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ADワークスグループ Research Memo(6):ファイナンシャル・アレンジメント事業を開始(1)

配信元:フィスコ
投稿:2022/10/14 17:06
■ADワークスグループ<2982>の中期経営計画

3. 重点施策の進捗状況
重点施策としては、既存事業を太く強くする施策、“脱”不動産事業を具現化する施策、並びにこれらの共通施策として、以下の取り組みを推進している。

(1) 既存事業を太く強くする施策
a) バリューチェーンの強化
コア事業である収益不動産販売事業では、エー・ディー・ワークスが物件選定/仕入れ/バリューアップ/販売を、エー・ディー・パートナーズがPMをはじめとする顧客対応を、スミカワADDがバリューアップ工事/修繕工事をそれぞれ提供しており、各事業会社が専門性とコスト効率を追求すると同時に、事業会社間の相互連携を向上させることでバリューチェーンをさらに強化し、ワンストップソリューションプロバイダーとして競争力を高めている。

収益不動産残高の積み上げに加えて、時代のニーズを的確にキャッチした商品企画によるラインアップの拡充にも取り組んでいる。一例として、2022年12月期より多様な働き方ニーズにマッチしたフレキシブルオフィス「Colony♯」シリーズをオープンし、自社運用を開始している。今後も収益不動産販売事業の強化を図るため、商品企画等の人員体制を強化する方針だ。

また、REIT事業や開発事業の進捗に合わせたアセットマネジメント業務やPM業務の対応力強化にも取り組み、エー・ディー・パートナーズにおけるフィー収入をさらに拡大していくほか、2022年4月にグループ会社を統合して発足したスミカワADDにおける統合効果も2023年12月期以降に顕在化してくるものと期待される。

b) 収益不動産残高の再拡充
一定量の優良な収益不動産残高を保有することにより、不動産相場と顧客ニーズとの双方を睨みながら、コントローラブルに販売を展開し必要な収益を確保すると同時に、保有する収益不動産から得る賃料収入によって収益の安定化を生み出す従来の成長戦略を継続し、2023年12月期の目標である500億円達成に向けて残高の積み上げを図る。

特に、2021年12月期以降は10~40億円の中規模オフィス物件の仕入れを積極的に進めており、このなかには、REIT事業や開発事業を見据えた仕入れも含まれている。今後も引き続きこれら物件の仕入れを加速していくほか、組織力・人材力・マーケティング・ITなど、バックアップ機能の拡充も進める予定だ。エー・ディー・ワークス、エー・ディー・パートナーズ、スミカワADDの3事業会社のノウハウを結集し、連携を強化していくことでさらなる事業拡大を目指す。

c) REIT事業による事業基盤の増強
REIT事業への参画によって、収益不動産の仕入れから販売に至る事業基盤を増強し、金融機関からの資金調達力を含めた事業規模の拡大を目指している。REIT組成に向けて、2021年9月には、JMRアセットマネジメントを設立した。投資対象エリアは首都圏、近畿圏、中部圏、北部九州圏を中心とする中核都市圏で、オフィスビルやレジデンスが中心となり、組成額としては300~400億円規模を計画している。

自社単独では時間も資金も掛かることから、それぞれのエリアで展開している同業者をパートナーとすることで、早期の運用開始を目指している。2022年3月には東海エリアを地盤に不動産事業等を展開するみらいHDとの間で合弁事業契約を締結しており、今後、中部圏ではみらいHDが中心となって仕入れを進めていくものと見られる。そのほかのエリアについてもパートナー企業を探索中となっている。

d) 開発事業による事業規模の拡充
開発事業では、2021年より福岡県で新築オフィスビル「(仮称)大名2丁目オフィス」プロジェクト(12階建て、敷地面積:約228m2/延床面積:約1,223m2)に着手している。同ビルは、熱負荷の低減や資源の有効活用、人間の健康・ウェルネスへの配慮などを施し、環境認証を取得した物件となる。建設資金はクラウドファンディングを活用して、地球環境保全の主旨に賛同する個人投資家から5億円を調達した。クラウドファンディングを活用したグリーンローン調達としては、国内初のケースとなる。そのほか、京都の中心部である河原町エリアで300m2の用地を購入し、商業ビルの開発を進めているほか、都内でも開発案件を複数検討している。

今後はこれらプロジェクトを着実に進めていくことで、売上高で20~40億円規模の案件を年に2~3棟ペースで仕上げていくことにしている。なお、これら物件に関しては「ARISTO」シリーズとして販売するか、REITの組成物件に組み入れることになりそうだ。

e) 小口化不動産販売事業のコア事業化
不動産特定共同事業法にもとづく小口化不動産販売事業は、不動産投資に対する個人投資家層の裾野の広がりにより成長が期待できる事業として位置付けており、2021年より組織も「資産運用事業本部」として独立させて強化を図っている。2022年6月末までに「ARISTO」シリーズは合計6物件、累計77.5億円を完売・運用しており、販売提携先の地域金融機関も30行になるなど販売チャネルも拡大している。今後もこれら販売チャネルを活用して、「ARISTO」シリーズの販売を継続的に行う計画となっているほか、今後の商品化を検討している不動産STOなど新たな投資商品の販売にも活用することを視野に入れている。

f) 海外事業の「複合バリューチェーン」展開
米国ロサンゼルスで展開している収益不動産販売事業は、国内のバリューチェーンを移植・応用する形で2013年に開始し、累計66棟を超える販売を行ってきた。2021年には新たな取り組みとして、現地パートナーとの協業により、現地向け住宅の開発事業も開始し、2022年12月期第2四半期累計で区分販売の実績を挙げている。そのほか、ハワイでも高騰する住宅事情に対処する格好で制定された通称Bill7※と呼ばれる現地法令に着目し、賃貸住宅の開発を進めている。2024年1月に完成する予定で、30戸/棟程度の賃貸住宅をまずは1棟完成させ、自社保有物件として運用する予定である。

※高騰するハワイの住宅事情に対処するため、手頃な価格で賃貸住宅を提供できるよう2019年に制定された法令。建築基準の緩和や、行政に対する支払い手数料の免除等、開発事業に対するインセンティブの付与などが法令化され、民間企業が参入しやすくなった。


海外事業では今後、これら3つの事業を強化しながら、資金とノウハウを循環させる独自の複合バリューチェーンを構築する方針となっている。なかでも、国内投資家を対象とする収益不動産販売事業用の物件仕入を強化していくことが事業拡大に向けて重要と考えている。米国では金利上昇により新築住宅着工戸数の冷え込みが予想されるものの、賃貸住宅の需要は堅調に推移する見通しだ。仕入環境については現金で仕入れを行っていることが強みとなりそうで、収益不動産残高を積み上げていく好機になると見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ
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