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サイバネットシステムのニュース
■サイバネットシステム<4312>の業績動向
2. 財務状況
2022年12月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比643百万円増加の23,913百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では親会社である富士ソフト向けの貸付金(キャッシュ・マネジメント・システムによる取引)回収により、短期貸付金が3,579百万円減少した。一方で、現金及び預金が1,785百万円、有価証券が1,500百万円それぞれ増加し、金融資産としては前期末比294百万円減少の15,715百万円となった。また、受取手形、売掛金及び契約資産が1,396百万円減少した一方で、収益認識会計基準等の適用に伴い前渡金が1,874百万円増加した。固定資産は、新基幹業務システムの導入に伴い無形固定資産が114百万円増加したほか、投資その他の資産が97百万円増加した。なお、新基幹業務システムの稼働開始時期は2022年を予定していたが、開発遅れにより2023年にずれ込む見通しとなっている。
負債合計は前期末比1,472百万円増加の9,010百万円となった。流動負債では買掛金が226百万円、未払法人税等が436百万円、賞与引当金が353百万円それぞれ減少した一方で、収益認識会計基準等の適用に伴い前受金が2,934百万円増加した。また、固定負債では退職給付に係る負債が47百万円減少した。純資産合計は前期末比829百万円減少の14,902百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益を573百万円計上した一方で、収益認識会計基準等の適用に伴い期首の利益剰余金を911百万円減算調整したことや、配当金支出、自己株式取得などが減少要因となった。
経営指標を見ると、自己資本比率が61.6%と前期末から4.7ポイント低下したものの、無借金経営で金融資産が150億円超と潤沢にあることなどから、財務の健全性は高いと判断される。同社は今後、豊富な手元キャッシュをM&A等の成長投資と株主還元に充当する方針である。
2022年12月期は期初計画を据え置くも、足元の受注状況に変化はなく下期から増収増益に転じる見通し
3. 2022年12月期業績見通し
2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比11.9%減の20,000百万円、営業利益で同36.4%減の1,800百万円、経常利益で同36.2%減の1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同35.6%減の1,150百万円と期初計画を据え置いた。Synopsysとの販売代理店契約終了によるマイナス影響は第3四半期までで一巡し、下期だけで見ると増収増益に転じる見通しとなっている。
Synopsys製品及び付随するハードウェア等の売上高(日本及びアジア)は2020年12月期で4,657百万円だったので、既存事業ベースで見ると売上高は2020年12月期の17,008百万円から2年間で1.18倍に成長することになる。主力製品のマルチフィジックス解析ツールが堅調に推移するほか、自社開発製品やMBSE等のコンサルティングサービスやDX支援サービス、クラウドセキュリティソリューション等の売上成長を下期も見込んでいる。景気の先行き不透明感が強まっているものの、企業の研究開発投資は成長の源泉となるため景気変動の影響を受け難い傾向にある。実際、同社の足元の受注状況も堅調に推移しているようで、業績計画を達成する可能性は高いと弊社では見ている。
なお、同社はSynopsys製品に代わる光学系ソリューションとして、2021年10月2日よりAnsysと販売代理店契約を締結し、「Ansys Speos(R)」(3次元光学解析ソフトウェア)、「Ansys VRXPERIENCETM」(VRソリューション)、「Ansys Lumerical」(フォトニクス解析ソフトウェア)の販売を開始したほか、2022年2月にはAnsysのグループ会社である米Zemax,LLCの「OpticStudio」(光学設計ソフトウェア)の販売も開始している。製品の性能や機能はSynopsys製品とほぼ遜色はないが、一般的に開発ツールを他社製品からリプレースするのは、性能や機能面で明確な差がない限り難しい。ただ、CAE製品を効果的に使用するためには、一定以上の知識や経験が必要であり、同社のように豊富なノウハウや最新技術に関する情報を持つ代理店からの技術サポートが必要となる。同社はこうした顧客満足度の高いサポート力を強みに、Ansys製品のシェアを拡大していく戦略を立てている。具体的には、顧客企業でSynopsys製品を10ライセンス契約している場合、1~2ライセンスを試験的にAnsys製品に置き換えてもらい、技術サポートを強化していくことでライセンス数を増やしていく戦略だ。導入実績はまだ少ないながらも徐々に増え始めており、一部のSynopsys製品ユーザーからはサポート面での不安の声も上がっていることから、今後Ansys製品のシェアを拡大していく可能性はあると弊社では見ている。
自社開発製品については、欧米子会社における各種ソフトウェア製品の販売増を見込んでいる。また、DX関連ではAR/VRソリューションやIoT/AIソリューションなどの導入を図る。特に、IoTソリューションでは2022年1月より販売を開始したビッグデータ可視化ツール「BIGDAT@Analysis(ビッグデータアナリシス)」が期待される。同製品は、工場での生産設備や生産ラインの稼働状況をIoTセンサで監視し、設備不良等の予兆保全を可視化するツールである。ここ1~2年、設備不良に起因した製造ラインのストップや工場火災などが頻発しており、企業の問題意識も高まっていることから受注拡大の好機と言える。同ソリューションに関しては、工場が多く集積しているアジアでの展開も進めており、今後の成長が期待される。そのほか、企業へのサイバー攻撃が頻発するなかで、クラウドセキュリティソリューションについても好調が続く見通しだ。
なお、営業利益率が2021年12月期の12.5%から9.0%に低下するのは、減収による売上総利益の減少に加えて、人財投資を積極化することによる採用費及び人件費の増加、基幹システムの刷新(投資予定額約7億円)に伴う償却費増などを見込んでいるためだが、このうち、基幹システムについては稼働開始時期が2023年にずれ込む見通しとなったため、費用減要因となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 財務状況
2022年12月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比643百万円増加の23,913百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では親会社である富士ソフト向けの貸付金(キャッシュ・マネジメント・システムによる取引)回収により、短期貸付金が3,579百万円減少した。一方で、現金及び預金が1,785百万円、有価証券が1,500百万円それぞれ増加し、金融資産としては前期末比294百万円減少の15,715百万円となった。また、受取手形、売掛金及び契約資産が1,396百万円減少した一方で、収益認識会計基準等の適用に伴い前渡金が1,874百万円増加した。固定資産は、新基幹業務システムの導入に伴い無形固定資産が114百万円増加したほか、投資その他の資産が97百万円増加した。なお、新基幹業務システムの稼働開始時期は2022年を予定していたが、開発遅れにより2023年にずれ込む見通しとなっている。
負債合計は前期末比1,472百万円増加の9,010百万円となった。流動負債では買掛金が226百万円、未払法人税等が436百万円、賞与引当金が353百万円それぞれ減少した一方で、収益認識会計基準等の適用に伴い前受金が2,934百万円増加した。また、固定負債では退職給付に係る負債が47百万円減少した。純資産合計は前期末比829百万円減少の14,902百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益を573百万円計上した一方で、収益認識会計基準等の適用に伴い期首の利益剰余金を911百万円減算調整したことや、配当金支出、自己株式取得などが減少要因となった。
経営指標を見ると、自己資本比率が61.6%と前期末から4.7ポイント低下したものの、無借金経営で金融資産が150億円超と潤沢にあることなどから、財務の健全性は高いと判断される。同社は今後、豊富な手元キャッシュをM&A等の成長投資と株主還元に充当する方針である。
2022年12月期は期初計画を据え置くも、足元の受注状況に変化はなく下期から増収増益に転じる見通し
3. 2022年12月期業績見通し
2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比11.9%減の20,000百万円、営業利益で同36.4%減の1,800百万円、経常利益で同36.2%減の1,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同35.6%減の1,150百万円と期初計画を据え置いた。Synopsysとの販売代理店契約終了によるマイナス影響は第3四半期までで一巡し、下期だけで見ると増収増益に転じる見通しとなっている。
Synopsys製品及び付随するハードウェア等の売上高(日本及びアジア)は2020年12月期で4,657百万円だったので、既存事業ベースで見ると売上高は2020年12月期の17,008百万円から2年間で1.18倍に成長することになる。主力製品のマルチフィジックス解析ツールが堅調に推移するほか、自社開発製品やMBSE等のコンサルティングサービスやDX支援サービス、クラウドセキュリティソリューション等の売上成長を下期も見込んでいる。景気の先行き不透明感が強まっているものの、企業の研究開発投資は成長の源泉となるため景気変動の影響を受け難い傾向にある。実際、同社の足元の受注状況も堅調に推移しているようで、業績計画を達成する可能性は高いと弊社では見ている。
なお、同社はSynopsys製品に代わる光学系ソリューションとして、2021年10月2日よりAnsysと販売代理店契約を締結し、「Ansys Speos(R)」(3次元光学解析ソフトウェア)、「Ansys VRXPERIENCETM」(VRソリューション)、「Ansys Lumerical」(フォトニクス解析ソフトウェア)の販売を開始したほか、2022年2月にはAnsysのグループ会社である米Zemax,LLCの「OpticStudio」(光学設計ソフトウェア)の販売も開始している。製品の性能や機能はSynopsys製品とほぼ遜色はないが、一般的に開発ツールを他社製品からリプレースするのは、性能や機能面で明確な差がない限り難しい。ただ、CAE製品を効果的に使用するためには、一定以上の知識や経験が必要であり、同社のように豊富なノウハウや最新技術に関する情報を持つ代理店からの技術サポートが必要となる。同社はこうした顧客満足度の高いサポート力を強みに、Ansys製品のシェアを拡大していく戦略を立てている。具体的には、顧客企業でSynopsys製品を10ライセンス契約している場合、1~2ライセンスを試験的にAnsys製品に置き換えてもらい、技術サポートを強化していくことでライセンス数を増やしていく戦略だ。導入実績はまだ少ないながらも徐々に増え始めており、一部のSynopsys製品ユーザーからはサポート面での不安の声も上がっていることから、今後Ansys製品のシェアを拡大していく可能性はあると弊社では見ている。
自社開発製品については、欧米子会社における各種ソフトウェア製品の販売増を見込んでいる。また、DX関連ではAR/VRソリューションやIoT/AIソリューションなどの導入を図る。特に、IoTソリューションでは2022年1月より販売を開始したビッグデータ可視化ツール「BIGDAT@Analysis(ビッグデータアナリシス)」が期待される。同製品は、工場での生産設備や生産ラインの稼働状況をIoTセンサで監視し、設備不良等の予兆保全を可視化するツールである。ここ1~2年、設備不良に起因した製造ラインのストップや工場火災などが頻発しており、企業の問題意識も高まっていることから受注拡大の好機と言える。同ソリューションに関しては、工場が多く集積しているアジアでの展開も進めており、今後の成長が期待される。そのほか、企業へのサイバー攻撃が頻発するなかで、クラウドセキュリティソリューションについても好調が続く見通しだ。
なお、営業利益率が2021年12月期の12.5%から9.0%に低下するのは、減収による売上総利益の減少に加えて、人財投資を積極化することによる採用費及び人件費の増加、基幹システムの刷新(投資予定額約7億円)に伴う償却費増などを見込んでいるためだが、このうち、基幹システムについては稼働開始時期が2023年にずれ込む見通しとなったため、費用減要因となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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