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ユミルリンク Research Memo(5):右肩上がりの成長により財務状況も健全

配信元:フィスコ
投稿:2022/04/18 15:25
ユミルリンク<4372>の業績動向

1. 2021年12月期の業績概要
2021年12月期の業績は前期比で大幅な増収増益を達成し、そろって過去最高を更新した。売上高が前期比18.4%増の1,929百万円(うちストック売上が1,881百万円、スポット売上が48百万円)に伸びるなか、営業利益と当期純利益はそれぞれ同28.3%増の414百万円、同28.1%増の286百万円に急伸。経常利益も前期比22.1%増の398百万円に膨らんでいる。

好業績の要因は、主力のメール配信システム「Cuenote(R) FC」とSMS配信サービスの「Cuenote(R) SMS」の業績が拡大したことだ。「Cuenote(R) FC」に関しては市場が普及期から成長期に移行するなか、ミッションクリティカルなシステムを必要とする金融・保険などの業界においてクラウドシステムの導入が進むなかで高いセキュリティ機能とサービス継続率を誇る同社の高品質サービスが評価され、金融、通信、運輸業界などのエンタープライズユーザーや省庁などへの新規導入が進んだこと、有事の際に同一IPアドレスを使用できることがミッションクリティカルなシステムを必要とする業界・企業に評価され「ディザスターリカバリープラン」が好調だったこと、コロナ禍でのメール配信数増加によるプランアップで顧客当たりの契約金額が増加したこと、デジタルマーケティングが加速し、顧客の保有アドレスが増大するなかで大規模・高速配信が可能な同社のサービスが評価されたこと、月間解約率を平均0.38%と低く抑えることができたことなどが寄与した格好だ。また、プロフェッショナルプランと呼ばれる顧客の要望に基づいて配信環境を構築する高価格帯プランの受注が好調だったことも増収増益に貢献した。

SMSについては市場が黎明期から普及期に入るなかで、電力、金融、流通、小売などの業界への新規導入が進んだこと、新規顧客の獲得によりメッセージ配信数が急伸したこと、既存顧客のプロモーション利用が膨らんだこと、月間解約率を平均0.15%と低く抑えることができたことなどの要因が業績を押し上げた。電力、金融などの業界で新規導入が加速したのは、料金徴収の督促手段としてSMSを活用する企業が増えたこと、業務の効率化や若者の電話離れを受けてコールセンター業務をSMSに代替する流れが進んだことなどが要因だ。

その他、「Cuenote(R) Survey」と「Cuenote(R) 安否確認サービス」も好調だった。企業のDXの流れを受け、社員向けアンケートの作成を効率的かつ容易に行いたいといったニーズが拡大し、「Cuenote(R) Survey」に対する引き合いが増えた格好だ。

さらに、SaaSビジネスで重視される各指標も好調に推移し、前期を上回っている。2021年12月期末時点における「Cuenote(R) FC」「Cuenote(R) SMS」その他サービスのMRRはそれぞれ、前期比14.7%増の141百万円、同193.7%増の29百万円、同2.3%増の4百万円に伸びたほか、チャーンレートは0.38%、NRRは110.6%と好調だった。

同社売上の約8割を占める「Cuenote(R) FC」がミッションクリティカルなシステムを必要とする企業に導入されていることは、同社の高い技術力と充実したサポート体制が顧客に評価されている証であると弊社は考える。また、売上の大部分を占めるメール配信サービスが順調に拡大していることは朗報だ。デジタルマーケティング市場が今後拡大するなかで、同社の業績は安定して推移していくと弊社は見ている。

2. 過去の業績推移
(1) 売上高と営業利益
2012年12月期には739百万円だった売上高と59百万円だった営業利益は、2021年12月期にはそれぞれ1,929百万円、414百万円まで拡大。文字通り右肩上がりに成長してきたと言えるだろう(同期間の売上高と営業利益のCAGRはそれぞれ11.2%と24.2%)。デジタルマーケティング市場が拡大するなか、大規模・高速配信を可能にする技術力や充実のサポート体制などを武器に業績を順調に拡大してきたことが窺える。

特筆すべきは営業利益率の高さだ。2012年12月期には8%だった同指標は、売上が拡大するにしたがって2021年12月期には21%に急伸している。同社のようなSaaS型ビジネスモデルは変動費が少ない分、売上が拡大するにつれて利益率が上昇する傾向にある。今後も業績が拡大するなかで、営業利益率をはじめ各指標の利益率が高まっていく可能性は十分にあると弊社は見ている。

(2) キャッシュ・フローの推移
2017年12月期から2020年12月期までの営業キャッシュ・フロー、投資キャッシュ・フロー、財務キャッシュ・フローの推移を見ると、営業キャッシュ・フローは一貫してプラス、投資キャッシュ・フローはマイナス、財務キャッシュ・フローは2020年12月期まで0円で推移しており、営業で稼いだ資金内で将来の業績拡大に向けて積極的に投資をしてきたことが分かる(2021年12月期はプラスに転じた)。また、営業キャッシュ・フローから投資キャッシュ・フローを差し引いたフリーキャッシュ・フローが常にプラス圏で推移していることからも、財務の健全性が読み取れる。

3. 財務状況と経営指標
2021年12月期は当期純利益が前期比28.1%増の286百万円に伸長したことにより、貸借対照表の利益剰余金がその分増加し、1,229百万円に膨らんでいる。また、営業活動・投資活動・財務活動を行った結果、期末時点の現金及び預金は前期比1,324百万円増と大幅に増加し、1,513百万円に膨らんでいる。これは、事業活動の結果、営業キャッシュ・フローがしっかりとプラスになったことに加えて、2021年9月に上場し、株式市場から311百万円を調達したことが大きく寄与している。利益剰余金を見てみると、2018年12月期以来順調に増加しており、しっかりと利益が積み上がってきていることが読み取れる。

財務状況に関しては、自己資本比率が70%以上と安定して高い比率で推移していること、2021年12月期の流動比率が452.3%と非常に高い水準であることなどから手元流動性に問題はなく、財務状況は非常に健全であると弊社は考える。

また、経営指標に関して特筆すべきはROE(自己資本利益率)の高さだ。2018年12月~2021年12月期まで一貫して18%以上の値で推移しており、投資家から預かった資金を効率的に利益に変えていることが分かる。投資の資金を効率的に利益に変えることができる企業は市場で評価されることになるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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配信元: フィスコ
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