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SFPホールディングスのニュース
■決算動向
2. 2022年2月期の業績
SFPホールディングス<3198>の2022年2月期の業績は、売上高が前期比40.3%減の10,404百万円、営業損失が7,919百万円(前期は5,339百万円の損失)、経常利益が2,202百万円(同4,900百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,745百万円(同5,650百万円の損失)と、コロナ禍の継続により大幅な減収となったものの、収益体質の強化や助成金制度の活用を通じて経常黒字を実現した。
前期に引き続き、コロナ禍の影響が業績の足を引っ張った。特に、相次ぐ緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置による休業・時短営業、酒類提供制限等が通期にわたって続いたことにより、売上高は前期よりもさらに落ち込む結果となった。コロナ禍前(2020年2月期、以下同様)との比較では約25%の水準に大きく縮小している。
特に、主力業態の「磯丸水産」は、駅前・繁華街(路面)での24時間営業に強みを発揮する収益モデルであるため、休業要請はもちろん、時短営業の影響を大きく受けた。期を通じて通常営業ができたのは、約3ヶ月間(のべ日数)にとどまったところからも厳しい環境にあったことがうかがえる。ただ、コロナ禍が一時収束した2021年11月~12月は、営業再開(ただし、時短営業)に伴って、月次の既存店売上高がコロナ禍前の約70%に回復するもとで、単月での営業黒字を達成しており、業態としての優位性は失われていない。
出退店については、大規模投資は当面抑える方針の下、新規1店舗を出店した一方、13店舗を退店し、2022年2月期末の店舗数は215店舗(FC 14店舗を含む)となった。
一方、損益面では、売上高の落ち込みが収益の下押しとなったものの、固定費(地代家賃・本部経費等)の大幅な圧縮※により収益体質の強化が定着してきたことや、コロナ禍に伴う雇用調整助成金及び時短協力金による「助成金収入」(営業外収益)の計上を通じて、経常黒字を達成することができた。
※地代家賃はコロナ禍前比27%減、本部経費は同42%減に削減した
財政状態については、借入金返済に伴う現金及び預金の減少、退店や減損に伴う固定資産の圧縮等により、総資産は前期末比34.4%減の16,096百万円に縮小した。一方、自己資本は内部留保の積み増しにより、同15.8%増の12,438百万円に増加したことから、自己資本比率は77.3%(前期末は43.8%)と大きく改善した。また、不測の事態に備え、借入金により一時的に手厚くしていた現金及び預金は、借入金の返済で約57億円(前期末は約116億円)に減ったものの、流動比率は345.1%を確保しており、支払能力に懸念はない。有利子負債は約6億円(前期末は約99億円)に大幅に減少し、ネットD/Eレシオも引き続きマイナスの状況となっていることから、財務バランスはコロナ禍前の良好な状態に戻ったと言える。
主な業態別の業績は以下のとおりである。
(1) 鳥良事業
売上高は前期比49.6%減の1,809百万円となった。「鳥良」1店舗及び「鳥良商店」4店舗を退店し、期末の店舗数は43店舗となった。
(2) 磯丸事業
売上高は前期比44.9%減の5,687百万円となった。ランチ・食事需要の開拓に向け、「磯丸水産食堂」を1店舗出店したほか、「磯丸水産」4店舗を「磯丸水産食堂」へ、「磯丸水産」1店舗を「町鮨とろたく」へ業態転換した一方、「磯丸水産」を3店舗退店し、期末の店舗数は116店舗(FC 13店舗を含む)となった。
(3) その他
売上高は前期比19.9%減の1,698百万円となった。「町鮨とろたく」を「磯丸水産」からの業態変更により1店舗出店した一方、「いち五郎」を1店舗退店し、期末の店舗数は24店舗となった。また、2021年5月より、公式オンラインションプ「磯丸水産お届けグルメショップ」を開設した。
(4) フードアライアンスメンバー(連結子会社)
売上高は前期比13.0%減の1,208百万円となった。(株)ジョー・スマイル(熊本)及び(株)クルークダイニング(長野)については、退店により、期末の店舗数は、ジョー・スマイルが13店舗、クルークダイニングが19店舗(FC 1店舗を含む)となった。
3. 2022年2月期の総括
以上から、2022年2月期を総括すると、コロナ禍の長期化により、期を通じて営業活動が制限されたことから、業績面(売上高及び営業損益)においては、前期に引き続き厳しい結果となった。ただ、コロナ対策のための政策的な不可抗力によるものであり、決して同社業態(収益モデル)の本質的な優位性が失われたものでないことを改めて強調したい。すなわち、従来の居酒屋チェーンのように、駅前・空中階・大型・予約/宴会で稼ぐ収益モデルがおしなべて苦戦し、多数の撤退が出ていることとは一線を画している。コロナ禍が一旦収束した2021年11月~12月の既存店売上高が回復しているところも、それを裏付ける証と言えよう。また、この2年間に収益体質の強化を図ったところや、助成金制度の活用等により財務基盤を温存できたところは今後に向けてプラスの材料となった。弊社では、コロナ禍における外食(居酒屋)業界各社を評価するポイントとして、コロナ禍を生き残るための、1) 財務体力があるか、2) 収益体質の強化が図れているか、さらにアフターコロナを見据えて、3) 再成長に向けた経営資源(店舗、人材等)や業態(収益モデル)の優位性が維持されているか、4) ニューノーマル(環境変化)を的確に捉え、対応する力やその準備ができているかに注目しているが、現在は3)及び4)を重視すべきステージに入っていると見ている。同社の場合も、すでに1)及び2)はクリアできているため、3)及び4)をどう評価するかがポイントとなろう。その視点に立てば、この2年間にある程度の整理は行ってきたものの、コアとなる店舗や人材を維持してきたこと、業態の本質的な優位性は失われていないこと、さらにはその強みを生かしつつ、環境変化へ対応するための準備(業態のモデルチャンジやDX等)にも取り組んでいることから、再編が進む業界の中において優位なポジションを確保する可能性が高いと評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<ST>
2. 2022年2月期の業績
SFPホールディングス<3198>の2022年2月期の業績は、売上高が前期比40.3%減の10,404百万円、営業損失が7,919百万円(前期は5,339百万円の損失)、経常利益が2,202百万円(同4,900百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,745百万円(同5,650百万円の損失)と、コロナ禍の継続により大幅な減収となったものの、収益体質の強化や助成金制度の活用を通じて経常黒字を実現した。
前期に引き続き、コロナ禍の影響が業績の足を引っ張った。特に、相次ぐ緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置による休業・時短営業、酒類提供制限等が通期にわたって続いたことにより、売上高は前期よりもさらに落ち込む結果となった。コロナ禍前(2020年2月期、以下同様)との比較では約25%の水準に大きく縮小している。
特に、主力業態の「磯丸水産」は、駅前・繁華街(路面)での24時間営業に強みを発揮する収益モデルであるため、休業要請はもちろん、時短営業の影響を大きく受けた。期を通じて通常営業ができたのは、約3ヶ月間(のべ日数)にとどまったところからも厳しい環境にあったことがうかがえる。ただ、コロナ禍が一時収束した2021年11月~12月は、営業再開(ただし、時短営業)に伴って、月次の既存店売上高がコロナ禍前の約70%に回復するもとで、単月での営業黒字を達成しており、業態としての優位性は失われていない。
出退店については、大規模投資は当面抑える方針の下、新規1店舗を出店した一方、13店舗を退店し、2022年2月期末の店舗数は215店舗(FC 14店舗を含む)となった。
一方、損益面では、売上高の落ち込みが収益の下押しとなったものの、固定費(地代家賃・本部経費等)の大幅な圧縮※により収益体質の強化が定着してきたことや、コロナ禍に伴う雇用調整助成金及び時短協力金による「助成金収入」(営業外収益)の計上を通じて、経常黒字を達成することができた。
※地代家賃はコロナ禍前比27%減、本部経費は同42%減に削減した
財政状態については、借入金返済に伴う現金及び預金の減少、退店や減損に伴う固定資産の圧縮等により、総資産は前期末比34.4%減の16,096百万円に縮小した。一方、自己資本は内部留保の積み増しにより、同15.8%増の12,438百万円に増加したことから、自己資本比率は77.3%(前期末は43.8%)と大きく改善した。また、不測の事態に備え、借入金により一時的に手厚くしていた現金及び預金は、借入金の返済で約57億円(前期末は約116億円)に減ったものの、流動比率は345.1%を確保しており、支払能力に懸念はない。有利子負債は約6億円(前期末は約99億円)に大幅に減少し、ネットD/Eレシオも引き続きマイナスの状況となっていることから、財務バランスはコロナ禍前の良好な状態に戻ったと言える。
主な業態別の業績は以下のとおりである。
(1) 鳥良事業
売上高は前期比49.6%減の1,809百万円となった。「鳥良」1店舗及び「鳥良商店」4店舗を退店し、期末の店舗数は43店舗となった。
(2) 磯丸事業
売上高は前期比44.9%減の5,687百万円となった。ランチ・食事需要の開拓に向け、「磯丸水産食堂」を1店舗出店したほか、「磯丸水産」4店舗を「磯丸水産食堂」へ、「磯丸水産」1店舗を「町鮨とろたく」へ業態転換した一方、「磯丸水産」を3店舗退店し、期末の店舗数は116店舗(FC 13店舗を含む)となった。
(3) その他
売上高は前期比19.9%減の1,698百万円となった。「町鮨とろたく」を「磯丸水産」からの業態変更により1店舗出店した一方、「いち五郎」を1店舗退店し、期末の店舗数は24店舗となった。また、2021年5月より、公式オンラインションプ「磯丸水産お届けグルメショップ」を開設した。
(4) フードアライアンスメンバー(連結子会社)
売上高は前期比13.0%減の1,208百万円となった。(株)ジョー・スマイル(熊本)及び(株)クルークダイニング(長野)については、退店により、期末の店舗数は、ジョー・スマイルが13店舗、クルークダイニングが19店舗(FC 1店舗を含む)となった。
3. 2022年2月期の総括
以上から、2022年2月期を総括すると、コロナ禍の長期化により、期を通じて営業活動が制限されたことから、業績面(売上高及び営業損益)においては、前期に引き続き厳しい結果となった。ただ、コロナ対策のための政策的な不可抗力によるものであり、決して同社業態(収益モデル)の本質的な優位性が失われたものでないことを改めて強調したい。すなわち、従来の居酒屋チェーンのように、駅前・空中階・大型・予約/宴会で稼ぐ収益モデルがおしなべて苦戦し、多数の撤退が出ていることとは一線を画している。コロナ禍が一旦収束した2021年11月~12月の既存店売上高が回復しているところも、それを裏付ける証と言えよう。また、この2年間に収益体質の強化を図ったところや、助成金制度の活用等により財務基盤を温存できたところは今後に向けてプラスの材料となった。弊社では、コロナ禍における外食(居酒屋)業界各社を評価するポイントとして、コロナ禍を生き残るための、1) 財務体力があるか、2) 収益体質の強化が図れているか、さらにアフターコロナを見据えて、3) 再成長に向けた経営資源(店舗、人材等)や業態(収益モデル)の優位性が維持されているか、4) ニューノーマル(環境変化)を的確に捉え、対応する力やその準備ができているかに注目しているが、現在は3)及び4)を重視すべきステージに入っていると見ている。同社の場合も、すでに1)及び2)はクリアできているため、3)及び4)をどう評価するかがポイントとなろう。その視点に立てば、この2年間にある程度の整理は行ってきたものの、コアとなる店舗や人材を維持してきたこと、業態の本質的な優位性は失われていないこと、さらにはその強みを生かしつつ、環境変化へ対応するための準備(業態のモデルチャンジやDX等)にも取り組んでいることから、再編が進む業界の中において優位なポジションを確保する可能性が高いと評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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