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ユニリタ Research Memo(4):コロナ禍の影響等により減収減益も、注力するクラウド事業は伸長し、黒字化を達成

配信元:フィスコ
投稿:2021/06/14 15:04
■決算動向

● 2021年3月期決算の概要
ユニリタ<3800>の2021年3月期の業績は、売上高が前期比0.8%減の10,061百万円、営業利益が同29.4%減の757百万円、経常利益が同23.1%減の887百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同5.9%減の840百万円となった。コロナ禍の影響等により減収減益となったものの、2020年10月15日に公表した修正予想に対しては売上高、利益ともに上回る着地となった。

売上高は、注力する「クラウド事業」が順調に伸びたほか、「メインフレーム事業」も堅調に推移したものの、コロナ禍の影響を受けた「プロダクト事業」及び「システムインテグレーション事業」が落ち込んだことで僅かに減収となった。

損益面では、「プロダクト事業」の落ち込みや「ソリューション事業」におけるプロジェクトの長期化及び不採算案件の発生に加え、将来を見据えた人件費及び研究開発費の増加等により営業減益となり、営業利益率も7.5%(前期は10.6%)に低下した。ただ、目標としていた「クラウド事業」の黒字化を達成したことは、今後の収益力強化に向けて明るい材料と言える。また、保有資産の効率化を図るため、保有上場企業を売却したことにより、特別利益519百万円を計上している。

財政状態については、総資産は前期末比0.9%増の14,865百万円と僅かに増加した一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同2.2%増の11,279百万円に増加したことから、自己資本比率は75.9%(前期末は74.9%)と若干上昇した。また、「現金及び預金」は8,297百万円を確保している上、流動比率も289.8%と高水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1) クラウド事業
売上高は前期比29.0%増の1,160百万円、セグメント利益は29百万円(前期は33百万円の損失)と大幅な増収により黒字化を達成した。クラウドサービス利用ニーズの高まりや、コロナ禍における働き方改革の環境下において、LMIS(サービスマネジメントプラットフォーム)、Digital WorkForce(リモートワーク推進サービス)、らくらくBOSS(バックオフィス業務効率化)、DigiSheet(SaaS型勤怠管理サービス)の主力4サービスが順調に拡大した。また、アイネットと共同で推進する「ユニリタクラウドサービス」についても、クラウド基盤への移行に伴って着実に伸びている。損益面では、新サービス開発等への先行投資を継続しながらも、増収により損益分岐点を上回り、目標としていた黒字転換を実現することができた。また、今後に向けても、カスタマーサクセス※の実現を支援するサービスとして「Growwwing(グローイング)」を開発し、提供を開始した。

※「顧客が自社の課題を解決し、成功することを導く」サービスを指す。


(2) プロダクト事業
売上高は前期比7.0%減の2,836百万円、セグメント利益は同47.1%減の161百万円と減収減益となった。売上高は、ストック型収入である保守サービスが堅調に推移したものの、新規ライセンス販売の伸び悩みや前期にあった帳票系大型案件の反動減、コロナ禍の影響(人の移動の制限)を受けた地方交通事業者向けIoTサービス事業の不振などにより減収となった。損益面でも、とりわけ帳票・ETL領域の落ち込みが減益を招く要因となった。なお、地方交通事業者向けIoTサービスについては、「地方創生」を目的とした社会課題解決型の事業として取り組んでおり、今後は地方自治体への直接的なアプローチも検討しているようだ。

(3) ソリューション事業
売上高は前期比10.3%増の2,412百万円、セグメント損失は5百万円(前期は76百万円の利益)と増収ながら減益となり、セグメント損失を計上した。売上高は、顧客ビジネスのDX化を支援するコンサルティングサービスを手掛ける子会社の業績が伸長したほか、グループ各社による共同提案が奏功し、大型案件の受注増が増収につながった。一方、損益面では、コロナ禍の影響を受けたプロジェクト日程の長期化に加え、不採算案件の発生により減益となった(不採算案件については、追加費用の発生見込みはないとしている)。

(4) メインフレーム事業
売上高は前期比4.9%減の2,113百万円、セグメント利益は同1.7%減の1,122百万円となった。前期にあった大型案件の反動減による影響を受けたものの、金融業などをはじめとする大手顧客のシステム更新ニーズを受け、売上高、セグメント利益ともに堅調に推移した。

(5) システムインテグレーション事業
売上高は前期比13.5%減の1,538百万円、セグメント利益は同20.8%増の61百万円となった。売上高はコロナ禍による顧客のIT投資抑制の影響を受けたものの、損益面ではコアパートナーとの連携強化や選別受注により増益を確保し、利益率が向上した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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配信元: フィスコ
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