880円
TOKAIホールディングスのニュース
■今後の見通し
1. 2023年3月期の業績見通し
TOKAIホールディングス<3167>の2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.8%増の223,000百万円、営業利益で同8.2%減の14,500百万円、経常利益で同10.1%減の14,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同7.5%減の8,300百万円と期初計画を据え置いた。売上高は継続取引顧客件数の積み上げや法人向け情報通信事業、建築設備不動産事業の拡大、エネルギー販売価格の上昇等が増収要因となる。利益面ではエネルギー事業を除くすべての事業で増益を見込んでいるが、同社はLPガスの仕入価格上昇によるエネルギー事業の減益をカバーしきれないものと見ている。
第1四半期の状況を見ると、建築設備不動産事業で下振れする可能性があるものの、そのほかの事業セグメントについては順調に推移しており、エネルギー事業の仕入価格が今後一段と上昇するようなことがなければ、売上高・利益ともに上振れする可能性が高く、全体業績についても計画を達成できるものと弊社では見ている。継続取引顧客件数については前期末比102千件増の3,295千件を計画しており、M&A等も積極的に推進する方針である。
(1) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前期比5.2%増、営業利益は同27.0%減と増収減益を見込む。顧客件数はLPガス事業が前期末比42千件増の757千件、都市ガス事業が同9千件増の79千件(T&Tエナジーによる増加)となり、LPガス事業の純増数は前期の34千件から拡大する計画となっている。第1四半期はM&A・アライアンスによる獲得件数が計画を下回ったが、第2四半期以降に巻き返す方針だ。
営業利益の増減要因を見ると、減益要因としては仕入価格上昇の影響で51億円、人件費・経費の増加で9億円、世帯当たり消費量の減少で5億円(年間平均気温が前期比0.2度上昇する前提、第1四半期は0.7度低下した)となり、増益要因として販売価格の値上げで20億円、顧客件数の増加で8億円、顧客獲得維持コストの減少で9億円等としている。仕入価格の前提は2022年4月時点のFOB価格940ドル/トン※より低い水準で設定しているもようで、直近8月のFOB価格は670ドル/トンと前年同月並みの水準まで低下している状況だ。コスト上昇圧力は一旦沈静化したように見えるが、ウクライナ情勢の終結が見えないなかで先行きに関して不透明感が続く状況に変わりない。同社では社内設定価格よりもFOB価格が下回れば、家庭用について予約ヘッジする方針である。
※FOB価格:サウジアラビアから輸入業者への販売価格。
同社は、販売価格の値上げ効果及び顧客件数の増加で28億円の増益要因を見込んでいるが、仕入価格に連動する工業用の販売価格が想定以上に上昇したことから、第1四半期ですでに28億円の増益効果が出ており、仕入価格と販売価格のギャップによる売上総利益も会社計画を上回った。今後、このギャップがどのように変化するかで利益の動向も変わってくるが、仕入及び販売価格に大きな変化がなければ、売上高は計画に対して上振れする可能性が高い。一方、利益に関しても計画を上回るペースとなっているが、顧客獲得を優先するため獲得コストを積み増すことも想定され、全体業績の進捗も見ながらコントロールするものと予想される。なお、2023年3月期も新規営業拠点として、愛知県西部エリアに1拠点開設する予定となっている。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比3.5%増、営業利益は同8.0%増を見込んでいる。このうち、コンシューマー向け事業については売上高で前期比微減、営業利益で同微増益を見込んでいる。顧客件数は従来型ISP等と光コラボの合計で前期末比横ばいの760千件、LIBMOで同14千件増の69千件を計画している。第1四半期まで顧客獲得状況は順調に進んでおり(従来型ISP等及び光コラボで764千件、LIBMOで58千件)、計画を達成できるものと予想される。一方、法人向け事業は前期比1ケタ台後半の増収増益を見込んでいる。クラウドサービス、受託開発ともに第2四半期以降も順調に推移する見通しだ。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前期比5.6%増、営業利益は同3.2%増と堅調に推移する見通し。引き続きネットワークの光化やコンテンツの充実に取り組むことで、顧客件数の積み上げを図る。顧客件数は放送サービス、通信サービスの合計で前期末比42千件増の1,273千件を計画している。M&Aも前向きに検討を進めており、今後の動向が注目される。
(4) 建築設備不動産事業、アクア事業、その他
建築設備不動産事業の売上高は前期比13.4%増、営業利益は同3.2%増と増収増益を見込んでいるが、2022年3月期に好調であった土木工事の日産工業が低調な滑り出しとなっており、今後の受注状況次第では計画を下回る可能性もある。
アクア事業の売上高は前期比0.9%増、営業利益は同83.1%増と4期ぶりの増益に転じる見通し。顧客件数は前期末比1.5千件増の167千件と微増にとどめ、商業施設での対面営業だけでなく、デジタルマーケティングを強化することで顧客獲得コストを引き下げ、収益性の改善を図る。その他については、介護サービスや婚礼催事事業を中心に前期比7.9%増と増収基調が続く見通し。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
1. 2023年3月期の業績見通し
TOKAIホールディングス<3167>の2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比5.8%増の223,000百万円、営業利益で同8.2%減の14,500百万円、経常利益で同10.1%減の14,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同7.5%減の8,300百万円と期初計画を据え置いた。売上高は継続取引顧客件数の積み上げや法人向け情報通信事業、建築設備不動産事業の拡大、エネルギー販売価格の上昇等が増収要因となる。利益面ではエネルギー事業を除くすべての事業で増益を見込んでいるが、同社はLPガスの仕入価格上昇によるエネルギー事業の減益をカバーしきれないものと見ている。
第1四半期の状況を見ると、建築設備不動産事業で下振れする可能性があるものの、そのほかの事業セグメントについては順調に推移しており、エネルギー事業の仕入価格が今後一段と上昇するようなことがなければ、売上高・利益ともに上振れする可能性が高く、全体業績についても計画を達成できるものと弊社では見ている。継続取引顧客件数については前期末比102千件増の3,295千件を計画しており、M&A等も積極的に推進する方針である。
(1) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前期比5.2%増、営業利益は同27.0%減と増収減益を見込む。顧客件数はLPガス事業が前期末比42千件増の757千件、都市ガス事業が同9千件増の79千件(T&Tエナジーによる増加)となり、LPガス事業の純増数は前期の34千件から拡大する計画となっている。第1四半期はM&A・アライアンスによる獲得件数が計画を下回ったが、第2四半期以降に巻き返す方針だ。
営業利益の増減要因を見ると、減益要因としては仕入価格上昇の影響で51億円、人件費・経費の増加で9億円、世帯当たり消費量の減少で5億円(年間平均気温が前期比0.2度上昇する前提、第1四半期は0.7度低下した)となり、増益要因として販売価格の値上げで20億円、顧客件数の増加で8億円、顧客獲得維持コストの減少で9億円等としている。仕入価格の前提は2022年4月時点のFOB価格940ドル/トン※より低い水準で設定しているもようで、直近8月のFOB価格は670ドル/トンと前年同月並みの水準まで低下している状況だ。コスト上昇圧力は一旦沈静化したように見えるが、ウクライナ情勢の終結が見えないなかで先行きに関して不透明感が続く状況に変わりない。同社では社内設定価格よりもFOB価格が下回れば、家庭用について予約ヘッジする方針である。
※FOB価格:サウジアラビアから輸入業者への販売価格。
同社は、販売価格の値上げ効果及び顧客件数の増加で28億円の増益要因を見込んでいるが、仕入価格に連動する工業用の販売価格が想定以上に上昇したことから、第1四半期ですでに28億円の増益効果が出ており、仕入価格と販売価格のギャップによる売上総利益も会社計画を上回った。今後、このギャップがどのように変化するかで利益の動向も変わってくるが、仕入及び販売価格に大きな変化がなければ、売上高は計画に対して上振れする可能性が高い。一方、利益に関しても計画を上回るペースとなっているが、顧客獲得を優先するため獲得コストを積み増すことも想定され、全体業績の進捗も見ながらコントロールするものと予想される。なお、2023年3月期も新規営業拠点として、愛知県西部エリアに1拠点開設する予定となっている。
(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前期比3.5%増、営業利益は同8.0%増を見込んでいる。このうち、コンシューマー向け事業については売上高で前期比微減、営業利益で同微増益を見込んでいる。顧客件数は従来型ISP等と光コラボの合計で前期末比横ばいの760千件、LIBMOで同14千件増の69千件を計画している。第1四半期まで顧客獲得状況は順調に進んでおり(従来型ISP等及び光コラボで764千件、LIBMOで58千件)、計画を達成できるものと予想される。一方、法人向け事業は前期比1ケタ台後半の増収増益を見込んでいる。クラウドサービス、受託開発ともに第2四半期以降も順調に推移する見通しだ。
(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前期比5.6%増、営業利益は同3.2%増と堅調に推移する見通し。引き続きネットワークの光化やコンテンツの充実に取り組むことで、顧客件数の積み上げを図る。顧客件数は放送サービス、通信サービスの合計で前期末比42千件増の1,273千件を計画している。M&Aも前向きに検討を進めており、今後の動向が注目される。
(4) 建築設備不動産事業、アクア事業、その他
建築設備不動産事業の売上高は前期比13.4%増、営業利益は同3.2%増と増収増益を見込んでいるが、2022年3月期に好調であった土木工事の日産工業が低調な滑り出しとなっており、今後の受注状況次第では計画を下回る可能性もある。
アクア事業の売上高は前期比0.9%増、営業利益は同83.1%増と4期ぶりの増益に転じる見通し。顧客件数は前期末比1.5千件増の167千件と微増にとどめ、商業施設での対面営業だけでなく、デジタルマーケティングを強化することで顧客獲得コストを引き下げ、収益性の改善を図る。その他については、介護サービスや婚礼催事事業を中心に前期比7.9%増と増収基調が続く見通し。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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