森六ホールディングスのニュース
森六HD、上期は収益改善が遅れ減収減益 中期経営計画「MI400」の実現に向け新成長分野へ投資
事業概要①
栗田尚氏:おはようございます。本日はお忙しいところ、決算説明会においでいただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長の栗田尚です。よろしくお願いいたします。
本日は、私から2020年3月期第2四半期決算の総括と今期のトピックスについてご説明させていただいたのちに、経理担当の下迫より、2020年3月期第2四半期決算の詳細と通期の見通しについてご説明いたします。
まず、当社の会社概要をご紹介させていただきます。
森六ホールディングス株式会社は、創業1663年の、350年以上の歴史を有する企業グループです。歴史とともにさまざまな変化がありましたが、現在はおもに2つの事業を柱に展開しています。
1つ目は樹脂加工製品事業、いわゆる自動車用プラスチック部品の製造販売です。内装と外装を両方手がけていますが、内装は運転席周りからセンターコンソールにかけた、T字ラインと呼ばれるエリアが中心です。外装はフロントグリル、カウルトップ、サイドシルなど、大型な部品も手掛けています。おもに塗装やフィルムをつけた艤装部品が中心です。
ホンダさんがメインの顧客ですが、現在はメキシコの工場でフォルクスワーゲンさんの部品の製造販売もしています。
もう1つの柱となるのはケミカル事業、いわゆる化学品の専門商社です。当社の取り扱う幅広い分野の商材は、各メーカーを通して社会のさまざまな場所で活躍しています。
ケミカル事業の特徴は、素材や製品の流通をコーディネートするだけではなく、それにひと手間加えるという「ものづくり」機能を有する点です。このような技術によって、例えば自動車の部品を原材料レベルから一貫して提案及び商品化することが可能となり、グループ企業としてのシナジー発揮に繋がっています。
事業概要② 15カ国、51拠点のグローバル展開
もう一つのグループとしての強みは、15ヶ国51拠点のグローバルネットワークです。ご覧のように世界に広がっているので、化学品商社としては世界中のお客さまからニーズを聞き取りまして、世界中から調達することができます。
一方で、部品メーカーとしては、生産拠点がヨーロッパを除くほとんどすべてのホンダさんの生産拠点に隣接しており、さらに、日本、アメリカ、中国、タイの4ヶ所にR&Dセンターを有していて、現地でのニーズの開発を行っています。
現地生産、現地供給を行うことで、為替や関税のリスクに及ぼす影響を低減でき、また、商品供給のスピード化を可能にする体制を整えています。
2020年3月期 第2四半期の総括
2020年3月期第2四半期の総括です。
ご存知のように、世界においては米中摩擦、英国のEU離脱など、先行きは不透明感があります。自動車業界においては、日本で販売台数は微増となったものの、北米をはじめとして、アジア、中国でも昨年の実績を下回る結果となりました。
当社の主要取引先は、日本と中国で販売台数を伸ばした一方、アジアでは昨年の実績を若干下回る結果となりました。
このような事業環境のもと、2020年3月期の第2四半期の業績は、売上高は前年対比で93億円マイナスの859億円、営業利益は前年対比20億円マイナスの25億円となりました。
この結果を踏まえ、中期経営計画の達成に向けて、原価低減、品質向上による収益改善、競争力強化に向けた取り組みを一つひとつ、全社一丸となって取り組んでいきます。
業績修正について
業績修正についてご説明します。
当社は、先ほどご説明した事業環境等を踏まえ、上期の未達分に下期の変化を織り込んで、10月15日に業績予想を修正いたしました。通期は売上高1,750億円、営業利益70億円、経常利益69億円、最終益46億円と下方修正でございます。
2020年3月期 第2四半期決算 業績
続きまして、2020年3月期第2四半期の業績です。
売上高は859億円と前年比9.8パーセントの減少、営業利益につきましては、25億円と前年比45パーセントの減少、純利益は13億円となりました。
お客さまの方の生産減、機種構成の変更に加え、2018年秋から米国のインディアナ工場での人手不足等で生産コストが増加しており、これらの収益改善が若干遅れていることが上期の業績に影響しています。
通期の計画に対する進捗率はご覧のとおりです。決算の詳細については、後ほど、下迫からご説明いたします。
2020年3月期予想 株主還元
配当については、11月13日に中間配当として51円の実施を決議しました。2018年からは4円の増配となりました。また、年間の配当予想102円についても変更はございません。
当社では株主還元性向30パーセントを目標としていますが、今期の業績予想ベースの配当性向は36パーセントです。株主のみなさまに安定した配当を継続できるように、利益確保に注力します。
重点施策
当社は、2019年5月に、今後3年間の新しい中期経営計画として、400年企業へ向かって「MI400」を策定しました。
MI400では「経営基盤強化」「付加価値創造」「事業構造変革」の3つを基本戦略の柱に掲げ、最終年度の2022年3月期に、売上高2,000億円以上、営業利益率5パーセント以上、ROEは9パーセント以上を目指しています。
上期では最終年度での目標達成を目指し、高効率生産体制の強化と、今後成長が期待される分野への投資を進めてきました。具体的な取り組みについてご紹介いたします。
競争力強化に向けた自動化・省人化の取り組み
まずは「競争力強化に向けた自動化・省人化の取り組み」です。
森六テクノロジーでは、現状の自動化のレベルアップや新機種への展開に加え、新たな自動化ノウハウの蓄積に取り組んでいます。
具体的には、成形、塗装、組立の各工程を細分化した上で、どこか1拠点でも自動化されている割合を高めようという取り組みです。
拠点の背景や環境によって適切な自動化施策はそれぞれ異なりますので、全拠点に同じ設備を導入し、同じ方法で生産するわけではなく「全工程を自動化できるノウハウ」を社内に確立することが目的です。
例えば、アメリカであれば大量生産による自動化、日本であれば少量多品種といった例があります。
成形工程においては「ゲート」と呼ばれる樹脂注入口の自動化ロボット、塗装工程においては塗装前のごみの付着を防止する除電ロボット、組立工程においてはコンソールのビス締めや構成部品の取り付けなどを自動化し、品質の安定化、加工時間の短縮、人件費の削減等に繋げています。
自動化をすすめる際には、軽自動車や小型車でも利益を出すために、一人の工員が複数台の成型機や複数工程に対応できるよう、いわゆる多台持ちや多工程持ちの拡大も進めています。
また、間接部門においてもAI化、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を進めています。
森六、ダイセル、ESMO LED リフレクター用白色モールディング樹脂を共同開発
続いて、森六ケミカルズの新たな共同開発の事例についてご紹介します。ダイセル社、 ESMO Materials 社と共同開発したLED リフレクター用白色モールディング樹脂「W-EMC」です。
LEDは「リフレクター」と呼ばれる反射板を用いて内部で光を拡散させる仕組みになっており、W-EMCはこの「リフレクター」に使用するための樹脂です。耐熱性や耐久性とともに、高い生産性が要求される素材でもあります。
今回は森六ケミカルズの取引先であるダイセルとESMO社が、それぞれの技術を生かして現行品より高い機能性を持つW-EMCサンプルの開発に成功しました。
とくに、中国・台湾ではLEDパッケージメーカーが飛躍的に成長しており、W-EMCにも高い需要が見込まれています。森六ホールディングスのネットワークを生かして、世界的なW-EMC市場への展開を目指します。
タイの工場 建屋を拡張、生産能力を1.3倍拡大へ
続いて、タイの工場拡張についてです。タイではここ数年自動車の販売が好調で、当社のタイでの売上もここ4年ほどで2倍に拡大しています。
2020年以降も新機種の立ち上げが控えており、さらに生産の増加が期待されることから、現在、工場の生産能力を1.3倍に拡張する工事を進めています。
現在の工場は、取り扱い機種の増加によってだいぶ手狭になっており、外部に倉庫を借りるなどして対応してきましたが、今回は出荷エリアを拡張することによって顧客に直接納品することが可能となり、商品供給のスピードアップとコスト削減を図ります。
また、今後の自動機械導入に向けたスペースを確保することで、自動化の積極展開による更なるサイクルアップと安定品質によるロスの低減を目指します。
プロゴルファー 山路晶選手と所属スポンサー契約を締結
最後に、CSR活動も兼ねたスポーツ支援についてご紹介します。
当社は2019年9月、女子プロゴルファー山路晶(やまじあきら)選手とスポンサー契約を締結しました。
山路選手はいま注目の「黄金世代」の一人であり、男子ゴルフの松山選手と同じ事務所の女子プロ第1号でもあります。
今後は海外も含めさらなる活躍が期待されており、常に挑戦し続ける当社のイメージと通じるものを感じ、このたびスポンサーをさせていただくことになりました。
9月最終週のミヤギテレビ杯より、メインスポンサーとして、キャップ、ウェアの右肩、キャディーバッグの3ヶ所に森六ロゴをつけて参戦していただいています。
森六グループの名前を世間のみなさまに知っていただくためにも、スポンサー契約はとても良い機会だったと考えています。
森六は、スポーツ支援を通じ、企業価値を最大限に向上させていくように努めます。当社同様、山路選手へのご声援をお願いいたします。
次に、下迫から説明をさせていただきます。
2020年3月期 第2四半期決算 セグメント別業績
下迫俊司氏:それでは、第2四半期、4月から9月の実績についてご説明申し上げます。セグメント別には、自動車部品製造の樹脂加工製品事業の売上高が541億4,300万円、化学品専門商社のケミカル事業の売上高が317億5,700万円です。営業利益は、樹脂加工が20億8,000万円、ケミカルが5億7,400万円で、ともに減収減益となりました。
樹脂加工製品では、中国における単価の減少・アメリカ工場の収益改善の遅れが影響しています。ケミカルでは、機能性フィルムの販売が堅調だった一方で、自動車関係の受注が減少しており、利益を下押ししています。
2020年3月期 第2四半期決算 樹脂加工製品事業・営業利益増減分析
樹脂加工事業の営業利益の増減分析です。生産台数は国内・中国で増えてプラス要因となっていますが、製品構成などもあって1台あたりの単価が減少し、利益に大きく影響しています。
中国では、現地のサプライヤーとの競合によって当社のシェアが低下し、1台あたりの単価が下がっています。国内では付加価値が高い輸出車種が減少していて、代わりに軽自動車の「Nシリーズ」が増えました。各拠点でコストを削減していますが、アメリカのインディアナ州の工場で労務費・運賃・保管料などの経費が増大し、相殺されています。
2020年3月期 第2四半期決算 ケミカル事業・営業利益増減分析
次が、ケミカル事業の営業利益の増減分析です。ものづくり分野がプラスとなっていますが、これは、ナフサ価格の低下に伴い、機能性フィルムの原料費が下がって、利益率が回復しているということでございます。
一方で、中国を中心に自動車向けの原材料販売が減少しています。エンドユーザーは日系だけでなく、中国の現地メーカー、あるいは欧米系のメーカー関係の原材料も売っており、中国国内で自動車販売台数が減少している影響を受けています。現地のお客さまへの展開を進めているぶん、中国での全体の自動車販売減少の影響を大きく受けています。
生活材料もマイナスになっていますが、主に欧州関連で減少しています。
2020年3月期 第2四半期決算 地域別売上高・営業利益
地域別の売上・営業利益です。所在地別では各地域とも減収減益です。売上も、各地域で前年比マイナスとなっています。
営業利益です。日本では点滴バッグ用フィルムの増益があります。また、軽自動車「Nシリーズ」へのシフトが利益に影響しています。
それから、北米全体では1億円の赤字となっています。第1四半期はプラスでしたが、第2四半期はマイナスになりました。アラバマ・カナダ・メキシコの各工場については黒字なのですが、GTIのオハイオとインディアナの拠点でのマイナスを他で埋めきれませんでした。
アメリカは好景気で人の確保が非常に困難なため、要員に余裕を持たせていて、コスト削減に少々時間を要しています。このようななかで、第2四半期は夏休みのシャットダウンがありました。毎年のことですが生産が減少していて、利益が伸び悩んでおります。
アジアでは、中国の生産台数はプラスでしたが、現地のサプライヤーとの複数購買により、当社で受注している部品の単価が下がっています。競合しているサプライヤーは中国のローカル企業で、日系のサプライヤーではありません。
また、インドでローンを組みにくくなっていて、販売台数が大きく減っています。タイでは台数は堅調ですが、コスト面が厳しくなっています。
2020年3月期 第2四半期決算 貸借対照表(概略)
B/Sは21ページで示したとおりです。総資産については現預金・売掛金が11億円減って1,199億円になりました。純資産も為替と株の換算差額がマイナスになって、6億円減って668億円となり、自己資本比率は54.8パーセントに上昇しています。
2020年3月期 第2四半期決算 キャッシュ・フロー
次はキャッシュフローです。営業キャッシュフローは税前利益の減少と運転資金の増加もあり、43億円となりました。一方で、投資キャッシュフローについては56億円に増加し、フリーキャッシュフローはマイナス12億円です。
借入金も削減して、手元の取崩しで対応しています。現預金は144億円で、月商1ヶ月ぶんを確保しています。
2020年3月期 第2四半期決算 設備投資額・減価償却費及び研究開発費
それから、設備投資と減価償却・研究開発費についてはご覧のとおりです。設備投資については61億円で、去年の上半期と比べて29億円増やしています。減価償却が39億円、研究開発費が13億円でございます。
2020年3月期 第2四半期決算 エリア別設備投資額
上期61億円の設備投資についてです。日本で28億円、北米で21億円、アジアで11億円です。日本については、ケミカル事業の四国化工が、次の世代の点滴バッグ用フィルムの新工場を香川県に建設しました。総投資額は32億円で、フィルムの薄肉化や無人搬送などの省人化を進めています。10月末には建物の引渡しがすでに終わっていて、現在は機械を据え付けて試運転しているところです。
樹脂加工製品事業では、三重県の鈴鹿工場で15億円かけて外装部品用の新塗装工場を建設しています。サイドシル・ガーニッシュなどの大型部品に対応しており、生産能力がさらに120パーセント増加します。こちらも10月末に建物が完成していて、設備を据付中です。
北米では、メキシコで投資総額50億円をかけてフォルクスワーゲンさん向けの新機種用の新工場を建設しています。すでに建物は完成しており、現在は設備を据付中です。2020年1月から量産(10月)に向けての準備を開始する予定であり、フォルクスワーゲンさんとのお取引をさらに進めてまいります。
この他、世界中の各拠点で自動化・新機種用の金型投資を行っています。各工場とも、人の確保で非常に苦労しているので、自動化・省人化を推進しています。
2020年3月期予想 前提条件
続きまして、2020年3月期の見通しです。
まず前提条件として、USドルは上期の平均レートは108円60銭、下期は107円、通期では107円80銭として計算しています。元も同様に、上期が16円20銭、下期が15円60銭、通期では15円90銭として計算しています。
自動車市場については、米中2大市場でも非常に厳しい事業環境が予想されています。自動車販売台数については、先日、各自動車メーカーさんから下期の予想が公表されました。ホンダさんにおかれましては日本での「N-WGN」の部品供給制限の影響をうけ、インドで個人消費の落ち込みが続くなかでの早急な回復は難しい状況ということで、台数見通しの修正がありました。こちらも盛り込んでいます。
2020年3月期予想 連結業績
10月15日に公表した業績予想ですが、日本・インドなど、10月上旬時点の生産情報を反映しておりますので、売上高1,750億円、営業利益70億円、当期利益46億円から変更はありません。
2020年3月期予想 セグメント別業績
セグメント別の通期予想については、売上高で樹脂加工製品事業が1,050億円、ケミカル事業が700億円、営業利益で樹脂加工製品事業が57億円、ケミカル事業が13億円で考えています。生産台数が減るなかで、下期は上期に比べて減収増益です。アメリカ工場で要員をはじめ、生産コストの抜本見直しを行っていて、これから刈り取ってまいります。
また、中国では例年、年末にかけて春節向けに生産台数が増加します。今年も売上の増加を見込んでいます。さらに、全工場で良品率の改善や生産変動に応じた要員の適正化に取り組んでおり、厳しい環境ではありますが、利益の確保に注力していきます。
設備投資額・減価償却費及び研究開発費 見通し
29ページにあるように、2020年3月期通期での設備投資額は175億円、減価償却は83億円、研究開発費は29億円を見込んでいます。主な投資先は、先ほどご説明した四国の点滴バッグ用フィルム、鈴鹿工場の塗装ライン、メキシコのフォルクスワーゲンさん向けの新工場建設、タイの工場です。以上の工場増設に加え、自動化・新機種の対応で投資を増やしています。研究開発費は、バックドアの樹脂化などで増やしています。
また、間接部門においても、AI・RPAなどによる高度化・効率化を考えていて、これから力を入れてまいります。我々からのご説明は以上です。
本日はお忙しいところ、多数お集まりいただき、誠にありがとうございました。オートモーティブ全体として非常に厳しい状況にはございますが、トヨタさんの営業利益最高益などを見ますと、我々の取引先でありますホンダさんは、この前東京モーターショーにも行ってまいりましたが、まだまだ電気自動車等で、日本の企業につきましては優位性があると感じております。
今年、そして来年にかけましては、生産台数を見ますと非常に厳しい状況にはございます。その間に、弊社森六グループとしては、ファウンデーション、基礎のところをしっかりとつくるということで、生産体質の向上を各リージョン、とくにアメリカ、中国のところのコンプレッションに負けない体質づくりをしてまいります。
少し増収とはならない状況が続きますが、その分利益確保に向けて体質強化を図ってまいりますので、今後ともご支援のほどをよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
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