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SREホールディングスのニュース
―成長ロード加速、AIなど最新技術を駆使し安心・安全ニーズ捉える―
「監視カメラ」を中心にしたセキュリティー市場が堅調だ。2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて経済活動が停滞したことで市場は縮小したが、21年には急速に回復し、早くも成長ロードに復帰している。新型コロナの感染拡大収束がいまだ見えないなか、さまざまな社会不安も増幅しており、これを受けた安心・安全意識の高まりもセキュリティー市場の拡大を後押しする。特に監視カメラについては、さまざまな分野へ活躍領域を広げている点も見逃せないポイントだ。再評価機運が高まる監視カメラ関連だが、機材からシステムまでそのすそ野は広い。
●回復急、再び拡大路線走り出す
監視カメラの活躍領域が広がっている。突如、全世界を襲った新型コロナによるパンデミック、新たな形態の犯罪に加え事故、そして激甚化する自然災害など社会不安が高まっている。こうしたなか、防犯はもちろんのこと、見守り、施設での入退室管理、事故防止、防災、行動解析など幅広い分野での活用が進んでおり、こうした需要の広がりが市場拡大を後押しする。
コロナ禍でも、セキュリティー需要は底堅く、設備投資抑制などはあったものの、影響は軽微にとどまっている。「感染拡大で、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が取られるなか、無人店や無人ビルが増加したことで、監視カメラなど機械警備の需要が伸びた」(警備保障・広報)という側面もあるようだ。
市場調査の富士経済が発表した「セキュリティー関連の国内市場調査」では、24年の「監視カメラシステム市場」は20年比8.8%増の1011億円に伸長すると予想している。そのうち「監視カメラ」は同年比で9.9%増の619億円に拡大する見込みだ。20年は前年比5.4%減となったが、「21年は一部では設備投資抑制の動きがみられるものの需要は堅調で、市場は前年比5.3%増の593億円と19年と同等の規模までに回復する」とみている。また、製品タイプ別では「IPカメラ(ネットワークカメラ)が中心となっている」とし、「主要メーカーも主力製品に位置づけているため、21年以降も順調な伸びが予想される」とした。
●鉄道車両の「防犯カメラ」設置義務化検討で思惑も
新型コロナの感染は、ここにきて“第7波”を懸念する声もあるが、岸田政権が経済正常化に舵を切っていることは監視カメラ市場にとっても追い風となる。更に、電車内での刺傷事件が頻発し、これを受けて国土交通省は今後導入する新車両への「防犯カメラ」の設置義務化の検討に入っており、その行方にも関心が集まりそうだ。既に18年から新規車両に「防犯カメラ」の導入を順次進めているJR東日本 <9020> [東証P]では、「車両にもより一概にはいえないものの、設置費用は1編成(10両)について5000万円程度かかる見込み」(広報)と話す。あくまでJR東の例だが、内訳こそ明らかにしなかったものの、仮に設置義務が決まれば全鉄道事業者に波及するだけに、大幅な監視カメラやシステム需要が発生する可能性が高い。鉄道車両向け車内防犯システムでも実績豊富な三菱電機 <6503> [東証P]を始め、大手メーカーを中心に思惑材料としても働きそうだ。
もはや監視カメラは単なる映像記録にとどまらず、人工知能(AI)など最新技術を駆使することで、幅広いニーズに対応する高度な情報媒体としての役割を担っている。ここにきては、専業メーカーに加え新たに参入する企業も相次いでおり、競争が激化している。また、大手メーカーも成長する監視カメラ市場で攻勢の手を緩めない。
●EIZO、同社初の監視市場向け超高感度カメラ発売
EIZO <6737> [東証P]は映像分野で高品質・高機能の映像機器及びシステム・サービスによるソリューションを提供しており、ここ監視カメラ分野にも注力している。今年3月、同社初の監視市場向け超高感度カメラ2機種を、自社で開発、生産し販売を開始した。同製品は、人の目や一般的なビデオカメラでは見えない暗闇などの低照度環境においても、カラーで鮮明な映像を撮影可能だという。河川・港湾などのインフラ施設の監視や、警察捜査などでの活用を見込んでおり、将来の業績貢献にも期待がかかる。同社は1月31日、22年3月期第3四半期累計決算を発表。営業利益が前年同期比82.3%増の84億900万円に拡大し、通期計画の91億円(前の期比14.7%増)に対する進捗率は92.4%に達している。
●SREHD、監視カメラ動画のモニタリングソリューション開発
SREホールディングス <2980> [東証P]はITテクノロジーとAIを基盤とした不動産事業や金融機関向けソリューション事業を展開するが、昨年6月には監視カメラ動画をAIでリアルタイムに分析するモニタリングソリューションを3社共同で開発したと発表。3次元空間認識技術とIoTプラットフォームを活用し、監視や見守りにおいてデータ通信量を100分の1以下に削減できるほか、夜間の監視でも性能が劣化しないといった特長を持つ。監視や見守り用途など、幅広いシーンでの活用が期待されるだけに、今後の動向に注目が集まる。同社は3月2日に公募・売り出しを発表したことで需給悪化を嫌気した売りがかさんだが、同月16日につけた2473円を底に切り返し、現在は3400円台後半に位置している。
●高千穂交易、統合セキュリティーソリューション「ヴェルカダ」に期待
エレクトロニクス商社で、商品監視システム機器や多くの監視カメラシステムを扱う高千穂交易 <2676> [東証P]も攻勢をかけている。昨年11月には、米Verkada(ヴェルカダ)社と国内で初めて代理店契約を締結し、統合セキュリティーソリューション「Verkada」の販売を開始。リモートワーク普及により、入退室管理システムについてクラウド化の流れが加速しているが、今後はサテライトオフィス増加によるオフィスの小規模化・分散化が進むことが予測され、クラウドシステムでの統合が求められている。こうしたなか、Verkadaはハイブリッドクラウド型AIカメラ・入退室管理・環境センサーをクラウド上で統合管理を行うことで、多様化する需要に対応する構えだ。業績も好調で、22年3月期の営業利益は前の期比27.5%増の11億3000万円を見込む。株価は、2月28日に1647円まで買われ年初来高値を更新したが、その後上昇一服。現在は1400円台半ばでもみ合っている。
●オプテクスG、防犯監視プラットフォームでアジア展開
防犯用、自動ドアなど各種センサー大手のオプテックスグループ <6914> [東証P]にも注目したい。同社が2月14日に発表した22年12月期業績予想は、営業利益が前期比29.6%増の60億円と4期ぶり最高益更新を見込む。売上高も前期に続き過去最高となる同15.6%増の530億円の見通しだ。同月16日に、子会社のオプテックスがクラウド型リアルタイム防犯監視プラットフォーム「GENIO Map Cloud」をアジア市場(タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア)に展開していくことを発表しており、業容拡大への期待が高まっている。また、国内防犯関連事業の営業及びサービス業務についてより一層強化・充実化を図るため、4月1日から大阪営業所での営業を開始。これにより、同事業における営業拠点は、全国6拠点体制となる。株価は、4月5日に1861円まで買われ年初来高値を更新したものの、全体相場の悪地合いのなか、きょうは1700円割れとなっている。
●セキュア、あいHDなどにも注目
法人向け入退室管理や監視カメラシステムの提供を手掛けるセキュア <4264> [東証G]は、2月28日に日本郵政 <6178> [東証P]及び傘下の日本郵便による新サービス「JPショールーム」向けに無人化店舗システムの技術導入が決定したと発表。同日には、日本郵政グループの2拠点で試行開始する同サービス向けに、システム及び技術の提供をスタートさせている。この取り組みを通じて、店舗などの空きスペースの有効活用を検討している事業者に対し、自社で運用している無人化店舗「SECURE AI STORE LAB」ソリューションのサービス化に向けた開発を加速させる方針だ。同社の監視カメラシステムは、新型コロナの影響による遠隔監視ニーズや、巣ごもり需要増加による物流施設の拡充に伴うセキュリティーニーズの拡大を捉え堅調に推移。2月10日に発表した21年12月期の連結営業利益は前の期比4.4倍の1億5500万円に急拡大し、続く22年も前期比2.9%増の1億6000万円を見込む。
そのほかでは、監視カメラやレコーダーを主力とする、あい ホールディングス <3076> [東証P]にも目を配っておきたい。セキュリティー機器分野では、マンション向けの自社更新及び新規獲得が堅調に推移している。メガバンク・官公庁などの大型案件や商店街・小売店といったさまざまな施設への導入実績も豊富だ。株価は下値を探るが、22年6月期の営業利益は前期比6.9%増の101億円を計画しており業績は堅調だ。また、ファブレス半導体企業で監視カメラ向けIC製品を手掛けるザインエレクトロニクス <6769> [東証S]、監視カメラ用レンズを手掛けるタムロン <7740> [東証P]、木材加工と地盤改良が主力で監視カメラにも傾注する兼松サステック <7961> [東証S]にも妙味がありそうだ。
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