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―強い消費関連企業はコロナ禍でも成長継続、勝ち残り企業の株価変貌を捉えよ―
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況となっている。米国では新規感染者数が1日6万人を超えるペースで急増しており、ワクチン開発が待ち望まれる状況にある。経済再生に向けた動きも当面は期待しにくい状況だが、株価はこれまで過剰流動性に支えられて強さを発揮してきた。ナスダック総合指数は今週初めに取引時間中として過去最高値となる1万824まで上値を伸ばす場面があった。
一方、日本国内に目を向けると米国と比べれば文字通りケタ違いに新型コロナ感染者数は少ないといえるが、それでも決して対岸の火事とはいえない。16日、東京都内の新規感染者数が280人を超え過去最高を記録、これに先立って東京都は15日に警戒レベルを4段階で最も深刻な「感染が拡大している」に引き上げている。外出自粛などの動きが今後再び出てくる可能性があり、経済活動が遅滞することによる景気回復の遅れを警戒するムードが再燃することも考えられる。ただし、そうした経済環境をにらんだ空売りがかなり積み上がっていることで、その潜在的な買い戻し圧力が下値を支えている面もある。
●暴風雨の3-5月期に収益を伸ばす
株式市場で消費関連セクターは緊急事態宣言などの影響もあって非常に厳しい環境を強いられ、小売りや外食を中心に業績を大幅に悪化させる企業が相次いだ。消費者マインドのデフレ化はいかんともし難く、20年3-5月期の決算は赤字転落企業が過去に例のないレベルで増加した。とりわけ高級品を扱いインバウンド需要に支えられた百貨店や、オフィス街に林立するコンビニエンスストアなどはダメージが大きい。更にサラリーマンを主要顧客とする外食チェーンや居酒屋なども著しく収益機会が失われた。
しかし、必ずしも個人消費に絡む企業すべてが逆風に晒されたわけではない。3-5月期に業績を伸ばした消費関連企業もかなりの数にのぼっている。俗に“巣ごもり消費”と言われる家にいながら物を購入したりレジャーを楽しむ在宅消費に関連する企業や、全国的に店舗展開している企業でも生活必需品や食品など人々が日々欠かすことのできない商品を取り扱うセクターは、逆に特需を獲得したところも少なくなかった。
そして、株式市場においてもそれらの企業に投資マネーが集中的に流れ込むケースが目立つ。ウィズコロナの環境下で勝ち組の側に回った企業は、株価も分かりやすく評価されるという現象がコロナショック後の市場では顕著となっている。
●テレワーク関連の“超大型穴株”ニトリHD
典型的な例として挙げられるのは、家具やインテリアを全国でチェーン展開するニトリホールディングス <9843> だ。新型コロナによる外出自粛の動きは家庭内の環境も変え、それに伴う家具の販売が伸びて同社の業績を後押ししている。最も顕著だったのが、企業のテレワーク 導入が加速するなかで発現した机やイスなど在宅勤務で使うオフィス家具の需要であり、これが強力なフォローの風となった。
ニトリHDの3-5月期営業利益は前年同期比22%増の372億1600万円と大幅な利益伸長を果たした。同社の株価は全体相場の暴落と歩調を合わせ3月13日に1万2700円台まで売り込まれたが、そこからは週足陽線を連発して異色の戻り足をみせ、今月9日の取引時間中には2万2675円の上場来高値を形成。4ヵ月でほぼ1万円も水準を切り上げた。この間に時価総額ベースでは約1兆1000億円増加させた勘定となる。ニトリHDの直近時価総額は2兆5000億円台で、ブリヂストン <5108> やパナソニック <6752> 、富士フイルムホールディングス <4901> といった世界にそのブランドを轟かせる国際優良株の時価総額を既に上回っている。
●“急騰パフォーマー”ロコンドに続く銘柄は?
また、靴やアパレルの通販サイトを展開するロコンド <3558> [東証M]は足もとの業績回復を材料に鮮烈な急騰相場を演じた。時価総額はまだ小さいものの、巣ごもり消費関連としての位置づけで投資家の関心は高い。14日取引終了後に発表した同社の21年2月期第1四半期決算は、営業損益が1億4500万円の黒字と前年同期の1億7000万円の赤字から急改善したことに加え、非開示だった通期見通しも発表し、営業損益は15億円の黒字予想(前期実績は8300万円の赤字)としたことで市場関係者の視線が集中した。収益体質改善に対するサプライズはそのまま株価動向にも反映され、連日のストップ高を交えて3営業日で何と70%を超える上昇パフォーマンスをみせた。
このほか、作業服チェーン最大手のワークマン <7564> [JQ]やホームセンター のコーナン商事 <7516> なども好業績を背景に株価も強調展開を際立たせたほか、更に小型株ではディスカウント店を展開するジェーソン <3080> [JQ]や食品スーパーとディスカウント店を融合させたOlympicグループ <8289> などが好調な収益を評価される形で株価水準を切り上げている。
●夏高を待つ消費関連、次のスター候補
梅雨が明け本格的な夏が訪れても、新型コロナに対するマーケットの警戒感は依然としてくすぶり続けるだろう。しかし、その間隙を縫って活躍が期待できる銘柄は紛れもなく存在している。今回は消費の勝ち組として条件に見合う、ここから一段高シナリオが見込まれる最強の“夏高候補”5銘柄を厳選エントリーした。
◎ワッツ <2735>
100円ショップ大手で小規模店舗の直営展開を特長とし、機動力の高い経営で優位性を発揮、M&A戦略による業容拡大に力を入れる一方、不採算事業や店舗については躊躇なく撤退を決め、収益体質の強化に余念がない。コロナ禍で消費者のデフレマインドが醸成されるなか、日用品や衛生用品、製菓など幅広く展開する100円ショップ業態は売り上げが伸びる傾向にあり、同社の収益にも反映されている。また同社では100円より高い価格帯の商品も好調で利益率向上に貢献、20年8月期業績は営業利益を従来予想の7億7000万円から14億8000万円(前期比2.1倍)へ、最終利益を3億5000万円から5億8000万円(同8.3倍)に大幅増額修正し、マーケットの注目を誘った。株価は3月中旬に400円の年初来安値をつけたがそこから急速に立ち直り、3月下旬以降は25日移動平均線をサポートラインとする強力な下値切り上げトレンドを築き上げている。
◎ラクーンホールディングス <3031>
アパレルや雑貨を主力とする ECサイト「スーパーデリバリー」を主要子会社のラクーンコマースで運営し、売上高、利益ともに高水準の伸びを継続している。新型コロナに伴う巣ごもり消費の象徴株的な位置づけにある。直近は7月から開始されたレジ袋の有料化に伴いエコバッグの売り上げが急増している状況。中国のEC最大手アリババグループが運営する中国最大級の越境ECサイトにも出店しており、業容拡大効果に期待が大きい。もう一つの柱であるフィナンシャル事業も好調で、子会社のラクーンフィナンシャルは業務提携など積極推進して市場を開拓、21年4月期営業利益は前期比27.5%増の9億円(レンジ上限)見通しと高成長を続ける見通し。株価はコロナショックで3月に310円の安値をつけたがそこからの戻り足が強烈、4ヵ月弱で3倍以上に水準を切り上げた。上場した2006年以来の高値で実質青空圏を走る展開となっている。
◎オーシャンシステム <3096> [JQ]
新潟を地盤に低価格を武器とした食品スーパーを展開、弁当製造なども行う。低価格というだけではなく新鮮さやクオリティーを追求していることで消費者ニーズの囲い込みに成功している。「業務スーパー」をフランチャイズで運営しているが新型コロナの影響による内食志向が追い風となっている。更に個人向け宅配事業も「ヨシケイ」のフランチャイジーとして注力しており、ケアハウスやグループホームなどの法人向け需要を開拓している。20年3月期は会社側の従来計画を大きく上回り営業利益は前期比27%増の12億7800万円、21年3月期は11億1500万円と減益を見込むが、保守的で上振れも視野に入りそうだ。株価は7月7日を境としてにわかに上げ足を加速させているが、浮動株が少なく潜在的な売り圧力の乏しさが上値追いに一段と弾みをつける形となっている。噴き値を買わず5日移動平均線とのカイ離解消を待って押し目買いで臨みたい。
◎BEENOS <3328>
越境EC事業や宅配買い取りビジネスなどに展開しており、フリマアプリ首位のメルカリ <4385> [東証M]とは越境販売で連携している。タレントやキャラクターなど関連グッズのライセンス契約を結び販売するビジネスも展開。また、投資事業にも積極的で海外では新興国のオンラインマーケットプレイス及びオンライン決済企業など11ヵ国約80社に資金を投下している。20年9月期業績は、新型コロナの感染拡大に伴うイベント中止によりタレント関連グッズの販売が落ち込んだこともあって従来見通しを減額したが、売上高は減収ながら営業利益段階では前期比83.9%増の31億4000万円(レンジ上限)と依然として高い伸びを見込んでいる。株価指標面ではPER10倍以下と割安感が強い。株価は直近5月26日の戻り高値をクリアし、週足では13週・26週移動平均線のゴールデンクロスを示現しており、中期上昇トレンドに入っていることがうかがわれる。
◎アレンザホールディングス <3546>
福島県を本拠に東北や関東、東海、中四国などでホームセンター を展開、ペット関連事業なども手掛ける。ホームセンターではダイユーエイトやタイム、更に連結化したホームセンターバローなど有力子会社を抱えており、マスクや除菌関連製品をはじめ日用品を中心に高水準の需要を捉え業績を伸ばしている。ペット関連事業も新型コロナに絡む巣ごもり消費の一端としてペットを購入する動きが活発で追い風局面にある。21年2月期営業利益は前期比8%増の36億円を計画しているが、第1四半期である20年3-5月期の時点で営業利益は前年同期比2.7倍の27億4000万円に達しており、既に中間期計画を上回るとともに対通期進捗率が76%に達している。当然ながら大幅な増額修正が意識されるなか、株価も上昇指向が鮮明だ。時価は18年12月以来の高値圏で1200円台後半を超えると売り圧力が希薄化し戻り真空地帯に入る。
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