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日本化学工業のニュース
■業績動向
1. 2020年3月期連結業績概要
日本化学工業<4092>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.2%増の36,243百万円、営業利益が同19.6%減の2,481百万円、経常利益が同16.7%減の2,545百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.8%減の1,857百万円だった。
売上高は全体として横ばいにとどまった。機能品事業の電子セラミック材料が大幅伸長したが、化学品事業のメッキ向けクロム製品が米中貿易摩擦長期化に伴う需要低迷などで落ち込み、機能品事業のホスフィン誘導体と農薬の大口案件の期ずれ、空調関連事業の大口案件の一巡も影響した。利益は原料価格の高止まり、成長投資に伴う減価償却費の増加(約5億円増加)、製品構成差なども影響して減益だった。
売上総利益率は21.5%で前期比0.9ポイント低下した。販管費は同6.1%増加し、販管費率は14.6%で同0.8ポイント上昇した。なお営業外費用では環境対策費が97百万円減少した。また特別利益に投資有価証券売却益194百万円(前期は55百万円)、特別損失に固定資産除却損216百万円(同156百万円)を計上した。
なお新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響については、需要変動の影響にタイムラグがあるため、2020年3月期には特に影響がなかったとしている。
2. セグメント別売上動向
セグメント別の売上動向は以下のとおりである。
化学品事業は、売上高が前期比0.5%減の15,509百万円、営業利益が同25.6%減の492百万円だった。主要製品別に見ると、クロム製品は減収だった。自動車や鉄鋼関連のメッキ向けが低調だった。シリカ製品は大幅伸長した。環境関連(放射性物質吸着剤)のスポット案件が寄与した。リン製品は微増収だった。光学ガラス向けが低調だったが、液晶向けが好調に推移してカバーした。その他は微減収だった。リチウム製品がグリース向けや光学ガラス向けが低調だったが、亜酸化銅が堅調に推移してカバーした。
機能品事業は、売上高が前期比4.2%増の15,470百万円、営業利益が同10.0%減の1,280百万円だった。主要製品別に見ると、電子セラミック材料は大幅伸長した。自動車や通信向けを中心に、MLCC(積層セラミックコンデンサ)の誘導体層の原料となるパルセラムが好調だった。ホスフィン誘導体は大幅減収だった。予定していた海外プラント用大口案件の売上が、顧客のスケジュールにより納期が後ろ倒しになったため次期にずれ込んだ。電池材料と回路材料は増収だった。いずれも主要顧客向けが堅調に推移した。その他は増収だった。バリウム製品が低調だったが、有機電子材料が好調に推移してカバーした。
賃貸事業は、売上高が前期比2.1%増の912百万円、営業利益が同2.9%減の532百万円だった。イオンタウン郡山において増築店舗の賃貸を開始した。
空調関連事業は、売上高が前期比11.7%減の3,418百万円、営業利益が同60.3%減の139百万円だった。医薬品メーカー向けアイソレータの大口案件が一巡し、新規設計・施工及びメンテナンス需要が低調だった。
その他は、売上高が前期比2.9%減の931百万円、営業利益が同23.5%減の62百万円だった。書店事業の売上はおおむね前年同期並みだった。環境測定は低調だった。
財務の健全性に問題なし
3. 財務概要
財務面で見ると、2020年3月期末の総資産は65,950百万円で前期末比452百万円増加した。設備投資の進展に伴って有形固定資産が増加し、負債では長期借入金が増加した。純資産は35,768百万円で270百万円増加した。自己資本比率は54.2%で前期末と同水準だった。財務の健全性に関しては特に問題のない水準と言えるだろう。
■今後の見通し
2021年3月期連結業績予想及び配当予想については未定としている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を期初時点では合理的に算出することが困難なため、業績への影響を慎重に見極め、開示が可能となった時点で速やかに公表する。なお同社が扱う製品の多くは、いわゆる川上分野に位置するため、川下分野にあたる最終製品の需要変動からおおむね4~5ヶ月程度遅れる形で、同社の生産・販売に影響を与える特性がある。
業績予想は未定としたが、引き続き「持続的安定収益の実現」を最重要課題として、既存事業のシェア維持と新規顧客開拓、コア技術を活用した高付加価値製品の開発、国内外グループ会社間の連携を強化する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
1. 2020年3月期連結業績概要
日本化学工業<4092>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.2%増の36,243百万円、営業利益が同19.6%減の2,481百万円、経常利益が同16.7%減の2,545百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.8%減の1,857百万円だった。
売上高は全体として横ばいにとどまった。機能品事業の電子セラミック材料が大幅伸長したが、化学品事業のメッキ向けクロム製品が米中貿易摩擦長期化に伴う需要低迷などで落ち込み、機能品事業のホスフィン誘導体と農薬の大口案件の期ずれ、空調関連事業の大口案件の一巡も影響した。利益は原料価格の高止まり、成長投資に伴う減価償却費の増加(約5億円増加)、製品構成差なども影響して減益だった。
売上総利益率は21.5%で前期比0.9ポイント低下した。販管費は同6.1%増加し、販管費率は14.6%で同0.8ポイント上昇した。なお営業外費用では環境対策費が97百万円減少した。また特別利益に投資有価証券売却益194百万円(前期は55百万円)、特別損失に固定資産除却損216百万円(同156百万円)を計上した。
なお新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響については、需要変動の影響にタイムラグがあるため、2020年3月期には特に影響がなかったとしている。
2. セグメント別売上動向
セグメント別の売上動向は以下のとおりである。
化学品事業は、売上高が前期比0.5%減の15,509百万円、営業利益が同25.6%減の492百万円だった。主要製品別に見ると、クロム製品は減収だった。自動車や鉄鋼関連のメッキ向けが低調だった。シリカ製品は大幅伸長した。環境関連(放射性物質吸着剤)のスポット案件が寄与した。リン製品は微増収だった。光学ガラス向けが低調だったが、液晶向けが好調に推移してカバーした。その他は微減収だった。リチウム製品がグリース向けや光学ガラス向けが低調だったが、亜酸化銅が堅調に推移してカバーした。
機能品事業は、売上高が前期比4.2%増の15,470百万円、営業利益が同10.0%減の1,280百万円だった。主要製品別に見ると、電子セラミック材料は大幅伸長した。自動車や通信向けを中心に、MLCC(積層セラミックコンデンサ)の誘導体層の原料となるパルセラムが好調だった。ホスフィン誘導体は大幅減収だった。予定していた海外プラント用大口案件の売上が、顧客のスケジュールにより納期が後ろ倒しになったため次期にずれ込んだ。電池材料と回路材料は増収だった。いずれも主要顧客向けが堅調に推移した。その他は増収だった。バリウム製品が低調だったが、有機電子材料が好調に推移してカバーした。
賃貸事業は、売上高が前期比2.1%増の912百万円、営業利益が同2.9%減の532百万円だった。イオンタウン郡山において増築店舗の賃貸を開始した。
空調関連事業は、売上高が前期比11.7%減の3,418百万円、営業利益が同60.3%減の139百万円だった。医薬品メーカー向けアイソレータの大口案件が一巡し、新規設計・施工及びメンテナンス需要が低調だった。
その他は、売上高が前期比2.9%減の931百万円、営業利益が同23.5%減の62百万円だった。書店事業の売上はおおむね前年同期並みだった。環境測定は低調だった。
財務の健全性に問題なし
3. 財務概要
財務面で見ると、2020年3月期末の総資産は65,950百万円で前期末比452百万円増加した。設備投資の進展に伴って有形固定資産が増加し、負債では長期借入金が増加した。純資産は35,768百万円で270百万円増加した。自己資本比率は54.2%で前期末と同水準だった。財務の健全性に関しては特に問題のない水準と言えるだろう。
■今後の見通し
2021年3月期連結業績予想及び配当予想については未定としている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を期初時点では合理的に算出することが困難なため、業績への影響を慎重に見極め、開示が可能となった時点で速やかに公表する。なお同社が扱う製品の多くは、いわゆる川上分野に位置するため、川下分野にあたる最終製品の需要変動からおおむね4~5ヶ月程度遅れる形で、同社の生産・販売に影響を与える特性がある。
業績予想は未定としたが、引き続き「持続的安定収益の実現」を最重要課題として、既存事業のシェア維持と新規顧客開拓、コア技術を活用した高付加価値製品の開発、国内外グループ会社間の連携を強化する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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