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パシフィックネットのニュース
■業績動向
2. セグメント別業績
(1) ITサブスクリプション事業
ITサブスクリプション事業は、高い市場成長が見込めるとともに、ストック収益が大部分を占めるため、パシフィックネット<3021>が持続的成長の基盤と位置づけて拡大を目指している。IT機器のサブスクリプションでの提供や運用保守・通信・クラウド等のITサービスを提供しており、成長を加速するため、積極投資をさらに拡大させている。一方、成長加速のためにはコストが先行し、売上が後からついてくる特徴も持っている。
2022年5月期第2四半期においては、売上高1,625百万円(前年同期比11.5%増)、セグメント利益は209百万円(同18.9%減)だった。前述のとおり成長加速のためにコストが先行し、売上が後からついてくる特徴も持つ事業である。受注は好調に推移し、増収となったが、受注と売上高計上まで半年程度のタイムラグが発生することから、本格的に売上高に寄与するのは下期以降と想定している。また、利益面については減益とはなったものの、計画を上回るIT機器の台数確保といった先行投資を進めた影響が大きく、先行投資で135百万円のコスト増となり、サブスクリプション資産は1,400百万円増加した。積極投資を実施していなければ単純計算で344百万円(セグメント利益+コスト)となるため、前年同期の257百万円を上回る成長となる。
(2) ITAD事業
ITAD事業は規模よりも収益性の向上を事業方針とし、収益構造の改革を実施してきた。使用済みのIT機器の回収台数は、新型コロナウイルスの新規感染者急増や緊急事態宣言の継続により、企業や官公庁などで使用済みIT機器の排出の動きが鈍化した。ただし、薄利ながら纏まった台数の入札案件の受注があり、微かに減収となった。これにより2022年5月期第2四半期の売上高は938百万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益は261百万円(同21.6%減)だった。セグメント利益は減少となったものの、回収台数の減少率に比べた減益率は最小限にとどまっており、DX等による収益性向上の効果が表れはじめている。
このような環境下ではあるが、来期以降の持続的成長へ向けた投資を開始した。これは、同事業が外部環境に左右されやすいフロービジネスであるため、持続的に成長できる構造への転換を目的としたものである。全国のテクニカルセンターの設備増強とDXによる生産性強化を進めており、2021年11月には中部エリアでの事業拡大とサービス力強化のため、名古屋支店を移転するとともに、対応能力が大幅に向上した名古屋テクニカルセンターを移転・開設した。使用済みIT機器のデータ消去、適正処理サービスといったITADサービスのほか、ITサブスクリプションサービスにも対応する。テクニカルセンターの面積は旧名古屋テクニカルセンター比で1.6倍となるほか、対応能力は約300%に向上する規模となる。同社の中部エリアでの事業は拡大しており、優良顧客との取引も多いため、さらなる事業の拡大が見込まれよう。
また、独自のIT機器専門・リアルタイムオークション「PCNET Auction」を2021年11月より既存顧客限定でプレオープンした。2022年3月23日にグランドオープンを予定しており、12月23日からは新規のオークション入札会員を募集している。新型コロナウイルス感染防止の観点から対面での取引が敬遠され、ネットによるオークションやフリーマーケット取引が拡大する一方で、不特定多数による匿名取引であることから、詐欺や入札金額の不正なつり上げ行為などのトラブルが増加している。この課題を解決し、高い信頼性・透明性を強みとしたオークション運営によって、IT機器分野でのリユース促進を図ることでさらなるSDGs推進を図る計画であり、品質基準をクリアした厳選商品及びリアルタイム音声配信による公開型入札方式を採用している。また、出品数は年間約120,000台で1開催当たり約5,000台以上の商材が落札可能などの特徴がある。プレオープン段階での顧客満足度は高く、需要は好調であり、新規のオークション入札会員も引き合いは順調に拡大しているようである。将来的にはサブスクリプション終了後の機器や出品代行サービスまで拡大するほか、全国に広げることで出品数を7倍~10倍、商品構成数もPCから関連機器などへ拡大させる計画であることから、同分野の今後の伸びによってITAD事業の安定的な成長確度が高まると弊社では考えている。
さらに、同社はSDGs支援強化を掲げている。同社テクニカルセンターは、従来から資源の有効活用の観点から使用済みIT機器を100%まで国内リユース・リサイクルすることでゼロエミッションを目指しており、すでにCO2、廃プラ等の環境課題のほか、電子ごみの不正輸出防止等に大きく寄与してきた。2022年2月からはITADサービスを利用する法人へ、CO2の削減効果を数値化した「CO2削減効果レポート」を提供するサービスを始めており、従来のデータ消去サービスである「PCホワイト」の無償オプションとして提供するなどSDGsへの取り組みを支援する。
(3) コミュニケーション・デバイス事業
コミュニケーション・デバイス事業については、ワイヤレスガイド無線機「イヤホンガイド(R)」の製造販売・レンタル・保守などを手掛けており、コロナ禍による観光需要の減少の影響を受けて大幅な減収となった。コロナ禍の拡大により観光業界は甚大な影響を受け、極めて厳しい状況が継続している。2021年9月末の緊急事態宣言解除後、10~11月は売上高が回復したものの、2022年に入って新たな変異株(オミクロン株)の感染拡大が顕著となり、先行きが非常に不透明な状況だ。ただし、2020年5月14日に日本旅行業協会が発表した「旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」で、団体旅行での三密を避ける施策として「ガイドレシーバーを利用したガイディング等を行うこと」との推奨がされた結果、旅行代理店や観光名所からの「イヤホンガイド(R)」への問い合わせは継続している。
なお、コミュニケーション・デバイス事業はコロナ禍の影響を最も受けているが、セグメント規模が小さいことから、コロナ禍の影響を最大限に見積もっても、業績に与える影響は限られよう。2022年5月期第2四半期における売上高は34百万円(前年同期比56.3%減)、セグメント損失は35百万円となった。
上期においても2021年6月に日本最大級の縄文集落跡「特別史跡三内丸山遺跡」、7月には世界遺産「今帰仁城跡(なきじんじょうあと)」、8月には世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」御所野遺跡、9月に阿蘇くじゅう国立公園、2022年2月には島原半島観光連盟のガイドツールとして採用されている。ガイドと離れていても案内を聞くことができ、同時に観光客同士のソーシャルディスタンスも保つことができることから、利用客からも好評なツールであり、観光地のみならず美術館など様々な利用場面が増える可能性があると見られ、旅行関連市場トップシェアを有する同社のガイドレシーバーの市場規模の拡大につながると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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2. セグメント別業績
(1) ITサブスクリプション事業
ITサブスクリプション事業は、高い市場成長が見込めるとともに、ストック収益が大部分を占めるため、パシフィックネット<3021>が持続的成長の基盤と位置づけて拡大を目指している。IT機器のサブスクリプションでの提供や運用保守・通信・クラウド等のITサービスを提供しており、成長を加速するため、積極投資をさらに拡大させている。一方、成長加速のためにはコストが先行し、売上が後からついてくる特徴も持っている。
2022年5月期第2四半期においては、売上高1,625百万円(前年同期比11.5%増)、セグメント利益は209百万円(同18.9%減)だった。前述のとおり成長加速のためにコストが先行し、売上が後からついてくる特徴も持つ事業である。受注は好調に推移し、増収となったが、受注と売上高計上まで半年程度のタイムラグが発生することから、本格的に売上高に寄与するのは下期以降と想定している。また、利益面については減益とはなったものの、計画を上回るIT機器の台数確保といった先行投資を進めた影響が大きく、先行投資で135百万円のコスト増となり、サブスクリプション資産は1,400百万円増加した。積極投資を実施していなければ単純計算で344百万円(セグメント利益+コスト)となるため、前年同期の257百万円を上回る成長となる。
(2) ITAD事業
ITAD事業は規模よりも収益性の向上を事業方針とし、収益構造の改革を実施してきた。使用済みのIT機器の回収台数は、新型コロナウイルスの新規感染者急増や緊急事態宣言の継続により、企業や官公庁などで使用済みIT機器の排出の動きが鈍化した。ただし、薄利ながら纏まった台数の入札案件の受注があり、微かに減収となった。これにより2022年5月期第2四半期の売上高は938百万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益は261百万円(同21.6%減)だった。セグメント利益は減少となったものの、回収台数の減少率に比べた減益率は最小限にとどまっており、DX等による収益性向上の効果が表れはじめている。
このような環境下ではあるが、来期以降の持続的成長へ向けた投資を開始した。これは、同事業が外部環境に左右されやすいフロービジネスであるため、持続的に成長できる構造への転換を目的としたものである。全国のテクニカルセンターの設備増強とDXによる生産性強化を進めており、2021年11月には中部エリアでの事業拡大とサービス力強化のため、名古屋支店を移転するとともに、対応能力が大幅に向上した名古屋テクニカルセンターを移転・開設した。使用済みIT機器のデータ消去、適正処理サービスといったITADサービスのほか、ITサブスクリプションサービスにも対応する。テクニカルセンターの面積は旧名古屋テクニカルセンター比で1.6倍となるほか、対応能力は約300%に向上する規模となる。同社の中部エリアでの事業は拡大しており、優良顧客との取引も多いため、さらなる事業の拡大が見込まれよう。
また、独自のIT機器専門・リアルタイムオークション「PCNET Auction」を2021年11月より既存顧客限定でプレオープンした。2022年3月23日にグランドオープンを予定しており、12月23日からは新規のオークション入札会員を募集している。新型コロナウイルス感染防止の観点から対面での取引が敬遠され、ネットによるオークションやフリーマーケット取引が拡大する一方で、不特定多数による匿名取引であることから、詐欺や入札金額の不正なつり上げ行為などのトラブルが増加している。この課題を解決し、高い信頼性・透明性を強みとしたオークション運営によって、IT機器分野でのリユース促進を図ることでさらなるSDGs推進を図る計画であり、品質基準をクリアした厳選商品及びリアルタイム音声配信による公開型入札方式を採用している。また、出品数は年間約120,000台で1開催当たり約5,000台以上の商材が落札可能などの特徴がある。プレオープン段階での顧客満足度は高く、需要は好調であり、新規のオークション入札会員も引き合いは順調に拡大しているようである。将来的にはサブスクリプション終了後の機器や出品代行サービスまで拡大するほか、全国に広げることで出品数を7倍~10倍、商品構成数もPCから関連機器などへ拡大させる計画であることから、同分野の今後の伸びによってITAD事業の安定的な成長確度が高まると弊社では考えている。
さらに、同社はSDGs支援強化を掲げている。同社テクニカルセンターは、従来から資源の有効活用の観点から使用済みIT機器を100%まで国内リユース・リサイクルすることでゼロエミッションを目指しており、すでにCO2、廃プラ等の環境課題のほか、電子ごみの不正輸出防止等に大きく寄与してきた。2022年2月からはITADサービスを利用する法人へ、CO2の削減効果を数値化した「CO2削減効果レポート」を提供するサービスを始めており、従来のデータ消去サービスである「PCホワイト」の無償オプションとして提供するなどSDGsへの取り組みを支援する。
(3) コミュニケーション・デバイス事業
コミュニケーション・デバイス事業については、ワイヤレスガイド無線機「イヤホンガイド(R)」の製造販売・レンタル・保守などを手掛けており、コロナ禍による観光需要の減少の影響を受けて大幅な減収となった。コロナ禍の拡大により観光業界は甚大な影響を受け、極めて厳しい状況が継続している。2021年9月末の緊急事態宣言解除後、10~11月は売上高が回復したものの、2022年に入って新たな変異株(オミクロン株)の感染拡大が顕著となり、先行きが非常に不透明な状況だ。ただし、2020年5月14日に日本旅行業協会が発表した「旅行業における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第1版)」で、団体旅行での三密を避ける施策として「ガイドレシーバーを利用したガイディング等を行うこと」との推奨がされた結果、旅行代理店や観光名所からの「イヤホンガイド(R)」への問い合わせは継続している。
なお、コミュニケーション・デバイス事業はコロナ禍の影響を最も受けているが、セグメント規模が小さいことから、コロナ禍の影響を最大限に見積もっても、業績に与える影響は限られよう。2022年5月期第2四半期における売上高は34百万円(前年同期比56.3%減)、セグメント損失は35百万円となった。
上期においても2021年6月に日本最大級の縄文集落跡「特別史跡三内丸山遺跡」、7月には世界遺産「今帰仁城跡(なきじんじょうあと)」、8月には世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」御所野遺跡、9月に阿蘇くじゅう国立公園、2022年2月には島原半島観光連盟のガイドツールとして採用されている。ガイドと離れていても案内を聞くことができ、同時に観光客同士のソーシャルディスタンスも保つことができることから、利用客からも好評なツールであり、観光地のみならず美術館など様々な利用場面が増える可能性があると見られ、旅行関連市場トップシェアを有する同社のガイドレシーバーの市場規模の拡大につながると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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