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クロス・マーケティンググループのニュース
■ビジネスモデル
1. 収益構造
収益源を分解すると、ディレクターとリサーチャーが売上原価、セールスや本部(共通部分)が販管費に計上される。ビジネスフロー上の流れとそれぞれの役割は、セールスが確保してきた案件に対して、リサーチャーが分析方法を提案し具体的な調査方法に詰め、ディレクターが調査の規模や案件内容によって工程を設計管理しデータを収集してプロダクト化、それをさらにリサーチャーがレポートにする——というものである。収益貢献を分かりやすく単純化すると、ディレクターのスキルと人員のバランスが取れると生産効率が向上し、リサーチャーでノウハウや人材が蓄積されると売上げと総利益が伸びる。一方、営業は人員が多いほど受注が増え、間接は企業規模に見合った適正サイズが求められる。
同業大手の直近期の営業利益率を比較すると、マクロミルが19.2%、インテージが8.9%、クロス・マーケティンググループ<3675>が4.3%である。マクロミルはネットリサーチの比率が高いため高効率である。インテージはオフラインやパネル調査が主力で労働集約性が高いため、マクロミル比で利益率は低く出てしまう。同社は、ネットリサーチ専業でスタートしたのだから営業利益率はマクロミルに近いはずだが、さほどの利益率にない。これは、ネットリサーチ出身ではあるものの、同社がマーケティングリサーチ全般からマーケティングソリューションへと業容拡大するなかで、ネットリサーチの構成比が小さくなっていること、そして、近年進めたM&Aや新規事業開発、海外展開の推進により機能の重複などコストがやや重くなっていることなどが要因と思われる。前者は戦略上の選択のため仕方ないが、後者については、数の増えた子会社の統廃合など、一旦シナジーや利益を追求するタイミングかもしれない。もちろん同社も同様に考えていると思われる。なお、インテージより利益率が低くなっているのは、2017年12月期に一時コストが発生したことが要因で、例年であればインテージと同水準と言える。
2. 強みと弱み
同社リサーチの最大の特徴は、セールス、リサーチャー、ディレクターなどすべての担当者が一丸となって顧客に接し、課題解決にあたるサポート体制にある。ほかに、回答負荷軽減を意識した画面づくり、的確なターゲット選定のための配信設定、精度の高いハイクオリティなデータクリーニング、高機能なアンケートシステムによる画面作成・配信・データ納品などの即応体制、国内最大規模の登録モニター数、基本属性だけでなくレアな対象に限定した調査——なども特徴と言えるが、こうしたサービスにおける同業との差はあまり大きいとは言えない。顧客からすると、サポート体制に加え、課題に対し適切に提案・設計するリサーチャーの経験や、グループ内のITソリューションの機能を利用したトータルなマーケティングソリューションの提案などが、差別化につながっているように思われる。
一方、弱みと言えるかわからないが、課題はオフラインリサーチの増加で労働集約が進み利益率の改善が難しくなっていること、東証マザーズ上場ということもあって依然新興勢力扱いされていること、海外で認知度が不足していること——などと考える。国内について、子会社の統廃合など解決に向けて動いている一方、海外については、2014年に買収したKadenceへのブランド統合によって、今後認知度を上げていく考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<TN>
1. 収益構造
収益源を分解すると、ディレクターとリサーチャーが売上原価、セールスや本部(共通部分)が販管費に計上される。ビジネスフロー上の流れとそれぞれの役割は、セールスが確保してきた案件に対して、リサーチャーが分析方法を提案し具体的な調査方法に詰め、ディレクターが調査の規模や案件内容によって工程を設計管理しデータを収集してプロダクト化、それをさらにリサーチャーがレポートにする——というものである。収益貢献を分かりやすく単純化すると、ディレクターのスキルと人員のバランスが取れると生産効率が向上し、リサーチャーでノウハウや人材が蓄積されると売上げと総利益が伸びる。一方、営業は人員が多いほど受注が増え、間接は企業規模に見合った適正サイズが求められる。
同業大手の直近期の営業利益率を比較すると、マクロミルが19.2%、インテージが8.9%、クロス・マーケティンググループ<3675>が4.3%である。マクロミルはネットリサーチの比率が高いため高効率である。インテージはオフラインやパネル調査が主力で労働集約性が高いため、マクロミル比で利益率は低く出てしまう。同社は、ネットリサーチ専業でスタートしたのだから営業利益率はマクロミルに近いはずだが、さほどの利益率にない。これは、ネットリサーチ出身ではあるものの、同社がマーケティングリサーチ全般からマーケティングソリューションへと業容拡大するなかで、ネットリサーチの構成比が小さくなっていること、そして、近年進めたM&Aや新規事業開発、海外展開の推進により機能の重複などコストがやや重くなっていることなどが要因と思われる。前者は戦略上の選択のため仕方ないが、後者については、数の増えた子会社の統廃合など、一旦シナジーや利益を追求するタイミングかもしれない。もちろん同社も同様に考えていると思われる。なお、インテージより利益率が低くなっているのは、2017年12月期に一時コストが発生したことが要因で、例年であればインテージと同水準と言える。
2. 強みと弱み
同社リサーチの最大の特徴は、セールス、リサーチャー、ディレクターなどすべての担当者が一丸となって顧客に接し、課題解決にあたるサポート体制にある。ほかに、回答負荷軽減を意識した画面づくり、的確なターゲット選定のための配信設定、精度の高いハイクオリティなデータクリーニング、高機能なアンケートシステムによる画面作成・配信・データ納品などの即応体制、国内最大規模の登録モニター数、基本属性だけでなくレアな対象に限定した調査——なども特徴と言えるが、こうしたサービスにおける同業との差はあまり大きいとは言えない。顧客からすると、サポート体制に加え、課題に対し適切に提案・設計するリサーチャーの経験や、グループ内のITソリューションの機能を利用したトータルなマーケティングソリューションの提案などが、差別化につながっているように思われる。
一方、弱みと言えるかわからないが、課題はオフラインリサーチの増加で労働集約が進み利益率の改善が難しくなっていること、東証マザーズ上場ということもあって依然新興勢力扱いされていること、海外で認知度が不足していること——などと考える。国内について、子会社の統廃合など解決に向けて動いている一方、海外については、2014年に買収したKadenceへのブランド統合によって、今後認知度を上げていく考えである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<TN>
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