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TIS、量子コンピュータプログラミングのためのWebサービス「Qni(キューニ)」を無料で提供

配信元:PR TIMES
投稿:2022/01/26 15:50
ブラウザで手軽にリアルタイムで量子プログラミングを体験可能

TISインテックグループのTIS株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:岡本 安史、以下:TIS)は、Webブラウザでリアルタイムに量子プログラミング可能なWebサービス「Qni(キューニ)」を無料で提供開始したことを発表します。


「Qni」はWebブラウザ上でドラッグ&ドロップにより「量子回路」と呼ばれる量子コンピュータで動作するアプリケーションを編集・実行できるWebサービスです。ブラウザだけで、手軽に量子コンピューティングを体験できます。「Qni」の実装には、国立研究開発法人理化学研究所 開拓研究本部との共同研究※1成果を活用しています。
TISでは、国内・海外での量子コンピュータエンジニア育成への貢献を目的に、量子コンピュータ研究者、技術者、これからこの分野を勉強したい方に向けて「Qni」を提供します。
また、Qniのソースコードも開発者のためのプラットフォームであるGitHub上でオープンソースソフトウェアとして無償で公開しています。量子コンピュータの進化や活用事例の広がりに合わせ、機能強化をオープンな開発体制で行っていく予定です。

※1研究課題名:「量子コンピュータ上での量子アルゴリズムに関する研究開発と評価」
共同研究者:国立研究開発法人理化学研究所 開拓研究本部 中田真秀氏

<「Qni」の画面イメージ>
「Qni」のURL:https://qniapp.net/
TISでの量子コンピューティング研究紹介:https://fintan.jp/blog-category/quantum-computer

「Qni」オープンソースは、量子コンピュータサービスを手掛けるblueqat株式会社(以下:blueqat)の量子アプリケーションにおいて採用が決定しています。blueqatの量子アプリケーション「VQE (VARIATIONAL QUANTUM EIGENSOLVER:変分量子固有値ソルバー)」「QAOA (QUANTUM APPROXIMATE OPTIMIZATION ALGORITHM)」をWEBブラウザ上で実行するためのサービス「blueqat VQE」および「AutoQML」のユーザインタフェースに「Qni」が使われています。「Qni」をアプリケーションに組み込むことで、高度なインタラクティブ性を備えた量子回路ユーザインタフェースを実現しています。

このように「Qni」は単独で使うだけでなく、他のアプリケーションと連携させることができ、たとえば高性能なシミュレータと組合わせることにより、大規模量子ビットを使った量子コンピューティングも可能です。「Qni」オープンソースにはNVIDIA Corporation(以下:NVIDIA)の高性能量子回路シミュレーションライブラリ「cuStateVec」と組み合わせるサンプルコードが付属しており、最大30量子ビットを使った本格的な量子コンピューティングに対応しています。

■背景
昨今、各社から相次いで量子コンピュータのクラウドサービスがリリースされ、また量子コンピューティングのための各種SDK※2が登場するなど、量子コンピュータプログラミングは今後ますますニーズが高まるスキルです。しかし習得のためには、量子コンピュータの基礎理論である量子力学をはじめとする高度な専門知識が要求されるため、従来のプログラミングに比べ極めてハードルが高いという課題があります。
TISが提供する「Qni」はこうした量子コンピューティングの最初のハードルを解消するサービスです。量子力学を学ぶ前段階として、「習うより慣れよ」を基本としたライブプログラミングによる量子コンピューティングを体験できます。ユーザーは量子回路をドラッグ&ドロップによって直接編集でき、操作結果は即座に表示されるため、量子ビットや量子ゲートの仕組みをインタラクティブに理解できます。こうした高度なリアルタイム処理を可能にするため、量子回路シミュレーションをブラウザ上で高速に演算するなど、TISの知見を活かした各種最適化を施しています。

※2 SDK:Software Development Kit(ソフトウェア開発キット)
ソフトウェアやWebを開発する際に必要なプログラムやドキュメントなどをまとめたもの

■「Qni(キューニ)」の特長
「Qni(キューニ)」は直感的な量子ライブプログラミングツールです。
・ブラウザ上で動作
PCやスマートフォンのブラウザでQni Webサイトを開くだけで、すぐにGUIによる量子コンピュータプログラミングを始められます。
・インタラクティブに実行結果を表示
量子ゲートのドラッグ&ドロップといったユーザー操作に応じて、リアルタイムに量子ビットの状態を表示することで、量子コンピュータの仕組みや動作を直観的に理解できます。
・さまざまなレベルで動作を可視化
量子ビットの状態をブロッホ球※3と呼ばれる表示で可視化できるほか、量子ビットの集合である状態ベクトルをグラフィカルに表示することによって、量子アルゴリズムの動作を視覚化できます。

※3 ブロッホ球:1量子ビットの状態を単位球面上の点として表したモデル


■「Qni(キューニ)」の概要
「Qni」のライブプログラミング環境では、量子回路を直接操作しながらインタラクティブに量子コンピューティングを学習できます。
インタラクティブなプログラミング体験の一種として、「Qni」で作成した量子回路を他のユーザーと手軽にシェアする「Qni Share」機能も提供しています。量子回路のURLをメールやSNSに投稿するだけで、他のユーザーはシェアされた量子回路をブラウザ上で実行できます。これにより、他の開発者と手軽にコラボレーションできるほか、量子コンピュータエンジニアの教育・育成での活用も目指しています。

また「Qni」は量子アプリケーション開発のためのSDKとして活用することもできます。「Qni」オープンソースの一部である「Qni Elements」は量子回路のためのWebカスタムコンポーネントを提供しており、<h-gate>、<x-gate>といった簡単なHTMLタグの組合わせで、複雑な量子回路を描画できます。構築した量子回路はドラッグ&ドロップに対応しているため、さまざまな量子アプリケーションに量子回路ユーザインタフェースを手軽に組込むことができます。

「Qni」の詳細は以下を参照ください。
https://github.com/qniapp/

■エンドースメント
blueqat株式会社 CEO 湊雄一郎氏
現在量子コンピュータを取り巻く人材育成が全世界で加速しております。これまでは複雑なツールを使って専門的なプログラミングが必要でしたが、Qniの登場によってユーザーは誰でも簡単に量子回路を組み立てられるようになりました。このような複雑なプログラミングを必要とせず直感的に量子コンピュータのプログラミングを実行できる環境は教育面において、小学生から大人まで幅広い年齢層にアプローチし、量子人材育成を大きく加速させる可能性があります。弊社のblueqatとの相性もとてもよく、国産のツールで世界に大きく影響を与えられる取り組みと考えています。

NVIDIA 合同会社 シニアソリューションアーキテクト 森野慎也氏
Qniのご発表、おめでとうございます。直感的な操作、オープンソースでの提供、再利用性の高いWebコンポーネントなど、多くの特性を兼ね備えたQniは、これからの量子コンピューティングにおける教育や開発において、大きな役割を果たすものと期待しております。この利便性の高い環境の上で、NVIDIAのGPUとソフトウェアを活用することで、高速なシミュレーションも可能となります。量子コンピューティングの人材育成に向けたTIS株式会社様の取り組みを、NVIDIAは引き続き支持させていただきます。

■今後について
初心者向けに、Qniを使ったインタラクティブな量子コンピューティングチュートリアルを公開予定です。また、より高度な量子プログラミングのために、プリセットゲートの追加やカスタムゲート登録機能といった機能強化を予定しています。

■「VQE (VARIATIONAL QUANTUM EIGENSOLVER:変分量子固有値ソルバー)」、「blueqat VQE」、「AutoQML」について
VQEは量子コンピュータアルゴリズムの一種で、変分原理によってハミルトニアンの基底状態を探索するものです。blueqat VQEはVQE を実行するためのWebサービスで、Qni Elementsを使ったドラッグ&ドロップにより、プログラミング無しで量子回路を自動生成し実行できます。AutoQML は組合せ最適化問題を解く量子コンピュータアルゴリズム QAOA を実行するためのWebサービスで、パラメータを選択するだけで自動的に複雑な量子回路を生成し実行できます。

■「cuStateVec」について
cuStateVecは、量子コンピューティング向けのSDKであるNVIDIA cuQuantumのライブラリです。ステートベクトル型シミュレーションにて頻出する演算をライブラリとして提供しており、NVIDIA GPU 上での並列演算環境、CUDAを用いて最適化されています。cuStateVecライブラリとGPUを用いることで、量子回路シミュレーション実行を飛躍的に高速化します(CPU比 最大18倍超、NVIDIA A100 Tensor コア GPU使用時)。

TIS株式会社について(https://www.tis.co.jp/
TISインテックグループの TIS は、SI・受託開発に加え、データセンターやクラウドなどサービス型の IT ソリューションを多数用意しています。同時に、中国・ASEAN 地域を中心としたグローバルサポート体制も整え、金融、製造、流通/サービス、公共、通信など様々な業界で 3,000社以上のビジネスパートナーとして、お客様の事業の成長に貢献しています。


TISインテックグループについて
TISインテックグループはグループ社員約2万人が一体となって、強みを活かし、国内および海外の金融・製造・サービス・公共など多くのお客様のビジネスを支えるITサービスを提供しています。デジタル技術を駆使したムーバーとして、未来の景色に鮮やかな彩りをつけていきます。


※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
※ 記載されている情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。


◆本件に関するお問い合わせ先
TIS株式会社
テクノロジー&イノベーション本部 テクノロジー&エンジニアリングセンター
担当:高宮
E-mail:qni@ml.tis.co.jp
配信元: PR TIMES
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