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タキロンシーアイのニュース
*15:07JST タキロンCI Research Memo(7):主要施策は新製品・新事業の創出やM&Aの加速など
■タキロンシーアイ<4215>の中期経営計画
3. 主要施策
なお、主要施策の詳細は次のとおりである。
(1) グループ経営の最適化
グループ経営の最適化では、赤字グループ会社の撲滅、関係会社の個社別成長戦略の実行による収益力向上、全体最適を見据えた生産体制の再編を計画している。赤字グループ会社の撲滅では、重要モニタリング会社の収益改善と事業構造改革の継続により、現在も残る赤字企業3社をゼロにする計画である。具体的には、BLXでは北米エリア向けの販売を強化するとともにコストダウンを進め、BACは環境対応型製品の開発・拡販と納期短縮を推進し、マーベリックパートナーズではリサイクルコンパウンドの量産体制を構築するとともに開発案件の収益化を図ることで赤字脱却を図る。同時にその他の低採算グループ会社の収益改善を進め安定的な利益創出を目指す。また、グループ会社の経営統合がおおむね完了したことから関係会社個社別の成長戦略を策定し、事業体制の強化と収益力の向上を目指す。生産体制の全体最適化では、三和サインワークス埼玉など小規模生産拠点の統廃合、タキロンシーアイシビルなど生産販売体制の一元化、プレートなど成長・注力分野での効率的な生産体制の構築を目指す。
(2) 新製品・新事業の創出
新製品・新技術の創出力強化は喫緊の課題で、研究開発体制の整備・強化と高付加価値分野へのシフトを計画している。研究開発体制の整備・強化では、2024年4月に、新事業推進部と新素材・新領域開発部を新設した。新事業推進部では、ナノ技術やモータ事業、コンパウンドなどの既に保有している製品や技術を基にした事業拡大を目指し、新素材・新領域開発部では新技術の獲得やモビリティやヘルスケアなどの新しい領域への展開を進めていく。モビリティ分野では、車体軽量化及びEV普及に伴う要求性能変化への対応として、自動車のフロントガラスの樹脂化を見据えた製品を開発、水素エンジンを搭載した体験プログラム用のクルマに採用されており早期の実用化を目指す。また、自社でナノ粒子の生産が可能となるよう海外からの技術導入検討を進めるなど、着実に歩みを進めている。2026年4月には兵庫県三田市に新総合研究所を設立し、各地に分散している研究・開発機能を集約、重点注力事業の強化と育成を加速させる。技術導入や特許登録など大阪の知財部との連携も強化する。そのうえで、代理店まかせから自社によるマーケティングも強化し、市場ニーズに合った、売上に早期貢献できる新製品の開発を徹底する。
高付加価値分野へのシフトでは、まず、研究開発テーマの棚卸しを行い、注力テーマの抽出を行った。市場性などに鑑み半分以上の開発テーマを継続中止とした。そのうえで、現状の加工品や中間素材など川中から、機能性素材の開発や環境対応など上流、そして製品やソリューションなど下流へと、より付加価値の高い事業へと領域を拡大する方針である。ターゲットとしては、上流では高付加価値の原料や素材自体の製造販売から、素材技術の深化により現事業領域での研究開発の幅を広げることなどをねらいとし、下流ではモビリティやヘルスケアなど消費者向け製品まで視野に入れており、例えば、ナノ技術を使って自社製造したフィルムやプレートを半導体メーカーなどに販売することなども検討している。
(3) 現場力の徹底的な強化
営業現場、製造現場、職能現場それぞれを徹底的に強化することで、まずは本来の稼ぐ力を取り戻す。営業現場では、代理店まかせから脱却してマーケティングを自ら実施することで、ユーザーに直接訴求する粘り強くきめ細やかな営業を推進し、売上拡大につなげる方針である。製造現場では、歩留りの向上やDXを活用した合理化・自動化により製造コストを徹底的に削減し、他社に売り負けないコスト競争力を身につける方針である。海外グループ会社工場においても、本体から人材を派遣して製造原価の低減を目指す。職能現場では、リスク回避やガバナンス強化、少数精鋭の実現を目指す。そのため、新設した海外駐在促進制度により3年で10人程度を海外に派遣するなど教育を強化し、専門性を追求したスペシャリスト集団の育成を図る。また、購買部を経営に近い東京にシフトして主体的・戦略的な原材料購買体制の構築を目指す。IT面では伊藤忠商事のIT部隊と協力して基幹システムを更新する予定で、これをテコにDXを推進して効率化・省力化を進め、工場のスマート化に弾みをつける計画である。なお基幹システムは、現在、新生産管理システムを全工場へ順次展開中で、新中期経営計画期間中に会計システム、2030年までに販売・物流システムを完成させる予定である。
(4) 海外ビジネスの拡大
2024年3月期にBLAの撤退、BLXへのテコ入れ、BACの改善を実行してきたが、今後はエリアごとの拡大戦略に基づき海外ビジネスを再加速する計画である。周辺製品や新規事業の開発及び人材派遣や営業拠点強化の支援といった全社施策を柱に、成熟した欧州では、環境対応製品の投入や特徴ある製品開発による市場開拓を推進する方針である。拡大市場と位置付ける北米では、現地の販売力と生産能力を増強する予定である。成長が見込める中国・東南アジア地域では、積極的に市場攻勢をかけるほか、特に上海販売子会社の機能を増強して中国での販売強化を図る。
(5) M&Aの加速
樹脂加工技術の強化、販路の拡大、新規マーケットの獲得を目的に、M&Aを強化する計画である。そのため、情報ネットワークや評価・検討プロセス、実行部隊を強化してM&Aの精度を上げ、再編中の業界に仕掛ける方針である。ターゲットは大きく5分野で、大手石化メーカー再編に伴いスピンオフされる樹脂加工事業、残存者利益が見込める同業他社、新規分野におけるコア技術やバリューチェーンを有する企業、海外販売ネットワークや海外技術・知財ライセンス、他社製品を含め販路拡大につながる代理店や販売会社などである。なお、M&Aはタイミング次第の面はあるが、2024年3月期においても住友化学から農業用ポリオレフィンフィルム事業を承継するなど実績があり、引き続き積極的に検討する方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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3. 主要施策
なお、主要施策の詳細は次のとおりである。
(1) グループ経営の最適化
グループ経営の最適化では、赤字グループ会社の撲滅、関係会社の個社別成長戦略の実行による収益力向上、全体最適を見据えた生産体制の再編を計画している。赤字グループ会社の撲滅では、重要モニタリング会社の収益改善と事業構造改革の継続により、現在も残る赤字企業3社をゼロにする計画である。具体的には、BLXでは北米エリア向けの販売を強化するとともにコストダウンを進め、BACは環境対応型製品の開発・拡販と納期短縮を推進し、マーベリックパートナーズではリサイクルコンパウンドの量産体制を構築するとともに開発案件の収益化を図ることで赤字脱却を図る。同時にその他の低採算グループ会社の収益改善を進め安定的な利益創出を目指す。また、グループ会社の経営統合がおおむね完了したことから関係会社個社別の成長戦略を策定し、事業体制の強化と収益力の向上を目指す。生産体制の全体最適化では、三和サインワークス埼玉など小規模生産拠点の統廃合、タキロンシーアイシビルなど生産販売体制の一元化、プレートなど成長・注力分野での効率的な生産体制の構築を目指す。
(2) 新製品・新事業の創出
新製品・新技術の創出力強化は喫緊の課題で、研究開発体制の整備・強化と高付加価値分野へのシフトを計画している。研究開発体制の整備・強化では、2024年4月に、新事業推進部と新素材・新領域開発部を新設した。新事業推進部では、ナノ技術やモータ事業、コンパウンドなどの既に保有している製品や技術を基にした事業拡大を目指し、新素材・新領域開発部では新技術の獲得やモビリティやヘルスケアなどの新しい領域への展開を進めていく。モビリティ分野では、車体軽量化及びEV普及に伴う要求性能変化への対応として、自動車のフロントガラスの樹脂化を見据えた製品を開発、水素エンジンを搭載した体験プログラム用のクルマに採用されており早期の実用化を目指す。また、自社でナノ粒子の生産が可能となるよう海外からの技術導入検討を進めるなど、着実に歩みを進めている。2026年4月には兵庫県三田市に新総合研究所を設立し、各地に分散している研究・開発機能を集約、重点注力事業の強化と育成を加速させる。技術導入や特許登録など大阪の知財部との連携も強化する。そのうえで、代理店まかせから自社によるマーケティングも強化し、市場ニーズに合った、売上に早期貢献できる新製品の開発を徹底する。
高付加価値分野へのシフトでは、まず、研究開発テーマの棚卸しを行い、注力テーマの抽出を行った。市場性などに鑑み半分以上の開発テーマを継続中止とした。そのうえで、現状の加工品や中間素材など川中から、機能性素材の開発や環境対応など上流、そして製品やソリューションなど下流へと、より付加価値の高い事業へと領域を拡大する方針である。ターゲットとしては、上流では高付加価値の原料や素材自体の製造販売から、素材技術の深化により現事業領域での研究開発の幅を広げることなどをねらいとし、下流ではモビリティやヘルスケアなど消費者向け製品まで視野に入れており、例えば、ナノ技術を使って自社製造したフィルムやプレートを半導体メーカーなどに販売することなども検討している。
(3) 現場力の徹底的な強化
営業現場、製造現場、職能現場それぞれを徹底的に強化することで、まずは本来の稼ぐ力を取り戻す。営業現場では、代理店まかせから脱却してマーケティングを自ら実施することで、ユーザーに直接訴求する粘り強くきめ細やかな営業を推進し、売上拡大につなげる方針である。製造現場では、歩留りの向上やDXを活用した合理化・自動化により製造コストを徹底的に削減し、他社に売り負けないコスト競争力を身につける方針である。海外グループ会社工場においても、本体から人材を派遣して製造原価の低減を目指す。職能現場では、リスク回避やガバナンス強化、少数精鋭の実現を目指す。そのため、新設した海外駐在促進制度により3年で10人程度を海外に派遣するなど教育を強化し、専門性を追求したスペシャリスト集団の育成を図る。また、購買部を経営に近い東京にシフトして主体的・戦略的な原材料購買体制の構築を目指す。IT面では伊藤忠商事のIT部隊と協力して基幹システムを更新する予定で、これをテコにDXを推進して効率化・省力化を進め、工場のスマート化に弾みをつける計画である。なお基幹システムは、現在、新生産管理システムを全工場へ順次展開中で、新中期経営計画期間中に会計システム、2030年までに販売・物流システムを完成させる予定である。
(4) 海外ビジネスの拡大
2024年3月期にBLAの撤退、BLXへのテコ入れ、BACの改善を実行してきたが、今後はエリアごとの拡大戦略に基づき海外ビジネスを再加速する計画である。周辺製品や新規事業の開発及び人材派遣や営業拠点強化の支援といった全社施策を柱に、成熟した欧州では、環境対応製品の投入や特徴ある製品開発による市場開拓を推進する方針である。拡大市場と位置付ける北米では、現地の販売力と生産能力を増強する予定である。成長が見込める中国・東南アジア地域では、積極的に市場攻勢をかけるほか、特に上海販売子会社の機能を増強して中国での販売強化を図る。
(5) M&Aの加速
樹脂加工技術の強化、販路の拡大、新規マーケットの獲得を目的に、M&Aを強化する計画である。そのため、情報ネットワークや評価・検討プロセス、実行部隊を強化してM&Aの精度を上げ、再編中の業界に仕掛ける方針である。ターゲットは大きく5分野で、大手石化メーカー再編に伴いスピンオフされる樹脂加工事業、残存者利益が見込める同業他社、新規分野におけるコア技術やバリューチェーンを有する企業、海外販売ネットワークや海外技術・知財ライセンス、他社製品を含め販路拡大につながる代理店や販売会社などである。なお、M&Aはタイミング次第の面はあるが、2024年3月期においても住友化学から農業用ポリオレフィンフィルム事業を承継するなど実績があり、引き続き積極的に検討する方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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