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テリロジーのニュース
■テリロジー<3356>の業績動向
2. 配当やM&Aによるキャッシュアウトを吸収して財務体質は健全性を維持している
2021年3月期の実績で注目したい点は、財務体質がエクイティファイナンスの力を借りることなくオーガニックに健全化していることである。代表的な財務安全性指標を見ると、業績回復に自己株式を活用したエクイティファイナンス効果が加わって、自己資本比率は2018期3月期末の24.4%から2019年3月期末には45.0%、2020年3月期末には53.9%へと大幅に上昇、流動比率も2018年3月期末の99.0%から2019年3月期末には179.2%まで改善、2020年3月期末には209.4%と十分な支払余力を示す200%超えを達成していた。
続く2021年3月期末の自己資本比率は46.6%、流動比率は169.9%と前期末から低下しているが、警察庁向け大型案件受注に伴う前受金(流動負債)の増加を受けたものであり、特に問題視する必要はない。実際、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は0.13倍(前期末0.17倍)、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は2,070百万円(同1,508百万円)と一段と良化しており、配当やM&Aによるキャッシュアウトを吸収して財務体質は健全性を維持している。
また、通常の配当原資となる単体ベースの利益剰余金についても2020年3月期末の156百万円から2021年3月期末には502百万円と配当余力を拡充させている。なお、1株当たり5円配当を賄うために必要な資金は82百万円程度であり、6年分余りの配当原資を確保していることになる。
2021年3月期末における総資産は前期末比1,422百万円増の5,625百万円、純資産は同374百万円増の2,643百万円となった。前期末比増減の内訳を見ると、資産では現金及び預金の523百万円増、のれん(無形固定資産)の189百万円増、負債では前受金(流動負債)の943百万円増などが目立ったものとして指摘できる。のれん増加は、IGLOOOとクレシードの子会社化に伴うものであり、両社の収益貢献を勘案すれば現時点では健全な状況にあると考える。前受金増加は警察庁向け大型案件によるところが大きく、今後5年にわたって収益に貢献するものである。
なお、ROE(自己資本利益率)は17.9%と前期比6.3ポイント上昇、ROA(総資産経常利益率)も11.1%と同3.3ポイント上昇しており、資産収益性は好転が続いている。
また、財務体質の健全化は営業外損益の改善にもつながっている。輸入商材を主力プロダクトとして取り扱う同社の場合、為替差損益が営業外収益に与える影響を完全に排除することはできないものの、2020年3月期には受取利息が前期比3.2倍、支払利息が同63.1%減となるなど有利子負債圧縮効果が顕在化、営業外損益の好転に一役買っている。2021年3月期においても支払利息は前期比で減少しており、助成金収入の計上もあり営業外損益は黒字を維持している。
2021年3月期末における現金及び現金同等物の残高は2,128百万円となった。各キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益が543百万円となったことや前受金が943百万円増加したこと等を受けて1,131百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が223百万円となり、全体としても256百万円の支出となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が140百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が290百万円、配当金の支払額が81百万円となったことを主因に237百万円の支出となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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2. 配当やM&Aによるキャッシュアウトを吸収して財務体質は健全性を維持している
2021年3月期の実績で注目したい点は、財務体質がエクイティファイナンスの力を借りることなくオーガニックに健全化していることである。代表的な財務安全性指標を見ると、業績回復に自己株式を活用したエクイティファイナンス効果が加わって、自己資本比率は2018期3月期末の24.4%から2019年3月期末には45.0%、2020年3月期末には53.9%へと大幅に上昇、流動比率も2018年3月期末の99.0%から2019年3月期末には179.2%まで改善、2020年3月期末には209.4%と十分な支払余力を示す200%超えを達成していた。
続く2021年3月期末の自己資本比率は46.6%、流動比率は169.9%と前期末から低下しているが、警察庁向け大型案件受注に伴う前受金(流動負債)の増加を受けたものであり、特に問題視する必要はない。実際、D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)は0.13倍(前期末0.17倍)、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)は2,070百万円(同1,508百万円)と一段と良化しており、配当やM&Aによるキャッシュアウトを吸収して財務体質は健全性を維持している。
また、通常の配当原資となる単体ベースの利益剰余金についても2020年3月期末の156百万円から2021年3月期末には502百万円と配当余力を拡充させている。なお、1株当たり5円配当を賄うために必要な資金は82百万円程度であり、6年分余りの配当原資を確保していることになる。
2021年3月期末における総資産は前期末比1,422百万円増の5,625百万円、純資産は同374百万円増の2,643百万円となった。前期末比増減の内訳を見ると、資産では現金及び預金の523百万円増、のれん(無形固定資産)の189百万円増、負債では前受金(流動負債)の943百万円増などが目立ったものとして指摘できる。のれん増加は、IGLOOOとクレシードの子会社化に伴うものであり、両社の収益貢献を勘案すれば現時点では健全な状況にあると考える。前受金増加は警察庁向け大型案件によるところが大きく、今後5年にわたって収益に貢献するものである。
なお、ROE(自己資本利益率)は17.9%と前期比6.3ポイント上昇、ROA(総資産経常利益率)も11.1%と同3.3ポイント上昇しており、資産収益性は好転が続いている。
また、財務体質の健全化は営業外損益の改善にもつながっている。輸入商材を主力プロダクトとして取り扱う同社の場合、為替差損益が営業外収益に与える影響を完全に排除することはできないものの、2020年3月期には受取利息が前期比3.2倍、支払利息が同63.1%減となるなど有利子負債圧縮効果が顕在化、営業外損益の好転に一役買っている。2021年3月期においても支払利息は前期比で減少しており、助成金収入の計上もあり営業外損益は黒字を維持している。
2021年3月期末における現金及び現金同等物の残高は2,128百万円となった。各キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益が543百万円となったことや前受金が943百万円増加したこと等を受けて1,131百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が223百万円となり、全体としても256百万円の支出となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が140百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が290百万円、配当金の支払額が81百万円となったことを主因に237百万円の支出となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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