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クオールホールディングスのニュース
*15:57JST クオールHD Research Memo(7):CMR派遣、医療系人材紹介派遣、医薬品製造販売事業が揃って増収増益に
■クオールホールディングス<3034>の業績の動向
3. 医療関連事業の動向
医療関連事業のうち、主力のCSO事業は増収増益となり、売上高は過去最高を達成した。2022年3月期下期からCMR派遣の需要が回復傾向となり、CMR人員数も約600名から約610名と増加した。オンコロジー領域や中枢神経疾患領域など高い専門性が要求されるスペシャリティ薬の新薬が増加していることを背景に、CMRについてもこれら専門領域の育成に注力したことで平均単価も上昇し、増収増益要因となった。
医療系人材紹介派遣事業は売上高で前期比20%増と増収に転じ、営業利益も3倍増と急回復した。2022年3月期下期以降、薬剤師やドラッグストア向け登録販売者の派遣需要が回復基調に転じたほか、健康経営に取り組む企業の増加を背景に、産業医・産業保健師の派遣需要も拡大基調が続いたことが要因だ。
医薬品製造販売事業も上期は薬価改定や原材料費高騰の影響により減収減益となったものの、2022年12月に新型コロナウイルス抗原検査キット「テガルナ®スティックSARS-CoV-2Ag」を発売し、約76万本を販売したことが寄与し、通期では増収増益となった。
2024年3月期は在宅調剤の取り組み強化で過去最高業績更新を目指す
4. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の業績は売上高で前期比5.9%増の180,000百万円、営業利益で同5.3%増の10,000百万円、経常利益で同6.0%増の10,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.6%増の6,200百万円と過去最高業績を更新する見通し。保険薬局事業、医療関連事業ともに増収増益を計画しており、2023年5月16日付で発表した第一三共エスファの株式段階取得により、営業外収益として持分法による投資利益700百万円を計上する見込みだ(詳細は後述)。設備投資額が986百万円と前期の4,510百万円から大幅に減少するが、前期は店舗用の土地取得費用20億円が含まれている。減価償却費とのれん償却額が合わせて620百万円増加するものの、増収効果や前期の費用増要因となったコロナ禍での店舗運営維持のための薬剤師追加コスト(約4億円)がなくなることも増益要因となる。
なお、上期の業績については売上高で前年同期比3.8%増となるものの、営業利益は同13.0%減と減益を見込んでいる。保険薬局事業において地域支援体制加算の経過装置※が前期末で終了し、利益に直結する調剤技術料単価の低下が見込まれているためだ。同社では在宅調剤の取り組みを強化することで、下期に地域支援体制加算の回復を見込んでいる。
※2022年4月の調剤報酬改定により、調剤基本料3-ハ(32点)の店舗については、地域支援体制加算を算定する場合、2023年3月末まで調剤基本料1(42点)の店舗とみなし、加算点が47点または39点で算定されていたが、4月1日以降は調剤基本料3-ハで算定することになり、該当する店舗の加算点が39点または17点に引き下げられることになった。また、2023年4月から12月までの特例措置としてGE医薬品調剤体制加算対象店舗のうち、一定条件を満たした場合、地域支援体制加算に1点または3点を上乗せした点数で算定できることになっている。
(1) 保険薬局事業
保険薬局事業の業績は増収増益を見込んでいる。2024年3月期の業績前提となる新規出店については、自力出店で20店舗、M&Aで30~50店舗を見込んでいる。2023年6月2日までの実績としては自力出店で10店舗、M&Aで2店舗を取得し、2店舗を閉店、合計で前期末比10店舗増の902店舗となっている。厳しい経営環境が続く調剤薬局市場では大手企業によるグループ化の動きが継続する見通しで、同社も案件を精査しながらM&A戦略を推進していく予定だ。
業績計画の前提となる処方箋応需枚数は店舗数の拡大もあって前期比5%程度の増加、処方箋単価については薬剤料単価で2%程度の低下を見込むが、調剤技術料単価の維持向上で相殺していく格好となる。最大のポイントは経過措置の終了で落ち込む地域支援体制加算をどのように回復させていくかにかかっている。前期に47点または39点を取得していた店舗が39点または17点に引き下げられるため、同社では0点算定の店舗を在宅調剤等の取り組み強化により、17点または39点を取得できる店舗に変えていくことで、地域体制加算点の維持向上を図る考えだ。2023年3月時点で50.1%だった0点算定の店舗のうち、半分程度を加算点の取れる店舗に変えていくことを目標としている。同目標を達成すれば、地域支援体制加算の平均単価は前期並みの水準を維持できるものと弊社では見ている。一方、GE医薬品調剤体制加算については取り組み強化により数%程度の平均単価引き上げが可能と見られる。また、調剤基本料のうち既存店に関しては前期並みの水準を維持できる見通しだ。
その他売上高についても、EC販売やコンビニエンスストア物販、並びにOTC医薬品の拡大が見込まれる。2023年4月からはサントリーウェルネス(株)との協業により、これまで通信販売でのみ展開してきたサントリーウェルネスの健康食品6ブランドについて、クオールの店舗で販売を開始した。また、今後は同社の薬剤師とサントリーウェルネスの研究員による勉強会も定期的に開催し、相互の知見を共有していくことで、地域の健康サポート薬局としての機能を強化していくことにしている。
(2) 医療関連事業
医療関連事業については、医薬品製造販売事業が抗原検査キットの反動減で減収減益の計画としているものの、CSO事業や医療系人材紹介派遣事業の収益拡大でカバーし、全体では増収増益を見込んでいる。抗原検査キットについては、企業向けや学校向けに一定の需要が見込まれ、また感染者数が拡大する局面では販売が伸びる可能性もあるが、保守的に計画に織り込んだ。CSO事業については引き続きCMRの需要は堅調に推移しており、着実な成長が見込まれる。
医療系人材紹介派遣事業では新たにアポプラスキャリアがスポット案件の医療系人材マッチングプラットフォーム事業やネットワーク健診事業を展開する(株)オンコールの株式を2023年4月に取得し、子会社化したことを発表している。2019年設立のスタートアップ企業で業績に与える影響は軽微だが、プラットフォームの導入医療施設数は400を超えるなど順調に広がっており、医療現場の人材にかかわる様々なニーズに対応するソリューションの1つとしてラインナップに加えることで、事業規模のさらなる拡大を進めていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 医療関連事業の動向
医療関連事業のうち、主力のCSO事業は増収増益となり、売上高は過去最高を達成した。2022年3月期下期からCMR派遣の需要が回復傾向となり、CMR人員数も約600名から約610名と増加した。オンコロジー領域や中枢神経疾患領域など高い専門性が要求されるスペシャリティ薬の新薬が増加していることを背景に、CMRについてもこれら専門領域の育成に注力したことで平均単価も上昇し、増収増益要因となった。
医療系人材紹介派遣事業は売上高で前期比20%増と増収に転じ、営業利益も3倍増と急回復した。2022年3月期下期以降、薬剤師やドラッグストア向け登録販売者の派遣需要が回復基調に転じたほか、健康経営に取り組む企業の増加を背景に、産業医・産業保健師の派遣需要も拡大基調が続いたことが要因だ。
医薬品製造販売事業も上期は薬価改定や原材料費高騰の影響により減収減益となったものの、2022年12月に新型コロナウイルス抗原検査キット「テガルナ®スティックSARS-CoV-2Ag」を発売し、約76万本を販売したことが寄与し、通期では増収増益となった。
2024年3月期は在宅調剤の取り組み強化で過去最高業績更新を目指す
4. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の業績は売上高で前期比5.9%増の180,000百万円、営業利益で同5.3%増の10,000百万円、経常利益で同6.0%増の10,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.6%増の6,200百万円と過去最高業績を更新する見通し。保険薬局事業、医療関連事業ともに増収増益を計画しており、2023年5月16日付で発表した第一三共エスファの株式段階取得により、営業外収益として持分法による投資利益700百万円を計上する見込みだ(詳細は後述)。設備投資額が986百万円と前期の4,510百万円から大幅に減少するが、前期は店舗用の土地取得費用20億円が含まれている。減価償却費とのれん償却額が合わせて620百万円増加するものの、増収効果や前期の費用増要因となったコロナ禍での店舗運営維持のための薬剤師追加コスト(約4億円)がなくなることも増益要因となる。
なお、上期の業績については売上高で前年同期比3.8%増となるものの、営業利益は同13.0%減と減益を見込んでいる。保険薬局事業において地域支援体制加算の経過装置※が前期末で終了し、利益に直結する調剤技術料単価の低下が見込まれているためだ。同社では在宅調剤の取り組みを強化することで、下期に地域支援体制加算の回復を見込んでいる。
※2022年4月の調剤報酬改定により、調剤基本料3-ハ(32点)の店舗については、地域支援体制加算を算定する場合、2023年3月末まで調剤基本料1(42点)の店舗とみなし、加算点が47点または39点で算定されていたが、4月1日以降は調剤基本料3-ハで算定することになり、該当する店舗の加算点が39点または17点に引き下げられることになった。また、2023年4月から12月までの特例措置としてGE医薬品調剤体制加算対象店舗のうち、一定条件を満たした場合、地域支援体制加算に1点または3点を上乗せした点数で算定できることになっている。
(1) 保険薬局事業
保険薬局事業の業績は増収増益を見込んでいる。2024年3月期の業績前提となる新規出店については、自力出店で20店舗、M&Aで30~50店舗を見込んでいる。2023年6月2日までの実績としては自力出店で10店舗、M&Aで2店舗を取得し、2店舗を閉店、合計で前期末比10店舗増の902店舗となっている。厳しい経営環境が続く調剤薬局市場では大手企業によるグループ化の動きが継続する見通しで、同社も案件を精査しながらM&A戦略を推進していく予定だ。
業績計画の前提となる処方箋応需枚数は店舗数の拡大もあって前期比5%程度の増加、処方箋単価については薬剤料単価で2%程度の低下を見込むが、調剤技術料単価の維持向上で相殺していく格好となる。最大のポイントは経過措置の終了で落ち込む地域支援体制加算をどのように回復させていくかにかかっている。前期に47点または39点を取得していた店舗が39点または17点に引き下げられるため、同社では0点算定の店舗を在宅調剤等の取り組み強化により、17点または39点を取得できる店舗に変えていくことで、地域体制加算点の維持向上を図る考えだ。2023年3月時点で50.1%だった0点算定の店舗のうち、半分程度を加算点の取れる店舗に変えていくことを目標としている。同目標を達成すれば、地域支援体制加算の平均単価は前期並みの水準を維持できるものと弊社では見ている。一方、GE医薬品調剤体制加算については取り組み強化により数%程度の平均単価引き上げが可能と見られる。また、調剤基本料のうち既存店に関しては前期並みの水準を維持できる見通しだ。
その他売上高についても、EC販売やコンビニエンスストア物販、並びにOTC医薬品の拡大が見込まれる。2023年4月からはサントリーウェルネス(株)との協業により、これまで通信販売でのみ展開してきたサントリーウェルネスの健康食品6ブランドについて、クオールの店舗で販売を開始した。また、今後は同社の薬剤師とサントリーウェルネスの研究員による勉強会も定期的に開催し、相互の知見を共有していくことで、地域の健康サポート薬局としての機能を強化していくことにしている。
(2) 医療関連事業
医療関連事業については、医薬品製造販売事業が抗原検査キットの反動減で減収減益の計画としているものの、CSO事業や医療系人材紹介派遣事業の収益拡大でカバーし、全体では増収増益を見込んでいる。抗原検査キットについては、企業向けや学校向けに一定の需要が見込まれ、また感染者数が拡大する局面では販売が伸びる可能性もあるが、保守的に計画に織り込んだ。CSO事業については引き続きCMRの需要は堅調に推移しており、着実な成長が見込まれる。
医療系人材紹介派遣事業では新たにアポプラスキャリアがスポット案件の医療系人材マッチングプラットフォーム事業やネットワーク健診事業を展開する(株)オンコールの株式を2023年4月に取得し、子会社化したことを発表している。2019年設立のスタートアップ企業で業績に与える影響は軽微だが、プラットフォームの導入医療施設数は400を超えるなど順調に広がっており、医療現場の人材にかかわる様々なニーズに対応するソリューションの1つとしてラインナップに加えることで、事業規模のさらなる拡大を進めていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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