと賃料が10万円だったとして、その賃料10万円を維持した場合、もしかすると3ヶ月間空室のままかもしれません。一方、7万円に変更するとすぐに入居する可能性が高まるかもしれません。

このような情報があれば、「どうしようか?」と考える材料になりますよね。今までであれば、人間が勘で「ここだったら、たぶん8万円にするとおそらく1ヶ月半で入居するよね」などのように検討していたと思います。

そこにAIを使うと思いのほか明確に「あなたの物件のこの価値だったら、おそらくこれくらいで募集すれば、これくらいの期間で入ります」という情報が出てきます。

かなり良い確率で当たっているため、このようなところを我々のシステムに組み込めば、お客さまが工事を行った方がいいのか、行わなくてもよいかなどの判断が可能です。

坂本:僕は、普段から不動産投資をかなり行っていますが、一番気になるところです。

武野:不動産はCAPEXの工事の投資にお金が一番要りますよね。

坂本:何ヶ月住めば回収できるのかなどの話ですよね。

武野:おっしゃるとおりです。そのあたりをAIの力を借りて行おうと考え、進めようとしています。

2024年3月期第2四半期業績サマリー(連結)

武野:決算の概要は、まだ第2四半期のため若干不足している部分もありますが、大筋は予定どおりに進んでいます。ご説明は以上になります。

質疑応答:J-REITで物件数が増えた場合における売上への影響について

坂本:「J-REITのシェアが55パーセントだというお話でした。J-REITは建物の入れ替えが比較的多くあります。入れ替えも事業の1つだと思いますが、新規で物件数が増えた場合は、御社に入ってくる売上高も増えるのでしょうか?」というご質問です。

武野:はい、増えます。ただし、55パーセントあるといっても、J-REITに売った物件が次の別のJ-REITに行った場合、結局我々の物件が1棟減って、他のユーザーに1棟増えるだけのため実際のところあまり減少しません。

リーマンショックの時も建物が減りませんでした。ファンドはいくつか破綻してなくなったのですが、結局それは我々のユーザーのどこかに行くため、あまり変わらないとは思っています。

坂本:それはすごいですね。

武野:そのため、あまり不況の影響を受けない感じです。

質疑応答:都心の不動産価格の高騰に伴う業績への影響について

坂本:「都心の不動産価格の高騰が続いていますが、業績に影響はありますか?」というご質問です。

武野:建物は消えないため、高くても安くても管理をしなければいけません。そしてみなさまの意識が「放置してはいけない」と思っていただけています。価格を問わず手を入れなければゴミのようになってしまうため、そのような意味では我々への影響はあまりありません。

質疑応答:採用や育成計画など独自の取り組みについて

坂本:「自前で人材の開発を行わないと伺っているため、恐らく人材はかなり厳選して採用できる特徴があると思います。こちらの採用や育成計画など、独自の取り組みがあれば教えていただきたいです」というご質問です。

武野:創業時からいろいろと相当尖っていて、いろいろなことをファブレスで行っています。どちらかと言うと価値を作っていく事業のため、人材育成についても普通に教育を行い、マニュアルを渡して教育するようなことはできません。

特に、現在不動産回りのBPRを行っていますが、BPRのコンサルタントは世の中にほとんどいません。そこを我々が自社で行うので、それなりに高度なことを行っていかなければいけません。詳しくはお伝えできませんが、そのような取り組みを行っています。

坂本:システムに、そのコンサルティングもついているという感じですね。

武野:おっしゃるとおりです。

質疑応答:金利の上昇とビジネスの関係について

坂本:「最近、10年債を中心に金利が上昇する局面にありましたが、金利の上昇と御社のビジネスは関係があるのでしょうか?」というご質問です。

武野:経済が絡んでいるため、まったくないとは言いませんが、あまり関係ありません。

坂本:建物だからということですか?

武野:はい、金利が上昇したとしても、建物はすでに建ってしまっているため、個人の方にもあまり関係がありません。

質疑応答:顧客の地域的な偏りや注力したいエリアについて

坂本:「顧客の地域的な偏りはありますか? また注力したいエリアがあれば知りたいです」というご質問です。基本的には全国が対象ですか?

武野:もともとは東京圏、関東圏に注力していて、その次に関西でした。現在は、九州が非常に多いです。まずそのようなところを重点的に開拓して、それ以外のところは都度お話しをいただく感じです。

坂本:事業会社であれば、海外の物件などを持っていることもあると思います。御社のシステムでは、その対応も可能でしょうか?

武野:もうすでに使われています。あまり言えませんが、当社のシステムは英語や中国語、韓国語など多言語対応できているため、世界中の資産管理をしています。通貨もマルチカレンシーのため、海外物件の資産をレート換算することが可能です。

質疑応答:採用について

坂本:「先ほど教育についてご説明いただきましたが、採用について教えてください。中途と新卒のどちらが多いかを含めて教えてください」というご質問です。

武野:絶対数はやはり中途採用の方が多いです。新卒採用はなかなか難しいです。

坂本:新卒者の場合突出した人を探すのは難しいですよね。

武野:はい、ただし、中途採用も簡単ではありません。大半の面接には私も出席します。

事業がかなり尖っているために、そこの意識がうまく合わないとなかなか定着できないだろうと考えています。

坂本:会社はかなり大きいですが、ベンチャースピリッツはやはり大事だということですね。

武野:おっしゃるとおりです。それと、お客さまの事業規模が大きいためです。

坂本:なるほど、大きいお客さまの対応では、尖りすぎても駄目だし、正しくスーツを着こなせるような人でないと厳しいということですね。

武野:おっしゃるとおりです。加えて、先方のみなさまが業務のプロだからという理由もあります。経理のプロ、財務のプロ、不動産のプロに対して、おこがましいようなPRを行うため、それなりにハートも強くないと務まりません。

坂本:非常によくわかりました。ありがとうございます。

質疑応答:今後のM&Aに関する展望について

坂本:「御社は財務もかなり健全で利益率も高いということです。今後のM&Aについて展望があれば教えていただきたいです」というご質問です。

武野:基本的には先ほどお伝えしたとおり、我々の完成形を目指すために必要なものは積極的に調達すべきだと思っています。それはファブレスも同じです。そのため、去年もM&Aを1件行い、今後も進めていこうと思っています。

坂本:基本、隣接システムの会社というイメージでしょうか?

武野:それだけではありません。先ほどお伝えしたコンサルタントも、コンサルティングできる人であればそちらの軸足になります。逆にSIerのように、何かを言われて作るという姿勢は、おそらくあまり当社とは合ってないと思います。どちらかと言うと、価値創造を行っていくスタンスを求めています。

坂本:つまり、どちらかというと上流の方が多くなりますか?

武野:多いだろうと思います。

坂本:なるほど、ありがとうございます。それと、現在物件の基本システムを売っているため、管理の会社を買ってしまおうという可能性はありますか? そのような管理などは自分で行おうといった考え方です。

武野:社員を対象に行う社内のアンケートでも「今後、PM会社を買ったり自社で不動産管理を行ったりしたらどうか」という意見がたまに出ます。

坂本:PMをやろうということですね。

武野:しかし、それを行ってしまうとお客さまから見たときに当社の軸足が変わってしまったように見えると思います。

我々は一貫して、お客さまの資産の価値を向上するためにどうするか考えることが重要なので、そこをずらすのはまずいと思っています。

質疑応答:業績の季節性について

坂本:「不動産会社や建設会社は、かなり季節性変調があると思います。しかし御社は基本的に季節性の変調がないように思いますがいかがでしょうか?」というご質問です。

武野:我々の売上の傾向として、やむを得ないことですがソリューションやそのカスタマイズなどの売上は期末に向かって急激に伸びる傾向があります。そのような意味での季節変動はあります。一方、クラウド利用料の季節変動はあまりありません。

質疑応答:クラウドの運営担当について

坂本:「クラウドは、東京・大阪・福岡の3拠点があるという話ですが、これは自前で行っているのですか?」というご質問です。

武野:おっしゃるとおりです。データセンターはもちろん借りていますが、運営は全部自社で行っています。構築も先ほどお伝えした通り、どのようにデザインするかも全部自社で企画しています。

坂本:そのように行われているのですね。

武野:したがって、こちらもかなり尖っていると言われます。

坂本:担当する技術者の能力が相当に高くないとできないと思います。

武野:おしゃる通りですね。

坂本:それは中途採用者ですか? それともずっと長く勤務されている方が何人かいるのですか?

武野:中途採用者です。実はメインは私が担当しています。

坂本:それはすごいことですね。

武野:デザインについては、創業時からほとんど私も担当していて、あくまでも尖った感じで行っています。

質疑応答:武野社長の経歴について

坂本:「社長のご経歴はどのようなご経歴をお持ちでしたか?」というご質問です。

武野:私はもともと清水建設にいました。清水建設ではさまざまなことを担当させていただいて、海外の業務提携や大阪にある某ドームのコンペをルーカスフィルムと一緒に提案したりなど、かなりコンサルチックなことも担当していました。

また、湾岸戦争で砂漠がオイルまみれになった地区を緑化するための取り組みを担当しました。なかにはふるさと創生の補助金をもらって行うコンサルティングのように定型的な業務を行いました。

コンサルティングにも携わりましたし、物流系では、倉庫に入ってみなさまの後ろ側でベルトコンベアのレイアウトの検討を行いました。

極めつけですが、阪神淡路大震災の時はヘルメットをかぶって現場に行きました。建築担当として、ひたすら穴を掘って水を止めるという作業を担当しました。本当にたくさんのことを経験したと思います。

坂本:本当に、大企業ならではの多岐にわたるお仕事ですね。やはり現在の事業に活かせますよね。

質疑応答:外注費と現在の利益率の状況について

坂本:「クラウドサービスの受注で売上が上がる一方、外注費が気になっています。しかし、これがこなせるようになれば、一気に利益は伸びるのでしょうか? 現在の利益率は、限界利益率に近いところなのか、さらに伸ばせる余地ってあるのかを含めてお伺いしたいです」というご質問です。

武野:さらに伸ばせると思っています。外注は、基本的に先ほどお伝えしたように、なるべく外注で済むところ、スイッチできる部分は外注の方を使っています。現在外注は100名体制で、数社を利用していて、ほぼ当社専属になっています。事業の進捗に応じてそこを増やしていく感じです。

坂本:それはスピーディーな意思疎通と開発ができますね。

武野:おっしゃるとおりです。おそらく、外注が無駄に増えていくこともないと考えています。

質疑応答:社員アンケートの内容について

坂本:「社員アンケートがあるとお伺いしました。どのようなアンケート内容ですか?」というご質問です。

武野:働き方の話や、先ほどお伝えしたように「今後にこのような事業を行ったらよいのではないか、おもしろいのではないか」という話などがあります。もちろん厳しいアンケート意見が出ることもあります。基本的にそれを集計して、毎月私が事業メンバーに説明・回答することを行っています。

坂本:それは風通しが良く、従業員のやる気も出るのかなと思います。

本日は御社の業務内容や目指すべき道、なぜこのように利益率が高いのかなどの裏側をお伺いできて非常に良かったと思います。

武野貞久氏からのご挨拶

武野:BtoBで不動産ということでわかりにくいかなと思い、なるべくみなさまにわかりやすく伝えるように努めたつもりですが、ご説明足りないところが多々あったかと思います。

お答えできなかった部分も含めて、今後も回答を行っていきたいと思います。もし興味がありましたら、当社へ質問していただければと思います。今日はありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス
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