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エバラ食品工業のニュース
■業績動向
1. 2021年3月期の業績動向
エバラ食品工業<2819>の2021年3月期の業績は、売上高51,334百万円(前期比0.2%増)、営業利益3,627百万円(同57.0%増)、経常利益3,738百万円(同57.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,506百万円(同69.0%増)と非常に好調で、上場来最高益を達成した。国内経済は、コロナ禍の影響が長期化するなか、一時持ち直しの動きが見られたものの、感染者数の急激な増加から2021年1月に再び緊急事態宣言が発令されるなど、依然として不透明な状態が続いている。コロナ禍は、食事のシーンにも影響を与え、自粛する動きのなかで巣ごもり需要が追い風となって内食が拡大、休業や営業時間短縮などにより外食が大きな痛手を受けた。
こうした需要変動に対し、中期経営計画「Unique 2023」の第1フェーズ(2020年3月期~2021年3月期)において、内部コミュニケーションの徹底などによりサプライチェーンを強化してきたことが奏功し、一部他社で欠品が生じるなか、同社の家庭用商品は安定供給を継続することができた。このため、コロナ禍において全体で増収を確保することとなった。利益面では、好採算の家庭用商品が伸びたことによるミックス変化や、好調商品の稼働率向上やコロナ禍の行動抑制による経費削減などにより売上総利益率が大幅に改善した。販管費に関しては、当初価値訴求による拡販費の抑制を進めようとしていたところに、コロナ禍対策により試食販売費や旅費交通費、展示会費などの経費が未使用となり、金額、売上比率ともに改善して大幅増益につながった。
主力の家庭用商品が収益拡大をけん引
2.事業セグメント別の状況
2021年3月期のセグメント別業績は、家庭用商品と業務用商品からなる食品事業が売上高43,445百万円(前期比0.1%増)、セグメント利益3,967百万円(同51.4%増)、物流事業が売上高6,265百万円(同4.4%増)、セグメント利益182百万円(24.7%増)、その他(広告宣伝事業、人材派遣事業)が売上高1,623百万円(同11.0%減)、セグメント利益13百万円(同72.9%減)となった。なお、食品事業は横ばいだったが、これを構成する家庭用商品の売上高は36,775百万円(同6.5%増)、業務用商品が6,669百万円(同24.7%減)と明暗が分かれた。
(1) 家庭用商品
家庭用商品では、期を通じた需要の急増に対し、サプライチェーンの強化を背景に販売機会の確保に努めたことで、比較的大きな売上の伸びにつながった。 肉まわり調味料群については、『黄金の味』シリーズにおいて、前期発売の『さわやか檸檬』に続いて2021年2月に『旨にんにく』を新発売したが、テレビCMやWeb・SNS、店頭での露出を高めたことにより、シリーズ全体の売上高も順調に拡大した。鍋物調味料群は、内食需要に合わせた『すき焼のたれ』の汎用メニュー提案に加え、成長ジャンルの『プチッと鍋』や『なべしゃぶ』で調理の手軽さをテレビCMや店頭で訴求、また、年間定番化に向けた施策により春夏の販売機会が拡大したこともあり、大幅に売上高を伸ばすことができた。野菜まわり調味料群では、主力の『浅漬けの素』が、需要期の第2四半期に野菜価格が高騰したため低調に推移した。その他群では、利便性などの訴求ができた『プチッとうどん』や、2021年2月にブランドリニューアルと商品ラインナップの拡充を行った『横濱舶来亭カレーフレーク』が好調に推移した一方、チルド商品の販売機能を期初より移管したため、その他群は減収となった。
(2) 業務用商品
コロナ禍を背景に発令された第1四半期の緊急事態宣言により、取引先の外食産業が大きな痛手を受け、同社業務用商品も苦戦することとなった。第2四半期から第3四半期にかけて、「Go To Eat」キャンペーンなど政府施策などにより一時回復傾向となったものの、2020年11月以降の感染再拡大や2021年1月の緊急事態宣言発令により、再び外食企業の事業環境は悪化した。海外事業においても、感染症対策による営業活動の制限などが影響し、肉まわり調味料群、スープ群、その他群ともに低調に推移した。ワクチン投与が始まるなど第4四半期後半にかけて国内の外食産業にやや回復感が生じたが、2021年4月の感染症再拡大の緊急事態宣言発令などもあり、依然不透明な状況が続いている。
(3) 物流事業とその他事業
物流事業は、既存顧客の倉庫保管需要のほか、家庭向け商品を扱う他社食品メーカーの配送も取り込むことができ、売上高は堅調に伸長した。その他事業は、コロナ禍により、広告宣伝事業でイベント中止、人材派遣事業では試食販売の中止などの影響が生じ、売上高は低調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 2021年3月期の業績動向
エバラ食品工業<2819>の2021年3月期の業績は、売上高51,334百万円(前期比0.2%増)、営業利益3,627百万円(同57.0%増)、経常利益3,738百万円(同57.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,506百万円(同69.0%増)と非常に好調で、上場来最高益を達成した。国内経済は、コロナ禍の影響が長期化するなか、一時持ち直しの動きが見られたものの、感染者数の急激な増加から2021年1月に再び緊急事態宣言が発令されるなど、依然として不透明な状態が続いている。コロナ禍は、食事のシーンにも影響を与え、自粛する動きのなかで巣ごもり需要が追い風となって内食が拡大、休業や営業時間短縮などにより外食が大きな痛手を受けた。
こうした需要変動に対し、中期経営計画「Unique 2023」の第1フェーズ(2020年3月期~2021年3月期)において、内部コミュニケーションの徹底などによりサプライチェーンを強化してきたことが奏功し、一部他社で欠品が生じるなか、同社の家庭用商品は安定供給を継続することができた。このため、コロナ禍において全体で増収を確保することとなった。利益面では、好採算の家庭用商品が伸びたことによるミックス変化や、好調商品の稼働率向上やコロナ禍の行動抑制による経費削減などにより売上総利益率が大幅に改善した。販管費に関しては、当初価値訴求による拡販費の抑制を進めようとしていたところに、コロナ禍対策により試食販売費や旅費交通費、展示会費などの経費が未使用となり、金額、売上比率ともに改善して大幅増益につながった。
主力の家庭用商品が収益拡大をけん引
2.事業セグメント別の状況
2021年3月期のセグメント別業績は、家庭用商品と業務用商品からなる食品事業が売上高43,445百万円(前期比0.1%増)、セグメント利益3,967百万円(同51.4%増)、物流事業が売上高6,265百万円(同4.4%増)、セグメント利益182百万円(24.7%増)、その他(広告宣伝事業、人材派遣事業)が売上高1,623百万円(同11.0%減)、セグメント利益13百万円(同72.9%減)となった。なお、食品事業は横ばいだったが、これを構成する家庭用商品の売上高は36,775百万円(同6.5%増)、業務用商品が6,669百万円(同24.7%減)と明暗が分かれた。
(1) 家庭用商品
家庭用商品では、期を通じた需要の急増に対し、サプライチェーンの強化を背景に販売機会の確保に努めたことで、比較的大きな売上の伸びにつながった。 肉まわり調味料群については、『黄金の味』シリーズにおいて、前期発売の『さわやか檸檬』に続いて2021年2月に『旨にんにく』を新発売したが、テレビCMやWeb・SNS、店頭での露出を高めたことにより、シリーズ全体の売上高も順調に拡大した。鍋物調味料群は、内食需要に合わせた『すき焼のたれ』の汎用メニュー提案に加え、成長ジャンルの『プチッと鍋』や『なべしゃぶ』で調理の手軽さをテレビCMや店頭で訴求、また、年間定番化に向けた施策により春夏の販売機会が拡大したこともあり、大幅に売上高を伸ばすことができた。野菜まわり調味料群では、主力の『浅漬けの素』が、需要期の第2四半期に野菜価格が高騰したため低調に推移した。その他群では、利便性などの訴求ができた『プチッとうどん』や、2021年2月にブランドリニューアルと商品ラインナップの拡充を行った『横濱舶来亭カレーフレーク』が好調に推移した一方、チルド商品の販売機能を期初より移管したため、その他群は減収となった。
(2) 業務用商品
コロナ禍を背景に発令された第1四半期の緊急事態宣言により、取引先の外食産業が大きな痛手を受け、同社業務用商品も苦戦することとなった。第2四半期から第3四半期にかけて、「Go To Eat」キャンペーンなど政府施策などにより一時回復傾向となったものの、2020年11月以降の感染再拡大や2021年1月の緊急事態宣言発令により、再び外食企業の事業環境は悪化した。海外事業においても、感染症対策による営業活動の制限などが影響し、肉まわり調味料群、スープ群、その他群ともに低調に推移した。ワクチン投与が始まるなど第4四半期後半にかけて国内の外食産業にやや回復感が生じたが、2021年4月の感染症再拡大の緊急事態宣言発令などもあり、依然不透明な状況が続いている。
(3) 物流事業とその他事業
物流事業は、既存顧客の倉庫保管需要のほか、家庭向け商品を扱う他社食品メーカーの配送も取り込むことができ、売上高は堅調に伸長した。その他事業は、コロナ禍により、広告宣伝事業でイベント中止、人材派遣事業では試食販売の中止などの影響が生じ、売上高は低調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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