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*13:34JST フォーシーズ Research Memo(4):2023年9月期は減収減益も、通販事業と卸売事業において黒字確保(1)
■業績動向
1. 2023年9月期決算の業績概要
フォーシーズHD<3726>の2023年9月期決算の連結業績は、売上高2,136百万円(前期比8.1%減)、営業損失214百万円(前期は119百万円の損失)、経常損失216百万円(同116百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失272百万円(同156百万円の損失)となった。各セグメントの営業スタイル特性に合わせた施策を推進した結果、通販事業及び卸売事業はセグメント利益を確保、安定的な黒字化へ向けた収益性の向上が図られた。一方、衛生コンサルティング事業とリテール事業はセグメント損失を計上した。衛生コンサルティング事業では、飲食業界におけるHACCPの浸透の遅れが影響、リテール事業では、店舗数減少に伴う売上高減少や原価率改善の遅れが影響した。販売費及び一般管理費では、上場維持費等の報告セグメント以外に係る管理費を予算対比約70百万円計上したこと及び、M&Aのアドバイザリー費用や臨時株主総会による想定外の支出が影響した。
2. セグメント別概要
各セグメントに共通する商品販売部門を含めた管理部門では、コンセプトにマッチした商品開発のスピード化や原価の低いOEM商品の開発、コスト削減プロジェクトを推進している。2023年9月期のブランド別の商品販売実績としては、「FAVORINA」で4商品、「Cure」で2商品、「AROMA BLOOM」で21商品を新たに展開した。その他、国内初として韓国の化粧品会社「ザイエルコスメティック」が手掛ける2商品を販売した。原価率改善のため、特に「AROMA BLOOM」ブランドのOEM商品の開発に注力しており、開発した商品は通販事業、卸売事業、リテール事業それぞれで展開している。コスト削減としては、通販事業を中心に受注・配送・在庫の管理業務を担うフルフィルメント課で、RPAツール「BizRobo!」を導入した。自社EC及びモール出店の売上集計や売上以外で生じた在庫変動の随時反映など7つの業務を自動化し、課内の従業員1人当たりの時間外労働を削減した。
セグメント別の概要は以下のとおりである。
(1) 通販事業
売上高は889百万円(前期比12.6%増)、セグメント利益は204百万円(同6.7%減)となった。M&Aにより子会社化したiiyの売上が加わったことにより、通販事業全体の売上高は前期を上回る結果となった。セグメント利益はWebへの投資を高めたことにより前期比減少となったものの、安定的な黒字化体制の確立を実現した。
電話オペレーター販売では、コスト効率の観点からWebプロモーションによる新規獲得投資を抑制、CPAの改善施策を推進した。これにより新規顧客の獲得が伸び悩んだものの、既存顧客の掘り起こしと定期顧客の解約の阻止に注力した。さらに同社電話オペレーターの営業力を最大限に活用するため、2022年12月より架電代行業務を開始した。同社のコールセンター部門は10年以上勤務する社員が多く在籍しており、スキンケア商材の売上が月400万円以上となるなど、高い営業力を有する。コールセンター市場の需要の高まりを背景に、電話オペレーターの強力な営業力を最大限に活用することで、同事業の拡大を目指す。EC販売では、既存ブランドにおける認知向上とリテール事業との顧客リストの共有化や施策の連携を図ったが、売上高への反映には当初計画よりも時間を要している。2024年9月期以降は、ECでの新規顧客獲得の他、インフォマーシャルなど従来型の広告を組み合わせながら将来を見越した売上高の増強を推進する。
(2) 卸売事業
売上高は456百万円(前期比1.9%減)、セグメント利益は150百万円(同56.8%増)となった。売上高は前期比で若干の減収となったものの、セグメント利益は仮処分命令申立てに関する和解が成立し、弁護士費用等がなくなったことにより、前期を大幅に上回る結果となった。
既存実績のある「Cure」ブランドについては、国内卸売事業では、継続的に実施している人気ユーチューバーによるプロモーション活動の効果もあり、新たに大手ドラッグストアチェーン店への導入を開始した。インバウンド需要については、ALPS処理水問題等の影響により中国旅行客の動向が予測を下回る結果となったが、全体としては回復傾向にある。海外卸売事業では、2022年6月28日に公表の「子会社に対する仮処分命令申立てに関する和解成立のお知らせ」のとおり、主力商品である「ナチュラルアクアジェル」を中国、香港及びアメリカにおいて2023年7月31日まで製造及び販売を行えない状況下であったため機会損失となった。一方、同年8月1日より本条件が解除となったため足元では販売を再開しており、さらに東南アジアを中心としたアジア市場への拡大が進んでいる。
一方、通販事業で実績のある「FAVORINA」と「FINE VISUAL」ブランド、リテール事業で展開している「AROMA BLOOM」ブランドについては卸売事業へ参入して間もないため、足元では国内卸売事業・海外卸売事業の両面で認知拡大を目的としたプロモーション活動を継続している。また、新たな取り組みとして、SDGs経営の一環として、「コスメロスや廃棄ロスをなくそう!」をテーマにシェア買いアプリ「カウシェ」や(株)ネットプライスが運営している「Otameshi」や各自治体の「ふるさと納税」事業へ参画している。ふるさと納税については、奈良県大和郡山市、佐賀県鳥栖市、石川県金沢市、福岡県遠賀郡芦屋町の4自治体で展開しており、還元率の向上等により利用者にとって魅力的な選択となるよう訴求していくことが課題である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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1. 2023年9月期決算の業績概要
フォーシーズHD<3726>の2023年9月期決算の連結業績は、売上高2,136百万円(前期比8.1%減)、営業損失214百万円(前期は119百万円の損失)、経常損失216百万円(同116百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失272百万円(同156百万円の損失)となった。各セグメントの営業スタイル特性に合わせた施策を推進した結果、通販事業及び卸売事業はセグメント利益を確保、安定的な黒字化へ向けた収益性の向上が図られた。一方、衛生コンサルティング事業とリテール事業はセグメント損失を計上した。衛生コンサルティング事業では、飲食業界におけるHACCPの浸透の遅れが影響、リテール事業では、店舗数減少に伴う売上高減少や原価率改善の遅れが影響した。販売費及び一般管理費では、上場維持費等の報告セグメント以外に係る管理費を予算対比約70百万円計上したこと及び、M&Aのアドバイザリー費用や臨時株主総会による想定外の支出が影響した。
2. セグメント別概要
各セグメントに共通する商品販売部門を含めた管理部門では、コンセプトにマッチした商品開発のスピード化や原価の低いOEM商品の開発、コスト削減プロジェクトを推進している。2023年9月期のブランド別の商品販売実績としては、「FAVORINA」で4商品、「Cure」で2商品、「AROMA BLOOM」で21商品を新たに展開した。その他、国内初として韓国の化粧品会社「ザイエルコスメティック」が手掛ける2商品を販売した。原価率改善のため、特に「AROMA BLOOM」ブランドのOEM商品の開発に注力しており、開発した商品は通販事業、卸売事業、リテール事業それぞれで展開している。コスト削減としては、通販事業を中心に受注・配送・在庫の管理業務を担うフルフィルメント課で、RPAツール「BizRobo!」を導入した。自社EC及びモール出店の売上集計や売上以外で生じた在庫変動の随時反映など7つの業務を自動化し、課内の従業員1人当たりの時間外労働を削減した。
セグメント別の概要は以下のとおりである。
(1) 通販事業
売上高は889百万円(前期比12.6%増)、セグメント利益は204百万円(同6.7%減)となった。M&Aにより子会社化したiiyの売上が加わったことにより、通販事業全体の売上高は前期を上回る結果となった。セグメント利益はWebへの投資を高めたことにより前期比減少となったものの、安定的な黒字化体制の確立を実現した。
電話オペレーター販売では、コスト効率の観点からWebプロモーションによる新規獲得投資を抑制、CPAの改善施策を推進した。これにより新規顧客の獲得が伸び悩んだものの、既存顧客の掘り起こしと定期顧客の解約の阻止に注力した。さらに同社電話オペレーターの営業力を最大限に活用するため、2022年12月より架電代行業務を開始した。同社のコールセンター部門は10年以上勤務する社員が多く在籍しており、スキンケア商材の売上が月400万円以上となるなど、高い営業力を有する。コールセンター市場の需要の高まりを背景に、電話オペレーターの強力な営業力を最大限に活用することで、同事業の拡大を目指す。EC販売では、既存ブランドにおける認知向上とリテール事業との顧客リストの共有化や施策の連携を図ったが、売上高への反映には当初計画よりも時間を要している。2024年9月期以降は、ECでの新規顧客獲得の他、インフォマーシャルなど従来型の広告を組み合わせながら将来を見越した売上高の増強を推進する。
(2) 卸売事業
売上高は456百万円(前期比1.9%減)、セグメント利益は150百万円(同56.8%増)となった。売上高は前期比で若干の減収となったものの、セグメント利益は仮処分命令申立てに関する和解が成立し、弁護士費用等がなくなったことにより、前期を大幅に上回る結果となった。
既存実績のある「Cure」ブランドについては、国内卸売事業では、継続的に実施している人気ユーチューバーによるプロモーション活動の効果もあり、新たに大手ドラッグストアチェーン店への導入を開始した。インバウンド需要については、ALPS処理水問題等の影響により中国旅行客の動向が予測を下回る結果となったが、全体としては回復傾向にある。海外卸売事業では、2022年6月28日に公表の「子会社に対する仮処分命令申立てに関する和解成立のお知らせ」のとおり、主力商品である「ナチュラルアクアジェル」を中国、香港及びアメリカにおいて2023年7月31日まで製造及び販売を行えない状況下であったため機会損失となった。一方、同年8月1日より本条件が解除となったため足元では販売を再開しており、さらに東南アジアを中心としたアジア市場への拡大が進んでいる。
一方、通販事業で実績のある「FAVORINA」と「FINE VISUAL」ブランド、リテール事業で展開している「AROMA BLOOM」ブランドについては卸売事業へ参入して間もないため、足元では国内卸売事業・海外卸売事業の両面で認知拡大を目的としたプロモーション活動を継続している。また、新たな取り組みとして、SDGs経営の一環として、「コスメロスや廃棄ロスをなくそう!」をテーマにシェア買いアプリ「カウシェ」や(株)ネットプライスが運営している「Otameshi」や各自治体の「ふるさと納税」事業へ参画している。ふるさと納税については、奈良県大和郡山市、佐賀県鳥栖市、石川県金沢市、福岡県遠賀郡芦屋町の4自治体で展開しており、還元率の向上等により利用者にとって魅力的な選択となるよう訴求していくことが課題である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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