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ジェイ・エス・ビーのニュース
■ジェイ・エス・ビー<3480>の業績動向
1. 2018年10月期の業績概要
2018年10月期におけるわが国経済は、好調な企業業績のもと、旺盛な設備投資や雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の持ち直しをはじめ、全体として緩やかな回復基調で推移した。一方、米国政権の政策運営や保護主義の高まりに加え、米中貿易摩擦の拡大、相次ぐ自然災害による経済への影響等、不安定な外部環境が継続した。
このような環境のなかで、同社グループでは、主たる顧客層である学生の動向において、2018年春の大学・短期大学進学率(過年度卒を含む)は57.9%と前年度より0.6ポイント上昇し、前年同様に過去最高となり、また、大学(大学院を含む)の学生数は290.9万人と前年度より1.8万人増加し、前年に引き続き増加した(文部科学省「平成30年度学校基本調査(速報値)」)。このため、主力の不動産賃貸管理事業が堅調であったことに加えて、高齢者住宅事業でも前期に引き続き黒字を確保した。
以上から、連結売上高は38,940百万円(前期比6.9%増)、経常利益は2,890百万円(同9.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,078百万円(同34.1%増)となった。概ね2018年11月30日発表の修正予想通りであったが、2017年12月13日の前期決算発表時の当初予想に比べると、売上高で1.6%、経常利益で4.0%、親会社株主に帰属する当期純利益では22.1%も上回る好決算であり、中期経営計画の初年度として順調なスタートを切った。親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が大きかったのは、保有不動産の売却による固定資産売却益を計上したこと、さらに2018年7月の新株式発行及び株式の売出しに伴う主要株主に係る議決権所有割合の異動により、留保金課税の適用対象外となり、法人税額が減少したことによる。他方で、広告宣伝活動の積極展開、システム投資により販売費及び一般管理費は増加しており、将来の事業発展にも十分に備えていると言える。
セグメント別に動向を見ると、不動産賃貸管理事業では、物件管理戸数の増加や入居率が100%に近い高水準で推移したことに伴い、学生マンションの家賃収入をはじめ、各種不動産賃貸関連サービス収入は順調に推移した。コスト面では、Web広告やテレビCMの放映等、広告宣伝活動を積極的に行ったことから、広告宣伝費が増加した。また、情報セキュリティの強化、業務効率化等を目的とした基幹システム刷新へ向けたシステム関連費用の増加やシステム刷新に係る新旧システムの並行稼働に伴う人件費の増加等があった。ただ、これらは同社グループにおける成長戦略へ向けた取り組みの一環としての戦略的投資と位置付けられる。その結果、売上高36,613百万円(前期比7.5%増)、セグメント利益4,231百万円(同3.3%増)となった。
高齢者住宅事業では、前期において採算性の低い高齢者向け施設を外部への事業譲渡により整理したことに加え、既存施設においては、介護サービス事業の拡充、コスト面や運営体制の見直し強化などに努めてきた。前期の黒字化を背景に、入居率の向上や介護サービスの拡充への取り組み強化のもと、高齢者施設の入居率も高水準を維持した。加えて、経験と実績のある京都嵐山において、グループ外部から事業を譲り受け、関西地区を中心に事業方針であるドミナント戦略を推し進めることにより、地域に根差したサービスの拡充・競争力の強化を図った。当事業では、当初計画を上回るセグメント利益となったが、事業譲受に係るアドバイザリー報酬等の計上や人員増加に伴う人件費等、コスト面での負担も増加したため、セグメント利益は前期比で減少した。その結果、売上高1,848百万円(前期比10.6%増)、またセグメント利益107百万円(同26.7%減)となった。
その他の事業では、学生向けの企業説明会や就職セミナー情報の提供を通じた各種学生支援サービスの提供と、外国人留学生向けの日本語学校の運営による教育事業等を進めた。当事業区分については、同社グループの主力事業に対する後方支援的な位置付けを担うことから、前期比では低調なものの、潜在的な効果として主力事業の事業収益へ寄与していると考えられる。また、前期の販売用不動産の売上計上が当期にはなかった。その結果、同事業は売上高477百万円(前期比30.1%減)、セグメント損失7百万円(前期は損失3百万円)となった。
安全性・収益性指標は業界平均を上回る
2. 財務状況と経営指標
2018年10月期末の資産合計は29,933百万円(前期末比2,711百万円増)となった。流動資産9,734百万円(同1,052百万円増)は、主として現金及び預金が764百万円増加したことによる。固定資産20,199百万円(同1,658百万円増)は、主に自社所有物件の増加に伴い有形固定資産が1,319百万円増加したことによる。他方、流動負債6,599百万円(同295百万円減)は、主として未払法人税等が187百万円及び1年内返済予定の長期借入金が173百万円それぞれ減少したことによる。固定負債10,712百万円(同346百万円減)は、主として長期借入金が231百万円減少したことによる。純資産12,621百万円(同3,353百万円増)は、主として2018年7月の公募増資、8月の第三者割当増資により資本金が785百万円及び資本剰余金が785百万円それぞれ増加したこと、利益剰余金が1,915百万円増加したことによるものである。
以上の結果、自己資本比率は前期の34.0%から42.2%に上昇し、D/Eレシオも1.1倍から0.7倍に低下するなど、財務の安全性が高まった。自己資本比率は、2017年度の東証1部不動産業平均の30.8%を上回っている。また、ROA(総資産経常利益率)は10.1%、ROE(自己資本当期純益率)も19.0%と、不動産業平均の4.4%、9.5%を大きく上回り、同社の収益性も極めて高いと評価できる。同社のメイン事業がサブリース(貸主から賃貸物件を借り上げ、入居者に転貸する)であることが、高収益体質の理由と考えられる。
2018年10月期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比764百万円増加し、8,100百万円となった。営業活動による資金の増加2,187百万円(前年同期は2,871百万円の増加)は、主に税金等調整前当期純利益3,075百万円、非資金項目である減価償却費640百万円及び法人税等の支払額1,233百万円によるものである。投資活動により使用した資金2,274百万円(同1,620百万円の使用)は、主に自社所有物件の新規開発に伴う有形固定資産の取得による支出2,242百万円などによるものである。財務活動による資金の増加851百万円(同1,137百万円の増加)は、主に長期借入れによる収入850百万円、長期借入金の返済による支出1,254百万円及び株式の発行による収入1,571百万円によるものである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 2018年10月期の業績概要
2018年10月期におけるわが国経済は、好調な企業業績のもと、旺盛な設備投資や雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の持ち直しをはじめ、全体として緩やかな回復基調で推移した。一方、米国政権の政策運営や保護主義の高まりに加え、米中貿易摩擦の拡大、相次ぐ自然災害による経済への影響等、不安定な外部環境が継続した。
このような環境のなかで、同社グループでは、主たる顧客層である学生の動向において、2018年春の大学・短期大学進学率(過年度卒を含む)は57.9%と前年度より0.6ポイント上昇し、前年同様に過去最高となり、また、大学(大学院を含む)の学生数は290.9万人と前年度より1.8万人増加し、前年に引き続き増加した(文部科学省「平成30年度学校基本調査(速報値)」)。このため、主力の不動産賃貸管理事業が堅調であったことに加えて、高齢者住宅事業でも前期に引き続き黒字を確保した。
以上から、連結売上高は38,940百万円(前期比6.9%増)、経常利益は2,890百万円(同9.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,078百万円(同34.1%増)となった。概ね2018年11月30日発表の修正予想通りであったが、2017年12月13日の前期決算発表時の当初予想に比べると、売上高で1.6%、経常利益で4.0%、親会社株主に帰属する当期純利益では22.1%も上回る好決算であり、中期経営計画の初年度として順調なスタートを切った。親会社株主に帰属する当期純利益の増益率が大きかったのは、保有不動産の売却による固定資産売却益を計上したこと、さらに2018年7月の新株式発行及び株式の売出しに伴う主要株主に係る議決権所有割合の異動により、留保金課税の適用対象外となり、法人税額が減少したことによる。他方で、広告宣伝活動の積極展開、システム投資により販売費及び一般管理費は増加しており、将来の事業発展にも十分に備えていると言える。
セグメント別に動向を見ると、不動産賃貸管理事業では、物件管理戸数の増加や入居率が100%に近い高水準で推移したことに伴い、学生マンションの家賃収入をはじめ、各種不動産賃貸関連サービス収入は順調に推移した。コスト面では、Web広告やテレビCMの放映等、広告宣伝活動を積極的に行ったことから、広告宣伝費が増加した。また、情報セキュリティの強化、業務効率化等を目的とした基幹システム刷新へ向けたシステム関連費用の増加やシステム刷新に係る新旧システムの並行稼働に伴う人件費の増加等があった。ただ、これらは同社グループにおける成長戦略へ向けた取り組みの一環としての戦略的投資と位置付けられる。その結果、売上高36,613百万円(前期比7.5%増)、セグメント利益4,231百万円(同3.3%増)となった。
高齢者住宅事業では、前期において採算性の低い高齢者向け施設を外部への事業譲渡により整理したことに加え、既存施設においては、介護サービス事業の拡充、コスト面や運営体制の見直し強化などに努めてきた。前期の黒字化を背景に、入居率の向上や介護サービスの拡充への取り組み強化のもと、高齢者施設の入居率も高水準を維持した。加えて、経験と実績のある京都嵐山において、グループ外部から事業を譲り受け、関西地区を中心に事業方針であるドミナント戦略を推し進めることにより、地域に根差したサービスの拡充・競争力の強化を図った。当事業では、当初計画を上回るセグメント利益となったが、事業譲受に係るアドバイザリー報酬等の計上や人員増加に伴う人件費等、コスト面での負担も増加したため、セグメント利益は前期比で減少した。その結果、売上高1,848百万円(前期比10.6%増)、またセグメント利益107百万円(同26.7%減)となった。
その他の事業では、学生向けの企業説明会や就職セミナー情報の提供を通じた各種学生支援サービスの提供と、外国人留学生向けの日本語学校の運営による教育事業等を進めた。当事業区分については、同社グループの主力事業に対する後方支援的な位置付けを担うことから、前期比では低調なものの、潜在的な効果として主力事業の事業収益へ寄与していると考えられる。また、前期の販売用不動産の売上計上が当期にはなかった。その結果、同事業は売上高477百万円(前期比30.1%減)、セグメント損失7百万円(前期は損失3百万円)となった。
安全性・収益性指標は業界平均を上回る
2. 財務状況と経営指標
2018年10月期末の資産合計は29,933百万円(前期末比2,711百万円増)となった。流動資産9,734百万円(同1,052百万円増)は、主として現金及び預金が764百万円増加したことによる。固定資産20,199百万円(同1,658百万円増)は、主に自社所有物件の増加に伴い有形固定資産が1,319百万円増加したことによる。他方、流動負債6,599百万円(同295百万円減)は、主として未払法人税等が187百万円及び1年内返済予定の長期借入金が173百万円それぞれ減少したことによる。固定負債10,712百万円(同346百万円減)は、主として長期借入金が231百万円減少したことによる。純資産12,621百万円(同3,353百万円増)は、主として2018年7月の公募増資、8月の第三者割当増資により資本金が785百万円及び資本剰余金が785百万円それぞれ増加したこと、利益剰余金が1,915百万円増加したことによるものである。
以上の結果、自己資本比率は前期の34.0%から42.2%に上昇し、D/Eレシオも1.1倍から0.7倍に低下するなど、財務の安全性が高まった。自己資本比率は、2017年度の東証1部不動産業平均の30.8%を上回っている。また、ROA(総資産経常利益率)は10.1%、ROE(自己資本当期純益率)も19.0%と、不動産業平均の4.4%、9.5%を大きく上回り、同社の収益性も極めて高いと評価できる。同社のメイン事業がサブリース(貸主から賃貸物件を借り上げ、入居者に転貸する)であることが、高収益体質の理由と考えられる。
2018年10月期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比764百万円増加し、8,100百万円となった。営業活動による資金の増加2,187百万円(前年同期は2,871百万円の増加)は、主に税金等調整前当期純利益3,075百万円、非資金項目である減価償却費640百万円及び法人税等の支払額1,233百万円によるものである。投資活動により使用した資金2,274百万円(同1,620百万円の使用)は、主に自社所有物件の新規開発に伴う有形固定資産の取得による支出2,242百万円などによるものである。財務活動による資金の増加851百万円(同1,137百万円の増加)は、主に長期借入れによる収入850百万円、長期借入金の返済による支出1,254百万円及び株式の発行による収入1,571百万円によるものである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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