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インターネットイニシアティブのニュース
―健康長寿社会を実現するキーワード、心身の機能低下予防を支援する企業に商機―
新型コロナウイルスの感染者数が急増している。政府は重症化リスクのある高齢者を守る対策に重点的に取り組むとしているが、感染予防だけでなく、重要となるのが外出自粛に伴うフレイル(虚弱)化の問題だ。運動する機会や人とのかかわりが減ると、体力の低下や気持ちの落ち込みにつながるなどとされ、新型コロナの影響が長期化するなか解決すべき課題となっている。健康寿命を延ばすうえでもフレイル予防・対策は重要で、関連企業のビジネスチャンスが今後更に広がりそうだ。
●食事と運動が重要
フレイルとは、frailty(虚弱、老衰、脆弱など)が語源で、加齢に伴って心身が衰え、ストレスに対する回復力が低下した状態を表す。要介護状態に至る前段階と位置付けられ、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいとされる。
内閣府が6月14日に公表した2022年版の高齢社会白書によると、21年10月1日時点の総人口1億2550万人のうち65歳以上は3621万人で、高齢化率は28.9%(前年は28.6%)となっており、65年には38.4%まで高まると推計されている。一方で、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は平均寿命に対して約10年短く、医療費や介護費の増加、現役世代の負担増大が社会課題となっており、健康寿命を延ばすことは個人にとっても社会にとっても重要で、健康長寿社会を実現するキーワードとなるのが「フレイル予防」だ。
心と体の働きが弱くなり、放っておくと要介護状態に進行する可能性があるフレイルだが、「食事(栄養)」や「身体活動(運動)」、余暇活動やボランティアなどの「社会参加」に取り組むことで予防することができるといわれている。ただ、リスクを判定するための心身データ取得の機会が限られていることなどから早期発見が難しいという現状があり、フレイル予防を支援する各企業の動向に注目してみたい。
●JDSCなどに注目
インターネットイニシアティブ <3774> [東証P]は今月11日、地域とくらしを支えるプラットフォーム「IIJ電子@連絡帳サービス」で「地域資源連携オプション」を開発し、全国の市町村など自治体向けに提供を開始したことを明らかにした。今回追加する機能は、住民に向けた「地域資源」情報(通いの場、サロン・カフェ、フレイル予防体操といった地域福祉サービスなどの開催場所や活動概要)の公開や、専門職から地域住民への情報案内・マッチングをよりスムーズに行えるようにするもので、特に高齢者を中心とする地域住民の健康増進や介護予防に向けた活動を支援する。
エムスリー <2413> [東証P]とソニーグループ <6758> [東証P]は4月、テクノロジーと医療の知見を融合したソリューション事業を手掛ける新会社「サプリム」を設立した。サプリムでは、デジタル技術を活用して病気の治療を行うデジタル治療(デジタルセラピューティクス)を視野に、在宅でのリハビリを支援する身体機能改善事業や高齢期のフレイル予防事業、IoTを用いた医療センシング事業などを展開し、多くの人が健康で楽しく生きる社会を目指すという。
JDSC <4418> [東証G]は人工知能(AI)を活用したアルゴリズムモジュールの開発とライセンス提供などを手掛けており、AIを用いた電力データによるフレイル判定の技術に関する特許を取得している。3月に第一生命ホールディングス <8750> [東証P]傘下の第一生命保険やRIZAPグループ <2928> [札証A]などとフレイル予防・改善につながる新事業創出に向けて連携協定を締結したほか、4月には岩谷産業 <8088> [東証P]とフレイルリスク検知の高度化・予防サービスの開発に向け協業することで合意した。
マクニカ・富士エレホールディングス <3132> [東証P]傘下のマクニカはナイスメッツ(福岡市博多区)と連携し、疫学研究のエビデンスに基づいたフレイル予防サービス「MAQUP(メイクアップ)」を提供している。このサービスは、Web上で6つの質問に回答することでフレイル状態を早期発見し、地域の運動プログラム提供パートナーと共同で、健康の維持とフレイル状態の改善を目指す運動プログラムを提供するものとなっている。
●スポーツジムの需要増も
このほかでは、愛知県小牧市で自社のフレイルチェックシステムを使った健康づくり事業を行った実績のある住友理工 <5191> [東証P]、自治体の保有するデータを基に健診結果や医療レセプト情報などを分析できる「自治体向けBIツール」を提供している凸版印刷 <7911> [東証P]、健康寿命の延伸をサポートするサービスを集約した企業向けのプラットフォーム「BeWell(ビーウェル)」を展開するスマートバリュー <9417> [東証S]、筑波大学と電力センサーなどを用いたフレイル検知に関する共同研究契約を締結している東京電力ホールディングス <9501> [東証P]にも注目したい。
また、フレイルを予防するためには、加齢による筋肉・筋力の衰えを最小限にとどめることがカギを握ることから、ルネサンス <2378> [東証P]、セントラルスポーツ <4801> [東証P]、カーブスホールディングス <7085> [東証P]、東祥 <8920> [東証S]などにも商機がありそうだ。
株探ニュース
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