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シュッピンのニュース
■シュッピン<3179>の決算概要
2. 事業別の業績
(1) カメラ事業
売上高は前期比2.1%減の23,274百万円、セグメント利益は同22.2%増の2,305百万円と減収増益となった。そのうち、EC売上が前期比1.9%減の17,193百万円、店舗売上が同2.7%減の6,080百万円と両方で下振れる着地となっている。売上高成長よりも粗利率改善を重点課題として取り組んでいる中で、1)消費増税による消費の冷え込み、2)ポイント還元対象となっていないこと、3)2月中旬以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響によるインバウンド需要(店舗における免税売上高)の減少や一部商品供給の遅れ、4)新製品の発売延期など、様々な外部要因が重なったことにより、新品売上が店舗、ECともに大きく減少した。特に、ポイント施策を実施していない他社ショッピングサイト出店分の落ち込みが大きかったようだ。一方、中古品売上は前期比6.5%増と好調を維持。自社サイトでの独自機能やサービスを活用したOne-to-Oneアプローチや商品ラインナップの充実等が奏功したためであり、中古品が自社サイト売上の伸びをけん引する形で増進している。また、利益面では、One to Oneマーケティングの活用強化、仕入れ機能強化によって、中古カメラの粗利益率の改善や中古品比率の向上によりセグメント粗利益率が大きく改善し、大幅なセグメント増益を実現することができた。
(2) 時計事業
売上高は前期比4.8%増の10,330百万円、セグメント利益は同2.2%増の555百万円と増収増益となった。こちらも、「カメラ事業」と同様、消費増税や新型コロナウイルス感染拡大の影響等を受けたものの、積極的な在庫投資と商品展開が功を奏し、とりわけ中古品売上が前期比18.6%増と大きく伸びた。もっとも、時計については一品ものが多いことや装飾品として商品の状態にこだわる顧客が多いため、店舗売上の比率が高く、その傾向は変わっていない。EC売上が前期比1.7%増の3,503百万円、店舗売上が同6.4%増の6,826百万円と中古品比率の向上とともに店舗売上が伸びている。一方、利益面では、中古品比率の向上により粗利益率が改善したものの、越境EC(グローバル戦略)の推進※1やレディース時計事業の強化※2に向けた先行投資により、セグメント利益率は5.4%(前期は5.5%)とほぼ横ばいで推移した。
※1 世界中の時計愛好家が集まるオンラインマーケットプレイス「Chrono24」に出店し、販売機会の増加と認知度向上を図っている。
※2 レディース向けの商品ラインナップの拡充と合わせて、女性顧客に時計の魅力がより直感的に伝わるように美しい商品写真の掲載を中心とした専門サイト「BRILLER(ブリエ)」を開設した(2019年12月9日オープン)。
(3) 筆記具事業
売上高は前期比2.2%増の502百万円、セグメント利益は同37.5%増の22百万円と増収増益となった。ECサイトの利便性や情報の拡充を図ったことや、「カメラ事業」に続いて同社独自のサービス「先取交換」を開始したこと、注力しているオリジナル商品(主要メーカー協力による独創的な万年筆とインクの企画・販売)の促進等により着実な伸びを実現した。
(4) 自転車事業
売上高は前期比5.8%増の551百万円、セグメント利益は13百万円(前年同期は5百万円の損失)と増収増益となり、黒字転換を達成した。販売チャネルを拡充したことや、スマートフォンアプリの情報拡充を図り、初心者からプロユーザーまでが楽しめる情報ポータルサイトとしての展開を進めたことが高単価商品の販売につながった。また、話題性のある人気商品や新規商材の積極的な販売施策により集客効果を高め、新たな顧客の囲い込みにも取り組んだ。一方、利益面では、中古品の品ぞろえ拡充や適正な販売価格への見直しにより粗利益率の改善を図り、黒字転換を達成することができた。
3. 主要KPIの推移
(1) Web会員数
2020年3月期末のWeb会員数は前期末比12.2%増の456,559名(前期末比+49,578名)と順調に伸び、月間当たりの新規会員獲得でも4,131名(前期は3,835名)と増加ペースが加速している。One-to-Oneマーケティングの本格稼働やプラットフォームの完成が奏功した結果と評価できる。世代別で見ると、幅広い年齢層の構成比に大きな動きはないが、30歳代から50歳代の伸びが比較的大きい。また、注目すべきは、女性会員が大きく増えているところであり、全体の構成比では16%(前期末は14%)に上昇した。特に、インスタグラムなどのSNSの普及により若年層(20歳代以下~30歳代)の女性会員の伸びが大きく、新たなターゲット層として期待される。一方、エリア分布については、関東(特に東京)の占める割合が大きいが、その構造にも際立った変化はなく、地方愛好者へのアプローチにも伸びしろがあると言える。
(2) 購入会員数とアクティブ率
これまでの施策の効果により、2020年3月期第2四半期(四半期ベース)の購入会員数及びアクティブ率は過去最高を更新した。特に、欲しいリスト登録数や入荷お知らせメール登録数が着実に積み上がってきたことなどが貢献しているものと考えられる。消費増税前の駆け込み需要による押し上げ効果が重なったとの見方もできるが、第3四半期以降も高水準を維持しているところは評価すべきポイントと言えよう。
(3) 中古カメラ買取額
2020年3月期の中古カメラEC買取額(年間)は前期比8.8%増の5,697百万円と増加し、EC比率も62.4%(前期は59.6%)に上昇している。特に、第4四半期(四半期ベース)では前年同期比15.3%増の1,511百万円(EC比率65.0%)と大きく伸びた。これまで取り組んできた「ワンプライス買取」や「先取交換」などの施策に加え、プラットフォームの完成(会員基盤の活性化等)がそれら施策の効果を後押ししている可能性も考えられる。また、買取価格の面でも、適正な価格での調達が維持できており、粗利益率の改善でも成果をあげた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 事業別の業績
(1) カメラ事業
売上高は前期比2.1%減の23,274百万円、セグメント利益は同22.2%増の2,305百万円と減収増益となった。そのうち、EC売上が前期比1.9%減の17,193百万円、店舗売上が同2.7%減の6,080百万円と両方で下振れる着地となっている。売上高成長よりも粗利率改善を重点課題として取り組んでいる中で、1)消費増税による消費の冷え込み、2)ポイント還元対象となっていないこと、3)2月中旬以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響によるインバウンド需要(店舗における免税売上高)の減少や一部商品供給の遅れ、4)新製品の発売延期など、様々な外部要因が重なったことにより、新品売上が店舗、ECともに大きく減少した。特に、ポイント施策を実施していない他社ショッピングサイト出店分の落ち込みが大きかったようだ。一方、中古品売上は前期比6.5%増と好調を維持。自社サイトでの独自機能やサービスを活用したOne-to-Oneアプローチや商品ラインナップの充実等が奏功したためであり、中古品が自社サイト売上の伸びをけん引する形で増進している。また、利益面では、One to Oneマーケティングの活用強化、仕入れ機能強化によって、中古カメラの粗利益率の改善や中古品比率の向上によりセグメント粗利益率が大きく改善し、大幅なセグメント増益を実現することができた。
(2) 時計事業
売上高は前期比4.8%増の10,330百万円、セグメント利益は同2.2%増の555百万円と増収増益となった。こちらも、「カメラ事業」と同様、消費増税や新型コロナウイルス感染拡大の影響等を受けたものの、積極的な在庫投資と商品展開が功を奏し、とりわけ中古品売上が前期比18.6%増と大きく伸びた。もっとも、時計については一品ものが多いことや装飾品として商品の状態にこだわる顧客が多いため、店舗売上の比率が高く、その傾向は変わっていない。EC売上が前期比1.7%増の3,503百万円、店舗売上が同6.4%増の6,826百万円と中古品比率の向上とともに店舗売上が伸びている。一方、利益面では、中古品比率の向上により粗利益率が改善したものの、越境EC(グローバル戦略)の推進※1やレディース時計事業の強化※2に向けた先行投資により、セグメント利益率は5.4%(前期は5.5%)とほぼ横ばいで推移した。
※1 世界中の時計愛好家が集まるオンラインマーケットプレイス「Chrono24」に出店し、販売機会の増加と認知度向上を図っている。
※2 レディース向けの商品ラインナップの拡充と合わせて、女性顧客に時計の魅力がより直感的に伝わるように美しい商品写真の掲載を中心とした専門サイト「BRILLER(ブリエ)」を開設した(2019年12月9日オープン)。
(3) 筆記具事業
売上高は前期比2.2%増の502百万円、セグメント利益は同37.5%増の22百万円と増収増益となった。ECサイトの利便性や情報の拡充を図ったことや、「カメラ事業」に続いて同社独自のサービス「先取交換」を開始したこと、注力しているオリジナル商品(主要メーカー協力による独創的な万年筆とインクの企画・販売)の促進等により着実な伸びを実現した。
(4) 自転車事業
売上高は前期比5.8%増の551百万円、セグメント利益は13百万円(前年同期は5百万円の損失)と増収増益となり、黒字転換を達成した。販売チャネルを拡充したことや、スマートフォンアプリの情報拡充を図り、初心者からプロユーザーまでが楽しめる情報ポータルサイトとしての展開を進めたことが高単価商品の販売につながった。また、話題性のある人気商品や新規商材の積極的な販売施策により集客効果を高め、新たな顧客の囲い込みにも取り組んだ。一方、利益面では、中古品の品ぞろえ拡充や適正な販売価格への見直しにより粗利益率の改善を図り、黒字転換を達成することができた。
3. 主要KPIの推移
(1) Web会員数
2020年3月期末のWeb会員数は前期末比12.2%増の456,559名(前期末比+49,578名)と順調に伸び、月間当たりの新規会員獲得でも4,131名(前期は3,835名)と増加ペースが加速している。One-to-Oneマーケティングの本格稼働やプラットフォームの完成が奏功した結果と評価できる。世代別で見ると、幅広い年齢層の構成比に大きな動きはないが、30歳代から50歳代の伸びが比較的大きい。また、注目すべきは、女性会員が大きく増えているところであり、全体の構成比では16%(前期末は14%)に上昇した。特に、インスタグラムなどのSNSの普及により若年層(20歳代以下~30歳代)の女性会員の伸びが大きく、新たなターゲット層として期待される。一方、エリア分布については、関東(特に東京)の占める割合が大きいが、その構造にも際立った変化はなく、地方愛好者へのアプローチにも伸びしろがあると言える。
(2) 購入会員数とアクティブ率
これまでの施策の効果により、2020年3月期第2四半期(四半期ベース)の購入会員数及びアクティブ率は過去最高を更新した。特に、欲しいリスト登録数や入荷お知らせメール登録数が着実に積み上がってきたことなどが貢献しているものと考えられる。消費増税前の駆け込み需要による押し上げ効果が重なったとの見方もできるが、第3四半期以降も高水準を維持しているところは評価すべきポイントと言えよう。
(3) 中古カメラ買取額
2020年3月期の中古カメラEC買取額(年間)は前期比8.8%増の5,697百万円と増加し、EC比率も62.4%(前期は59.6%)に上昇している。特に、第4四半期(四半期ベース)では前年同期比15.3%増の1,511百万円(EC比率65.0%)と大きく伸びた。これまで取り組んできた「ワンプライス買取」や「先取交換」などの施策に加え、プラットフォームの完成(会員基盤の活性化等)がそれら施策の効果を後押ししている可能性も考えられる。また、買取価格の面でも、適正な価格での調達が維持できており、粗利益率の改善でも成果をあげた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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