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サムティのニュース
*13:28JST サムティ Research Memo(8):「資産保有型」ビジネスへの転換により、安定収益の拡大を目指す
■中期経営計画「サムティ強靭化計画(アフターコロナ版)」の進捗
1. 中期経営計画の概略
サムティ<3244>は、コロナ禍による影響や今後の環境変化などを見据え、2021年1月に5ヶ年の中期経営計画(アフターコロナ版)を公表した。基本方針として、(1) 「資産保有型」ビジネスへの転換、(2) ホテルREIT設立に向けた取り組み、(3) 地方大都市圏における戦略的投資、(4) 海外事業での収益基盤の構築の4点を掲げている。
(1) 「資産保有型」ビジネスへの転換
個別不動産の特性や市場動向を勘案しながら、物件保有によるインカムゲイン(賃料収入等)の拡大を目指す方針へと見直した。
(2) ホテルREIT上場に向けた取り組み
観光立国実現のための政策が堅持されるなかで、コロナ禍収束後の需要の戻りや業界再編の動きを取り込むため、引き続き既存ホテルの収益力強化を図るとともに、ホテルREIT(2021年11月設立済み)の上場へ向けた取り組みを継続していく。また、今後の開発案件についても厳選投資を継続することで、中長期的な視野でのREIT資産の積み上げへの貢献が見込まれる。
(3) 地方大都市圏における戦略的投資
引き続き、需要を見極めながら全国主要都市での投資を拡大していく。今後は開発ペースを加速させ、完成後は一定期間保有することで、安定的な賃貸収入の拡大を目指す。
(4) 海外事業での収益基盤の構築
ベトナムにおけるVHMとの共同事業を契機に、同社グループの長年培ったノウハウを活用し、SEAN諸国の経済成長や都市人口増加に伴う住宅需要増を取り込んでいく戦略であり、今後の成長ドライバーとして位置付けている。特に、経済成長率が著しいベトナムについては、現地有力デベロッパーとの協業による開発リスクの低減や現地税率によるメリットも享受していく。既述のとおり、ハノイ市西部での分譲住宅事業「THE SAKURA プロジェクト」については順調に販売が進んでおり、第2弾となるホーチミン市での分譲住宅事業「THE STAR プロジェクト」も動き出した。
2. 投資計画
5年間(2021年11月期~2025年12月期)の投資計画として約7,500億円を掲げており、その内訳は、レジデンス開発3,000億円、ホテル・オフィス開発1,200億円、収益不動産の取得2,500億円のほか、新たなテーマである海外事業800億円により構成されている。また、「資産保有型」ビジネスへの転換や、SRR及びホテルREITの成長により、2025年12月期のグループ資産を1兆円(連結総資産では5,000億円)に拡大する方針である。なお、これまでの投資累計額(3年間)は合計6,583億円(進捗率87.8%)に上り順調に進捗している。一方、2023年11月期末のグループ資産は5,761億円とやや足踏みしている印象だが、開発パイプラインの状況やホテルREITの上場などを見据えれば、十分に到達可能なラインと見られる。
3. 業績目標
最終年度である2025年12月期の業績目標として、売上高2,200億円水準(うち、賃貸収入等は450億円)、営業利益350億円以上、ROE15%水準、ROA7%水準、自己資本比率30%以上を目指している。※また、収益構造の転換により、営業利益に占めるインカムゲイン(賃貸収入等)の構成比を50%(基準年度は15%程度)に引き上げるとともに、海外事業の構成比は15%を見込んでいる。すなわち、これまでの国内キャピタルゲイン(開発利益等)中心から、安定収益であるインカムゲイン(賃貸収入等)中心の収益モデルへ移行するとともに、新たな成長ドライバーとして海外でのキャピタルゲインを獲得していく方向性である。
※決算期変更により、最終年度は2025年12月期となったが、業績目標に変更はない。
4.弊社の注目点
弊社でも、今後さらに事業を拡大し、持続的な成長を実現していくためには、積み上げ型の収益モデルへの転換や海外展開は理にかなった戦略であり、同社はまさに次のステージに向けた変革期にあると捉えている。収益構造の転換を進めるにあたって、当面は保有資産の積み上げを優先する(物件売却を抑える)ことが想定されるため、戦略的な進捗を評価するためには、売上高よりも保有資産の拡大ペースやインカムゲイン(賃貸収入等)の伸びに着目することが妥当であろう。
また、現地の有力デベロッパーとの協業による海外事業(ベトナム)のポテンシャルにも期待したい。第1弾のプロジェクトを契機として、これまで培ってきたノウハウや迅速な経営判断を生かし、さらなる展開に結び付けていけるかがポイントと言えるが、その意味でも、第2弾のプロジェクトが動き出したことは今後のポテンシャルを探るうえでも大きな注目点と言えるだろう。ホテル事業における有力なパートナーとの連携についても新たな方向性を示す戦略として捉えている。ブランド力や集客力に長けたラグジュアリーホテルの開発といったハード面だけでなく、ソフトによる部分※も合わせた価値共創の可能性にも期待したい。それらを踏まえ、中長期的な視点から、(1) ホテルREIT上場や他社との連携(外資オペレーター等)を含む、ホテル事業の強化に向けた動きや、(2) 地方大都市圏における戦略的投資の進捗、(3) 海外事業(ベトナム)の動向のほか、(4) パートナーとの協業による新たな価値共創の可能性などにも注目したい。
※例えば、ホテル事業との親和性の高いテーマパーク事業への出資(大型リゾート施設「ネスタリゾート神戸」や、沖縄北部での新テーマパーク「JUNGRIA」)などがあげられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 中期経営計画の概略
サムティ<3244>は、コロナ禍による影響や今後の環境変化などを見据え、2021年1月に5ヶ年の中期経営計画(アフターコロナ版)を公表した。基本方針として、(1) 「資産保有型」ビジネスへの転換、(2) ホテルREIT設立に向けた取り組み、(3) 地方大都市圏における戦略的投資、(4) 海外事業での収益基盤の構築の4点を掲げている。
(1) 「資産保有型」ビジネスへの転換
個別不動産の特性や市場動向を勘案しながら、物件保有によるインカムゲイン(賃料収入等)の拡大を目指す方針へと見直した。
(2) ホテルREIT上場に向けた取り組み
観光立国実現のための政策が堅持されるなかで、コロナ禍収束後の需要の戻りや業界再編の動きを取り込むため、引き続き既存ホテルの収益力強化を図るとともに、ホテルREIT(2021年11月設立済み)の上場へ向けた取り組みを継続していく。また、今後の開発案件についても厳選投資を継続することで、中長期的な視野でのREIT資産の積み上げへの貢献が見込まれる。
(3) 地方大都市圏における戦略的投資
引き続き、需要を見極めながら全国主要都市での投資を拡大していく。今後は開発ペースを加速させ、完成後は一定期間保有することで、安定的な賃貸収入の拡大を目指す。
(4) 海外事業での収益基盤の構築
ベトナムにおけるVHMとの共同事業を契機に、同社グループの長年培ったノウハウを活用し、SEAN諸国の経済成長や都市人口増加に伴う住宅需要増を取り込んでいく戦略であり、今後の成長ドライバーとして位置付けている。特に、経済成長率が著しいベトナムについては、現地有力デベロッパーとの協業による開発リスクの低減や現地税率によるメリットも享受していく。既述のとおり、ハノイ市西部での分譲住宅事業「THE SAKURA プロジェクト」については順調に販売が進んでおり、第2弾となるホーチミン市での分譲住宅事業「THE STAR プロジェクト」も動き出した。
2. 投資計画
5年間(2021年11月期~2025年12月期)の投資計画として約7,500億円を掲げており、その内訳は、レジデンス開発3,000億円、ホテル・オフィス開発1,200億円、収益不動産の取得2,500億円のほか、新たなテーマである海外事業800億円により構成されている。また、「資産保有型」ビジネスへの転換や、SRR及びホテルREITの成長により、2025年12月期のグループ資産を1兆円(連結総資産では5,000億円)に拡大する方針である。なお、これまでの投資累計額(3年間)は合計6,583億円(進捗率87.8%)に上り順調に進捗している。一方、2023年11月期末のグループ資産は5,761億円とやや足踏みしている印象だが、開発パイプラインの状況やホテルREITの上場などを見据えれば、十分に到達可能なラインと見られる。
3. 業績目標
最終年度である2025年12月期の業績目標として、売上高2,200億円水準(うち、賃貸収入等は450億円)、営業利益350億円以上、ROE15%水準、ROA7%水準、自己資本比率30%以上を目指している。※また、収益構造の転換により、営業利益に占めるインカムゲイン(賃貸収入等)の構成比を50%(基準年度は15%程度)に引き上げるとともに、海外事業の構成比は15%を見込んでいる。すなわち、これまでの国内キャピタルゲイン(開発利益等)中心から、安定収益であるインカムゲイン(賃貸収入等)中心の収益モデルへ移行するとともに、新たな成長ドライバーとして海外でのキャピタルゲインを獲得していく方向性である。
※決算期変更により、最終年度は2025年12月期となったが、業績目標に変更はない。
4.弊社の注目点
弊社でも、今後さらに事業を拡大し、持続的な成長を実現していくためには、積み上げ型の収益モデルへの転換や海外展開は理にかなった戦略であり、同社はまさに次のステージに向けた変革期にあると捉えている。収益構造の転換を進めるにあたって、当面は保有資産の積み上げを優先する(物件売却を抑える)ことが想定されるため、戦略的な進捗を評価するためには、売上高よりも保有資産の拡大ペースやインカムゲイン(賃貸収入等)の伸びに着目することが妥当であろう。
また、現地の有力デベロッパーとの協業による海外事業(ベトナム)のポテンシャルにも期待したい。第1弾のプロジェクトを契機として、これまで培ってきたノウハウや迅速な経営判断を生かし、さらなる展開に結び付けていけるかがポイントと言えるが、その意味でも、第2弾のプロジェクトが動き出したことは今後のポテンシャルを探るうえでも大きな注目点と言えるだろう。ホテル事業における有力なパートナーとの連携についても新たな方向性を示す戦略として捉えている。ブランド力や集客力に長けたラグジュアリーホテルの開発といったハード面だけでなく、ソフトによる部分※も合わせた価値共創の可能性にも期待したい。それらを踏まえ、中長期的な視点から、(1) ホテルREIT上場や他社との連携(外資オペレーター等)を含む、ホテル事業の強化に向けた動きや、(2) 地方大都市圏における戦略的投資の進捗、(3) 海外事業(ベトナム)の動向のほか、(4) パートナーとの協業による新たな価値共創の可能性などにも注目したい。
※例えば、ホテル事業との親和性の高いテーマパーク事業への出資(大型リゾート施設「ネスタリゾート神戸」や、沖縄北部での新テーマパーク「JUNGRIA」)などがあげられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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