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サイバーリンクスのニュース
■今後の見通し
1. 2022年12月期の業績見通し
サイバーリンクス<3683>の2022年12月期の連結業績は、売上高13,267百万円(前期比0.2%増)、定常収入6,849百万円(同2.5%増)、営業利益1,043百万円(同10.4%増)、経常利益1,046百万円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益670百万円(同3.8%増)と予想している。主力の流通クラウド事業が拡大期に入ることなどから、3期連続の増収増益・過去最高益の更新を目指す。
セグメント別では、主力の流通クラウド事業は定常収入の積上げなどから増収増益予想だが、官公庁クラウド事業では防災行政無線デジタル化工事需要等が一服することから減収減益予想となっている。トラスト事業は2021年12月期に始動したサービスの提供拡大により増収を見込むものの、大胆な投資を継続することから、損失幅は縮小するものの損失計上を予想している。モバイルネットワーク事業は新サービスの取り扱い開始等を踏まえて顧客拡大を見込むものの、NTTドコモからの支援費が減少傾向であることから増収減益予想となっている。しかしこれらはかなり厳しく見た予想であることから、各事業(特に流通クラウド事業)の進捗によっては全体の業績が上振れする可能性もありそうだ。
2. セグメント別見通し
(1) 流通クラウド事業
セグメント売上高は4,261百万円(前期比6.0%増)、セグメント利益は729百万円(同28.9%増)と予想している。主力の「@rms」等のサービス提供拡大により、定常収入は3,556百万円(同7.3%増)、セグメント利益率も17.1%(前期は14.1%)まで伸長する予想だ。
施策としては、「@rms」等のサービス提供拡大により定常収入を積上げ、利益成長を加速させるほか、企業間連携プラットフォーム「C2Platform」の商談支援システム展開及び新機能開発にも注力する。また、2023年の適格請求書(インボイス)制度の開始や2025年のアナログ回線(PSTN)の終了等を控え、需要に備えた体制を整備していく。
(2) 官公庁クラウド事業
セグメント売上高は5,855百万円(前期比4.9%減)、定常収入は2,681百万円(同2.0%減)、セグメント利益は454百万円(同23.9%減)と予想している。前期までの特需の反動により減収減益予想となるが、想定内である。
2021年12月期第1四半期までに貢献した防災行政無線デジタル化工事及びGIGAスクール関連案件等の特需は終息するが、校務クラウドサービス「Clarinet」の導入拡大や総合防災サービスの開発に注力する。トピックとしては、防災情報マルチメディア配信サービス「Open Link for まちあっぷ!」を2022年1月にリリースした。また、行政における窓口業務と電子申請の長所を持ち、「書かない、待たない、行かない申請」を実現する新たなオンライン行政手続きサービス「Web窓口サービス」を2022年5月にリリース予定で、今後の業績への寄与が期待される。
(3) トラスト事業
セグメント売上高は151百万円(前期比58.6%増)、定常収入は121百万円(同413.1%増)、セグメント損失は154百万円(前期は349百万円の損失)と予想している。
2021年12月期に始動した新サービスの提供を拡大し、安全・安心で利便性の高いトラストサービスの開発を推進する。また、エスクロー・エージェント・ジャパン及び野村不動産ソリューションズとの不動産取引決済デジタル化についての共同研究を継続し、2022年5月の改正宅地建物取引法の施行に合わせて、不動産売買のオンライン取引実現に向け注力する。さらに2021年8月に本格稼働した「マイナトラスト電子委任状」や、12月に取得したブロックチェーン証明書「CloudCerts」等のサービス拡大にも注力する。
(4) モバイルネットワーク事業
セグメント売上高は3,000百万円(前期比1.2%増)、定常収入は491百万円(同19.2%減)、セグメント利益は335百万円(同12.3%減)と予想している。
世界的な半導体供給不足に伴い携帯電話端末の入荷に不透明感が漂うが、2021年10月からドコモショップで低価格プラン「OCNモバイルONE」の取り扱いを開始したこと等を踏まえて顧客層拡大を見込み、増収を維持する計画だ。一方で、NTTドコモからの支援費については減少傾向であり、インセンティブ体系の見直しにより定常収入が減少することから、セグメント利益は減益を予想している。施策としては、引き続き応対品質の維持・向上に努め、顧客ロイヤルティを高めていく。
3. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響
(1) 流通クラウド事業、官公庁クラウド事業、トラスト事業
資材調達やシステム導入の遅れが生じるケースがあるものの、案件はおおむね順調に進捗している。ICTを活用した「新しい生活様式」の定着が進むと予想されるが、流通クラウド事業では小売、卸、メーカー間の対面の商談からオンライン商談へのシフトが進むことが見込まれることから、「C2Platform」の商談支援システム展開に注力する。一方、官公庁クラウド事業では、行政のデジタル化の加速によりICT基盤の全国利用・共同利用の需要が高まることが見込まれることから、自治体情報セキュリティクラウドや情報系共同利用サービスを展開していく。また、3事業共通の取り組みとして、オフィスの規模等の見直しのほか、顧客と従業員の安全確保、顧客接点の維持、サービスの安定供給の観点から、ミーティングのオンライン化やテレワークの環境整備と実施を推奨している。
(2) モバイルネットワーク事業
顧客と従業員の安全に十分に配慮しつつ、通常営業を行っている。顧客と従業員の安全確保、顧客接点の維持、サービスの安定供給の観点から、マスク・ゴーグル・フェイスシールドの配備、対面接客フェンスの設置等を実施し、安心して来店できる店舗運営に取り組んでいる。
4. 株式市場再編への対応
同社は、2022年4月から導入された東証の新市場区分として、プライム市場へ移行した。新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定の結果は、「流通株式数」「流通株式比率」「売買代金」の各項目についてはプライム市場の上場維持基準を充たしている一方で、「流通株式時価総額」については基準を充たしていない旨の通知を受けた。「流通株式時価総額」の充足へ向け、同社では、2021年2月に公表した中期経営計画の着実な履行に加え、情報開示の充実、ESG関連施策の推進といったコーポレートガバナンスの充実により、企業価値向上を図る。なお、コーポレート・ガバナンス充実に向けた取り組みとしては、2021年8月より英文開示を開始したほか、ESG関連施策として、健康優良法人の認定取得(2021年3月)、サステナビリティ委員会の設置(2021年7月)、サステナビリティの取り組み開示(2021年9月)を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<YM>
1. 2022年12月期の業績見通し
サイバーリンクス<3683>の2022年12月期の連結業績は、売上高13,267百万円(前期比0.2%増)、定常収入6,849百万円(同2.5%増)、営業利益1,043百万円(同10.4%増)、経常利益1,046百万円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益670百万円(同3.8%増)と予想している。主力の流通クラウド事業が拡大期に入ることなどから、3期連続の増収増益・過去最高益の更新を目指す。
セグメント別では、主力の流通クラウド事業は定常収入の積上げなどから増収増益予想だが、官公庁クラウド事業では防災行政無線デジタル化工事需要等が一服することから減収減益予想となっている。トラスト事業は2021年12月期に始動したサービスの提供拡大により増収を見込むものの、大胆な投資を継続することから、損失幅は縮小するものの損失計上を予想している。モバイルネットワーク事業は新サービスの取り扱い開始等を踏まえて顧客拡大を見込むものの、NTTドコモからの支援費が減少傾向であることから増収減益予想となっている。しかしこれらはかなり厳しく見た予想であることから、各事業(特に流通クラウド事業)の進捗によっては全体の業績が上振れする可能性もありそうだ。
2. セグメント別見通し
(1) 流通クラウド事業
セグメント売上高は4,261百万円(前期比6.0%増)、セグメント利益は729百万円(同28.9%増)と予想している。主力の「@rms」等のサービス提供拡大により、定常収入は3,556百万円(同7.3%増)、セグメント利益率も17.1%(前期は14.1%)まで伸長する予想だ。
施策としては、「@rms」等のサービス提供拡大により定常収入を積上げ、利益成長を加速させるほか、企業間連携プラットフォーム「C2Platform」の商談支援システム展開及び新機能開発にも注力する。また、2023年の適格請求書(インボイス)制度の開始や2025年のアナログ回線(PSTN)の終了等を控え、需要に備えた体制を整備していく。
(2) 官公庁クラウド事業
セグメント売上高は5,855百万円(前期比4.9%減)、定常収入は2,681百万円(同2.0%減)、セグメント利益は454百万円(同23.9%減)と予想している。前期までの特需の反動により減収減益予想となるが、想定内である。
2021年12月期第1四半期までに貢献した防災行政無線デジタル化工事及びGIGAスクール関連案件等の特需は終息するが、校務クラウドサービス「Clarinet」の導入拡大や総合防災サービスの開発に注力する。トピックとしては、防災情報マルチメディア配信サービス「Open Link for まちあっぷ!」を2022年1月にリリースした。また、行政における窓口業務と電子申請の長所を持ち、「書かない、待たない、行かない申請」を実現する新たなオンライン行政手続きサービス「Web窓口サービス」を2022年5月にリリース予定で、今後の業績への寄与が期待される。
(3) トラスト事業
セグメント売上高は151百万円(前期比58.6%増)、定常収入は121百万円(同413.1%増)、セグメント損失は154百万円(前期は349百万円の損失)と予想している。
2021年12月期に始動した新サービスの提供を拡大し、安全・安心で利便性の高いトラストサービスの開発を推進する。また、エスクロー・エージェント・ジャパン及び野村不動産ソリューションズとの不動産取引決済デジタル化についての共同研究を継続し、2022年5月の改正宅地建物取引法の施行に合わせて、不動産売買のオンライン取引実現に向け注力する。さらに2021年8月に本格稼働した「マイナトラスト電子委任状」や、12月に取得したブロックチェーン証明書「CloudCerts」等のサービス拡大にも注力する。
(4) モバイルネットワーク事業
セグメント売上高は3,000百万円(前期比1.2%増)、定常収入は491百万円(同19.2%減)、セグメント利益は335百万円(同12.3%減)と予想している。
世界的な半導体供給不足に伴い携帯電話端末の入荷に不透明感が漂うが、2021年10月からドコモショップで低価格プラン「OCNモバイルONE」の取り扱いを開始したこと等を踏まえて顧客層拡大を見込み、増収を維持する計画だ。一方で、NTTドコモからの支援費については減少傾向であり、インセンティブ体系の見直しにより定常収入が減少することから、セグメント利益は減益を予想している。施策としては、引き続き応対品質の維持・向上に努め、顧客ロイヤルティを高めていく。
3. 新型コロナウイルス感染症拡大の影響
(1) 流通クラウド事業、官公庁クラウド事業、トラスト事業
資材調達やシステム導入の遅れが生じるケースがあるものの、案件はおおむね順調に進捗している。ICTを活用した「新しい生活様式」の定着が進むと予想されるが、流通クラウド事業では小売、卸、メーカー間の対面の商談からオンライン商談へのシフトが進むことが見込まれることから、「C2Platform」の商談支援システム展開に注力する。一方、官公庁クラウド事業では、行政のデジタル化の加速によりICT基盤の全国利用・共同利用の需要が高まることが見込まれることから、自治体情報セキュリティクラウドや情報系共同利用サービスを展開していく。また、3事業共通の取り組みとして、オフィスの規模等の見直しのほか、顧客と従業員の安全確保、顧客接点の維持、サービスの安定供給の観点から、ミーティングのオンライン化やテレワークの環境整備と実施を推奨している。
(2) モバイルネットワーク事業
顧客と従業員の安全に十分に配慮しつつ、通常営業を行っている。顧客と従業員の安全確保、顧客接点の維持、サービスの安定供給の観点から、マスク・ゴーグル・フェイスシールドの配備、対面接客フェンスの設置等を実施し、安心して来店できる店舗運営に取り組んでいる。
4. 株式市場再編への対応
同社は、2022年4月から導入された東証の新市場区分として、プライム市場へ移行した。新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定の結果は、「流通株式数」「流通株式比率」「売買代金」の各項目についてはプライム市場の上場維持基準を充たしている一方で、「流通株式時価総額」については基準を充たしていない旨の通知を受けた。「流通株式時価総額」の充足へ向け、同社では、2021年2月に公表した中期経営計画の着実な履行に加え、情報開示の充実、ESG関連施策の推進といったコーポレートガバナンスの充実により、企業価値向上を図る。なお、コーポレート・ガバナンス充実に向けた取り組みとしては、2021年8月より英文開示を開始したほか、ESG関連施策として、健康優良法人の認定取得(2021年3月)、サステナビリティ委員会の設置(2021年7月)、サステナビリティの取り組み開示(2021年9月)を進めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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