454円
アーバネットコーポレーションのニュース
1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まり、建設工期の長期化などが課題となっているが、コロナ禍においてもキャッシュ・フローの安定した投資用マンションに対する人気は根強く、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層に加え、潤沢な資金を確保したファンド・リートからの需要に支えられ、業績は堅調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、新たにホテル事業へも参入した※。長期目線での有望分野へ布石を打つことにより、持続的な成長に向けて、販売チャネルの拡大や安定収益源の確保を図るところに狙いがある。
※研究開発と位置付けている自社開発ホテルプロジェクト第1号「ホテルアジール東京蒲田」は2020年10にオープン済みである。
2. 2021年6月期上期業績の概要
2021年6月期上期の業績は、売上高が前年同期比1.3%減の8,150百万円、営業利益が同49.1%増の1,114百万円と微減収ながら大幅な増益となった。売上高は、新たに追加された「ホテル事業」が小規模ながら上乗せ要因となったものの、主力の「不動産開発販売」における販売戸数が7棟244戸(前年同期比22戸減)と減少したことが減収となった理由である(ただし、計画どおりの進捗)。利益面では、「ホテル事業」の新規開業に伴う初期費用等が負担となったものの、利益率の高い物件の売却があったことにより大幅な営業増益を実現し、営業利益率も13.7%(前年同期は9.1%)と大きく改善した。特に、投資ファンド等からの強い引き合いが利益率の向上に寄与したほか、コロナ禍による活動制限に伴う費用減や経費削減なども奏功したようだ。一方、今後の成長につながるパイプライン(開発物件)の状況については、慎重な用地仕入れ方針を取りながら、2022年6月期以降の販売予定分として、1,017戸を確保している。
3. 2021年6月期の業績予想
2021年6月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比9.2%減の20,000百万円、営業利益を同17.5%減の2,050百万円と減収減益を見込むものの、売上高は3期連続で200億円を確保する見通しである。減収予想となっているのは、「不動産開発販売」における販売戸数が14棟674戸(前期比38戸減)に減少することが理由である。また、利益面でも、減収により減益となるほか、「ホテル事業」に係る先行費用等により、営業利益率は10.3%(前期は11.3%)に低下する想定となっている。
4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、より採算性やタイミングを重視した用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指していく方針である。また、研究開発として位置付けているホテル事業については、コロナ禍の影響により厳しい外部環境が続いているものの、中長期的な目線からの可能性を追求するほか、都心の投資用ワンルームマンション開発・1棟販売を主軸としつつ、将来を見据えた活動にも取り組んでいく。
■Key Points
・2021年6月期上期は微減収ながら大幅な増益を実現
・コロナ禍においても販売環境は好調持続。一方、用地取得は厳しい状況が続くなかでやや慎重姿勢
・2021年6月期の通期業績は減収減益を見込むものの、売上高は200億円を確保する見通し・都心の投資用ワンルームマンション開発・1棟販売を事業の主軸としつつ、ホテル事業のほか、将来を見据えた事業展開にも注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まり、建設工期の長期化などが課題となっているが、コロナ禍においてもキャッシュ・フローの安定した投資用マンションに対する人気は根強く、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層に加え、潤沢な資金を確保したファンド・リートからの需要に支えられ、業績は堅調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、新たにホテル事業へも参入した※。長期目線での有望分野へ布石を打つことにより、持続的な成長に向けて、販売チャネルの拡大や安定収益源の確保を図るところに狙いがある。
※研究開発と位置付けている自社開発ホテルプロジェクト第1号「ホテルアジール東京蒲田」は2020年10にオープン済みである。
2. 2021年6月期上期業績の概要
2021年6月期上期の業績は、売上高が前年同期比1.3%減の8,150百万円、営業利益が同49.1%増の1,114百万円と微減収ながら大幅な増益となった。売上高は、新たに追加された「ホテル事業」が小規模ながら上乗せ要因となったものの、主力の「不動産開発販売」における販売戸数が7棟244戸(前年同期比22戸減)と減少したことが減収となった理由である(ただし、計画どおりの進捗)。利益面では、「ホテル事業」の新規開業に伴う初期費用等が負担となったものの、利益率の高い物件の売却があったことにより大幅な営業増益を実現し、営業利益率も13.7%(前年同期は9.1%)と大きく改善した。特に、投資ファンド等からの強い引き合いが利益率の向上に寄与したほか、コロナ禍による活動制限に伴う費用減や経費削減なども奏功したようだ。一方、今後の成長につながるパイプライン(開発物件)の状況については、慎重な用地仕入れ方針を取りながら、2022年6月期以降の販売予定分として、1,017戸を確保している。
3. 2021年6月期の業績予想
2021年6月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比9.2%減の20,000百万円、営業利益を同17.5%減の2,050百万円と減収減益を見込むものの、売上高は3期連続で200億円を確保する見通しである。減収予想となっているのは、「不動産開発販売」における販売戸数が14棟674戸(前期比38戸減)に減少することが理由である。また、利益面でも、減収により減益となるほか、「ホテル事業」に係る先行費用等により、営業利益率は10.3%(前期は11.3%)に低下する想定となっている。
4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、より採算性やタイミングを重視した用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指していく方針である。また、研究開発として位置付けているホテル事業については、コロナ禍の影響により厳しい外部環境が続いているものの、中長期的な目線からの可能性を追求するほか、都心の投資用ワンルームマンション開発・1棟販売を主軸としつつ、将来を見据えた活動にも取り組んでいく。
■Key Points
・2021年6月期上期は微減収ながら大幅な増益を実現
・コロナ禍においても販売環境は好調持続。一方、用地取得は厳しい状況が続くなかでやや慎重姿勢
・2021年6月期の通期業績は減収減益を見込むものの、売上高は200億円を確保する見通し・都心の投資用ワンルームマンション開発・1棟販売を事業の主軸としつつ、ホテル事業のほか、将来を見据えた事業展開にも注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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