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きちりHD Research Memo(4):コロナ禍のなか、2022年6月期第2四半期累計経常利益は2年ぶりに黒字転換

配信元:フィスコ
投稿:2022/03/07 15:24

1. 2022年6月期第2四半期累計業績の概要
きちりホールディングス<3082>の2022年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比11.4%減の3,195百万円、営業損失で621百万円(前年同期は513百万円の損失)、経常利益で781百万円(同450百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益で657百万円(同264百万円の損失)となった。コロナ禍で飲食業界に逆風が続くなか、同社においても「KICHIRI」などディナー業態において営業時間短縮や臨時休業を実施したことで、売上高の減少と営業損失が続いた。ただ、営業外収益並びに特別利益に助成金収入を計上したことで、経常利益並びに親会社株主に帰属する四半期純利益については2年ぶりに黒字転換している。

売上原価率はディナー業態の売上構成比が低下したこともあり、前年同期の28.6%から30.2%に上昇した。販管費については地代家賃の削減を主因として前期比7.6%減となったものの、人件費についてはほぼ前年同期並みの水準となり、販管費率も前年同期の85.6%から89.3%に上昇した。売上高が損益分岐点を越えなかったことで営業損失を計上することとなったが、営業外収益として店舗の営業時間短縮や臨時休業に伴う助成金収入を1,055百万円したほか、暗号資産評価益369百万円を計上したことで、経常利益は黒字に転換している。また、特別損失として臨時休業による損失244百万円を計上した一方で、特別利益として助成金収入479百万円を計上している。

(1) 飲食事業
飲食事業における店舗の出退店状況を見ると、退店は無く新規出店で13店舗となった。このうち、12店舗は商業施設業態となっており、厳しい市場環境が続くなかでも積極的な出店を進めている点は注目される。主な出店を見ると、2021年7月に本厚木駅(神奈川県厚木市)に直結する商業施設「本厚木ミロード」内にて、次世代型フードホールとなる「FLDK」をオープンした。カフェやパスタ、韓国料理、鶏料理専門店、ステーキ専門店、たい焼き専門店など7店舗を同時出店し、朝・昼・夜と多様な食のニーズに対応するフードホールとなっている。モバイルオーダーシステムの導入やテイクアウト専用ロッカーを設けるなど感染対策も施した店舗づくりとなっており、地元住民や通勤客等のニーズを取り込み、順調な滑り出しを見せているようだ。

また、同年7月に同社としては初の焼肉業態となる「肉の満牛萬 大泉学園」(東京都練馬区)を出店した。ロードサイドの居抜き物件を改装したもので、「ほんとに旨い焼肉を、なんとか安く。」「食べ放題よりも安く、お得に、満足」をブランドスローガンに掲げ、国産黒毛和牛(A4、A5ランク)や和牛との国産交雑牛を中心に、おいしい焼肉を食べ放題の価格帯と同等またはそれ以下で提供できる価格帯をターゲットに、サラダやおつまみ、デザートなどのサイドメニューも充実させた幅広いメニューを提供している。滑り出しは想定以上に好調なようで、今後も都市部立地、郊外ロードサイド立地の双方で店舗展開を進めていく予定にしている。

そのほか、「いしがまやハンバーグ」については2021年11月に関西初出店となる「いしがまやハンバーグ セブンパーク天美」(大阪府松原市)を出店しており、今後関西エリアでの店舗展開も進めていくものと予想される。

(2) その他
PFS事業については、外食業界向けのさらなるプラットフォーム強化を進めるとともに、異業種のブランドホルダーに対する出店支援コンサルティング業務に取り組んでいるが、当第2四半期累計期間においては外食業界の逆風が続くなかで大きな進展は見られなかった。ただ、今後も事業拡大に向けた取り組みは進めていく方針となっている。一方、FC事業についても、FC店舗数が前年同期に横ばいの3店舗と変わりなく、売上高も横ばい水準になったと見られる。PFS事業とFC事業を合わせた売上高は48百万円となっている。


利益回復により自己資本比率が上昇、財務状況の改善が進む
2. 財務状況と経営指標
2022年6月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比409百万円増加の8,624百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が208百万円減少した一方で、2021年12月の売上高が回復したことにより売掛金が182百万円、未収入金が233百万円増加した。固定資産では新規出店に伴い有形固定資産が96百万円増加した一方で、繰延税金資産が320百万円減少した。

負債合計は前期末比193百万円減少の7,153百万円となった。買掛金が179百万円増加した一方で有利子負債が387百万円減少した。また、純資産は前期末比603百万円増加の1,471百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益657百万円の計上により、利益剰余金が増加した。

経営指標を見ると、コロナ禍による業績の悪化に対応するため2020年6月期に金融機関からの借入れを実施したこと、並びに業績の悪化が続いたことで2021年6月期の自己資本比率が9.2%と10%を下回る水準まで低下したものの、2022年6月期第2四半期累計に助成金収入が増加したこともあって黒字に転換したことで、自己資本比率も15.8%と2年前の水準まで回復した。また、ネットキャッシュ(現預金−有利子負債)も前期末比で178百万円改善している。コロナ禍の収束がまだ見えないため、当面は手元キャッシュを厚めに持っておく必要があると考えているが、市場環境の見通しが立ってくれば手元キャッシュの一部を取り崩して有利子負債の返済に充当していくことにしている。なお、有利子負債のうち長期借入金は4,798百万円で、返済期限は2025~2031年、平均利率は0.5%となっており、年間7億円前後のペースで返済していく予定だ。期間損益が黒字基調に戻っていることもあり、財務状況は今後も改善傾向が続くものと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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