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はてな Research Memo(3):「はてなブログMedia」「Mackerel」等の法人サービスは順調に拡大

配信元:フィスコ
投稿:2020/04/16 15:03
はてな<3930>の業績動向

2. サービス別売上動向
(1) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前年同期比14.3%減の264百万円と2019年7月期下期に引き続き減収となった。主力サービスとなる「はてなブログ」を中心に登録ユーザー数は前期末比67万人増の943万人と増加したものの、月間ユニークブラウザ(UB)数は1.80億UBと2019年7月期下期の1.96億UBから若干減少した。月間UB数については「はてなブログ」「はてなブックマーク」は堅調に推移したものの、「人力検索はてな」などその他のメディアの減少が足を引っ張った。

売上高が2019年7月期下期から減少に転じているが、これは「はてなブログ」等の同社が運営するメディアについて、一部のアドネットワーク事業者(Googleディスプレイネットワーク(GDN)やYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)など10社以上)との1次接続が停止される状況が続いたことで、アドネットワークの入札参加型広告主が減少し、その結果、広告単価が下落したことが影響した。なお、当該状況は2020年7月期第2四半期中に解消され広告単価も回復傾向となっているものの、まだ一部の運営メディアは接続できない状態が続いており、今後、再開に向けた協議を進めていくことになる。このため、四半期ベースの売上推移で見ると2019年7月期第4四半期から2020年7月期第1四半期が底となっており、2020年7月期第2四半期は前年同四半期比で増加に転じたものの、当初の想定よりも回復力は緩慢となっている。

なお、「はてなブログPro」の有料課金サービスについては着実に契約数を伸ばしており、広告収入が減少していることもあって売上構成比では2割前後まで上昇しているものと見られる。TwitterやFacebookなどSNSを使って情報発信する人が増加傾向にあるなかで、さらに深い情報を発信したいユーザーが同社の「はてなブログ」を利用するようになり、また、ヘビーユーザーが有料プランを利用するといった流れができつつあるものと思われる。

(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前年同期比8.0%増の446百万円と増収基調が続いた。企業のオウンドメディアとなる「はてなブログMedia」の運用件数が前期末比24件増の99件と順調に拡大したことが主因だ。増減の内訳を見ると、新規開設数が30件(前年同期は13件)、解約数が6件(同1件)となっており、新規開設数の大幅増が目立った。使いやすいUI(ユーザーインターフェース)や高いシステム安定性、検索エンジンで上位表示されやすいサイト構造の実現に向けた機能強化に継続して取り組んでおり、また、料金プランも2018年より「レギュラープラン」「ライトプラン」の2プラン制を導入したことで、大企業からベンチャー企業まで幅広い企業に採用が進んでいる。引き続き採用・広報を目的としたオウンドメディアの新規開設ニーズが強い。一方、解約理由については、顧客事情によるオウンドメディアの更新停止や他のCMSの利用などだが、会社側では市況や商品力そのものに問題はないと考えている。

運用件数の伸びに対して増収率が低いのは、「ライトプラン」での導入が増えてきたことや、人材採用向けオウンドメディアの開拓を図るべく、「採用オウンドメディアキャンペーン」として、期間限定の特別価格で新規導入を推進したことが主因となっている。また、人材採用のオウンドメディアについては、顧客の担当部署が人事部となるため予算も限られており、当初は基本的なサービスのみで利用するケースが多く、フロー収入となるコンテンツ作成や拡散のための広告掲載などの需要も少なく、1件当たり売上高が相対的に少ないことも一因と見られる。

(3) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は前年同期比0.7%増の538百万円となった。前年同期は任天堂向け受託開発案件の売上寄与があったため、伸び率は微増にとどまっているが、注力サービスであるマンガビューワ「GigaViewer」やサーバー監視サービス「Mackerel」については順調に拡大している。

「GigaViewer」については、新たに(株)コアコミックスがオープンした青年向けマンガサービス「ゼノン編集部」に採用され、提供を開始している。ユーザー向けの各種機能に加え、サービス提供者の運用コスト削減に貢献する管理機能の継続的な機能開発に取り組み、マンガビューワに掲載する広告の販売なども含めて、売上高は堅調に推移した。

また、2019年10月より(株)KADOKAWAが運営するWeb小説サイト「カクヨム」にて、クリエイターに収益を還元するための決済及び送金プラットフォームを同社で開発し、提供を開始している。同プラットフォームをベースに今後は作品ページに掲載される広告収益の一部をクリエイターに分配できるようにしたり、読者からの課金受付機能などの機能拡張を進めていく予定となっている。

「Mackerel」については、2020年7月期第2四半期末における累積顧客指数が前年同期末比35.9%増と高成長が続いた。クラウドサービスの普及拡大を背景に、AWS(アマゾンウェブサービス)を利用する企業に対して導入が順調に拡がっている。主に展示会の出展やオンラインで顧客の獲得を進めているが、2019年10月にはソニービズネットワークス(株)が提供するAWS導入・運用支援サービス「マネージドクラウド with AWS」のオプションサービスとして採用されたほか、同年11月にはNHNテコラス(株)が提供するAWSの活用支援サービス「C-Chorus(シー コーラス)」における監視ツールとしても採用されるなど、販売ネットワークの拡充も進んでいる。

また、新機能として2019年6月に正式リリースした「Mackerelコンテナエージェント」及び8月にリリースした「ロール内異常検知」が好評を得ており、新規顧客獲得のフック役の機能を果たしている。「Mackerelコンテナエージェント」は仮想化技術の1つとして需要が拡大している「コンテナ」技術に対応した監視サービスとなる。また「ロール内異常検知」は機械学習を活用した技術で、複雑な監視ルールの設定とメンテナンスを不要とし、簡単な項目の設定のみでサーバーの異常検知を可能にする機能となる。機械学習のためデータの蓄積が必要となるが、監視初心者でも利用が可能なほか、多くのサーバーを保有する企業でも監視担当者の省力化が図れるサービスとしてニーズは大きいと見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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配信元: フィスコ
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