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イノベーション Research Memo(3):「ITトレンド」と「List Finder」が主力サービス

配信元:フィスコ
投稿:2019/12/23 17:37
イノベーション<3970>の会社概要

2. 事業内容
事業内容は、法人向けのインターネットマーケティング支援事業となり、法人営業における見込み顧客獲得(リードジェネレーション)や見込み顧客の育成(リードナーチャリング)、顧客獲得後のフォローアップまで、すべてのプロセスにおいてサービスを提供していることが特徴となっている。見込み顧客獲得のサービスとしては比較・資料請求サイトの「ITトレンド」「BIZトレンド」、見込み顧客育成から顧客獲得後のフォローアップをMAツールの「List Finder」で、それぞれサービス提供する格好となっている。

事業セグメントとしては、オンラインメディア事業とセールスクラウド事業に区分している。

(1) オンラインメディア事業
オンラインメディア事業には、法人向けIT製品の比較・資料請求サイトとして業界最大級となる「ITトレンド」と、法人向けアウトソーシングサービスの比較・資料請求サイト「BIZトレンド」のサービスほか、日経BPが運営するオンラインメディアを中心とした各媒体(日経ビジネス、日経XTECH等)に対して、顧客企業のニーズに合わせて広告をプランニングする広告販売代行サービス(同事業の売上構成比の1割強)、及び新規事業の「Seminar Shelf」が含まれる。

「ITトレンド」「BIZトレンド」は、IT製品やアウトソーシングサービスを販売する企業(以下、掲載企業)が、見込み顧客の獲得を目的として自社製品・サービスを掲載するWebサイトとなり、「ITトレンド」に関しては業界最大規模の掲載数や集客力を誇る。新たなIT製品やアウトソーシングサービス等の導入を検討する企業が、「ITトレンド」や「BIZトレンド」に来訪し、掲載されている製品・サービスの中から関心のある品目を選択し、一括して無料で資料請求できる仕組みとなっている。

ビジネスモデルとしては、資料請求が行われた段階で掲載企業から成果報酬(1件当たり1万円または1.5万円)が発生し、同社の売上高となる。掲載企業側から見れば、自社の製品・サービスに関心度の高い見込み顧客を獲得するためのコストとして1件当たり1万円を支出することになるが、最終的な成約率まで考慮すれば、有力メディアに広告を出稿するよりも費用対効果としては高い。このため、大手企業だけでなく営業リソースが不足しているベンチャー企業や中小企業等も見込み顧客獲得のための有力ツールとして「ITトレンド」「BIZトレンド」を活用している。同社の費用としては、Webサイトを運営するためのサーバー費用のほか、掲載する製品・サービスの紹介文等の作成及び顧客対応に携わる人員の人件費、Webサイトの認知度を向上させ、来訪者を増やしていくためのインターネット広告費等となる。費用としては広告費を除けばほぼ固定費となるため、限界利益率の高いビジネスモデルとなっている。

資料請求件数を増やすための施策としては、掲載製品数を拡充していくと同時に、同サイトへの来訪者を増やしていくこと、CV率を高めていくことが重要となる。現在、来訪者の流入経路としては検索エンジンを経由したものが約7割を占めているため、検索エンジンで上位表示されるようなSEO対策が重要となる。

なお、競合する比較・資料請求サイトとしては、マネーフォワード<3994>が2019年11月に子会社化したスマートキャンプ(株)の「ボクシル」のほか、アイティメディア<2148>の「キーマンズネット」、(株)ユニラボの「アイミツ」などがある。このうち、「ボクシル」はコンテンツとしてニュース・記事を充実させたサイト構成になっていてSEO対策もうまくサイト来訪者数が多いが、売上規模は年間4億円程度(同社と同様、成果報酬型で1万円/月)と同社の半分以下の水準となっている。

IT製品の比較サイトが複数ある中で、同社の強みとしては「掲載企業を増やし維持するノウハウ」「見込み顧客を獲得するノウハウ」の2点が挙げられる。「掲載企業を獲得・維持するノウハウ」としては、業界知識や組織的な営業力を生かした直接販売による新規開拓力を持つこと、また、掲載企業の見込み顧客獲得後の「フォロー方法」や「管理手段」まで踏み込んだフォロー体制を構築することで、掲載企業の売上向上サポートにも注力していることが挙げられる。

「見込み顧客獲得ノウハウ」については、サイトへの来訪者数をいかに増やすことができるかが重要なポイントとなるが、同社ではリスティング広告代理事業やSEO事業で培った検索エンジンからサイトへの集客力向上施策にノウハウ(キーワード検索で上位表示されるようなサイト構造の最適化等)を持っているほか、提携先である日経BP社等のパートナーを通じたサイト集客施策(メルマガ配信等)を行っていることも強みとなっている。また、長年のサイト運営で培った「問合せ率」向上のためのサイト最適化ノウハウも有しており、高いCV率につながっている。

2018年8月にオープンした「Seminar Shelf」は、営業戦略やマーケティング戦略、人事・組織戦略等に役立つセミナー動画を集めたポータルサイトで、視聴者はPCやモバイル端末から「いつでも、どこでも」閲覧できることが特徴となっている。従来、法人向けセミナーを活用した見込み顧客の獲得に関しては、セミナー会場に足を運ぶ顧客だけに対象が限定されていたが、距離や時間の問題でセミナーに参加できない潜在的な見込み顧客も多い。「Seminar Shelf」はこうした潜在見込み顧客を効率的に獲得するツールとなる。ビジネスモデルとしては、動画セミナーの配信を希望する企業に対して、初期費用5万円と見込み顧客情報の獲得件数に応じた成果報酬(5千円/件)が同社の売上げとなる。成果報酬額が「ITトレンド」等と比較して低いのは、想定される見込み顧客の対象が、売上げに直結する可能性の高いSQL(Sales Qualified Lead)ではなく、その前段階となるMQL(Marketing Qualified Lead)となるためだ。なお、2019年8月には資産運用セミナーに特化した「Seminar Shelf Money」もオープンしており、不動産投資セミナー等の動画配信をスタートさせている。

(2) セールスクラウド事業
セールスクラウド事業では、法人営業に特化したMAツール「List Finder」の提供と、これらを基軸としたWebサイトへの集客施策等に関するコンサルティングサービスを提供している。

主力の「List Finder」は、法人営業プロセスの中で見込み顧客の育成から成約・クロージング(リードナーチャリング)、アップセル・クロスセル(フォローアップ)までを効率的に行うツールとなる。主な機能としては名刺情報に基づいた見込み顧客の一元管理、一括メール配信、自社サイト来訪個人解析、自社サイト来訪企業解析、フォーム作成機能等が挙げられる。

MAツールの市場は、4~5年ほど前から日本でもセールスフォース・ドットコムやマルケトなど外資系企業が販売を開始したのを契機に立ち上がり始めた比較的新しい市場となっている。ただ、外資系の製品はいずれも高機能でシナリオ設計が複雑となり、ツールを使いこなすためにはマーケティングとITに精通した人材を専任で配置する必要がある。同社は、簡単な機能で低価格の製品を提供できれば中堅・中小企業等でも需要が拡大すると見て、「List Finder」を開発した。

競合製品との比較で見ると、セールスフォース・ドットコムの「Pardot」やマルケトの「Marketo」、シャノン<3976>の「SHANON MARKETING PLATFORM」は機能が充実している反面、サービス料金が年間で100万円を超える水準となっており顧客対象は中堅・大企業向けが中心となる。一方、同社は低価格料金で必要最低限の機能、わかりやすいUI、BtoB法人営業に特化したMAツールとなっていることが特徴となっている。サービス料金や機能面で競合するのは、カイロスマーケティング(株)の「Kairos3」やSATORI(株)の「SATORI」などがあるが、実際には「Pardot」が最も競合する場面が多く、BtoBの中堅・中小企業向けMAツールとしては、業界トップクラスの導入実績数となっている(累計1,500社超の導入実績)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ
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