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日本触媒のニュース
-排ガスを無害化する脱硝触媒のメカニズムを解明-
株式会社日本触媒(本社:大阪市中央区、社長:五嶋祐治朗、以下「日本触媒」)は、このたび「高活性・高耐久性脱硝触媒の開発および高性能発現メカニズムの解明」の研究に対し、一般社団法人触媒工業協会 令和3年度協会表彰「技術賞」を受賞いたしました。
触媒工業協会の技術賞は、触媒工業において独創的な発明、改良があり、かつこれらが顕著な効果をあげている場合、もしくは触媒に係る技術論文の学術的価値が顕著であると認められた場合に授与されるものです。当社が行った実用触媒の研究に関する論文が、触媒研究の分野で権威ある学術誌であるChemCatChem、Applied Catalysis A: General、およびIndustrial & Engineering Chemistry Researchに掲載され、その内容が学術的成果として顕著であることから受賞に至りました。
本研究の主な対象であるV2O5/TiO2-SiO2-MoO3触媒(V/TSM触媒)は日本触媒の触媒技術を駆使して開発した製品であり、発電所や都市ごみ焼却施設排ガスの窒素酸化物(NOx)を無害化する脱硝触媒として、多くの実用実績を有します。発電所排ガスの場合は高処理率が得られる300~400℃で触媒を使用するのに対し、ごみ焼却排ガス処理では、集塵装置の耐熱性の観点から排ガスを一度150℃程度まで冷却し、処理効率を高めるために再加熱して触媒を使用しますが、200℃未満とすることが一般的です。
過去の触媒では200℃未満の低温での処理は困難でしたが、V/TSM触媒はこのような低温でも十分な性能を発揮いたします。また、この温度域では排ガス中の硫黄酸化物(※1) が触媒性能を劣化させますが、V/TSM触媒は従来触媒を大幅に上回る耐久性を有します。この触媒を用いることによって必要触媒量の低減、触媒交換頻度の削減が可能となるだけでなく、排ガスの再加熱に要するエネルギーも削減可能となり、CO2削減の効果も期待されます。
当社はこのV/TSM触媒について高活性および高耐久性発現のメカニズムを解明するべく、京都大学大学院工学研究科の田中庸裕教授によるご協力の下、解析を続けてきました。理化学研究所の大型放射光施設SPring-8などを利用したX線吸収微細構造(XAFS)による解析や、X線回折法、赤外吸収法といった社内分析技術を駆使することによって触媒の構造や劣化機構などを詳細に解析し、その結果に基づき以下のような新規知見を得ることに成功しました。
● 一般的な劣化原因物質である硫酸水素アンモニウム(※2)に加えて、200℃未満の低温においてはチオ硫酸アンモニウム(※3)が生成することを発見
● V/TSM触媒はTiO2-SiO2-MoO3固溶体(※4) とバナジウム活性種との相互作用により酸化還元能力が向上するため脱硝活性に優れるとともに、硫酸水素アンモニウムおよびチオ硫酸アンモニウムを分解する能力にも優れるため、硫黄酸化物による劣化が抑制されることを解明
当社では引き続き脱硝触媒の改良研究に取り組んでおり、得られた知見の活用により更なる高活性・高耐久性触媒の開発を目指しております。性能向上により、必要触媒量の低減による経済的効果だけでなく、排ガス処理温度の更なる低温化による再加熱エネルギー削減、つまりCO2削減へ繋がると期待されます。日本触媒は企業理念「TechnoAmenity-私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」の下、優れた触媒技術の開発を通じて、地球環境の保全に貢献していきます。
※1 硫黄酸化物SO2:高温ではほとんど触媒に吸着しないため処理性能への影響はないが、およそ300℃未満ではアンモニアと反応して硫酸アンモニウム塩を生成する。
※2 硫酸水素アンモニウムNH4HSO4:およそ300℃未満で発生する。触媒上に蓄積して細孔を閉塞し、触媒の劣化要因となる。
※3チオ硫酸アンモニウム(NH4)2S2O3:硫酸水素アンモニウムと同様に、触媒上に蓄積して細孔を閉塞すると考えられる。
※4 固溶体:異なる物質が互いに均一に溶け合った固相をいう(岩波 理化学辞典 第5版)。
関連論文:
ChemCatChem 2020, 12, 5938–5947.(DOI: 10.1002/cctc.202001155)
Appl. Catal. A Gen. 2020, 595, 117496.(DOI: 10.1016/j.apcata.2020.117496)
Ind. Eng. Chem. Res. 2020, 59, 13467–13476.(DOI: 10.1021/acs.iecr.0c02308)
以上
日本触媒について:
1941年の創業以来、自社開発の触媒技術を核に事業を拡大。酸化エチレンやアクリル酸、自動車用・工業用触媒などを世の中に送り出し、現在では紙おむつに使われる高吸水性樹脂で世界1位のシェアを誇っています。日本触媒は「テクノロジー(技術)」を通じて「アメニティ(豊かさ)」を提供する、という企業理念「TechnoAmenity」のもと、グローバルに活動する化学会社です。https://www.shokubai.co.jp
株式会社日本触媒(本社:大阪市中央区、社長:五嶋祐治朗、以下「日本触媒」)は、このたび「高活性・高耐久性脱硝触媒の開発および高性能発現メカニズムの解明」の研究に対し、一般社団法人触媒工業協会 令和3年度協会表彰「技術賞」を受賞いたしました。
触媒工業協会の技術賞は、触媒工業において独創的な発明、改良があり、かつこれらが顕著な効果をあげている場合、もしくは触媒に係る技術論文の学術的価値が顕著であると認められた場合に授与されるものです。当社が行った実用触媒の研究に関する論文が、触媒研究の分野で権威ある学術誌であるChemCatChem、Applied Catalysis A: General、およびIndustrial & Engineering Chemistry Researchに掲載され、その内容が学術的成果として顕著であることから受賞に至りました。
本研究の主な対象であるV2O5/TiO2-SiO2-MoO3触媒(V/TSM触媒)は日本触媒の触媒技術を駆使して開発した製品であり、発電所や都市ごみ焼却施設排ガスの窒素酸化物(NOx)を無害化する脱硝触媒として、多くの実用実績を有します。発電所排ガスの場合は高処理率が得られる300~400℃で触媒を使用するのに対し、ごみ焼却排ガス処理では、集塵装置の耐熱性の観点から排ガスを一度150℃程度まで冷却し、処理効率を高めるために再加熱して触媒を使用しますが、200℃未満とすることが一般的です。
過去の触媒では200℃未満の低温での処理は困難でしたが、V/TSM触媒はこのような低温でも十分な性能を発揮いたします。また、この温度域では排ガス中の硫黄酸化物(※1) が触媒性能を劣化させますが、V/TSM触媒は従来触媒を大幅に上回る耐久性を有します。この触媒を用いることによって必要触媒量の低減、触媒交換頻度の削減が可能となるだけでなく、排ガスの再加熱に要するエネルギーも削減可能となり、CO2削減の効果も期待されます。
当社はこのV/TSM触媒について高活性および高耐久性発現のメカニズムを解明するべく、京都大学大学院工学研究科の田中庸裕教授によるご協力の下、解析を続けてきました。理化学研究所の大型放射光施設SPring-8などを利用したX線吸収微細構造(XAFS)による解析や、X線回折法、赤外吸収法といった社内分析技術を駆使することによって触媒の構造や劣化機構などを詳細に解析し、その結果に基づき以下のような新規知見を得ることに成功しました。
● 一般的な劣化原因物質である硫酸水素アンモニウム(※2)に加えて、200℃未満の低温においてはチオ硫酸アンモニウム(※3)が生成することを発見
● V/TSM触媒はTiO2-SiO2-MoO3固溶体(※4) とバナジウム活性種との相互作用により酸化還元能力が向上するため脱硝活性に優れるとともに、硫酸水素アンモニウムおよびチオ硫酸アンモニウムを分解する能力にも優れるため、硫黄酸化物による劣化が抑制されることを解明
当社では引き続き脱硝触媒の改良研究に取り組んでおり、得られた知見の活用により更なる高活性・高耐久性触媒の開発を目指しております。性能向上により、必要触媒量の低減による経済的効果だけでなく、排ガス処理温度の更なる低温化による再加熱エネルギー削減、つまりCO2削減へ繋がると期待されます。日本触媒は企業理念「TechnoAmenity-私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」の下、優れた触媒技術の開発を通じて、地球環境の保全に貢献していきます。
※1 硫黄酸化物SO2:高温ではほとんど触媒に吸着しないため処理性能への影響はないが、およそ300℃未満ではアンモニアと反応して硫酸アンモニウム塩を生成する。
※2 硫酸水素アンモニウムNH4HSO4:およそ300℃未満で発生する。触媒上に蓄積して細孔を閉塞し、触媒の劣化要因となる。
※3チオ硫酸アンモニウム(NH4)2S2O3:硫酸水素アンモニウムと同様に、触媒上に蓄積して細孔を閉塞すると考えられる。
※4 固溶体:異なる物質が互いに均一に溶け合った固相をいう(岩波 理化学辞典 第5版)。
関連論文:
ChemCatChem 2020, 12, 5938–5947.(DOI: 10.1002/cctc.202001155)
Appl. Catal. A Gen. 2020, 595, 117496.(DOI: 10.1016/j.apcata.2020.117496)
Ind. Eng. Chem. Res. 2020, 59, 13467–13476.(DOI: 10.1021/acs.iecr.0c02308)
以上
日本触媒について:
1941年の創業以来、自社開発の触媒技術を核に事業を拡大。酸化エチレンやアクリル酸、自動車用・工業用触媒などを世の中に送り出し、現在では紙おむつに使われる高吸水性樹脂で世界1位のシェアを誇っています。日本触媒は「テクノロジー(技術)」を通じて「アメニティ(豊かさ)」を提供する、という企業理念「TechnoAmenity」のもと、グローバルに活動する化学会社です。https://www.shokubai.co.jp
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