2,245円
飯田グループホールディングスのニュース
■Jトラスト<8508>の業績動向
(2) 韓国及びモンゴル金融事業
JTキャピタルは2021年8月の売却に伴い非継続事業に分類し、JT貯蓄銀行は分類を継続事業に戻したことから、前期についても組替えて表示している。
2021年12月期は、主力のJT貯蓄銀行の貸出残高増加に伴い利息収益が増加した結果、営業収益は14,806百万円(前期比19.5%増)、営業利益は3,208百万円(同58.9%増)となり、営業利益率は21.7%(前期は16.3%)に上昇した。2022年4月にはJT親愛貯蓄銀行がグループに戻る予定であり、同社グループ全体の収益力強化が期待できる。
JT貯蓄銀行の貸出残高は、2021年12月末で1,774億円に増加した。特に、消費者以外無担保と消費者以外有担保が足元で増加傾向にある。また、NPL比率(90日以上延滞債権比率)も3.16%と低水準で安定推移している。
2021年11月30日に譲受人との間で契約内容の合意に至らないまま株式売買契約締結期限を迎え、JT貯蓄銀行の売却は中止された。また、2022年4月には、同社株式とNB株式の株式交換により、JT親愛貯蓄銀行が同社グループに戻る予定である。JT貯蓄銀行とJT親愛貯蓄銀行を合計すると、総資産及び貸出金で韓国の貯蓄銀行79行のうち7位(2021年9月現在)となることから、同社グループ全体の利益拡大に大きく貢献する見通しだ。
トピックとしては、韓国の総合日刊紙アジアトゥデイが主催する2021アジアトゥデイ金融大賞において、JT貯蓄銀行が貯蓄銀行部門顧客満足最優秀賞を受賞した。中小企業との取引が強く、商品性やサービスが評価された。ちなみに、JT親愛貯蓄銀行は個人取引に強みを持つことから、JT貯蓄銀行とJT親愛貯蓄銀行は補完性が強い組み合わせと言える。
(3) 東南アジア金融事業
2021年12月期の営業収益は16,797百万円(前期比5.3%増)、営業損失は6,372百万円(前期は5,541百万円の損失)となった。銀行業における貸出金の増加に伴い利息収益が増加したこと等により、増収となった。一方、損失幅が拡大した要因としては、(a) 他行において支払いが滞ったグループ外のマルチファイナンス会社向け貸出(2018年以前の貸出実行分)に対し、当局の要請に基づき貸倒引当金10億円を保守的に積んだこと、(b) JTOにおいて事業計画等の見直しに伴い約7億円ののれんの減損処理他を実施したこと等による。これらの特殊要因を除くと46億円の営業損失(前期比約9億円の改善)となり、ほぼ計画どおりの推移であった。
a) JTRB
2019年8月に、同社グループ6ヶ国目の進出先となるカンボジアの商業銀行42行中でTOP10に入る資産規模(2018年12月末当時)のANZ Royal Bank(Cambodia)の株式55%を取得し、商号をJTRBに変更した。グループ入り後、貸出残高は順調に増加していたが、カンボジア国内でのコロナ禍に伴い、一時は新規貸付を抑制していた。しかしながら、同国のコロナ禍は周辺国に比べて軽微であることから、好調な預金獲得を背景に堅調な法人資金需要に対応して貸出残高の積み上げを再開している。キャンペーンや新商品投入効果により、2021年12月末の預金残高は1,153億円と増加傾向にあり、COF(Cost of Funds)は2.7%と低位で安定推移している。また、貸出残高も法人向けを中心に拡大傾向が持続しており、2021年12月末時点で1,057億円となった。一方で、NPL比率は0.45%と引き続き低位で安定推移している。
JTRBでは、低金利預金獲得のための各種施策を実施している。一例を挙げると、「Goal Saving」や「The One」が好調に推移しており、預金残高を押し上げている。
トピックとしては、2021年5月にプノンペン北部のセンソック地区(戸建や商業施設の開発が盛んな地区)に、同年11月には経済活動が盛んな国道1号線のチバーアンポフ地区に支店をソフトオープンし、2022年1月に両支店ともグランドオープンした。重厚感のある支店により、ブランド力の回復を目指している。
また、世界中の銀行、保険、証券等をカバーする出版社であるGlobal Business Outlookより、パフォーマンス、イノベーション、業界の価値創造に意欲的な企業を表彰する「Most Customer Centric Bank Cambodia 2021」を受賞したことが特筆される。JTRBの顧客への商品知識・専門的な対応・優れたサービスの提供、オンラインブランドの存在感、さらに同行が果たしている社会的責任など、顧客第一主義の経営姿勢が高評価されたと言える。
b) BJI
長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったBJIについては、同社グループでは最優先課題の1つとして再生に取り組んでいる。これまでに、同行の増資を行うとともに、不良債権の回収に特化した新会社PT JTRUST INVESTMENTS Indonesia(以下、JTII)を設立して、同行から不良債権を切り離して譲渡することにより、財務体質の改善を図るなど銀行再生を加速してきた。ただ、銀行再生が計画どおりに進まなかったことから、2019年3月期決算において抜本的な対応に踏み切った。すなわち、BJIでは買収前からの負の遺産を含めた不良債権を前倒しで一括処理することを決断した。このように抜本的な不良債権処理を断行することで、東南アジア金融事業の業績急回復を実現するための基盤を整えた。
BJIの預金残高は2020年6月末の854億円を底に増加傾向が持続しており、2021年12月末には1,292億円となった。大口の高金利預金から小口の低金利預金への誘導策が奏功し、COFは4.74%(インドネシア進出直後の2015年1月は9.30%)と過去最低水準で推移している。大口預金に頼らず低利な小口預金獲得に注力する戦略を継続した結果、2021年の年間新規預金口座獲得件数の合計は18,896件と前年比で倍増した。また、貸出残高はコロナ禍の影響を受けつつも2021年12月末は811億円(前期末比36%増)に増加したことに加え、コロナ第2波のロックダウン解除により、債権回収による不良債権金額の圧縮もあって、NPL比率は3.90%(2021年9月は4.64%)に低下している。なお、2019年までは不良債権をJTIIに売却することでNPL比率の低下を図ってきたが、2020年以降は売却処理をせず、自力でNPL比率を低位コントロールしている。
BJIの2021年12月期営業損失は、34億円の計画に対して38億円となった。これは、自行では回収しているものの、他行において支払いが滞ったグループ外のマルチファイナンス会社向け貸出(2018年以前の貸出実行分)に対して、当局の要請によって保守的に積んだ貸倒引当金10億円によるものだ。この影響を除けば、営業損失は27億円と計画を上回る。2020年12月期の営業損失は50億円であったことから、損失幅は大きく改善していると言える。なお、2020年1月以降の新体制においてリスクマネジメントを強化した結果、新体制による貸出残高は全体の74%にまで拡大したが、新体制で積み上げたローンのNPL比率は2021年12月時点で0.02%にとどまる。一方、旧体制下で積み上げたローンのNPL比率は14.98%と高水準にある。今後も不良債権比率を抑制しつつ、優良債権の積み上げを図ることが課題であるが、確実に損益分岐点に近づいていると弊社では見ている。なおBJIは、2020年1月にインドネシア証券取引所(IDX)で取引再開を果たしている。
トピックとしては、飯田グループホールディングス<3291>がインドネシア国内各地に事業展開しているグループ各社との業務提携を順次締結しており、足元では3社と提携済である。また、PT Asuransi Jiwa Sequis Financial(インドネシアの財閥グループであるGSKグループと、日本生命保険相互会社の合弁であるPT Asuransi Jiwa Sequis Lifeの100%子会社)と、近い将来の生命保険・医療保険の販売を視野に入れた包括的業務提携契約を締結した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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(2) 韓国及びモンゴル金融事業
JTキャピタルは2021年8月の売却に伴い非継続事業に分類し、JT貯蓄銀行は分類を継続事業に戻したことから、前期についても組替えて表示している。
2021年12月期は、主力のJT貯蓄銀行の貸出残高増加に伴い利息収益が増加した結果、営業収益は14,806百万円(前期比19.5%増)、営業利益は3,208百万円(同58.9%増)となり、営業利益率は21.7%(前期は16.3%)に上昇した。2022年4月にはJT親愛貯蓄銀行がグループに戻る予定であり、同社グループ全体の収益力強化が期待できる。
JT貯蓄銀行の貸出残高は、2021年12月末で1,774億円に増加した。特に、消費者以外無担保と消費者以外有担保が足元で増加傾向にある。また、NPL比率(90日以上延滞債権比率)も3.16%と低水準で安定推移している。
2021年11月30日に譲受人との間で契約内容の合意に至らないまま株式売買契約締結期限を迎え、JT貯蓄銀行の売却は中止された。また、2022年4月には、同社株式とNB株式の株式交換により、JT親愛貯蓄銀行が同社グループに戻る予定である。JT貯蓄銀行とJT親愛貯蓄銀行を合計すると、総資産及び貸出金で韓国の貯蓄銀行79行のうち7位(2021年9月現在)となることから、同社グループ全体の利益拡大に大きく貢献する見通しだ。
トピックとしては、韓国の総合日刊紙アジアトゥデイが主催する2021アジアトゥデイ金融大賞において、JT貯蓄銀行が貯蓄銀行部門顧客満足最優秀賞を受賞した。中小企業との取引が強く、商品性やサービスが評価された。ちなみに、JT親愛貯蓄銀行は個人取引に強みを持つことから、JT貯蓄銀行とJT親愛貯蓄銀行は補完性が強い組み合わせと言える。
(3) 東南アジア金融事業
2021年12月期の営業収益は16,797百万円(前期比5.3%増)、営業損失は6,372百万円(前期は5,541百万円の損失)となった。銀行業における貸出金の増加に伴い利息収益が増加したこと等により、増収となった。一方、損失幅が拡大した要因としては、(a) 他行において支払いが滞ったグループ外のマルチファイナンス会社向け貸出(2018年以前の貸出実行分)に対し、当局の要請に基づき貸倒引当金10億円を保守的に積んだこと、(b) JTOにおいて事業計画等の見直しに伴い約7億円ののれんの減損処理他を実施したこと等による。これらの特殊要因を除くと46億円の営業損失(前期比約9億円の改善)となり、ほぼ計画どおりの推移であった。
a) JTRB
2019年8月に、同社グループ6ヶ国目の進出先となるカンボジアの商業銀行42行中でTOP10に入る資産規模(2018年12月末当時)のANZ Royal Bank(Cambodia)の株式55%を取得し、商号をJTRBに変更した。グループ入り後、貸出残高は順調に増加していたが、カンボジア国内でのコロナ禍に伴い、一時は新規貸付を抑制していた。しかしながら、同国のコロナ禍は周辺国に比べて軽微であることから、好調な預金獲得を背景に堅調な法人資金需要に対応して貸出残高の積み上げを再開している。キャンペーンや新商品投入効果により、2021年12月末の預金残高は1,153億円と増加傾向にあり、COF(Cost of Funds)は2.7%と低位で安定推移している。また、貸出残高も法人向けを中心に拡大傾向が持続しており、2021年12月末時点で1,057億円となった。一方で、NPL比率は0.45%と引き続き低位で安定推移している。
JTRBでは、低金利預金獲得のための各種施策を実施している。一例を挙げると、「Goal Saving」や「The One」が好調に推移しており、預金残高を押し上げている。
トピックとしては、2021年5月にプノンペン北部のセンソック地区(戸建や商業施設の開発が盛んな地区)に、同年11月には経済活動が盛んな国道1号線のチバーアンポフ地区に支店をソフトオープンし、2022年1月に両支店ともグランドオープンした。重厚感のある支店により、ブランド力の回復を目指している。
また、世界中の銀行、保険、証券等をカバーする出版社であるGlobal Business Outlookより、パフォーマンス、イノベーション、業界の価値創造に意欲的な企業を表彰する「Most Customer Centric Bank Cambodia 2021」を受賞したことが特筆される。JTRBの顧客への商品知識・専門的な対応・優れたサービスの提供、オンラインブランドの存在感、さらに同行が果たしている社会的責任など、顧客第一主義の経営姿勢が高評価されたと言える。
b) BJI
長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったBJIについては、同社グループでは最優先課題の1つとして再生に取り組んでいる。これまでに、同行の増資を行うとともに、不良債権の回収に特化した新会社PT JTRUST INVESTMENTS Indonesia(以下、JTII)を設立して、同行から不良債権を切り離して譲渡することにより、財務体質の改善を図るなど銀行再生を加速してきた。ただ、銀行再生が計画どおりに進まなかったことから、2019年3月期決算において抜本的な対応に踏み切った。すなわち、BJIでは買収前からの負の遺産を含めた不良債権を前倒しで一括処理することを決断した。このように抜本的な不良債権処理を断行することで、東南アジア金融事業の業績急回復を実現するための基盤を整えた。
BJIの預金残高は2020年6月末の854億円を底に増加傾向が持続しており、2021年12月末には1,292億円となった。大口の高金利預金から小口の低金利預金への誘導策が奏功し、COFは4.74%(インドネシア進出直後の2015年1月は9.30%)と過去最低水準で推移している。大口預金に頼らず低利な小口預金獲得に注力する戦略を継続した結果、2021年の年間新規預金口座獲得件数の合計は18,896件と前年比で倍増した。また、貸出残高はコロナ禍の影響を受けつつも2021年12月末は811億円(前期末比36%増)に増加したことに加え、コロナ第2波のロックダウン解除により、債権回収による不良債権金額の圧縮もあって、NPL比率は3.90%(2021年9月は4.64%)に低下している。なお、2019年までは不良債権をJTIIに売却することでNPL比率の低下を図ってきたが、2020年以降は売却処理をせず、自力でNPL比率を低位コントロールしている。
BJIの2021年12月期営業損失は、34億円の計画に対して38億円となった。これは、自行では回収しているものの、他行において支払いが滞ったグループ外のマルチファイナンス会社向け貸出(2018年以前の貸出実行分)に対して、当局の要請によって保守的に積んだ貸倒引当金10億円によるものだ。この影響を除けば、営業損失は27億円と計画を上回る。2020年12月期の営業損失は50億円であったことから、損失幅は大きく改善していると言える。なお、2020年1月以降の新体制においてリスクマネジメントを強化した結果、新体制による貸出残高は全体の74%にまで拡大したが、新体制で積み上げたローンのNPL比率は2021年12月時点で0.02%にとどまる。一方、旧体制下で積み上げたローンのNPL比率は14.98%と高水準にある。今後も不良債権比率を抑制しつつ、優良債権の積み上げを図ることが課題であるが、確実に損益分岐点に近づいていると弊社では見ている。なおBJIは、2020年1月にインドネシア証券取引所(IDX)で取引再開を果たしている。
トピックとしては、飯田グループホールディングス<3291>がインドネシア国内各地に事業展開しているグループ各社との業務提携を順次締結しており、足元では3社と提携済である。また、PT Asuransi Jiwa Sequis Financial(インドネシアの財閥グループであるGSKグループと、日本生命保険相互会社の合弁であるPT Asuransi Jiwa Sequis Lifeの100%子会社)と、近い将来の生命保険・医療保険の販売を視野に入れた包括的業務提携契約を締結した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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