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システムインテ Research Memo(2):独立系のソフトウェア開発会社、開発支援ツールで高シェア

配信元:フィスコ
投稿:2018/06/06 15:12
■事業概要

システムインテグレータ<3826>は1995年設立の独立系ソフトウェア開発会社で、パッケージソフトの開発販売及び保守サービス、コンサルティング業務などを行っている。また、新製品に関しては基本的にクラウドサービス型での事業展開を指向している。現在の主力製品は、データベース開発支援ツール「SI Object Browser」や統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(以下、OBPM)」のほか、ECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」、Web-ERPパッケージ「GRANDIT」等がある。事業セグメントに関しては、Object Browser事業、EC・オムニチャネル事業、ERP事業、の3事業セグメントのほか、2018年2月期より新規事業をその他として区分して開示している。

2018年2月期の売上構成比で見ると、ERP事業が全体の64.7%と過半を占めているが、営業利益で見るとObject Browser事業が39.2%、EC・オムニチャネル事業が19.8%、ERP事業が45.2%となっており、バランスが取れた構成となっている。特に、Object Browser事業に関しては市場シェアが高位安定していること、月額課金収入によるストック型の売上比率が高いことから、同社の安定収益源になっている。新規事業となるその他については、まだ先行投資段階のため若干の損失となっている。各事業の内容は以下のとおり。

1. Object Browser事業
Object Browser事業ではデータベース開発支援ツール「SI Object Browser」やデータベース設計支援ツール「SI Object Browser ER」(以下、「SI Object Browser」シリーズ)のほか、統合型プロジェクト管理ツール「OBPM」、2013年6月にリリースしたアプリケーション設計支援ツール「SI Object Browser Designer(以下、OBDZ)」等のソフトウェア製品の開発販売を行っている。「OBPM」や「OBDZ」についてはオンプレミスとクラウドサービス両方に対応している。売上構成比は「SI Object Browser」シリーズが5割弱、「OBPM」が5割強となっている。「OBPM」の契約件数拡大が続いており、ここ1年で売上構成比が逆転している。また、「OBDZ」についてはまだ契約件数が数十件程度と少なく、業績に与える影響は軽微となっている。

「SI Object Browser」シリーズは1997年の発売以降1.6万社に導入され、国内ではデファクトスタンダードとなっている。現在は売上高の29%が保守料金となっているが、毎年安定した売上が見込めるほか販売費用もほとんどかからないため、売上総利益率で約90%と高収益製品となっている。

「OBPM」は開発プロジェクトの進捗状況を統合管理(スケジュール、コスト、要員、品質、採算等の管理)することで、不採算プロジェクトの発生を未然に防止し、開発部門の生産性向上に寄与するツールとなる。国内で唯一、PMBOK※に準拠した製品となる。2008年の発売以降、導入社数は2018年5月時点で160社を超え着実に普及が進んでいる。市販品での競合品がないため、売上総利益率も63%と高くなっている。導入企業は中堅規模のIT企業が多い。大手は自社開発品を使用し、中小企業ではExcelなど市販ソフトを使って管理しているケースが大半のためだ。ただ、認知度の向上や品質の高さなどから大手企業でも導入を検討するところが出てきたほか、製造業からの引き合いも増え始めている。このため2017年2月期より大手企業の部門導入向けに機能を限定したライト版を、製造業向けにエンジニアリング版の販売をクラウドサービスで開始している。

※PMBOK(Project Management Body of Knowledge)・・・プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたもの。1987年にアメリカの非営利団体PMIが「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」というガイドブックで発表してから徐々に知られるようになり、現在はプロジェクトマネジメントの世界標準として世界各国に浸透している。


「OBDZ」はソフトウェア開発の上流工程である基本設計・詳細設計をシステム化し、合理化・標準化することで開発の生産性及び品質向上に寄与するツールとなる。従来は、エンジニアがExcelやWordで個々に作成していたため、仕様変更が発生した場合などのメンテナンス、変更管理が難しくなり、開発遅延の原因にもなるといった課題があったが、こうした設計書をデータベースに統合管理し、標準化及び自動生成することで作業効率の向上が見込まれる。このため用途としては、基幹業務システム等の大規模なシステム開発向けのツールとなる。2013年のリリース以降、機能改良の途上段階ではあるものの、導入社数は26社となり、徐々に契約数が増え始めている。

2. EC・オムニチャネル事業
EC・オムニチャネル事業では、日本初のECサイト構築パッケージ「SI Web Shopping」を主力製品として販売している。「SI Web Shopping」の特徴は、大規模ECサイトに強いということにある。具体的には、売上金額が数百億円規模となる大量のトランザクション処理に対応可能なスケーラビリティと、高いセキュリティ機能を有しており、スマートフォン等のモバイル対応機能や、英語、中国語など多言語への対応も行っている。発売以降累計で1,100超のECサイトに導入実績がある。

ECサイト構築パッケージ業界でのポジションは、大規模事業者向けに限定すれば同社と、ソフトクリエイトホールディングス<3371>の子会社である(株)ecbeing、(株)コマース21の3社でほぼ寡占状態となっていたが、ここ最近は他の業務システムの連携機能を付加するなどニーズが多様化してきたこともあり、1件当たりの受注単価が従来は数千万円規模だったものが100百万円を超えるなど大規模化する傾向となっており、同時にSIerとの競合が増えてきている。

なお、2015年にリリースしたオムニチャネル対応の統合管理分析クラウドサービス「SOCS」については、収益化が困難と判断し、2018年2月期第2四半期までに開発を中止している。ソフトウェア資産については2017年2月期までに全額償却済みとなっている。

3. ERP事業
ERP事業ではWeb-ERPパッケージ「GRANDIT」を導入販売している。「GRANDIT」は13社のIT企業が参画したコンソーシアム方式で運営されているERPパッケージのことで、同社は2004年のコンソーシアム結成時より「GRANDIT」の企画・開発に携わり、普及拡大に貢献してきた。「GRANDIT」の顧客ターゲットは中堅企業となり、導入社数はコンソーシアム全体で950社まで拡大している。「GRANDIT」の特徴は、完全WebベースのERPであり、バージョンアップ時におけるクライアント側でのメンテナンスが不要なこと、また、スマートデバイスにも対応可能なことが挙げられる。ハードウェアに依存しないため、Webが動作する環境であれば、どこでもシステムの利用が可能となる。また、13社それぞれの技術ノウハウが「GRANDIT」の製品開発に生かされるため、機能面での競争力も高い。

同社の導入実績は百数十社と、コンソーシアムの中でトップの実績を誇っている。「GRANDIT」の基本機能を補完するアドオンモジュールとして製造業向けの「生産管理アドオンモジュール」や「継続取引管理アドオンモジュール」を、ソフトウェア業界向けには「OBPM」と連携させた「プロジェクト管理テンプレート(ITテンプレート)」を自社開発し、拡販を進めている。また、クラウド型ERP市場の拡大を受けて、2017年2月期よりアマゾンウェブサービス(AWS)を利用した「GRANDIT on AWS」の提供も開始している。

2017年の国内ERP市場は約903億円規模になったと見られる。大企業を中心に基幹システムの再構築が進んでいることが要因で、2018年度以降もクラウド型への移行なども含めて引き続き10%前後の堅調な拡大が続くと予想されている。ERPベンダーは顧客規模別に棲み分けがなされており、大企業向けではSAPやOracleが圧倒的に強い。同社が顧客対象とする中堅企業向けでは、富士通<6702>の「GLOVIA」やオービック<4684>の「OBIC7」など複数の製品が競合として挙げられるが、最近では求められるニーズが多様化しており1件当たりの受注規模も従来は100百万円規模であったものが、カスタマイズ仕様により500百万円を超える案件も増える傾向にある。売上総利益率は製品構成や仕様などによって変わるため一概に言えないが、平均すると20%台の水準と見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

<NB>
配信元: フィスコ
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