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Jストリームのニュース
■Jストリーム<4308>の事業戦略
1. 経営ビジョン
スマートフォンなど動画視聴可能なデバイスを個人が常時携帯するようになり、Wi-Fi環境の充実や今後予定される5Gの普及などもあり、屋内外でインターネット動画を視聴する環境整備が進んでいる。テレビから離れた若者は、好みのタイミングで様々なデバイスを使って動画を視聴する。SNSや社内ポータルなどの利用も増加し、それがさらに動画配信の環境を充実させる。また、動画を利用するコストの低下や効果の拡大が動画の利用増に拍車をかける。このような動画のコモディティ化現象により動画を利用するシーンが急速に拡大、インターネット動画配信の市場も大きく伸びていくと予測されている。
こうした状況のなか、インターネット配信業界で予想されているのが、EVC(Enterprise Video Communications:一般企業における動画を使ったコミュニケーション)におけるeラーニングや統合型マーケティングなど用途特化型サービスの台頭、そしてNHKによる同時配信※やOTT (Over The Top:Netflixなど通信事業者以外の企業やプラットフォーム、サービス)事業者の動画配信サービス参入による放送と通信の融合と再編——である。いずれも同社にとってビジネスチャンスといえ、同社はEVCとOTTという領域に照準を合わせ、様々な機能を共通プラットフォームに乗せることでニーズに適した最新のサービスを常に提供できるようにし、サービスの先にある顧客の抱える課題を引き出し解決していくことを考えている。最先端の動画ソリューションカンパニーへと進化することを狙った動きと言えるだろう。
※NHKによる同時配信:(IP)サイマル放送とも言い、1つの放送局が同じ時間帯に同じコンテンツを、異なるチャンネル(周波数)や放送方式、放送媒体で放送すること。特に、放送(テレビ、ラジオ)と同じものを通信(インターネット)で同時配信することを指すことが多い。NHKは2020年4月1日、「NHKプラス」でテレビ番組のインターネット同時配信サービスを本格的にスタートした。
放送局の収益に貢献できるパートナーになる
2. OTT領域における事業戦略
スマートフォンが普及し5G時代が迫るなか、2019年にインターネット広告費がテレビメディア広告費を初めて上回った。そして2020年3月にはNHKが同時配信をスタートさせたことで、民放各局もデジタル戦略を推進する姿勢を強めている。しかし、OTTでは継続的な開発やシステム運用が必要になるため、放送局などのコンテンツホルダーが独自の配信サービスを構築するのは至難であり、現状は、影響力の大きいAmazonプライムビデオやNetflixなどを利用せざるをえない。しかし、プラットフォームをそうした企業に依存していては、コンテンツホルダーとして効果・効率的なマネタイズ戦略が組めず、同業との差別化もできない。したがってそうしたコンテンツホルダーは、中長期的に独自のコンテンツ配信サービスを構築する必要に迫られることになる。同社は、こうした放送局の環境と戦略の変化を見据え、放送同時配信や見逃し配信が可能なビジネスモデルへの転換をサポートしている。
現在同社は、ファイル編成配信、Live To File、File To Live、Media Tailor(広告挿入)といった放送同時配信の基盤を「J-Stream Equipmedia」とシームレスに連携することで、「J-Stream Equipmedia」の上位サービスメニューとして展開、極力カスタマイズが発生しない形でターゲット顧客へ提供している。これにより、地上波放送品質に準拠した放送同時配信を可能にしたが、さらに放送同時配信の収益化に向けたサポートをスタート、地上波広告との連動広告メニューや広告データ分析の研究開発を開始した。
医薬業界のプロモーション戦略の転換を支援
3. EVC領域における事業戦略
欧米では企業による社内向け、社外向け、どちらにも動画の活用が浸透しているが、日本でも、顧客や株主、取引先などのステークホルダーとの円滑で効率的なコミュニケーションを図るため、大企業を中心に動画を活用する機会が増えている。働き方改革やコスト削減、効果の可視化、同報性など社内的なメリットも大きいため、動画の利用機会は今後一層増えていくと思われる。また、5GやIoT、VRなど次世代のインターネット環境が整備されつつあり、双方向や高画質など更なる大容量化へ向けたニーズも急速に拡大することが予想されている。同社は環境変化に先行して対応してきたが、さらに現在、利便性向上を狙って「J-Stream Equipmedia」と様々な有力SaaSプラットフォームを連携させることを検討している。
同社の中で売上げが最も大きい医薬系業界を、同社は特に重視している。医薬系企業のWeb講演会をさらに深耕するとともに、各専門医学会や医療機器関連へのWeb講演会の普及・展開を図り、4Kなど高繊細ニーズも開拓していく方針である。さらに医薬企業の中長期的課題であるコスト構造の見直しも支援する考えだ。医薬業界は、薬価の引き下げや後発医薬品の普及により国内市場の競争が強まるなか、効率が低下してきたMR(Medical Representative:医師に自社の薬の成分や使用方法、効能について説明する医薬情報担当者)による対面営業から、学会や医学雑誌、インターネットの利用へと、プロモーション戦略を転換する必要が生じていると言える。同社は、Web講演会の視聴ログ活用の促進、主要CMS(Contents Management System:専門知識がなくてもサイトやコンテンツを構築・管理・更新できるシステム)へのプラグインによる「J-Stream Equipmedia」の拡張、デジタル資材のファクトリー機能の提供などにより、医薬系企業のプロモーション戦略の転換をサポートしていく考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<EY>
1. 経営ビジョン
スマートフォンなど動画視聴可能なデバイスを個人が常時携帯するようになり、Wi-Fi環境の充実や今後予定される5Gの普及などもあり、屋内外でインターネット動画を視聴する環境整備が進んでいる。テレビから離れた若者は、好みのタイミングで様々なデバイスを使って動画を視聴する。SNSや社内ポータルなどの利用も増加し、それがさらに動画配信の環境を充実させる。また、動画を利用するコストの低下や効果の拡大が動画の利用増に拍車をかける。このような動画のコモディティ化現象により動画を利用するシーンが急速に拡大、インターネット動画配信の市場も大きく伸びていくと予測されている。
こうした状況のなか、インターネット配信業界で予想されているのが、EVC(Enterprise Video Communications:一般企業における動画を使ったコミュニケーション)におけるeラーニングや統合型マーケティングなど用途特化型サービスの台頭、そしてNHKによる同時配信※やOTT (Over The Top:Netflixなど通信事業者以外の企業やプラットフォーム、サービス)事業者の動画配信サービス参入による放送と通信の融合と再編——である。いずれも同社にとってビジネスチャンスといえ、同社はEVCとOTTという領域に照準を合わせ、様々な機能を共通プラットフォームに乗せることでニーズに適した最新のサービスを常に提供できるようにし、サービスの先にある顧客の抱える課題を引き出し解決していくことを考えている。最先端の動画ソリューションカンパニーへと進化することを狙った動きと言えるだろう。
※NHKによる同時配信:(IP)サイマル放送とも言い、1つの放送局が同じ時間帯に同じコンテンツを、異なるチャンネル(周波数)や放送方式、放送媒体で放送すること。特に、放送(テレビ、ラジオ)と同じものを通信(インターネット)で同時配信することを指すことが多い。NHKは2020年4月1日、「NHKプラス」でテレビ番組のインターネット同時配信サービスを本格的にスタートした。
放送局の収益に貢献できるパートナーになる
2. OTT領域における事業戦略
スマートフォンが普及し5G時代が迫るなか、2019年にインターネット広告費がテレビメディア広告費を初めて上回った。そして2020年3月にはNHKが同時配信をスタートさせたことで、民放各局もデジタル戦略を推進する姿勢を強めている。しかし、OTTでは継続的な開発やシステム運用が必要になるため、放送局などのコンテンツホルダーが独自の配信サービスを構築するのは至難であり、現状は、影響力の大きいAmazonプライムビデオやNetflixなどを利用せざるをえない。しかし、プラットフォームをそうした企業に依存していては、コンテンツホルダーとして効果・効率的なマネタイズ戦略が組めず、同業との差別化もできない。したがってそうしたコンテンツホルダーは、中長期的に独自のコンテンツ配信サービスを構築する必要に迫られることになる。同社は、こうした放送局の環境と戦略の変化を見据え、放送同時配信や見逃し配信が可能なビジネスモデルへの転換をサポートしている。
現在同社は、ファイル編成配信、Live To File、File To Live、Media Tailor(広告挿入)といった放送同時配信の基盤を「J-Stream Equipmedia」とシームレスに連携することで、「J-Stream Equipmedia」の上位サービスメニューとして展開、極力カスタマイズが発生しない形でターゲット顧客へ提供している。これにより、地上波放送品質に準拠した放送同時配信を可能にしたが、さらに放送同時配信の収益化に向けたサポートをスタート、地上波広告との連動広告メニューや広告データ分析の研究開発を開始した。
医薬業界のプロモーション戦略の転換を支援
3. EVC領域における事業戦略
欧米では企業による社内向け、社外向け、どちらにも動画の活用が浸透しているが、日本でも、顧客や株主、取引先などのステークホルダーとの円滑で効率的なコミュニケーションを図るため、大企業を中心に動画を活用する機会が増えている。働き方改革やコスト削減、効果の可視化、同報性など社内的なメリットも大きいため、動画の利用機会は今後一層増えていくと思われる。また、5GやIoT、VRなど次世代のインターネット環境が整備されつつあり、双方向や高画質など更なる大容量化へ向けたニーズも急速に拡大することが予想されている。同社は環境変化に先行して対応してきたが、さらに現在、利便性向上を狙って「J-Stream Equipmedia」と様々な有力SaaSプラットフォームを連携させることを検討している。
同社の中で売上げが最も大きい医薬系業界を、同社は特に重視している。医薬系企業のWeb講演会をさらに深耕するとともに、各専門医学会や医療機器関連へのWeb講演会の普及・展開を図り、4Kなど高繊細ニーズも開拓していく方針である。さらに医薬企業の中長期的課題であるコスト構造の見直しも支援する考えだ。医薬業界は、薬価の引き下げや後発医薬品の普及により国内市場の競争が強まるなか、効率が低下してきたMR(Medical Representative:医師に自社の薬の成分や使用方法、効能について説明する医薬情報担当者)による対面営業から、学会や医学雑誌、インターネットの利用へと、プロモーション戦略を転換する必要が生じていると言える。同社は、Web講演会の視聴ログ活用の促進、主要CMS(Contents Management System:専門知識がなくてもサイトやコンテンツを構築・管理・更新できるシステム)へのプラグインによる「J-Stream Equipmedia」の拡張、デジタル資材のファクトリー機能の提供などにより、医薬系企業のプロモーション戦略の転換をサポートしていく考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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